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阿武隈川源流と滝探訪

Jun.08, 2002

阿武隈川源流と滝探訪:イメージ1

福島県を南北に縦断する阿武隈川。松尾芭蕉も奥の細道で旅をしたその流程は、那須連峰の麓から宮城県亘地区に至り太平洋に流れ込む。総延長は、約 300kmにも及ぶ大河川である。しかし、源流となる本沢は急斜面の岩場が連続している為、沢登りの熟練者でも単独行は避けている程の難所だ。そんな場所に、我々探検隊7名は2日間の予定で挑んだ。聞くところによると、那須連峰最高峰の三本槍岳の稜線辺りに最初の流れ出しがあるという。

阿武隈川源流と滝探訪:イメージ2

福島県西郷村にある、日本の秘湯として名高い元湯甲子温泉の大黒屋旅館駐車場に、探検隊のメンバー7人と私達をサポートしてくれる西郷村山岳会員7 人が集合した。午前6時。阿武隈川の支流域で一番長い流程を誇る本沢に向けて出発した。今回の目的はTVドキュメント番組の撮影だった。メンバーの中には、20歳代の女子アナが同行していた。男性でもキツイのに、女性ではとても無理だと言う意見もあったが、私と一緒にカヌーの旅もしている娘なので大丈夫だと確信していた。最初の内は踏み跡がついていたが、徐々にそれも無くなり渓流を高巻きしながらの遡行となった。時には、両手で岩の窪みに掴まりトラバースも強いられたが、山岳会のサポートのお陰でどうにかクリア。約2時間ほど費やして、最初の目的地である雌滝(約30m)にようやく出合った。この辺りまで来ると、人工物の堰堤も全く無いので渓水は極めてクリアブルーだった。雌滝の左側の急斜面には、サポート用の鎖場(チェーン)が取り付けられていた。殆ど直登に近い急斜面が、約7m程続いていた。ようやく登りつめたら、更なる急斜面の尾根が立ちはだかっていた。潅木が生い茂るその斜面は、見上げると 50mぐらい続いているようだったが、両手両足を踏ん張りながらどうにかクリアすると間もなく、勇壮な雄滝(約50m)が見えてきた。帰りの登りを考えるとウンザリするが、滝下まで再び下降した。雌滝は太い滝口だったが、雄滝は一本に束ねた水が垂直に落下していた。両岸の岩場にはピンクの石楠花が咲き、滝壷の水はまさにエメラルドブルー。この滝壷の幅は10mぐらいある。地元山岳会員の話では、深さは5m前後あるらしい。暫し熱さも忘れて休息した後、再び出発。我々の目的地は、更に更に上流にあったのだ。

阿武隈川源流と滝探訪:イメージ3 阿武隈川源流と滝探訪:イメージ4

雄滝までは登坂ルートが有るので何とか来られたが、これからが大変な苦労を強いられた。雄滝の高さは50mでも、その尾根を越えるには100m以上もの高巻きをしなければならなかった。私は自分のザックだけだったが、TVクルーは高価なカメラと音声機器を背負子に縛り付けて移動していたのだ。女子アナは、黙々と男性陣に遅れまいと奮闘していた。既に道らしき物も無く、山岳サポートの後ろに着いていくしかなかったが、危険な箇所ではザイルを張って命を確保して頂いた。雄滝から歩いて1時間半ほど過ぎた辺りで、天狗滝(約50m)にようやく辿り着いた。この滝は、二段の滑滝になっていたが優雅な滝だった。ほっとしたのもつかの間で、最終の滝を求めて再び遡行を開始した。40分ほど渓流サイドをへずりながら進むと、豪快な赤滝が見えてきた。赤滝と言っても赤い訳ではなく、花崗岩が中央に突き出して滝が二段になって流れ降る独特の滝だった。多分、朝日が岩にあたると赤く見えるのかも知れない。私たちの目的は、滝巡りだけではない。阿武隈川の源流となる湧き出しを見つけることに有る。しかし、既に6時間以上歩き通している為これ以上進むには危険が有ると判断。今度は、那須連峰尾根から下降するルートを見つけて再挑戦する事にした。滝巡り最高の楽しみは、豪快な滝を見ながらの宴会だった。山岳会員の隊長自らが打ってくれた手打ちソバ。もちろん自家製の蕎麦粉100%。ウド、タラの芽、ウルイ等の天ぷら。源流の冷水で戴く冷やしそうめんの味は、格別の味だった。大黒屋に戻った時間は、既に暗闇が迫っていた午後7時。旅の疲れは、由緒ある岩風呂温泉で疲れを癒した。

