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深川でぶらり吟行気分

Nov.02, 2001 太陽の下で楽しもう

深川でぶらり吟行気分:イメージ1

「吟行」とは、俳句を作るために郊外、名所に出かけることです。松尾芭蕉は、そんなアウトドア文学である吟行の第一人者。彼が東京の深川六間堀から「奥の細道」の漂泊の旅に出たのは元禄二年(1689)三月のこと。今からざっと三百年ほど前の話です。その間、彼が生活をし、旅立っていった深川エリアは、かなりの変貌をしたことと思います。そんな芭蕉の足跡を偲びながら、深川をぶらぶらと歩き、ちょっとした吟行気分を味わってみたいと思いたちました。といっても、俳句など作ったことのない浅学非才の身。なので、あくまで気分です、気分。まずは、都営地下鉄新宿線の森下駅で下車し、清澄通りをまっすぐに進み、「海辺橋」を目指しました。海辺橋は、芭蕉が「奥の細道」にいく際、ここで船に乗り、ここを流れる仙台堀川から隅田川に出たと言われる場所です。旅発つ前に宿泊したという採茶庵跡も残っていて芭蕉の銅像が建物の縁側に腰を降ろしていました。出発当時、芭蕉の年齢は46歳、ここから七ヶ月に及ぶ諸国行脚は始まったのです。この仙台堀川は、水辺の散歩道になっていて、芭蕉の詠んだ歌の看板が川に沿って等間隔に十八句あります。俳句のお勉強、ということで一枚、一枚、丁寧に読んで歩いていきました。ここは桜並木になっていて、きっと花咲くころは綺麗だろうな、なんて思ったりもしながら。

深川でぶらり吟行気分:イメージ2

たくさんの鴨がぷかぷか浮いていた仙台堀川の水辺の散歩道を歩いた後は、右折して「万年橋」へ行きました。今は鉄の橋になっていますが、万年橋は浮世絵にも描かれた有名な橋です。歌川(安藤)広重は、「名所江戸百景」で、また葛飾北斎も「富嶽三十六景」で描いています。橋にあるポケットパークにはその絵のレリーフがあります。今はここから富士山は見えませんが、きっと芭蕉の生きていた時代ならば、富士山のよく見えるビューポイントだったのでしょうね。レリーフと比較しながら、過ぎていった時間の重みを感じました。川を吹き抜ける風も気持ちいいです。

深川でぶらり吟行気分:イメージ3

万年橋の下を流れる小名木川は、徳川幕府が塩運送のために作らせた運河で、墨田川に出るようになっています。今でも小名川には、行きかう船の姿もときより見ることができます。そんなに大きな川ではないけれど、船が飛沫をたてて通ると、水面がきらきらと光り、海の匂いがするので驚きました。そこで一句。「天高し万年橋に磯の風」。うー、オソマツ。橋のたもとにある説明ボードを読むと、ここから見える清州橋は、ドイツのケルン市にあるライン川のつり橋をモデルにしたといいます。万年橋のこのポジションから眺めるのが、一番美しく「ケルンの眺め」と呼ばれています。万年橋の下を降りると、墨田川テラスと呼ばれる整備された綺麗な遊歩道があり、墨田川に沿ってウォーキングする人とたくさんすれ違いました。私も少し早足で歩いてみました。川べりを歩くというのは、こんなに気持ちがいいものなのかと改めて思いました。ベンチで休憩していると、尾の長い冬羽のグレーかかったハクセキレイが側に来てチュチュン、チュチュンと尻尾を上下にゆらし寄ってきてくれます。水辺の鳥とこんなに間近で出会えるのも川べりウォーキングの魅力ですね。きっと、芭蕉も旅の途中で出会った動植物を励みにし、歩きながら季節の移り変わりを感じていたことでしょう。

