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フラワー・ストリート・マーケット

Nov.26, 2001 花色の時間

フラワー・ストリート・マーケット:イメージ1

イギリスを訪れると(ああ、この国には花を愛する人々が沢山いるのだな)ということに自然と気付くはず。公園に咲き乱れる、陽気で愛らしい草花達(と言っても、ちゃんとした花で草ではありません)。中世の古城の外壁を彩る一見無造作で、しっかりと手入れの行き届いた、荒荒しくも可憐なノバラ。イギリスでは遠い昔から、城の建築とステイタスを強調する意味で花園が造られたり、ロンドン各地に貴族達の狩猟場が造られたりしてきたのである(現在の公園)。そのせいか人々は今も花と緑を愛し、ノイズと慌しさに噎せ返る都会ロンドンでも、思わぬ場所で森の息吹きと出会えることがしばしばある。今日は、ガイドブックにも載っていない、秘密のフラワー・ストリートマケットを紹介しましょう。

フラワー・ストリート・マーケット:イメージ2

コロンビア・ロードに毎週日曜日の早朝に降り立つ、フラワーマーケット。私はイギリス人の知り合いからその存在をまるで耳打ちするように教えられ、フラワー・マーケットという言葉にすっかりロマンチックな妄想を抱き足を運んだわけである。地下鉄ノーザンライン、オールド・ストリート駅から徒歩15 分。ちょっと不便な場所に位置する「COLUMBIA ROAD E2」で、そのマーケットは開かれる。私が駅に着いたのは午前10時。朝の遅いイギリス人にとって、午前10時というのは早朝に近い時間。だから、まだ客足も少ないはず・・・と思いながらコロムビア・ロードに通じるオールド・ストリートを歩いていると、花束を両手一杯に抱えて幸せそうに帰ってくる若者や老夫婦とひっきりなしにすれ違う。「このヒマワリは、私のお部屋に。こっちのバラは玄関に飾りましょう。」なんて会話がすれ違い様に耳に飛び込んできて、何ともほのぼのとした気分になってしまった。しかし、道のりは長い・・・・。イギリスの道全て名前が付いていることに感謝した瞬間である。日本のように何丁目何番地じゃ、とてもでなけれど迷ってしまう。

フラワー・ストリート・マーケット:イメージ3

ようやく、コロムビア・ロードに辿りついた。これがまた、凄まじい人ごみである。大して広くない道の両脇に花屋のストールが数珠繋ぎに立ち並ぶ。その間の僅か1.5メートルばかりの隙間を、花を品定めしつつ人々が行き交う。ロマンチックなんて言葉はどこにもない。日本の市場の魚が花に化けたようなものである。「あんた!苗木に当たらないでよ」と花屋の主人が怒鳴れば「失礼ね!当たってないわよ」と客が怒鳴り返す。紫色の可愛らしい花を見つけ、思わず立ち止まって眺めようとすると、後ろのおばさんが「止まらないで!」と言って、むぎゅっと押してくる。もう、もみくちゃである。花もまともに見られないまま、 100メートルばかり押し流され、気が付けばコロムビアロードの終点(つまりフラワーマーケットの終点)。そこで、人波からはじき出された。辺りを見回すと不思議なことに、花束や苗木を抱えてゆったりと歩いている人々は両ストールの裏側の歩道に多いことに気が付いた。つまり、このマーケットに慣れている人達はストールに挟まれた通路を通らず、花屋の後ろに回り込んで、花屋と花屋の隙間から顔を突っ込み、じっくりと商品を観察して購入しているというわけである。なるほど・・・・。

フラワー・ストリート・マーケット:イメージ4

人がこれだけ集まるマーケットだけあって、花の種類は豊富で値段も安い。例えば、バラ30本が8ポンド(1,500円くらい)。ヒマワリが10本で3ポンド(530円くらい)。リリーが5~6本で3ポンド。小さな植木は3つで10ポンド(1,700円くらい)。また、ハーブの店もなかなか繁盛している模様。 3苗で5ポンド(900円くらい)のラベンダーやレモンタイム、セージ、ミント等が、せわしなく後ろのストックから店頭に運び出されていた。私も常連客たちに習って、花屋と花屋の隙間から顔を突っ込み、バラ10本3ポンドを、飾る花瓶もないのに買ってみた。

