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飯豊連峰縦走

Aug.23-27, 2003 なだらかな稜線歩きを楽しむ大縦走

飯豊連峰縦走:イメージ1

今回のコースは飯豊山荘から梶川(かじかわ)尾根を上がり、北股岳、梅花(かいらぎ)皮岳、大日岳、飯豊本山、三国岳を通過して川入に下るなんとも長い行程である。自分は某登山ツアー会社のガイドとして参加したが、お客さんと自分たちの食糧4日分全てとお客さんの荷物を持つという、自分にとってはかなりハードな山行となった。飯豊連峰の特徴は、まず全ての山小屋が基本的に素泊まりであるということである。よってシュラフや調理器具、食糧を持っての行程となり、必然的に高い身体能力を要求される山である。また、どの登山口から登っても稜線までが急登であるが、一度登ればあとはなだらかなアップダウンである。稜線にある多くの小屋が99年に改築されており、綺麗な小屋が多く過ごしやすい。稜線の水場は雪渓の融雪水であるが、時期によっては枯れることもあるので事前に問い合わせること。

飯豊連峰縦走:イメージ2

初日は移動日として時間がかかるので、飯豊山荘までアプローチして今日はここの温泉にゆっくりつかることにする。各部屋も広く、食事も山菜・川魚中心である。携帯の電波は入らない。翌朝出発し、山荘脇の林道を10分ほど歩くと橋を渡ってすぐの所に梶川尾根にとりつく。いきなりの急斜面で、両手両足を使っての登りとなり、ストックはあまり役に立たない。初めは見晴らしも比較的良く、ロープがかけられたスラブ状の岩場を越える。しばらくすると急登は落ち着き湯沢峰である。一度鞍部に降りてトラバース気味に登ると滝見場であり、少し入ったところから梅花皮滝が良く見える。ここから樹林帯を急登し、五郎清水で水を補給してまた急登が続く。体力の限界かと思ったらヤセ尾根になり、左側に石ころび沢が見えれば梶川峰は近い。梶川峰の向こうは緩やかな湿原帯を登り、イワショウブやキンコウカ、タカネマツムシソウなどが咲いている。主稜線にぶつかり(扇ノ地紙)左にコースを取れば、ハクサンシャジンやハクサントリカブトの群生に囲まれながら門内小屋に着く。

飯豊連峰縦走:イメージ3

門内小屋からギルダ原を越えてアップダウンを繰り返すと鳥居のある北股岳、そこから半時間くだればきれいな梅花皮小屋である。ここから烏帽子岳へ登り返すが、途中でイイデリンドウが点在している。イイデリンドウは飯豊山にしか咲かない固有種で、ぜひ花期である夏に訪れたい。ここからひとくだりすると左手には雪渓、すぐに御手洗池が現れ、ニッコウキスゲやハクサンコザクラ、イワカガミ、コバイケイソウ、ミヤマリンドウの咲く気持ちの良いお花畑を通過する。正面左には飯豊本山、右にはひときわ大きい大日岳、正面には今日泊まる御西小屋がはっきりと見えている。しばらく登り返して雪渓を左に見れば、すぐに御西小屋である。水場は片道10分程度下ったところにある。時間も早いのでザックをおいて大日岳をピストンする。文平の池を途中に見送って山頂まで2時間弱、途中に簡単な岩場もある。登りごたえのある山で、左手には牛首山が大きい。往路を戻って就寝。

