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フィッシュウォッチング

Oct.10, 2002 羊蹄の名水に生きる渓魚

フィッシュウォッチング:イメージ1

今、北海道では長旅を終えて生まれ故郷に帰ってきた鮭や鱒たちが最後の大仕事の真っ最中だ。浅瀬で背びれを出しながら遡っていくもの。大小の滝を飛び越えるもの。また、パートナーにめぐり会い穴掘りに精を出すもの。あちらこちらで見られる姿はテレビなどの映像でもおなじみのシーンだ。しかしこの時期、森の中の小さな小川などでもやがて訪れる厳しい冬を前にひっそりとオショロコマの産卵が行なわれている。この光景を見るのがとても楽しみで今回私は京極噴出し公園に足を運んでみた。

フィッシュウォッチング:イメージ1

京極噴出し公園は羊蹄山からの名水(湧き水)で有名で、連日この水を汲みに来る方や観光客で賑わっているところだ。岩壁から突然川が現れる光景はまさに『噴出し』であり、豊富な水は1年を通して安定している。真夏でさえ何秒も手を浸けていられないほど冷たい水はほんのり甘さを感じ、真夏の暑さを忘れさせてくれる。逆に真冬の寒さの中では安定した水温のため凍りつくことはなく、川霧を発して幻想的な風景を創りだしているのだ。そんな噴出しの川にオショロコマはひっそりと生息しており、その産卵の光景を見るためこの日は釣りをお休みにして札幌から中山峠を越え、京極へ向かった。

フィッシュウォッチング:イメージ3

羊蹄山の東山麓をぐるりと周るように流れる尻別川にはオショロコマが棲むいくつかの支流がある。これらのオショロコマは生息域の南限とされているが、近年本州同様河川改修が進み、年々その生息環境は悪化の一途をたどっている。そんな中、京極の噴出し公園は公園として管理されるようになり、釣りも禁止されているために生息環境が奇跡的に保存され、オショロコマたちにとってはまさに安住の地となっている。公園入口からすぐのところには大きな池がある。ここも年間を通して水温、水量ともに安定しており、オショロコマ以外にも大きな鱒たちが悠然と泳ぐ姿が観察できる。紅葉に包まれた水辺の小道を歩いていくと奥にはひとまわり小さな池がある。ちょうどその池に出たところでひと際大きな魚体が見えた。初めは鯉か?と思ったがじっと観察しているとアブラビレ(背ビレの後ろにある小さなヒレで鮭科の魚の特徴)が確認できた。背中はグレーで黒い小さな斑点も確認できる。「オビラメだ!」オビラメは尻別川に棲むイトウの俗名で、レッドデータブックにも記載されている絶滅寸前の魚である。近年の調査ではこのオビラメは尻別川の固有種で遺伝子も他のイトウとは異なるそうである。また、イトウとしても生息域の南限とされておりたいへん貴重な魚だ。流域の人たちも現在このオビラメを復活させるべく、河川改修によって産卵できなくなってしまった母川を復元するなど、懸命に努力されているところである。そんなオビラメに出会えるなんて。やはりここは限られた環境ではあるが、魚たちにとって安住の地であることは間違いない。あまり脅かさないようにそっとその場を離れ、さらに奥へと進んだ。噴出し口下のわずかな区間がゆったりとした流れになっており、たくさんのお化粧をしたオショロコマがそれぞれのパートナーを見つけペアリングしている。なんともホッとする光景だ。ここには川底を踏み荒らしてしまわないように木道が取り付けられており、それにしたがって歩いてみると40センチを超えるアメマスのペアリングも見られた。いったいこのアメマスはどこから遡ってきたのだろう?海から遡ってきたのであればダムや堰堤をいくつも越えてきたことになる。この生命力には本当に驚かされる。

フィッシュウォッチング:イメージ4

みなさんは自然とか野生動物という言葉を耳にするとどのようなものを連想されるだろうか?鳥や四足動物などは人の目につきやすく、これらの動物を思い浮かべる方が多いのではないだろうか?北海道においてもタンチョウやシマフクロウ、キタキツネ、エゾシカ、ヒグマなどはまさに自然を象徴するものと言えるだろう。それに比べ、水中に生息する野生の魚などは釣りをしない人にはなかなか目にすることはなく、これらを思い浮かべる方は比較的少ないのではないだろうか?釣り人でなくともこの産卵の光景はきっと心を打つものであると思う。全国的にもこのような光景が見られるところは減ってきていると思われ、是非とも多くの方に訪れていただきたいと願っている。また、日頃釣りを楽しんでいる方も、釣り竿を置いて名水とフィッシュウォッチングで秋を満喫されてはいかがだろう。公園入口付近には京極温泉もあり、一味違った休日になるかもしれない。産卵の光景は11月後半まで見ることができる。

-DATA-

場所:
北海道虻田郡京極町川西
交通:
札幌から国道230号で中山峠を越え喜茂別町へ。
国道276号を右折して京極町へ向かう。所要時間は1.5時間ほど。
千歳空港からは支笏湖経由で国道276号美笛峠を越えて喜茂別町へ。所要時間は2.5時間ほど。
駐車場:
京極温泉前の駐車場か、左折して、噴出し口側の駐車場が利用できる。
トイレ:
公園内にあり

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