フラワー・ストリート・マーケット:イメージ5

マーケット市が立つ日は、コロムビアロードの沿いの料理店やパブも大繁盛の時である。若者に人気のハンバーガーショップ「コロムビア」は店の外にまで行列がはみ出す人気ぶり。サラミやビーフ、ケバブ、ハム、エッグ、チーズ等をふんだんに押し込んだハンバーガーが2ポンド内で買えるのだから無理もない。その他にも喫茶店、定食屋、レストランが建ち並ぶ。そして、パブ。イギリスではどこに行ってもパブがある。午前中からビールを飲んで、寛ぐなんて日本では考えられないが、こちらではごく当たり前の風景なのだ。

また同じコロムビアロードでも少し外れたわりと静かな所で、日曜日にだけ開かれる「鉢屋」がある。ここでは、その名の通り花瓶や鉢が売られている。小さくてシンプルな花瓶なら3ポンド。写真のように大きな植木鉢でも10ポンドとお手頃な価格。太った大人が丸ごと1人入る大きさの壷も30ポンド。私はここで3ポンドの花瓶を購入。何となく浜茶屋の隣で、ちゃっかりかき氷を売っているような「漁夫の利」っぽいイメージが微笑ましい「鉢屋」なのであった。
-DATA-

場所:
イギリス ロンドン COLUMBIA ROAD E2
交通:
地下鉄ノーザンライン(オールド・ストリート駅)
駐車場:
道端に停められる・場所によっては有料です
トイレ:
基本的にはありません。喫茶店などにはありますが、商品を買わない限り使わせてもらえません。
備考:
入場は無料
開催日/毎週日曜日 午前8or9時頃~午後3時頃

代々木公園でカラフルな秋

Nov.24, 2001 自然の中を気軽に楽しもう

代々木公園でカラフルな秋:イメージ1

山桜の木がたくさんある公園は、秋も葉が紅葉して、綺麗なはず。そう思いつき、代々木公園へ「もみじ狩り」と洒落込んでみました。代々木公園は54万 7100平方メートルの広大な敷地で、見渡す限りの芝生と7万本あまりの木々とに囲まれている公園です。山桜の黄褐色の落ち葉はとても美しく、すでに一面を埋め尽くしていて、きらきらと照り輝いていました。その落ち葉の中をわざと歩いてみると、かさかさと乾いた音がして面白いです。土の香りも漂ってきて、すがすがしい秋晴れにはいい気分。落ち葉の上でお弁当を広げる人も大勢いました。ピクニックにはぴったりの場所です。子供たちは、そこらじゅうに転がって、体中を枯れ葉だらけにし、みの虫のようになって遊んでいました。都心といえどもこうした自然の中で遊べる公園はあるのですね。

代々木公園でカラフルな秋:イメージ2

もみじとは、樹木一般が紅葉した状態のことを指します。けれどその名がつけられたことからもお分かりのように、もみじと聞くと赤く色づいたイロハモミジを真っ先に思い起こします。代々木公園のイロハモミジは、赤くなり始めたばかりでした。残念、と思いつつもよく観察すれば、緑色の葉の赤くなる過程が分かり感慨深かったです。残暑の厳しい日が続いた後に、急に寒くなる温度差が綺麗に色づくポイントだそうです。緑の葉が、燃えるような真っ赤に色づいていき、やがてハラハラと散っていくのはよく考えると不思議です。わたしは、数枚、落ちていたモミジを拾いました。これは、押し花のように厚紙に貼り付けて、栞にしようと思います。

代々木公園でカラフルな秋:イメージ3

葉が黄色に変わる銀杏も「もみじ」と呼びますが、「黄葉」の字を当てます。葉が黄色に変色するのは、葉緑素が分解していくからだそうです。黄褐色、赤ときて、銀杏の黄色は、目に鮮やか。黄色のジュータンと化した銀杏の木のまわりには、腰をかけている人が多かったです。ちょっと絵になるような光景でした。芝生のグリーンとイエローのコントラストも見事。芸術の秋、美術館に行くよりもこうした自然美のアートはいかがでしょうか。ちなみに、この作品は日々、変化します。

