トレッキングレポート

サブナビゲーションをスキップ


フィールドレポート

現在のレポート数は811件です。

最新記事
最近のコメント
カテゴリー
バックナンバー

Since Apr.01,2000


« 2004年02月トレッキングレポート:トップページ2004年04月 »

フラワーモン族の町バック・ハ

Mar.21-24, 2004 緑濃き風景と、鮮やかな民族衣装のアンサンブル

フラワーモン族の町バック・ハ:イメージ1

ベトナム北部山岳地帯で、少数民族の町として知られるサパ。そこから順調に行けば3時間半程度の所に、ベトナムで最も美しいと言われるフラワーモン族が集まるバック・ハの町がある。

フラワーモン族の町バック・ハ:イメージ2

サパとの位置関係は、ハノイと中国・北京を結ぶ国際列車のベトナム側の終点ラオカイを挟み、サパは西方向、バック・ハは東方向にある。かといって、それぞれに観光客が分散するというのではなく、サパまで来たのだからバック・ハまで寄ってみようという人がほとんどだ。これはバック・ハが、大きなマーケットが開かれる日曜日以外は閑散としていること、トレッキングできる場所が少ないことなどが挙げられる。観光地としての歴史も浅く、道路や宿泊施設、レストランなどにまだまだ開発の余地があることも一因にはあるだろう。もっとも、観光スレしていない分、素朴なありのままのフラワーモン族に会うことができるのだが。ともかく、現在のバック・ハの観光事情がサパの“おまけ”のようになっているため、ラオカイからのツアーバスやローカルバスなどがあるものの、サパで土曜のマーケットを見、日曜にはバック・ハへ行き、その日の内にサパへ戻るかあるいはハノイや中国へ行くというのが観光パターンとなっている。

フラワーモン族の町バック・ハ:イメージ3

10時前に到着するバスが、ちょっとしたトラブルがあって11時過ぎにバック・ハに到着。町はすでに活気に満ち、いたる所にフラワーモン族の人がいる。このフラワーモンという呼称は、上着の花柄地に特色があってそう呼ばれるようになったのではないかと考えられる。あるいはもっと総体的に、襟廻りから肩口、おくみの部分に施された幅広の刺繍や、スカートや前掛けに全体的に施された刺繍の色鮮やかさに花をイメージしたのかもしれない。少数民族を分類する場合に、衣装の色や柄で分けたりするからだ。いずれにしても、フラワーモンとは良く名付けたものだ。

フラワーモン族の町バック・ハ:イメージ4

マーケットの奥は野外になっている。この日は雨が降るか降らないかの曇り空でパラソルやビニールシートで屋根を作っていたが、それさえなければ、まさに花畑を見るような光景がフラワーモン族の女性たちによって作られる。しかしながら季節なのか、あるいは流行なのか、7年前にバック・ハに訪れたときとは趣を異にしているようだった。先に書いたような花柄地が少なくなり、ビロードのような布地が多くなっていた。また、筒状の型にチェックの布を巻いているのだろう、そういった帽子をかぶっている女性も少なくなった。とはいえ、鮮やかさ美しさから言ったら、ベトナムで一番なのがフラワーモン族だろう。ちなみに、この衣装を一式揃えるとすると、店の人の言い値だが30ドルらしい。

フラワーモン族の町バック・ハ:イメージ5

バック・ハは山々に囲まれた盆地に開けた町である。そのため、一歩町の外に出れば、美しい風景に出会うこともできる。その風景を満喫するためにツアーに組み込まれているのが、バンフォーへのトレッキング。バンフォーは、バス通りを中心とした場合、バック・ハ市場とは反対の方向にある。往復して1時間半から2時間程を、整地された道をほぼ道なりに歩いていく。歩いている道から向いの山までが近いのか、緑が濃く感じる。谷あいにはライステラスが広がり、その一画には果物の樹木を栽培している。その合間には、瓦屋根を載せた民家が点在し、集落を作っている。観光地としてはサパに一歩立ち後れているバック・ハである。だからこその風景、素朴で昔ながらの風景がそこに広がっている。そんな風景の中で出会うフラワーモン族。彼女たちの鮮やかな民族衣装と山々の緑は決してお互いの色合いを損なうことなく、穏やかな調和を奏でている。桃源郷というものが本当にあるなら、このような場所を言うのではないか。そんな想像さえ掻き立てられる。

