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新宿御苑で心にキク
Nov.15, 2001 自然の中を気軽に楽しみたい

毎年、春になると新宿御苑でお花見をするのがここ数年の恒例行事でした。けれど、「花より団子」で園内をきちんと散策したことはないなぁ、ということに気づいてしまいました。そこで、新宿御苑の秋の顔を見に行こうと11月1日から11月15日まで行われる有名な「菊花壇」をかねて出かけてみることにしました。新宿御苑の菊は、赤坂離宮で栽培されてきた伝統を受け継ぐ、皇室とたいへんゆかりのあるものです。日本庭園の各ポイントに風景と調和するような小屋を設け、その中に色とりどりの趣向を凝らした菊花壇は設置されていきます。わたしは、園で手にした菊花壇の案内地図を見て、順々にまわって行くことにしました。菊というと、どうも仏花というイメージが強いのですが、もともと菊は中国から薬用として入ってきた食用のための植物でした。けれど平安人の審美眼によって鑑賞もするようになった花なのです。わたしは、こんなに色々な種類の菊を見るのは初めてだったので改めて菊に興味がわきました。花びらの数が御紋章菊と同じ十六枚前後の一重咲きの大輪菊「一文字菊」や、糸菊とも言われる繊細で細い花びらが放射状に伸びている「管物菊」。お花屋さんで売っている菊とはあきらかに違う、これらの優雅な形に、菊に対する印象も変化していきました。

「大菊」は、菊の代表的な品種だそうで、子供の丸い頭のように見え、つい笑ってしまいます。くりくりのマッシュルームパーマにヘアダイをかけているみたいで可愛いい。ちなみに黄色、白、紅色の順で植え付けられている菊の配色は、神馬の手綱の模様に見立てられているからだといいます。奥が深いですね。見れば見るほど摩訶不思議な形で、しばらく魅入ってしまいました。菊の香りの成分テルベンはイライラをとり除いてくれるといいます。最近ストレス続きだったので、顔を近づけて香りを嗅いでみました。かすかだけれども独特の菊の香りを感じることができました。

「伊勢菊」は三重県や松坂などで発達した菊で、縮れた花びらが垂れ下がって咲くのが特徴の珍しい菊です。いろいろな色があってとてもカラフル。よく見ると同じ黄色でも花によって微妙に違っていて、自然の表現力の神秘を感じました。色にも「1/f」ゆらぎという法則が適用されて考えられるそうで、原色や人工的に作り出せない色を見ると人は心地よくなるそうです。日ごろのOA機器などで疲れ気味の目にも優しく、新鮮に写りました。その他にも花の真中が盛り上がって咲くアネモネの花に似た「丁子菊」や、箒をさかさまにしたような「嵯峨菊」もあり、面白く拝見しました。

「懸崖作り花壇」は、断崖の岩間に垂れ下がった木々の姿を模して仕立てられた花壇です。この発想と技術は日本ならではだと思います。この花壇のできるまでの様子が園の入り口にあるインフォメーションセンターでパネル展示されてあり、それを見ると花壇作りの苦労がよくわかりました。その他にも「肥後花壇」や半円形に整えられた「大作り花壇」「江戸花壇」などありました。本格的な菊花展は初めて見たのですが、自分でも驚くくらい純粋に感動してしまいました。

園内歩きはまだまだ続きます。新宿御苑は大きく分けると日本庭園とフランス式整形庭園、イギリス風景式庭園、母と子の森などに分かれています。園内の広さは都内一を誇る大きさだけあって、わたしはかなりあちこちを歩きまわりました。フランス式整形庭園では、秋のバラが見頃でした。絵画のようなプラタナスの並木はまるで映画のシーンに迷い込んでしまった気分に。母と子の森は、かつて生き物がたくさんいた農村の環境を復元していて、手入れも最小限にとどめてあり、手付かずの自然そのものでした。一方で、開放感あふれる芝生広場もあり、いろんな表情を持っている園なのだなぁ、とつくづく思いました。季節によってもまた違うのでしょう。

この日はとても寒くてフリースに厚手のマフラーで防寒対策はしていたものの、体は冷え切っていました。そこで最後に大温室に入ることにしました。ここでも植物とのいろいろな出会いと発見がありました。わたしの愛飲しているマテ茶の木や、コーヒーの木。アボガドやドリアン、チューインガムの木、コショウにバニラと珍しい植物がたくさんありました。でも一番、目をひいたのは写真のオオオニバスです。南米アマゾン川流域のスイレン科植物で、大きな葉になると子供も乗れるという有名なアレです。温室にあったものはやや小さくて乗ると沈んでしまいそうでしたが、図鑑で見ていたものを肉眼でみるのはいくつになっても心躍るものです。新宿御苑には、半日以上いましたが、とてもハートフルな充足した一日となりました。またココロが疲れたら遊びにきたいです。
-DATA-
- 場所:
- 東京都新宿区
- 交通:
- 新宿門までJR新宿駅南口から徒歩10分
- 開館時間:
- 午前9時から午後4時まで
- 休日:
- 月曜日
- 入園料:
- 大人200円 小学中学生50円 幼児無料
- 問い合わせ:
- 電話 03-3350-0151
- 菊花壇公開:
- 毎年11月1日から11月15日まで
- トイレ:
- 各場所にあり
- レストラン:
- 園内に二箇所あり 休憩所ではカップラーメンや団子などの軽食もあり
- 参 考:
- より詳しい情報は新宿御苑のホームページで。リアルタイムの情報が入手できます。
http://www.shinjukugyoen.go.jp/
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