代々木公園でカラフルな秋:イメージ4

代々木公園には、いま都心で頭を悩ませているハシブトカラスのねぐらがあります。公園の噴水や林の中の大きな池に、カラスの群れを目撃しました。みんな水の中に入ってじゃぶじゃぶと水浴びをしています。寒いのに、なにをしていたんだろう、と思って後で調べてみたら、羽毛についた汚れや老廃物をとったり、寄生虫を除いたりするために水浴びをしていたことが分かりました。「烏の行水」という言葉がありますが、烏は意外と清潔好きなんですね。その他、園内にはバードサンクチュアリがあり、双眼鏡を手にした親子が熱心に保護柵ごしに観察をしていました。案内版によると、留鳥(一年中、同じ場所にいる鳥)はシジュウカラ、キジバト、カワライワ、ムクドリ、ヒヨドリだそうです。

代々木公園でカラフルな秋:イメージ5

代々木公園には北側にサイクリングセンターもあります。残念ながら大人は利用できませんが、幼児用サイクリング広場や、小学生の利用できるサイクリングロードは整備されていて、たくさんの子供が自転車を借りて乗っていました。この他にも園内では、芝生でトレーニングする人、ランニングをする運動系の人もたくさんいました。その他、バトミントンやフリスビー、楽器の演奏、芝居の稽古など、たくさんの人が思い思いに過ごしていて、欧米の公園のように人の集う公園なのだな、と思いました。

代々木公園でカラフルな秋:イメージ6

また、ここにはグリーンアドベンチャーゲームというクイズ形式のパネルが樹木の前に掲げられているので、植物の名前を楽しみながら覚えることができます。例をあげると、「この樹の名は? 特徴 厚く光沢のある葉が三枚ずつ輪生し、よく枝分かれする花は八重咲きが多く花期が長い 実は晩年枝先に直立状につく 枝から出る白い液は有害 用途 庭木 公園樹 街路樹・・・花が桃の花に似ていることから名づけられた 仲夏の季語・・」とあり、答えはパネルをめくるとわかる仕掛けになっています(なお、昭和記念公園や新宿御苑にもあります)。樹の名前を覚えながら散策するのも勉強になりますね。ちなみに、前出の植物の名前、わかりましたか。代々木公園の43番目の植物です。桃の花に似ていて毒のあるところがポイントかな。

代々木公園でカラフルな秋:イメージ7

公園全体が赤や黄色に染まる秋。桜で華やぐ季節もいいですが、カラフルな自然の色彩の中に身を置くのも静かで穏やかな気持ちになれます。ベンチなどに座って、本を読んだり、お茶を飲んだり、おしゃべりをするのにも適しています。休憩のできる場所もたくさんあるので便利です。秋の代々木公園もお勧めですよ。

-DATA-

場所:
東京都渋谷区代々木神園町2-1
開園時間:
5時~20時(10月16日~4月30日までは17時まで) 電話:03-3469-6081
交通:
原宿門へはJR原宿駅・営団地下鉄千代田線明治神宮前駅から徒歩5分 西門へは小田急線代々木八幡駅・営団地下鉄千代田線代々木公園駅から徒歩5分。
駐車場:
料金:普通車1時間まで400円以後30分毎に200円 駐車台数:普通車118台 営業時間:24時間営業 電話:03-3485-4090
トイレ:
園内に数ヶ所あり
食事処:
園内に売店3ヶ所あり 軽食あり

浜離宮恩賜庭園で極上の午後を

Nov.11, 2001 太陽の下で楽しもう

浜離宮恩賜庭園で極上の午後を:イメージ1

庭園の入り口にあった面白い標識にまずは注目。「園内10キロ以下走行厳守」というのは、とても面白いですよね。浜離宮恩賜庭園は、徳川将軍家の別邸「浜御殿」と称されていた江戸時代の代表的な大名庭園で、銀座の街からは、目と鼻の先であるにもかかわらず潮の香り漂う静かでしっとりとした庭園です。日ごろのあわただしさから開放されるのには最高のスポット。海水を引き入れた回遊式潮入築山泉水庭園でもあり、潮の満ちひきが庭園の池の表情を変える趣向も見どころです。太陽の光をたっぷり浴びて、標識の指示通りにゆったりのんびり庭園の中を歩く、そんな極上の午後はいかがでしょうか。