フラワーモン族の町バック・ハ:イメージ6

ジアンフォーという村にも個人的に行ってみた。というより、歩いていたら結果的にその村に入っていった。知らない道をゆっくりと風景を見ながら歩いたため1 時間ちょっとの道のり。バック・ハ市場の裏の道を進み、吊り橋を渡ってT字路に出た所を右に曲がる。川の手前を左に折れ、石畳というか無造作に石が敷きつめられた道を山の中に入っていく。脇道もあるのだが、ひたすら本道を歩く。山々に囲まれ、山側に植樹園を見ながら歩いていく。谷側には農村の風景が広がり、所によっては花畑もある。そんな風景が目に飛び込んでくると、知らない道を歩いている不安も薄らいでくる。急に民家が立ち並ぶあたり、そこがジアンフォーだ。この集落を抜けるのに5分とかからない。集落を抜けて左手には畑が広がり、右手には学校がある。畑では、フラワーモン族の女性があの美しい民族衣装のまま農作業をしている。そして、学校に通う女の子もまた民族衣装で通っている。

フラワーモン族の町バック・ハ:イメージ7

そう、あの鮮やかで美しい民族衣装は、日曜のマーケットなど特別な時にだけ着るものではなく、きわめて日常的な衣装なのだ。フラワーモン族だけではない。少なくとも僕が出会ったベトナム北部の少数民族の女性たちは、普段着として民族衣装を着こなしている。だからこそ、そこに民族としての自覚を見ることができ、そんなところに僕はベトナムの少数民族の魅力を感じているのだろう。

-DATA-

場所:
ベトナム社会主義共和国ラオカイ省バック・ハ
交通:
ラオカイからローカルバスで約1時間半、サパからツアーバスで約3時間
駐車場:
なし
トイレ:
バック・ハ市場内にあり
その他:
ラオカイからバック・ハへ直接行く場合、駅前のツアーカフェでブッキングし、サパからのツアーバスに便乗することも可能。ただし、出発が午前8時前後になるので、前日までに予約しておいたほうがベター。(ハノイからもこのルートをブッキングできるかもしれないが未確認)

少数民族の町サパ

Mar.14-20, 2004 ホアンリエンソン山脈の抱かれる、藍と赤の民族衣装の調和

少数民族の町サパ:イメージ1

ハノイからは電車とバスを乗り継いで約11時間。中国と国境を接するラオカイ省に、北部少数民族に触れることができ、また周辺へのトレッキングの拠点ともなる町サパがある。僕が乗ったのは、22時20分のハノイ発ラオカイ行きの夜行列車。翌朝の7時半頃に中越国境のイミグレーションがある町ラオカイに到着。そこからミニバス(見かけや車内は普通のライトバン)で、鋪装された山道をサパに向けて登っていく。今回訪れた時は、行き帰りともあいにく天候が悪く風景が楽しめなかったのだが、7年前に訪れた時は晴れており、眼下にライステラス(棚田)や川、少数民族の人たちの民家を見下ろすことができる。そして、 “Welcome to Sapa”の看板のあるあたりからサパの町へ入っていく。

少数民族の町サパ:イメージ2

標高約1,560mにあるサパ。気候も涼しく、フランス植民地時代に避暑地として開拓された小さな町だ。2003年には「サパ観光100年」のイベントが開かれたらしく、それに合わせたのだろう、人造湖ができたりホテルが増えたり、街路が整備されたりして観光地の体裁は整ってきた。それでも、開拓したフランス人たちの思いや建築様式が受け継がれているのだろう、街並は落ち着いた雰囲気を醸し出し、夜ともなると人通りも少なくなってロマンチックな空気に包まれる。西方約9kmには登山家田部井淳子さんが登頂したことでも知られるファンシパン山(標高3,143m)があり、サパはファンシパン登山のベースともなっている。晴れた日には、その山容が良く見える。現在では、ハノイやサパのツーリストオフィスでファンシパン登山のコーディネイトもオーダーできる。とはいえ、もとよりファンシパン登山の予定はなく、少数民族に会いに行くのがサパ行きの目的だった。

