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三ツ岩岳 2070m
Oct.12-13, 2003 鮮やかな紅葉映える南会津・秘境の山歩き

人も緑も乾ききった東京圏に住んでいる私は、「北方湿原の山」「ブナの森」などという言葉に弱い。夜行日帰りや1泊2日で往復できる福島、栃木、群馬あたりの深山では10月も半ばともなると、毎年見ても飽きるどころか必ず新鮮な感動を与えてくれる見事な紅葉の出迎えを受ける。今年も我慢できずに行って来た。所は福島県南西部。通称「南会津」と呼ばれているエリアである。有名どころでは深田百名山でもある会津駒ケ岳があり、中高年ハイカーを中心に人気を博しているが、その尾根続きのやや北西に、山道の楽しさではけして負けない、しかもずっと静かな山がある。それが今回ご紹介する三ツ岩岳(みついわだけ) 2070mである。
今回は山頂の手前にある避難小屋(無人、12人ほど宿泊可)を利用した1泊2日の行程としたが、健脚の方ならば夜行日帰りも可能であろう。この山は登山口すぐ近くに駐車場や温泉があり、また付近にも見所が多いのでどちらかと言えばマイカー向けである。今回我々もマイカーで登山口へ向かう。東北自動車道を那須塩原ICから国道400号で尾頭峠を越え、上三依(かみみより)で会津西街道に合流。さらに山王峠を越え、会津鉄道の線路をくぐって尾瀬御池方面に進路を取る。高速を降りてから長いのが玉にキズだが、途中のどかな山村や田園風景の中を走ってゆくのでここはドライブを楽しみながら行こう。列車で来るなら会津鉄道・会津高原駅が起点となる。

国道352号をさらに尾瀬方面へひた走り、左に高畑スキー場を見送るあたりから、周囲を切り立った山が取り囲む渓谷の風情となる。冬場の豪雪が偲ばれるスノーシェッド・トンネルが出てくれば、三ツ岩岳登山口の駐車場は近い。バスの停留所もあるが、本数はけして多くないので事前に良く調べる必要がある。スノーシェッドの切れ目から左に分岐して川を渡る車道があり、そのまま進むとすぐにあるのが小豆温泉・窓明の湯。帰りにぜひ立ち寄ろうと心に誓う。周囲はすでに見渡す限りの紅葉、黄葉につつまれ、早くもカメラを引っ張り出す。身支度をととのえたら、スノーシェッド出口からその屋根にあがるスロープがある(写真左手)。これが山道の入口である。国道を渡る際には車に充分気をつけて欲しい。

少しコンクリの屋根の上を歩くと右手に標識と鉄階段があるのでこれを登る。小さな尾根を乗り越え、沢沿いへと出る。この沢は黒桧沢で、しばらくはこの沢沿いの山道を歩いてゆく。まだ登りはきつくなく、時折見える見事な滝の眺めが付近の紅葉と相まって素晴らしい。加えてこの道で特筆されるのは、ブナの巨木の多さである。南会津でも一番のブナ林と評する人もいるが、それも頷けるほどのものだ。新緑の季節もまた良いだろう。ただその頃の山はまだ残雪に覆われているはず、装備を見直さなければならないが。黒桧沢をいったん離れて尾根に取り付き、しばらく登るとまた山腹をぬって歩くようになる。このあたりでは小沢の流れを4~5回渡り越える。都会から水を汲んできた場合はここでおいしい山の水に詰め替えるのも手だ。

小沢地帯を過ぎると、いよいよきつい登りが始まる。水気の多い山なので道は所々でぬかるんでおり、スパッツが欲しいところだ。花の季節は終わったが、ミヤマトリカブトなどの紫系の花がちらほら咲いていたりし、キノコは至るところに出ている。登りがいいかげん嫌になるころ、痩せた尾根に出る。谷筋に目をやれば、黄色の中に真っ赤なカエデが鮮やかに映えて、登りで疲れた身をいたわってくれているようだ。右手から登ってきた旧道を合わせ、更にもうひとふん張り。あたりに笹原が出始め、下向きに枝の出たシラビソなど亜高山帯の木々が目立つようになれば小屋は近い。付近には小規模ながらも池塘(湿原状の池)も見られる。