浜離宮恩賜庭園で極上の午後を:イメージ2

入ってすぐのところに「三百年の松」はあります。六代将軍家宣が、庭園を大改修したときに植えたと伝えられる都内では最大級の立派な黒松です。近くには、かりんの木もありました。かりんの実は見たことがありましたが、木になっているのを見たのは初めてでした。面白い木に実るものなのだな、と思いつつ、日差しの照りかえしでぴかぴかと輝いている芝生の道を「潮入り池」目指して歩きます。都会の喧騒からのがれて、別世界の庭園の中を歩いていると、時間の速度はだんだんとスローになっていく感じがしてきます。庭園に住みつく子猫たちが日向ぼっこをしている姿も目撃しました。気持ちも穏やかになっていきます。

浜離宮恩賜庭園で極上の午後を:イメージ3

潮入りの池は、都内では唯一の海水の池です。池の岸から小の字島と中島へは檜でできた「お伝いの橋」がかけられていて、中島の上には御茶屋があります。ここはかつて、将軍が貴賓の接待に使っていた休憩所で、昭和58年(1983)に復元され、今では抹茶とお菓子をいただけるようになっています。……と、わたしはとてもおなかが空いていたので、ここのお茶ではなく、池のたもとにある売店で遅い昼食をとることにしました。けれど、おでんやパンなどの軽食しかありません。ここには、芝生やベンチがたくさんあって、お弁当などを持ち込んで楽しんでいる人を多く見かけました。とくに野外卓広場では、机と椅子があるので気軽なピクニックには最適のようです。あいにく何も用意していなかったわたしは、苦肉の策として売店の中に、唯一胃袋を満たしてくれそうな意外なものを発見しました。それは、カップラーメンです!この風情あふれる名勝の中で食べることに抵抗する気持ちは強かったのですが、胃袋には逆らえず、売店でお湯を入れてもらって食べました。でも、どうして野外で食べるカップラーメンは不思議と美味しいのでしょう。ミスマッチな組み合わせでしたが、それも一興、優雅に秋寒の中、庭園を見ながら美味しく頂きました。

浜離宮恩賜庭園で極上の午後を:イメージ4

もともと鴨場でもあった場所なので、鴨が安心して羽を休めるように、庭園は工夫されていました。たくさんの木々で覆われているのもそのせいです。ちょうど時期的に鴨の群れがたくさんいました。庭園にくる鴨は、ホシハジロ、キンクロハジロ、マガモ、ハシビロガモ、オナガモ、カルガモだそうです。ぷかぷかと池の波にゆられているのは見ていて楽しいです。遠くに高層ビルの影がちらつくのも、摩訶不思議な感じです。また、ここは将軍が鷹狩りをした場所でもあります。カラスも意外に多くいて、まさに野鳥の宝庫でした。

浜離宮恩賜庭園で極上の午後を:イメージ5

庭園の端は海に面していて、また別の雰囲気があります。形のいい黒松が生えていて、ベンチや芝生などの休める場所もありムーディーです。東京湾の景色もレインボーブリッジも一望できます。また、海には真っ白なかもめがたくさんいて、空中をときより舞っては、わたしたちの目を楽しませてくれます。庭園の感じとはまた違い、これまた情緒があります。とても気にいってしまいました。以前、友人が銀座は風向きによって潮の香りがしてくる、と言っていましたが、こんなに近くに海があったことを改めて知りました。

浜離宮恩賜庭園で極上の午後を:イメージ6

この他、園内にはボタン園やコスモス、菜の花などの花畑もあります。ちょうどわたしが訪ねたときは、紅葉が色づきはじめた頃でしたが、春は梅、桜、夏は藤、紫陽花などと、季節ごとの花が植えられています。また、冬は金沢のように松の雪吊りをするようです。雪の庭園を撮った写真が展示されていましたが、都内の風景だとは想像もできないほどの美しさでした。東京に雪がふったならば、是非訪ねたいと思います。また、今年花を咲かせたリュウゼツランがありました。リュウゼツランのことを知っているでしょうか。百年に一度しか咲かないので英名ではセンチュリープラントと呼ばれますが、実際日本では三十年から六十年に一度咲き、咲いたら枯れてしまうという珍しい植物です。これも話は知っていましたが本物を見るのは初めてで感激しました。もう花はなかったのですが、青空に伸びる生命力あふれるリュウゼツランとこんなところで出会えるなんて驚きでした。ちなみに根元の方は巨大なアロエのような形をしています。やがて枯れていってしまうのは物哀しいですね。