飯豊連峰縦走:イメージ4

御西小屋からは緩やかに登っていく。御西小屋からはすでに今日これから向かう切合小屋が向こうの稜線の鞍部にあるのが確認できる。今日の行程は非常に短いため、体力のある人は今日中に下山、もしくは天気がよければこの日に大日岳をピストンしてきても良い。登山道は終始緩やかなまま駒形山に到着。山頂はまだもう少し向こうに見えている。イワウメやイイデリンドウを横目に見ながら、すぐに標高2105mの飯豊本山に着く。飯豊本山の山容はたおやかで「女性的」なのですぐにそれと分かる。山頂からは東に台形状になった吾妻連峰、南東には磐梯山の三角錐が遠いながらも目立ち、猪苗代湖も望める。東側手前の尾根は大丸森山などである。南には遠く会津駒ケ岳も見え、西には苦労して歩いてきた飯豊連峰の稜線が近い。その向こうには日本海まで望める。山頂から風の吹きさらしを受けるテント場を過ぎると、すぐに飯豊本山小屋である。この小屋もまた新しく、この日はここでオコジョに出会った。さて、ここからケルン上に積まれたガレ岩(一の王子)を巻いて、標高差約300m弱の急な下りである。緩やかになってくればヒナウスユキソウやオヤマノエンドウを見ながらリッジ状の岩稜帯を通過し、地蔵の立つ姥権現である。この鞍部からまた100m弱登り返し、草履塚のピークを越えてひと下りで切合小屋である。テントサイトは小屋の裏側だ。

飯豊連峰縦走:イメージ5

切合小屋からは緩やかに種蒔山を越えて進むと、ちょっとした鎖場を下る。ここは別に鎖を使わなくても十分下れるほどだ。少し進んで三国小屋、尾根がヤセてきたと思ったら三国岳剣ヶ峰の鎖場通過である。慎重に鎖場を下り、地蔵山手前の分岐を右にとる。稜線を降りるとすぐに樹林帯が深くなり、20分程行くと峰秀水という水場がある。根っこの張り出した足場の悪い道を進むと、小さな広場のような横峰小屋跡に到着。つぶれた小屋らしきものがある。ここから雨裂によって溝状になった急な下りである。足の短い人は大きな段差に困るだろう。30分下って笹平、それからいずれも30分ほどで上十五里、中十五里、下十五里、登山口である。登山口からは林道を45分くらい、キャンプ場を見送って飯豊鉱泉の小さな集落に出る。長く洗っていなかった汗をしっかりとここで流そう。

-DATA-

場所:
山形県小国町、新潟県鹿瀬町、福島県山都町
タイム:
1日目:飯豊山荘(2時間50分)→湯沢峰(50分)→滝見場(1時間)→五郎清水(1時間30分)→梶川峰(1時間)→扇ノ地紙(40分)→門内小屋(計7時間50分)
2日目:門内小屋(1時間30分)→北股岳(30分)→梅花皮小屋(1時間20分)→烏帽子岳(50分)→御手洗の池(2時間)→御西小屋+大日岳ピストン(3時間20分)(計9時間30分)
3日目:御西小屋(1時間50分)→飯豊本山(20分)→飯豊本山小屋(50分)→姥権現(1時間)→切合小屋(計4時間)
4日目:切合小屋(1時間50分)→三国小屋(1時間)→地蔵山手前分岐(1時間)→横峰小屋跡(2時間)→登山口(45分)→飯豊鉱泉(計6時間35分)
交通:
飯豊山荘:バスはJR小国駅から1時間、1日3本程度。マイカーなら国道113号線の小国町へ東北自動車道飯坂ICから国道13号線、287号線、113号線と繋いで約2時間。
飯豊鉱泉(川入):バスは山都駅から50分。マイカーなら磐越自動車道会津若松ICから国道49号線を経て喜多方方面へ、国道459号線から北に向かう。タクシー及びマイカーなら川入より奥のキャンプ場まで入る。
駐車場:
飯豊山荘、川入キャンプ場
トイレ:
飯豊山荘、門内小屋、梅花皮小屋、御西小屋、飯豊本山小屋、切合小屋、三国小屋、川入キャンプ場、飯豊鉱泉
宿泊:
飯豊山荘(1泊2食)、門内小屋(素泊まり)、梅花皮小屋(素泊まり)、御西小屋(素泊まり)、飯豊本山小屋(素泊まり)、切合小屋(素泊まり)、三国小屋(素泊まり)、飯豊鉱泉(民宿数件)
幕営地:
門内小屋、梅花皮小屋、御西小屋、飯豊本山小屋、切合小屋、三国小屋、川入キャンプ場
携帯電話:
門内小屋、御西小屋、切合小屋 (稜線ではどこでも電波は入ると思われる)