少数民族の町サパ:イメージ3

ベトナムには、アオザイの民族衣装で知られるキン族が最も多く人口の約90%を占め、それ以外に53の少数民族が暮らしている。サパにはモン族、ザオ族、タイ族などの少数民族が集まってくる。最も多いのがモン族だ。黒に近いインディゴ(藍色)の上着に同色の五分丈のズボン、やはり同色の膝当てを巻いている。上着の袖に刺繍が施されていたり、全面刺繍の巻きスカートをはいている人もいる。一方、サパで最も鮮やかなのがザオ族。衣装の色合いから赤ザオ族というように細かく分けることもある。彼女たちもインディゴを基調とした衣装を身に付けているが、上着の襟と袖口、腰の部分に大きめの刺繍を施している。そして、頭には、まるで日本の童獅子の獅子頭のような赤い帽子様のものをかぶっている。もっとも、以前に訪れた7年前と比べ、衣装がシンプル化しているというのが実情。10年後20年後、彼女たちがどれだけ民族衣装を着ているのだろうか…。

少数民族の町サパ:イメージ4

最も少数民族の人たちが集まるのが、土日のいわゆる週末マーケット。サパ市場を中心ににぎわいを見せる。それを目当てに外国人観光客も集まってくる。少数民族の人たちが土日にサパへ集まってくる目的は、かい出しであったり、自分たちで作った野菜、刺繍、工芸品などを売りに来るためである。当然、現地の人同士のやりとりもある。しかし、外国人が訪れるようになって長い土地柄であるだけに、外国人相手にも刺繍やアクセサリーなど、お土産になるもので商売もしている。僕も後者に入るわけだが、彼女たちとのやりとりが楽しい。物を売りに来るのは、年輩の女性か10代以下の女の子が主だ。年輩の女性は、刺繍の入った民族の帽子や衣装などを「ジョリジョリ(“かわいい”という意味らしい)」と言いながら商売をする。女の子たちは英語だ。そして、誰が教えたのか、名前を教えると次からは“ちゃん”付けで呼んでくる。交渉は必要だが、一度でも彼女たち、特に女の子から物を買うと、後は友だちのように接してくれる。「もう一つ買わないか」というのは挨拶のようなものになり、一緒に歩いたり、話したり、遊んだりする関係になる。時には少数民族の村へガイドをしてくれる。

少数民族の町サパ:イメージ5

また、土曜の夜に教会前の庭で開かれるラブマーケットも面白い。男側、女側双方に仲人さんが入り、お見合いをしているのだ。そして、近くでは民族楽器を奏で、舞っているモン族の夫婦らしい男女がいる。教会の周りには屋台が並び、日本の盆踊り後の雰囲気といったら分かりやすいだろうか、それに似た盛り上がりがある。ただ、こうした現在のラブマーケットの様相は、形式的なものと言わざるを得ないだろう。本来のラブマーケットは、男性が音調のある詩を読み、それに女性が応える、いわゆる歌垣のようなものだったらしい。そして、村中の近親婚を防ぐというのが目的だったらしいのだ。しかし今は、長い夜を楽しく過ごすためのイベントといった印象の方が強い。

少数民族の町サパ:イメージ6

9年前、僕は初めてベトナム・サパに訪れ、初めて少数民族というものを見た。その時の印象が衝撃的だった。衣装の鮮やかさや着こなしの良さだ。彼女たちの民族衣装からは、民族としての自覚と誇りを感じたのだ。それにフレンドリーな性格。そんな民族の自覚とフレンドリーな性格を持ち合わせた彼女たち少数民族が好きになり、ベトナムへ行く度に僕はサパへ訪れている。そして、彼女たちが民族衣装を脱ぎ、フレンドリーさを失わないかぎり、僕はベトナムへ行く度にサパへ訪れるだろう。

-DATA-

場所:
ベトナム社会主義共和国ラオカイ省サパ
交通:
ハノイからラオカイ行きの列車が1日に6~7本。早朝もしくは夜行が便利。ラオカイからは列車の到着時間に合わせてサパ行きのミニバスが運行されている。
駐車場:
宿泊先に要確認。ただし、国際免許は通用せず、ベトナムで免許を取得しなければならない。
トイレ:
公衆トイレは特になし。サパ市場内にあったかもしれないが、未確認
その他:
サパの周辺にはいくつもの少数民族の村が点在し、日帰り、1泊2日、2泊3日などのトレッキングツアーをガイド付きで手配できる。山道を歩いたりするので、ガイドを付けた方が安全だし、服装なども山歩きをするつもりの配慮が必要。山中であるため気候も変化しやすく、温度が急にさがったりするため、雨具や長袖のシャツなどを用意していった方がいい。