阿武隈川源流と滝探訪:イメージ5 阿武隈川源流と滝探訪:イメージ6 阿武隈川源流と滝探訪:イメージ7

阿武隈川源流と滝探訪:イメージ8

再挑戦の朝、私達7名と地元山岳会員6名のサポートは、栃木県那須岳ロープウエイ近くの駐車場に集合。午前6時。峰の茶屋に向けて出発。この辺りは登山道も整備されており、日曜日と有って多くの登山者がいた。しかし、ハイキング気分も此処までで、下界は晴れているものの低気圧が通過中だった。頂上が近づくにしたがい強風が吹き荒れてきた。ようやく頂上の非難小屋に辿り着いたが、他の登山者で満員だった。ここから朝日岳に至る尾根ルートは、最も危険な状態だった。私は、女子アナのベルトを掴みながら身を斜めにして進んだ。僅か30mの尾根ルートなのに、2度立ち往生。岩に掴まりながら、一瞬風が緩むのを待つ。体重75キロの我が身が浮く時があるので、風速は25m以上有ったに違いない。途中休憩を取りながら、清水平から那須連峰最高峰の三本槍岳(1917m)に向けて進んだ。阿武隈川の本流と思われる流れは、三本槍岳と朝日岳に挟まれた中腹に有ると思われたので、この稜線から下降する事になった。ところが、行く手を阻んだのが2mもある熊笹(根曲がり竹)の群生だった。それに加えて、急斜面には潅木が横たわっていた。悪戦苦闘の末に、ようやく300m程斜面を降りた。其処には、真新しい熊の糞がいたるところに落ちていた。この場所は、言わずと知れた熊の生息地で有名な場所。尾根には、熊見曽根と言う名前さえあるのだ。

阿武隈川源流と滝探訪:イメージ9 阿武隈川源流と滝探訪:イメージ10

先陣を切って、ルートを作っているのが山岳隊だった。トレッキングブーツを履いているのだが、根曲がり竹が滑り台のようになっている。あちこちで、ウオォ~!イテテ!熊も驚くような悲鳴の連続だった。藪漕ぎから1時間40分。山岳隊員が、笹の葉が生い茂る岩の洞穴で滴の音を確認した。皆で周囲を捜索したら、有ったぞぉ~!見つけたぞぉ~と大声が木霊した。急いでその方向に近づくと、小さなせせらぎが笹の間から流れ出していた。やっと見つけた湧き出しは、高度計を確認すると1450mを指していた。こんなに高いところに源泉があるなんて誰も考えがつかなかった。この地点から約300m下にはブナの原生林が広がっていたからだ。苦労に苦労を重ねた末に、とうとう阿武隈川の原点を見つけたのだ。でも、此処で終った訳では無いのだ。急斜面の帰路の藪漕ぎにはたっぷり2時間掛かり、ギブアップ寸前だった。

-DATA-

場所:
福島県西白河郡西郷村 阿武隈川源流
交通:
東北道白河ICからR289を経由して甲子温泉へ
駐車場:
甲子温泉手前にあり
トイレ:
登山口にあり
コース:
那須岳山麓-峰ノ茶屋-朝日岳-熊見曽根-清水平-三本槍岳-三本槍岳山麓 赤面山分岐-北温泉入口(約11時間)

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