夏季の槍ヶ岳北鎌尾根

Aug.13-17, 2003 山岳の伝説的ルートをトレースする

夏季の槍ヶ岳北鎌尾根:イメージ1

夏季に北鎌尾根をトレースする時、末端(P2)から辿るには、湯俣から水俣川のアプローチが悪い上、北鎌尾根下半部は藪がうるさく時間もかかる。そのため敬遠されがちである。北鎌沢右俣を詰めて北鎌のコル(P7・P8のコル)から尾根を辿るのが王道になっている。今回はそのアプローチ「大天井越え」を含めたルートを報告しよう。

夏季の槍ヶ岳北鎌尾根:イメージ2

中房温泉から合戦尾根を登る。合戦小屋(宿泊不可)には名物のスイカ(1/8カットで800円)があり、高いがうまい。小屋からは高山植物の美しい緩やかな尾根を辿ると燕山荘に出る。晴れていれば景色が一気に開け、疲れも飛ぶところだ。燕岳山頂は逆方向になるが、ゆっくり往復しても1時間はかからない。燕山荘から表銀座を大天井へと、風情ある緩やかな稜線歩きとなり、喜作レリーフの先の分岐を右に行くと、大天井岳の巻き道となる。再び登山道が出合うコルに大天井ヒュッテがあるが、幕営はできない。テントなら大天井岳直下の大天荘に張ることになる。すぐ上の牛首展望地からは天上沢を挟んで北鎌尾根がよく見える。

夏季の槍ヶ岳北鎌尾根:イメージ3

大天井ヒュッテから山稜の左を行く登山道を20分ほど歩くと、貧乏沢下降点。道標があったようだが、2003年8月には道標の板切れが道端に置かれているだけだった。踏み跡通りに藪に入り、左下へ下ると、急な下降が始まる。藪とガレ場が交互に出てきて、やがて右後方から水流が現れる。7月は雪渓があることもありそうだ。沢通しに下れないところは左岸に踏み跡があるが、明瞭とは言えない。だいたい沢を外さずに下れば間違いはない。左岸の踏み跡には下部に一箇所 3メートルほどの岩場の下降があり、ちょっと嫌らしい。天上沢に出た辺り、上流に向かって数カ所幕営場が作られている。右岸(左側)には良い岩小屋まである。やがて広河原となり、左岸(右側)に沿って歩くと、貧乏沢から20分で堆積岩の北鎌沢出合となる。北鎌沢の正面に急登している緑のラインが右俣で、それを目指して登ると思うと、やや気が遠くなる。ほどなく本流の風情の左俣が分かれ、標のついた右俣へ入る。10分ほどでいくつもレリーフが埋め込まれている大岩が左に現れる。やや遡った辺りで飲料水を確保するのが良さそうだ。あまり上に行くと水が涸れてしまう。沢をひたす登り、高度をかせぐ。上半にさしかかった辺りで残置ロープのある3mの岩場が出てくる。それを越えると、やや上にもう一箇所残置ロープのある岩場があるが、ここは手前から左の草付を登って巻くこともできる。高山植物の美しい一帯になってくると急な草付の登りになる。足下は滑りやすく、草の根を掴みながらの登高で、休める場所がない。トレースは幾つかに分かれて消えかけるが、稜線へ向かって明るく開けているところに、最もしっかりつけられている踏み跡を選べば間違いはない。徐々に傾斜も落ち、ようやく尾根が見えてくる。最後のジグザグのザレを登ると平らなサイトがひとつ作られた尾根に出る。表銀座縦走路から700m以上下り、同じだけ登り返したことになる。ここで、大天井ヒュッテから槍ヶ岳までの行程の半分来たと言えるが、ハイライトはようやくここから始まるのだった。

