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百沢温泉~岩木山観光リンゴ園

Jul.30-31, 2002 岩木山を仰いでリンゴをかじる

百沢温泉~岩木山観光リンゴ園:イメージ1

岩木山を見ながらリンゴを食べたい。かねてからの願いをかなえようと、岩木山のふもとのリンゴ園を目指した。まずは弘前駅からバスで宿のある百沢温泉郷に向かう。やがて、青い山が見えてきた。標高1,625mの岩木山は、青森県で最も高い山だ。平野にすそ野を広げて立つ様は、津軽富士という呼び名にふさわしい。頂上に3つの峰があり、見られる方向によって表情を変える。夕方、本日の宿、アソベの森いわき荘に到着した。アソベの森は岩木山の古名で、アイヌ語で火を噴く山を意味する。古来人々は、噴火する岩木山に神を見出し信仰の対象としてきた。さっそく火の神の恵み、温泉に入る。赤味を帯びたまろやかな湯だった。

百沢温泉~岩木山観光リンゴ園:イメージ2

翌日、岩木山観光リンゴ園に向けて出発した。車道を通らず、自然の多い道を選んで歩いていく。いわき荘北側の車道を東へ進むと、明るいサクラの林に吸い込まれるように階段が続く桜林公園の前に出る。さらに進み、右手に現れる森の道を歩いて下った。ここは、岩木山百沢登山道の一部にあたる。百沢登山道は、修験道の修行の場となった道で、今も集落ごとに鉦や太鼓を鳴らしながら山頂に登り、ご来光を仰ぐ「お山参詣」に使われている。沿道には、高さ15m近いスギの木が並んでいる。風になびくこずえの音が、サアーッと途切れなく響いていた。

百沢温泉~岩木山観光リンゴ園:イメージ3

小さな川を横切り、小鳥の声を聞きながら下っていくと、左手に木の柵が現れる。わきの道を入ると、あでやかな朱色の建物の下に出た。国の重要文化財に指定されている岩木山神社の楼門だ。岩木山神社は、宝亀11(780)年の創建と伝わる。現存する建物は、津軽各藩主により建立されたものといい、400年弱にわたり風雪に耐えてきた。建造物には、精緻な極彩色の彫刻が施されたものが多い。その壮麗さが日光の東照宮を思わせることから、「奥日光」とも称されている。地元、青森県産のヒバでつくられたためもあるのだろうか、驚くほど鮮やかな色彩の建物も、周囲の森の景観にしっくりと溶け込んでいる。

百沢温泉~岩木山観光リンゴ園:イメージ4

水音がする方へ行ってみると、3筋の水が滝のようにほとばしっていた。この御神水は、山に入る登山者が体の邪気を清めるときに用いられている。百沢という地名にあるように、このあたりは昔から水に恵まれたところだったようだ。昔、岩木山に登る人がしばしば行方不明になっていたが、「百の沢を越えた山の麓に寺を建てよ」とのお告げに従って百沢に寺院(現在の岩木山神社)を建てたところ、登山者の事故がなくなったと伝わる。御神水の源となっている小川のそばに近付くと、水辺の小鳥、キセキレイが「チチッ」と鳴いて飛んで行った。

百沢温泉~岩木山観光リンゴ園:イメージ5

岩木山神社の東側から、高照神社に向けて長さ1.8kmの岩木・高照遊歩道を歩く。ミズナラやコナラ、スギ、カラマツなどの大きな木が生える森の中の道だ。やがて到着する求聞寺は、津軽三番札所の霊場にあたる。県内一の大きさといわれる釣鐘を見た後、観音公園を経てさらに東へ進むと、国重要文化財に指定されている高照神社に着く。津軽を統一した津軽為信などをまつる神社で、境内には、為信が豊臣秀吉から与えられたという「友成の太刀」など、津軽藩の宝物が収蔵される宝物殿がある。建物の醸し出す威厳に、津軽のかつての隆盛が偲ばれる。鳥居を出て車道を下り、交差点を左、東側へと進む。

百沢温泉~岩木山観光リンゴ園:イメージ6

坂を上りつめると、岩木山観光りんご園に到着した。ここでは35種類、1,500本のリンゴの木が育てられており、入場料400円を払えば、自分で実をもいで食べることができる。「木の上の方になっているものの方が、お日様をいっぱい浴びておいしくなってますよ」と教えてもらい、はしごに乗って真っ赤なリンゴをもいだ。かぶりつくと、やさしい甘さが口いっぱいに広がる。「なつみどり」という品種の実には、青リンゴらしい爽やかな酸味があった。昼夜の温度差が大きい岩木山麓では、糖度が高く色鮮やかなリンゴがつくられる。岩木山を見上げながら、果汁のしたたるリンゴを心ゆくまで頬張った。

百沢温泉~岩木山観光リンゴ園:イメージ7

車道を歩いて、いわき荘へと戻る。道のわきには田んぼが広がり、リンゴ畑も点在する。遠く南に、青く連なる白神山地の山並みも見えた。宿で預かってもらっていた荷物を受け取り、バスで弘前駅に向かい帰途につく。なぜか、遠ざかり、小さくなっていく車窓の青い山から目を離せなかった。電車で岩木山の周りを一周した後、その麓に訪れたため、ずっと車窓から見えていた青い山を、自分を見守ってくれる存在のように感じていたのかもしれない。短い滞在時間だったが、リンゴはもちろん、温泉、水、米など、岩木山のさまざまな恵みに触れることができた。岩木山が津軽の聖地として、地元の人々に特別な思いをもって語られる理由が分かった気がした。

-DATA-

場所:
青森県中津軽郡岩木町
ルート:
いわき荘前バス停→岩木山神社→高照神社→岩木山観光リンゴ園(片道で徒歩約2時間)
交通:
弘前駅よりバス→いわき荘前バス停下車(いわき荘に宿泊する場合は、シャトルバスの送迎サービスを利用できる)
駐車場:
いわき荘、岩木山観光リンゴ園に有り
トイレ:
岩木山神社にあり
参考文献:
・岩木町観光協会
「岩木町ロードマップ&ドライブガイド」
・岩木町観光商工課他
「岩木山 津軽国定公園 岩木高原県立自然公園」
・(有)岩木山観光りんご園
「ようこそ観光りんご園へ。」
・るるぶ社情報版編集部
「るるぶ情報版 東北② 通巻2151号 青森 るるぶ‘02JTB、2002」

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