浜離宮恩賜庭園で極上の午後を:イメージ7

庭園の海沿いには、なんと水上バスの発着場もあります。ここから、浅草まで足を伸ばすこともできるのです。墨田川にかかる個性豊かな12個の橋を楽しみながら、約40分の船旅をして、浅草観光を楽しむのもいいでしょう。ここを拠点にして、往復するのもいいですし、そのまま戻ってこなくてもいいので、これを利用すればかなり欲張りな一日が過ごせそうです。ただし、バスの時間表はちゃんとチェックしておくのをお忘れなく。とにかく、ここは季節によっても、時間によっても表情をくるくる変えるので、飽きのこない素敵な庭園です。とくに大人のアウトドアデートにはぴったりな穴場なのではないでしょうか。

-DATA-

場所:
東京都中央区
交通:
都営大江戸線築地駅から徒歩7分
JRまたは地下鉄銀座線・都営浅草線・ゆりかもめの各新橋駅から徒歩15分
開園時間:
午前9時から午後5時まで
休園日:
年末年始
入園料:
300円
駐車場
約40台分有り 無料
トイレ:
庭内5ヶ所あり
問い合わせ:
庭園管理所 03-3541-0200
水上バス:
墨田川ライン 浜離宮→日の出桟橋→浅草
料金や時刻表などの詳しい問い合わせ先は、電話03-3841-9178
または東京都観光汽船株式会社水上バスWEB参照

冬富士・吉田口登山道

Nov.11, 2001 薄い空気と深い雪

冬富士・吉田口登山道:イメージ1

毎年11月になると、富士山は冬山訓練の場として賑わいをみせる。5~7合目あたりはアイゼン歩行やピッケルによる滑落停止の訓練にちょうどいい。しかし山頂付近の雪は固く、登高には確実なテクニックを要求される。この時期には死亡事故が毎年報告されるので、登ろうと思われる方はしっかりとした技術と経験を身につけてからにしていただきたい。今回のコース吉田口は富士山でもっともポピュラーな登山道だ。前日、富士吉田駅に最終列車で入り、タクシーで馬返しへ。周囲はうっすらと雪化粧。前日関東地方で降り続いた雨は、こちらでは雪になっていたようだ。

馬返しからは広い登山道をひたすら登る。現在、登山道は修復工事中で、道のど真ん中に重機がでん、と置いてある。歩きづらい場所も結構あるので、体力を消耗しすぎないようにゆっくりと進もう。先は長い。1合目鈴原天照大神社や2合目富士御室浅間神社などには昔の神社が残ってはいるが、廃屋と化している。3合目の三軒茶屋では屋根の下で休憩ができるものの、床が腐っているので踏み抜きに注意。4合目の建物は倒壊してばらばらになっている。そのつぎは昔の5合目。焼印所の跡らしい。これも廃屋となっており、馬返しからの登山道が廃れているのを実感する。ここから現在の5合目である佐藤小屋までは意外に時間がかかるので、ゆっくり行こう。舗装された道に出たら右に曲がり佐藤小屋への入り口を探す。少し登山道を登ってまた舗装路があり、上を見上げると佐藤小屋だ。なお今回の山行は馬返しを夜の12時に出発しているので、ほとんどの画像は下山時に撮影したものだ。馬返しから佐藤小屋まで約2時間。普通のコースタイムだと3時間半ぐらいである。

佐藤小屋は閉鎖されているので、トイレの中で休憩することにした。佐藤小屋は通年営業だが、冬の時期は週末中心の営業になるようだ。宿泊を考えている方は連絡をとってみたほうがよい。小屋の標高は2300mぐらい。気温はマイナス6度。今シーズン初の冬山としては、かなり寒い。便所の床に座り込み、うつらうつらしながら過ごした。2時間ほど休憩して、午前4時に再スタート。佐藤小屋の脇から登り、やがて延々と続くつづら折れの道となる。このあたりは登山道脇に巨大な土留めが続いている。やがて6合目の小屋が近づいてくると登山道らしくなるが、今回の山行では厳しいラッセルになり、なかなか進まない。吹き溜まりに突っ込むと、腰より上まで潜る。目の前の雪をピッケルで掻き落とし、膝で踏み固めてようやく1歩、という感じだ。