夏季の槍ヶ岳北鎌尾根:イメージ4

しっかりした踏み跡を木の根登りで辿るとP8、P9と越えて行く。右に巻き道風の踏み跡が伸びているが、それは無視しして急だが尾根を外さずに登るトレースをとった方がいい。P9付近には二箇所ほど安定した幕営地が見られた。岩の小ピークは左右に巻きながら進む。正面に大きく聳える独標(2899m)は踏み跡通り右に巻くのが早い。巻き道をたどって、目線を遮るカンテラインを2つほど超えると行き詰まり、残置ハーケンのある左の岩場を登らされる。Ⅲ級ほどだが、その先にもすぐに3mの嫌らしいクライムダウンがある。もうしばらく巻き道を歩いた後、稜上へ向かって登って行くと、かなり近付いた大槍との対面となる。稜線に出て登り切ったところがP11。ここより、P13付近から右に巻く辺りまでが最も嫌らしいところだろう。積雪期と違って岩は極端に脆く、夏季はむしろ危なくなる。ひとつふたつ小岩峰を巻き、右(千丈沢)側に付けられたザレのトラバース道を辿ると、残置スリングのある岩場が落ちている。ここをロープを使って下るが、クライムダウンもできる程度だ。ザレを登り返し、稜線へ出る。この辺りは踏み跡が枝分かれしていてはっきりルートが決まっておらず、正規ルートというものはない。ルート取りは登山者それぞれの感覚に頼るしかなさそうだ。ただ稜線を離れ過ぎないようルートを取った方が、迷わず、結局は早いようだ。P12の先で左(天上沢)側に少し下ったところ、非常に脆い岩とザレたルンゼになった。右の岩峰から残置ロープが垂れており、そこへと登り返して自分のロープを使って20m余り右(千丈沢)側へ下降。また尾根目指して登り返す。P13へはほぼ尾根通しに進めるが、所々出る一手トラバースは高度感がある。右下へトラバースして行く比較的はっきりした踏み跡があるが、これに入り込むとハマってしまうという有名なトレースだと思う。いくつかの情報によれば、はるか下を危ういトラバースとなり、北鎌平へ長い登り返しをさせられるらしい。疲れているとこちらへ行きがちなのだろう。P13をパスする辺りの稜線近くに、右側にトラバースする道があり、こちらを辿ると緩やかなP14、P15を簡単に巻いて行く。左の黒い大岩帯を登ると北鎌平に出る。稜線を登るといよいよ大槍の取付だ。大槍の左へ伸びるバンドをややトラバースし、そこから頂上目掛けて直上する。頂上まで登攀距離100mほど。非常に複雑な地形のため、ルートは様々とられるようだが、落石の少ない比較的明瞭なラインを取って登る。始めは脆いが階段状の優しい岩場を20m登ると、傾斜が増し、残置ハーケンなども出てくる。浮石に気をつけ、更に20m登ると左上する凹角となる。それを越え、左へ数mトラバースし、脆いルンゼから今度は右上すると、大槍の核心となるチムニーが出てくる。数手登って右のフェースに移ると、手掛かりが多く登り易くなる。ここでピークが間近となり、左を巻くように進むと木の杭が見える。直上するやさしい凹角を登り頂上に出た。

夏季の槍ヶ岳北鎌尾根:イメージ5

夏季の北鎌尾根は独標から大槍までおしなべて非常に岩が脆く、ヘルメットは必携である。大槍に突き上げる爽快さはいつ行っても同じだが、ここは積雪期こそ良くなるルートだと思う。直下の槍岳山荘から槍沢を下って上高地へ降りた。