深川でぶらり吟行気分:イメージ4

次は、本日のメインである「芭蕉記念館」へ行きました。館の前には、芭蕉の木がお約束のように植えてありました。芭蕉の俳号(ぺンネーム)の由来にもなった芭蕉の木をまじまじと見るのは初めてです。そもそも「芭蕉」という名前は、庭に植えられた芭蕉の木を観察しているうちに気に入り、そこから名乗るようになったといいます。ちょうど秋、二メートルほどに伸びた芭蕉の葉は風に葉音を立て、葉脈に沿って裂けやすくなります。それを「破れ芭蕉」といって季語にもなっているそうですが、視点を変えて歩くと樹一本でも興味津々です。そこで一句。「芭蕉葉やはじめて知る街みな新鮮」。五七五とただ言葉を並べればいいというものではありませんが、まずは練習ということで・・・。館内は芭蕉の資料でいっぱいでした。

深川でぶらり吟行気分:イメージ5

館の庭には、季節の花が植えられていて、さながら立体植物図鑑のようで勉強になります。また、高台から館の後ろに流れる墨田川が見えます。ちょうどこの館の後ろのあたりに、あのゴッホも模写した広重の浮世絵「おおはしあたけの夕立」の「大はし」がかかっていたといいます。今はないのですが、当時の江戸の人々が通っていた姿を想像するのも楽しいものです。また、芭蕉の足跡を綴った銅版の俳画が塀にそって立てかけてありました。なんでも素材を銅版にしたこだわりは、時の経過にともなう酸化作用をねらい、侘び寂びの世界を意図しているからだといいます。ウィットに富んだ遊び心ですね。塀の下の遊歩道に降りると石で出来た芭蕉の歌碑も点在していました。まさにここは芭蕉づくしです。なお、館の庭には歌碑や投句用のポストもあります。腕に自信のある方は、是非自作の俳句を投函してみてください。私はもちろん、お恥ずかしいので遠慮しておきます。

深川でぶらり吟行気分:イメージ6

次は、芭蕉庵跡へ向かいます。ここは芭蕉が住んでいたところで、今は小さな芭蕉稲荷神社となっています。なんでも大正六年の大津波で芭蕉遺愛といわれた石の蛙が発見され祀られています。社内の錆びたポストの中には、記念スタンプ台と来訪記念ノートがありました。三百年たっても、愛され尊敬され、私みたいにオマージュ気分で散策する人がいるなんて、やはり松尾芭蕉は偉大だな、と改めて感じました。時間によって体の向きが変わるという芭蕉の銅像がある「芭蕉庵史跡展望庭園」は、閉館時間が早くて入れませんでした。けれど隅田川の遊歩道に降りて見上げてみると、ライトアップされた芭蕉の座像が見えました。薄暗くなったときに見るとちょっと不気味です。一日、墨田川沿いを歩いて思ったことは、アウトドアで感じたことをすらすらと歌にできたら素敵だろうな、という思いでした。また、歌を作るぞ、と思って観ていくと新たな「自然への気づき」が生まれてきます。下手でもいいから、吟行気分で体全身を研ぎ澄まして深川を歩いてみるのは楽しいですよ。

-DATA-

場所:
東京都江東区
コース:
都営地下鉄新宿線「森下」駅下車 → 清澄通り直進 → 「海辺橋」・採茶庵跡 → 「万年橋」 → 「芭蕉記念館」 → 「芭蕉稲荷神社」「芭蕉庵史跡展望庭園」
駐車場:
適当な場所はみつかりません。電車を利用しましょう。
トイレ:
芭蕉記念館
芭蕉記念館:
開館時間9時30分から17時まで。月曜休館。月曜が祝日の場合は開館。入館料100円。
リーフレットをもらったら、来館記念スタンプを押しましょう。芭蕉の俳句と日付入り。
江東区常磐1-6-2 電話03-3631-1448
芭蕉庵史跡展望庭園
開館時間9時15分から16時30分まで。無料
割烹「みや古」:
営業時間11時30分から14時・16時30分から20時。月曜休み。蕉記念館すぐそば。
あさりの入った深川丼が有名です。江東区常磐2-7-1 電話03-3633-0385

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