小屋は小さいが清潔な板張りのログハウスだ。無人であり、無料・無許可で利用できるが、寝具や食事は用意しなければならない。有難いのは小屋のすぐ前にじょろじょろと冷たくきれいな水が出ていること。最後の小沢を渡ってから、延々と登ってきた体に染み入るようだ。山頂はここから道標に導かれて40分、その名のとおり、三つの大岩が順番に出てくる尾根を辿るとやがて到着。360度近く開けた周囲の大展望は、晴れれば思わず歓声を上げてしまうだろう。尾瀬、日光、那須、そして磐梯。飯豊の山々まで見える。存分に眺めを楽しんだら、滑りやすい木道に気をつけながら小屋へ戻ろう。

翌日、下りは行きの道をそのまま戻っても良し、途中の分岐から旧道(尾根沿いコース)にとれば更に変化をつけることができる。大雨の際には沢沿いは危険なので、必ずこの尾根コースから下山するようにしたい。今回我々は天気が怪しかったこともあって旧道を取った。旧道の下山地点からスタート地点の小豆温泉口までは国道を歩いても10分ほどである。駐車場に帰り着いたらぜひ温泉に寄って汗を流していこう。我々は更に車で桧枝岐に出て、名物の裁ちそばを賞味して来た。村は11月になれば「新そば祭り」で再び賑わう。いつの日かその時にも訪れて見たい。
-DATA-
- 場所:
- 福島県南会津郡檜枝岐(ひのえまた)村
- 該当地形図:
- 桧枝岐、内川(国土地理院2万5千分の1)
- タイム:
- 小豆温泉登山口(1時間45分)→旧登山道分岐(1時間40分)→避難小屋(40分)→山頂(30分)→避難小屋(1時間20分)→旧登山道分岐(1時間30分)→小豆温泉登山口
総歩行時間:7時間25分 ※休憩含まず - サブルート:
- 避難小屋から尾根を北へ向かうと窓明山、1842mまで縦走できる。下山は家向山を経てこれも国道352号まで降りることができる。道自体は危険な個所も無いがかなりの長丁場となるので健脚者向き。
- 交通:
- 公共交通利用の場合は会津鬼怒川線・会津高原駅から会津バス、もしくはタクシー。連絡にもよるが、東京圏からだと5~6時間かかる。詳細は檜枝岐村のホームページで調べられる。マイカーだと東北道・那須塩原ICから国道400号~352号と尾瀬御池方面へ走る。現地での機動性を考えるとマイカー有利だが、高速を降りてからが長い。下調べと体調管理はしっかりと。
- トイレ:
- いったん山に入ると皆無なので、なるべく近くの小豆温泉「窓明の湯」で済ませておく。避難小屋にもない。止むを得ぬ場合でも水場周辺を汚さないようにしたい。
- 水場:
- アプローチで小沢をいくつかまたぐ。避難小屋の前にも冷たくておいしい水が出ている。もちろん事前に水筒は満たしておくこと。
- 必要装備:
- 高低差のある本格的な山道歩行なのでトレッキングシューズ以上の足ごしらえが必要。雨具・防寒着はいかなる登山でも必ず。小屋泊まりの場合は寝袋・マット・調理具などが必要。長めの道のりでもあり、小屋前の水は枯れている可能性も考慮し、1.5Lほどは持参したい。日の短い秋は特にヘッドランプを忘れずに。
- 登山適期:
- 6月~11月。7月までは残雪がある。紅葉は10月半ばが最盛。11月になると降雪を見ることも。
- 最寄りの温泉:
- 小豆温泉「窓明の湯」。小豆登山口、駐車場のすぐ近く、伊南川を渡ってすぐ。大人850円。近代的な作りで食事処を併設、特産品も買える。
- 周辺の立ち寄りスポット:
- 国道352を尾瀬方面へもう少し進むと秘境・檜枝岐村。100名山の会津駒ケ岳登山口でもある。民宿多数。そば処も多く、つなぎを使わない裁ちそばが美味、ぜひ賞味したい。
桧枝岐村のHP
http://www.hinoemata.com/oze/
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