-DATA-

場所:
長野県大町市
交通:
JR穂高駅よりタクシーで中房温泉の登山口まで7,000円ほど。
トイレ:
ルート上の各山荘にあり。チップ制の山荘もある。
山荘:
燕山荘(えんざんそう)・大天井ヒュッテは1泊2食で8,500円、お弁当1,300円。
行程:
大雑把に参考タイムを記すと、大天井ヒュッテ~(6時間)~北鎌のコル~(6時間)~槍ヶ岳山頂
パーティ力、体力によりかなり差が出ると思う。体力と登攀経験があるなら単独でさくっと8時間ほどでトレースできるだろうが、岩稜通過に慣れないパーティだと、ワンビバークを前提に考えた方が良さそうだ。全行程は3~4日。
装備:
未整備の岩稜通過があるためヘルメットは必携。ハーネス・ロープ(40m~50mが便利)・確保器があると安心だろう。
水:
北鎌尾根上では水は取れないため、必要量を北鎌沢右俣で確保しておこう。各山荘の飲料水は有料(宿泊者は無料)。
その他:
北鎌尾根は一般登山道ではないため、年により状況が変わることもある。大天井ヒュッテでルート情報が得られる。

槍ヶ岳3,180m(上高地コース)

Aug.15, 2003 ひとり天を突く槍の穂先へ登る

槍ヶ岳3,180m(上高地コース):イメージ1

その姿と山名が、これほど一致している山はないのではと思われる山が槍ヶ岳である。ひとり天を突く槍の穂先、その姿を一度覚えれば、南の穂高から見ても、北東の燕岳から見ても、西の双六岳から見ても、あるいは遠く志賀高原から見ても、槍ヶ岳を見つけることが出来るであろう。独特の鋭い山容であるが、東の入山口である安曇村の中心部や松本平野からその姿を望むことは出来ない。西の入山口の上宝村からも見えない。山に登らないと前衛の山にさえぎられて、見えないのである。

槍ヶ岳3,180m(上高地コース):イメージ2

槍ヶ岳はほぼ南北に稜線をたずさえ、東西に尾根を持つ。その四方からルートはあるものの、北からの北鎌尾根のルートは熟練者向きで、南陵も経験者向きであり、一般登山者向けのルートは西鎌尾根、西南からの飛騨沢ルート、東からの表銀座コースがあり、もう1つは今回紹介する上高地からの槍沢ルートである。行程は長いが、登りがきつくないので経験の浅い方が槍ヶ岳に登るのに最も適していると思われる。行動時間が長くなるので、途中の横尾もしくは槍沢小屋で一泊するのが良いと思う。横尾山荘で一泊するのなら、夜行で上高地に入る必要が無く、朝、首都圏や関西圏を出て、昼頃に上高地に入るという日程も可能である。

槍ヶ岳3,180m(上高地コース):イメージ3

上高地バスターミナルでバスを降り、梓川沿いに歩き始める。ここから槍ヶ岳のふもとまでずっと、梓川のそばを歩くことになる。河童橋から明神館までルートは梓川の両側にあるのでどちらを行っても良い。このあたりのコース紹介はトレッキングレポート『上高地』『北穂高岳』を参考にしていただきたい。明神館から梓川の東側をゆるやかな道を行く。明神館から横尾まではほぼ平らかゆるやかな登りであり、1時間歩くごとに山小屋があるのでペースをつかみやすい。横尾山荘前で涸沢・穂高岳方面の道と分かれ、槍沢方面へ進む。梓川は横尾山荘付近から槍沢と名前を変える。ところどころで槍沢のすぐそばを通る。上高地あたりより水量は少ないが、水の清らかさは、さらに増している。横尾山荘から約50分の歩きで槍見河原に着く。河原に出ると北西に槍ヶ岳が見える。だんだんと登りと呼べる道になり、2つの橋を渡って階段状の道を登ると標高約1,800mの槍沢ロッジに着く。更に登りらしくなって、平らな所に出ると、そこはババ平のテント場で、色とりどりのテントが並ぶ真ん中を歩いていく。右手にニッコウキスゲの単一群落があり、そこを過ぎると槍沢は雪が残る雪渓となっている。登山道も一部が雪の上となっているが、慎重に歩けば問題無い。雪渓を抜け、槍ヶ岳が見えてくるとガレ場の急勾配を登って行くことになる。クルマユリの花に励まされながら登り詰めると槍岳山荘の前に出る。槍ヶ岳はもう目の前である。サブザックにカメラなど最低限必要な物を詰めて、最後の登りに取りかかろう。鎖やハシゴがあるので3点支持を守って慎重にゆっくり登って行けば問題無い。途中からは登りと下りが別ルートになる。通常なら槍岳山荘から30分だが、人が多い場合には1時間以上掛かるという。2つ続いたハシゴを登り切ると頂上である。祠(ほこら)の前で写真を順々に撮り、眺めを楽しんだら、次に登ってくる人の為に下りに取りかかろう。槍岳山荘に泊まり疲れを癒やそう。