武蔵野の鳥、花、歴史を訪ねて

Mar.16, 2004 のほほんと春の小川を歩いてみよう

春。草が萌え、花が咲き、鳥がさえずる春。遠くの山まで出かけなくても、近場の公園でも春を感じる事は出来る。年収三百万円時代の更に先を行く、貧しき私も、そしてあなたも、お金はなくとも散歩は出来る。春の野に出てみよう。今まで見落としていた色々な発見があるかも。今回は街の近くの散策コースを紹介してみようと、東京都立野川公園から、小金井市、三鷹市の野川沿いのコースを歩いてみた。

武蔵野の鳥、花、歴史を訪ねて:イメージ1

都立野川公園は、東京都が昭和49年に国際基督教大学のゴルフ場を買収し、昭和55年に開園した小金井市、三鷹市、調布市の3市にまたがる公園。正門から管理所の建物に入り、そこを抜けると、広大な芝生広場と武蔵野の面影を残す木立が広がる。広場には子供用の遊具も設置されており、放課後や休日ともなると子供がいっぱいだ。広場の喧騒から少し離れ、クヌギやコナラの植えられた木立の中へ入ってみた。武蔵野と言えば、国木田独歩も讃えた落葉広葉樹林、いわゆる雑木林で知られる。薪炭材として使われていたコナラやクヌギの落葉樹林は、人の生活と供に成立していた林。かつてはありふれていたこの雑木林が注目を浴びるようになったのは、それだけこの林が人の生活から離れてしまったということでもある。野川公園の雑木の木立で、人々が身近な自然に依存して生活していた頃に思いをはせてみよう。

武蔵野の鳥、花、歴史を訪ねて:イメージ2


まだ葉の茂らない早春の明るい落葉樹の木立を、落ち葉を踏みしめながら歩いてみると、あちこちの地面からカサカサという音が聞こえて来た。音のする方に目を向けると、ムクドリ、シジュウカラ、ヒヨドリ、キジバト、ツグミ、都会でもお馴染みになった野鳥達が、落ち葉を掻き分け、餌を探していた。飛び立った鳥を目で追って上を見上げると、コナラの高木の遥か上方に緑色の鳥が。双眼鏡で除いてみると、アオゲラだった。緑色の背中に赤い頭が美しいキツツキだ。野川公園は野鳥の宝庫でもある。この日は他にもツグミ、シメ、マヒワ等の北方から冬を越すためにやってきた鳥達、そして野川公園の北側を流れる野川の周辺では、河原を好むセグロセキレイや、コサギ、カルガモ、マガモなどの水鳥達の姿も見られた。

武蔵野の鳥、花、歴史を訪ねて:イメージ3

都道(東八道路)をはさんで公園は南地区と北地区に分かれている。都道を横断する橋を渡り、北地区に行って見た。北地区には国分寺崖線と呼ばれる、多摩川が武蔵野台地を侵食して作った崖状の地形が走っており、ここから湧き出す清水を集めた野川が流れている。野川の河原は護岸がコンクリートで固められておらず、自然のままの河原を散歩できる。春の日を浴びながら、オオイヌノフグリの紫色の花、タンポポの黄色い花などが咲き出した河原を歩いて見た。土手にはシダレヤナギの柔らかな黄緑色の葉が風に揺れる。河の中には所々にカルガモが泳いでいる。春の日差しを浴びて土手でまどろみ、河で遊ぶカルガモ達を眺めるのも楽しい。北地区には自然観察センターもある。入場無料で、野鳥の声が聞ける展示もあるので、名前が分からない鳥の声を聞いたら、ここで確かめてみよう。観察舎の橋を挟んだ向かい側にはフェンスで囲われて植生が保護された観察園がある。こちらも入場無料で、ゲートを自分で開けて中に入れる。中には木道が整備されていて、木や草花が観察できる。私が訪れた3月中旬には、ウメ、サンシュユ、コブシ、アズマイチゲ等早春の花が咲いていて、紅、黄、白、色鮮やかな花々が目に楽しかった。