槍ヶ岳3,180m(上高地コース):イメージ4

最初にも書いたように槍ヶ岳にはさまざまなルートがあり、北アルプスの中心部にあることから、2泊3日から4泊5日あるいはそれ以上で、さまざまなバリエーションのルートが組める。中房温泉・燕岳から槍ヶ岳を経て野口五郎岳、折立などや、新穂高温泉から入って双六岳、西鎌尾根、槍ヶ岳を経て蝶ヶ岳なども考えられる。私もまた、槍沢が紅葉に包まれる秋に槍ヶ岳と氷河公園を歩いてみたいものだ。

-写真の説明-
タイトル横:燕岳からの槍ヶ岳
1枚目:槍見河原付近の槍沢の流れ
2枚目:青空と槍ヶ岳
3枚目:左に小槍を従えた槍ヶ岳
4枚目:山頂より槍沢方面

-DATA-

場所:
長野県南安曇郡安曇村
タイム:
計10時間25分
上高地バスターミナル-河童橋(15分) 河童橋-明神館(50分) 明神館-徳沢(1時間10分) 徳沢-横尾(1時間20分) 横尾-一の俣小屋跡(1時間) 一の俣小屋跡-槍沢ロッジ(40分) 槍沢ロッジ-大曲(1時間) 大曲-天狗原分岐(1時間) 天狗原分岐-槍岳山荘(2時間40分) 槍岳山荘-槍ヶ岳(30分)
交通:
鉄道・バス(夜行):
1.東京(新宿)、横浜、大阪、京都、神戸から出る夜行バスのさわやか信州号 上高地行きで入る。(要予約)
2.新宿から中央線の夜行急行「アルプス」にて早朝松本下車、松本電鉄線に乗り換え終点新島々下車、上高地行きの路線バスにて上高地バスターミナルもしくは大正池下車。
3.大阪、名古屋から夜行急行「ちくま」にて早朝松本下車、以下は2と同じ。
鉄道・バス(昼間):
1.新宿から中央線の特急「あずさ」にて松本下車、以下は(夜行)2と同じ。
2.大阪、京都、神戸から新幹線で名古屋へ。名古屋から中央線の特急「しなの」にて松本下車、以下は(夜行)2と同じ。
車:関東、中京、近畿方面からは中央高速を利用、岡谷ジャンクションから長野道に入り、長野道を松本インターで降り、 国道158号を西方向、上高地へ向かう。沢渡から先は交通規制が敷かれているので沢渡周辺のいくつかある駐車場に車を駐める。駐車場から上高地へは路線バスもしくはタクシー利用。
駐車場:
沢渡付近の駐車場(有料)
トイレ:
上高地バスターミナル、各山小屋に有り
携帯電話:
上高地バスターミナル付近、槍ヶ岳頂上部のみ通話可能
公衆電話:
各山小屋に有り
水場:
各山小屋に有り(無料)
宿泊:
横尾山荘、槍沢ロッジ、槍岳山荘
テント指定地:
横尾、ババ平、槍岳山荘の南

表大雪縦走(層雲峡・黒岳~トムラウシ山)

Jul.28-Aug.1, 2003 高山植物咲き乱れる日本最大の国立公園

5年前にも表大雪は北海道最高峰である旭岳からトムラウシ山まで縦走したが、今回は層雲峡(そううんきょう)・黒岳からアプローチした。黒岳も旭岳と同じくロープウェーを利用して高度を稼ぐことができるが、黒岳からの行程の方が時間的にも標高差的にも楽である。近年、表大雪では中高年の登山者が急激に増えたが、その山容の雄大さのため遭難事故も目立つ。北海道の山はヒグマの存在や山小屋・登山道・標識の不十分さなどから、北アルプスなどと異なった危険性を持つ。登山経験が薄ければこの縦走コースは避けたほうが良いだろう。また、どの山にも言えることであるが、単独登山も勧められるものではない。往復ロープウェー利用の黒岳から旭岳縦走の銀座コースならば比較的初心者でも安心である。また、北海道の山はトイレも十分ではないため、環境を考慮して携帯トイレを持つことをお勧めする。

表大雪縦走:黒岳8合目上部からマネキ岩とミヤマシシウド

層雲峡までは旭川駅から道北バスで2時間弱の行程である。層雲峡には何軒かのロッジ、テントサイトもあり、ここで宿泊してから翌朝出発するのが望ましい。シーズン中混雑したロープウェイ駅を出発し、約7分で黒岳5合目に到着。5合目駅には売店や綺麗なトイレもあり、駅周辺は高山植物が植えられている。数分歩いて黒岳ペアリフトに乗り、15分もすると7合目に着く。7合目登山事務所に入山届を提出し、広場で体操してから出発する。初めからやや急な登りが山頂まで続くが、高山植物が山頂に近づくにつれていくつも顔を出す。チシマノキンバイソウ、ミヤマキンポウゲ、エゾウサギギク、ウコンウツギ、マルバシモツケ、ホソバイワベンケイなど、登山者を飽きさせない。行く手にマネキ岩が見えたら8合目である。7合目から1時間ちょっともすると黒岳山頂に到着し、野生のリスが迎えてくれる。西には北鎮岳、南には北海岳が近く、遠く南西には白雲岳が望める。北に振り向けばニセイカウシュッペ山が雄大である。

表大雪縦走:北海沢付近のエゾコザクラの大群落

黒岳から黒岳石室までは15分ほど下る。途中にはエゾコザクラ、エゾツガザクラ、イワウメなど背の低い高山植物が美しい。石室には素泊まり・テント泊まりも可能でトイレもあるので済ませておこう。緩やかに南に下って赤石沢・北海沢を渡渉し、雪渓を横に見ながら急な登りに取り付く。ロープの周りはエゾコザクラの大群落である。高度を稼ぐと見晴らしも良くなり、チシマユキノシタやチシマクモマグサ、チシマツガザクラなども見られる。少しトラバース気味に登ってイワブクロに挟まれた稜線を登ればもう北海岳である。強い風を受けながら南西に旭岳を望む。南にはこれから行く忠別岳、五色岳、化雲岳、そしてその後にはギザギザしたトムラウシ山が聳え立つ。天気がよければその右に十勝連峰も望めることだろう。広大な北海平へ緩やかに下り、キバナシオガマを見ながら白雲岳分岐に着く。余裕があればザックをおいて白雲岳へ往復一時間で行ってこよう。途中にある白雲平はあまりにも広大で驚く。分岐から白雲岳避難小屋までは急な下りを20分ほどである。

表大雪縦走:ヒサゴ沼避難小屋からヒサゴ沼

小屋からはハイマツ帯を少し下り、ただっ広い高根ヶ原の楽しい行程が始まる。途中にはホソバウルップソウ、チシマゲンゲ、そして見渡す限りのコマクサの大群落が楽しめる。しかし高根ヶ原は天気が悪ければ風も強く、視界が利かないとルートが分かりにくいので注意する。しばらくいくと突然忠別沼が現れ、ひと時の湿原を楽しむ。7月ならばワタスゲやエゾゼンテイカが咲いている。やや緩やかに忠別岳を越え、左手に忠別岳避難小屋を見送ると激しいハイマツ帯の始まりだ。ここから五色岳の山頂まで嫌になるほどずっと1~2メートルのハイマツ帯である。山頂を越えても化雲岳分岐手前までハイマツに体力を奪われる。ハイマツが終わると木道が敷かれた湿地帯となり、クロユリやミヤマオグルマ、ホソバノキソチドリなどが登場する。化雲岩を備えた化雲岳に着くと周辺に珍しいエゾルリソウも咲いている。雪渓を越えて木の階段を下ればヒサゴ沼避難小屋だ。ここは白雲岳避難小屋と違って管理人がいないから小屋のスペースは早い者勝ちである。沼から東側には東大雪系の石狩岳やニペソツ山が大きい。