武蔵野の鳥、花、歴史を訪ねて:イメージ4

観察園から野川の土手に降り。川に沿って下流へ10分ほど歩いてみた。野川公園に隣接して三鷹市大沢の里がある。ここには東京都では珍しくなった水田やワサビ田が残されている。この水田やワサビ田と同じ一画には水生植物や昆虫の観察できる湿性花園もあり、自然観察のための木道も整備されている。自然観察路を奥まで進むと階段が造られていて、登って見ると小さなコンクリート建ての建物があった。部屋に入ってみると正面の壁がガラス張りになっており、そこから崖を横向きに掘って造られた古代の墓、横穴墓を見ることが出来る。ここは出山式横穴群8号墓保存・公開施設。中にはピカピカの白骨も転がっているが、これはもちろんレプリカ。周辺では更に古い旧石器時代の遺跡も出土されており、国分寺崖線の豊富な湧水が人々の生活を支えてきた歴史を物語っている。野川散歩で、武蔵野の豊かな自然と、そこで暮らしてきた人々の歴史を感じてみよう。

-DATA-

場所:
東京都小金井市、三鷹市
交通:
西武多摩川線多磨墓地前駅下車約15分
京王線調布駅下車京王バス武蔵小金井駅行「野川公園一之橋」下車1分
JR中央本線三鷹駅下車小田急バス武蔵小金井駅行「野川公園一之橋」下車1分
駐車場:
野川公園正門前にあり(有料)
施設:
野川公園内にトイレ、ベンチ、テニスコート、バーベキュー広場、売店など
問い合わせ先:
野川公園管理所 0422-31-6457
大沢ふるさとセンター 0422-33-1835

白砂のビーチとエメラルドグリーンの海が心を癒すニャチャン

Feb.25-Mar.3, 2004 ベトナムでマリン・リゾートを満喫

白砂のビーチとエメラルドグリーンの海が心を癒すニャチャン:イメージ1

観光にも力を入れているベトナム。ホーチミン市やハノイ、あるいは世界遺産ともなっているフエやハロン湾など様々な見所があるが、ベトナム屈指のマリン・リゾート地と言えるのがニャチャンである。ホーチミン市を朝7時半に出て夕方6時半頃に到着するニャチャンは、フエやハノイに行くにしても車中泊を考えないでいい距離にある。しかも、リゾート地として整備されているならばのんびりできるだろう、ということでニャチャンで数日滞留することに決めた。

白砂のビーチとエメラルドグリーンの海が心を癒すニャチャン:イメージ2

カインホア省の省都ニャチャンは、ホーチミン市から国道1号線を北上した約450kmの位置にある。南シナ海に面し、熱帯モンスーン気候に属しながら、まとまった雨は10~11月のほぼ2カ月間しか降らない温和な気候。しかも遠浅の海岸線が約5kmも続く。そんなニャチャンの楽しみ方は、何といっても海である。きれいな白砂のビーチにエメラルドグリーンの波穏やかな海。降り注ぐ陽光は海へと気持ちをはやらせる。リゾート地のビーチとして確立されているはずなのに、数えられるくらいの人しか泳いでいないのもいい。海があたたかい。体が冷えて海から上がるのではなく、泳ぎ疲れて上がれるのも南国の海ならでは。そして海から上がったら、レンタルのデッキチェアー(ビーチパラソル付きで1万5千ドン=約105円)で寝そべって体を休める。疲れが取れた頃には体はすでに乾いており、再び海に入る。それの繰り返しで一日が過ぎてゆく。海に入らなくてもいい。デッキチェアーだけ借りて本を読みふける。海風が体を優しくなでてゆき、いつの間にか眠りに落ちてゆく。そして目が覚めた時、贅沢な時間が過ぎていることに心が満たされる。

白砂のビーチとエメラルドグリーンの海が心を癒すニャチャン:イメージ3

もっと行動的な遊び方もできる。例えばスキューバダイビング。PADIのライセンスが200ドルで取得できるという(しかも日本人インストラクター!)。もっとも、この情報はニャチャンを出る直前に聞いた話しで、こんなに安ければ取っておけば良かったと、ちょっと後悔。それよりも、もっと簡単にできるものとして島巡りのツアーがある。市内からも見えるチェ島など、ニャチャン沿岸にはいくつもの島がある。そのうちの4カ所ほどを回るツアーだ。このツアーに参加するのは簡単。市内のいたる所にツアーオフィスがある。内容はほぼ同じ。後は細かい内容と料金、対応してくれるオフィスの人の人柄(?)を比較して申し込めばいい。僕が参加したハン・カフェのツアーは、沖合いでフローティング・バーを開くのが特色らしい。海に浮き輪を浮かべ、それをイスにしてワインやビールを振る舞ってくれるのだ。ただし、ビールは別料金。ムン島の沖合いに停泊し、楽しむシュノーケリング。意外なほど熱帯魚が多くいて、しかも近くに感じられる。長く眺めていても飽きない、美しい光景がそこに広がっている。ここは絶好のポイントとなっているらしく、他のツアーボートも集まり、またスキューバダイビングのボートも出ている。観光スポットとしてもう一つあるのが、タム島である。ここが唯一上陸した島なのだが、ジェットスキーやパラセーリングができる。9年前にニャチャンに訪れた時は、スキューバダイビングのショップが1~2軒しかなかった。その時から比べると、もはやニャチャンはひとかどのリゾートエリアになっている。僕は、この変化に驚いた。

白砂のビーチとエメラルドグリーンの海が心を癒すニャチャン:イメージ4

ニャチャン市内にも見所はある。白い大仏が有名なロンソン寺。チャンパ時代の遺跡、ポー・ナガール塔は9世紀初めに建立され、ベトナム人の持つ精霊信仰や仏教などと取り入れることで守られ、今なお篤い信仰を集めている。妖精と巨人の伝説があり、巨人がうつ伏せになった姿が岩の形になったと言われる奇岩があるのはホンチョン岬だ。ポー・ナガール塔やホンチョン岬へ至る海岸線を走る道路も見所の一つと言って良いだろう。これらには歩いて行くこともできるが、暑さに負けない体力が必要だ。

白砂のビーチとエメラルドグリーンの海が心を癒すニャチャン:イメージ5

さて、一通り遊んだ後はやっぱり汗を流したい。そこであるのが、タップ・バー・ホット・スプリングセンター。泥スパや温泉、温水プールなどがあって10万ドン(約680円)。プラス5万ドンでホット泥スパも利用できる。泥スパや温泉は、1人用から5~6人用など数種類のバスタブがある。肌を気にする柄ではないが、泥スパは肌に良いと言われるだけあって、なるほど湯(泥?)上がりにはスベスベになった感じだ。そして温水プール。泳いでいる人がほとんどなく、気分はプライベートプール。惜しむらくは、水温がほとんど温泉と同じで、長く泳いでいることができないという点だ。とはいえ、滝や池、花壇などがあり、ホテルの中庭のような雰囲気さえ漂う敷地内で、青空の下、開放感のある場所で泳ぐ気持ちよさ。疲れが取れていくのが分かり、本当に来て良かったと思った。

白砂のビーチとエメラルドグリーンの海が心を癒すニャチャン:イメージ6

ベトナムは、かつての占領国であった中国やフランスの影響、ベトナム戦争、チャンパ遺跡、クメール(カンボジア)との関わり、少数民族など興味深い事柄がたくさんある一方で妙に考えさせられたりする。ニャチャンにも、それらと関係するような見所がまだまだたくさんある。ニャチャン大聖堂やイェルシン博物館、ベトナム最後の皇帝バオダイ帝の別荘、海洋研究所の博物館……。向学のためにそれらを見て回るのもいいだろう。でも、それ以上に魅力なのは、ただ自然に身を置き、感じることだ。海風を感じながらボーッとし、時に遊ぶ。ホーチミン市やハノイと同じく大都市の一つに数えられるニャチャンだが、何も考えないで過ごすことができ、楽しむことができる。それが許されるベトナム唯一の街だと思う。どうやら、ベトナム好きの僕にとって、ニャチャンは旅の休息場として欠かせない街になったようだ……

-DATA-

場所:
ベトナム社会主義共和国カインホア省ニャチャン
交通:
ホーチミン市からツアーバスで約11時間。 飛行機では1時間10分(ベトナム航空時刻表から)、電車では約7時間。
駐車場:
観光地にはオートバイの有料駐車場がある。
トイレ:
ボートトリップのボートを含め、観光地にはある。
その他:
自動車・オートバイについて~自動車の国際免許は通用せず、ベトナムで免許を取得しなければならない。むしろ、免許の必要のない70cc以下のオートバイでの移動が効率的だが、交通ルールが粗雑な面もあり、相当の注意は必要。

ページのトップに戻る