表大雪縦走:ロックガーデン上部から化雲岳(左)、五色岳(右)、旭岳(奥)と私

小屋から雪渓と岩礫地を越えて分岐を通過し、少し登ると小さな沼が点在する日本庭園である。イワイチョウ咲く天沼を過ぎるとナキウサギの声が聞こえてくる。ルートの分かりにくい急登のロックガーデンを慎重に登るトムラウシ山が近い。少し下れば北沼、そこから山腹をトラバースして回りこむとトムラウシ山頂だ。岩がゴロゴロして狭いので気をつけよう。山頂から遥か北は旭岳も懐かしく、南には十勝連峰が迫る。目を凝らせばその向こうに芦別岳(あしべつたけ)や後方羊蹄山(しりべしやま)まで見渡せる。急な下りを南沼キャンプ地まで、そこからトラバースしてお花畑を過ぎて広いトムラウシ公園まで急降下する。少し登り返して岩場を過ぎると前トム平、ここで一休みしたら500メートル近くこまどり沢まで一気に下る。途中残雪もあるし、増水時の沢は危険である。だらだら長い下りが終わると、足場の悪い登りが始まる。ここからカムイ天上まで地図上ではほとんど登っていないが、実際は泥道をかなり登る。カムイ天上からもやや足場悪く、笹に囲まれて下ってゆく。エゾマツなどが目立つようになると足場も安定してきてゴールのトムラウシ温泉である。キャンプ場はここから林道を右に 20分ほど、国民宿舎ならすぐ左だ。ここの温泉は大きいので気持ちよく汗を流そう。

-DATA-

場所:
北海道上川町・美瑛町・上士幌町
タイム:
1日目:黒岳7合目(1時間20分)→黒岳(15分)→黒岳石室(1時間30分)→北海岳(1時間20分)→白雲岳分岐(35分)→白雲岳(25分)白雲岳分岐(20分)→白雲岳避難小
計5時間45分
2日目:白雲岳避難小屋(1時間)→高根ヶ原分岐(2時間)→忠別沼(40分)→忠別岳(45分)→忠別岳避難小屋分岐(1時間10分)→五色岳(1時間20分)→化雲岳(1時間)→ヒサゴ沼
計7時間55分
3日目:ヒサゴ沼(35分)→ヒサゴ沼分岐(35分)→天沼(1時間40分)→北沼(20分)→トムラウシ山(15分)→南沼キャンプ指定地(1時間)→トムラウシ公園(30分)→前トム平(2時間)→カムイ天上(2時間15分)→トムラウシ温泉
計9時間10分
交通:
層雲峡:
バスは旭川駅から1時間50分、上川駅から30分。マイカーなら道央道旭川鷹栖あたりで降りて国道39号線を走る。 トムラウシ温泉:
バスは夏期のみ新得駅まで1時間40分。マイカーなら国道38号線を新得から十勝ダムを越えて林道に入る。
駐車場:
層雲峡は150台ほど、トムラウシ温泉は50台程度。
トイレ:
層雲峡、黒岳5合目、黒岳石室、白雲岳避難小屋、忠別岳避難小屋、ヒサゴ沼避難小屋、トムラウシ温泉
宿泊:
層雲峡(民宿数件)、黒岳石室(有人避難小屋)、白雲岳避難小屋(有人避難小屋)、忠別岳避難小屋(無人)、ヒサゴ沼避難小屋(無人)、トムラウシ温泉東大雪荘(ロッジ)
幕営地:
層雲峡、黒岳石室、白雲岳避難小屋、忠別岳避難小屋、ヒサゴ沼避難小屋、南沼キャンプ地、トムラウシ温泉

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