冬富士・吉田口登山道:イメージ2

7 合目あたりでご来光を迎える。天気は快晴、風もない。絶好の冬富士登山のチャンスだが、とにかくラッセルがひどい。同行のKはこの時期の富士山には何度も登っているが、こんなに雪が多いのは初めてだという。このあたりは山小屋が立ち並んでいて、だいたい10分(夏のタイムで)も登れば次の山小屋にたどり着く。次の小屋、次の小屋と目の前の目標だけを考えてラッセルする。山頂はずーっと見えているが、なかなか近づかない。北アルプスあたりの山々とは距離感が大分違う。

冬富士・吉田口登山道:イメージ3

8 合目を過ぎると山小屋がなくなる。次の目標は9合目にぽつんと立つ鳥居。やっとラッセルから解放されたが、既に体力を使い果たしており、スピードはあがらない。もう高度は3000mを軽く越えている。同行のKが「頭がふらふらする」と言い出して心配したが、なんとかついてきている。雪面は硬いが、まだ氷というほどではないのでアイゼンの刺さりはいい。このあたりで滑落するとなかなか止まらないので、どんなに疲れていてもアイゼンワークは確実に。9合目は鳥居と小さな祠があるだけ。富士山で一番静かな場所なのかもしれない。

冬富士・吉田口登山道:イメージ4

普段の山歩きの感覚ならば、山頂はすぐそこ。しかし薄い空気と疲れきった身体ではなかなかたどり着けない。10歩歩いては息を整え、を繰り返しながら、硬い雪面を登っていく。ヒマラヤの高所登山はこんな感じなのかなぁ~と思いながら。ようやく到着した山頂は雪と氷の世界。神社も建物も鳥居も、すべて凍り付いている。お鉢回りは時計回りが伝統らしいが、今の我々にはそんな余裕はない。標高差で2300m、しかもラッセルをこなしながら一気に登った我々は、安全地帯を目指して一気に下降することにした。佐藤小屋から山頂まで8時間ほど。通常の冬富士ならばその半分くらいの時間で登れるらしい。

-DATA-

場所:
山梨県富士吉田市
交通:
富士急行富士吉田駅からタクシーで20分
駐車場:
馬返し付近は10台ほど駐車可能だが、現在工事中のため詳細不明。
トイレ:
今回のルートでは佐藤小屋にしかない。
携帯電話:
馬返しから通じる。ドコモならば、大抵の場所で使用可能。
その他:
馬返しから山頂までは標高差で2300mほどある。普通は富士スバルラインで5合目まで行き、そこから登ったほうがよい。富士山の突風は有名で、身体を吹き飛ばすほどの威力がある。天候判断は慎重にすべきだ。2月にもなれば、山頂付近は氷化する。滑落は許されない厳しさがある。タクシーは3500~4000 円ほど。

横浜シーサイドウォーク

Nov.06, 2001 自然の中を気軽に楽しみたい

横浜シーサイドウォーク:イメージ1

横浜のとっておきのウォーキングスポットをお教えしましよう。まずはJR桜木町駅から桜木町バスターミナルを抜けて海に浮かぶ「汽車道」を目指します。「汽車道」とは臨海線跡地を再整備した遊歩道で、みなとみらい21新港地区を結んでいる橋です。鉄道跡地を利用してあり、さびついた路線がそのまま残っていて、鉄のアーチもかかるとてもクラシカルな板張りの橋です。アスファルトを歩くことになれてしまっているので、木の板の上を歩くのはどこか感覚が違い新鮮です。足首に返ってくる衝動も足音も違う気がして、軽やかな気分になれます。また景色もよくて、よこはまコスモワールドの観覧車や横浜ランドマークタワー、パンパシフィックホテル横浜などが海の景色とマッチしています。カモメも飛び交い、潮の香りがほんのり漂ってきて、晴れた日はとても気持ちいいわたしのお気に入りのスポットです。今回は海沿いをなぞるように歩いてみました。

横浜シーサイドウォーク:イメージ2

みなとみらい21新港地区に入ると、正面には横浜ワールドポーターズ、運河パークがあります。そこを左に曲がって、海に沿って歩いていきます。途中、よこはまコスモワールドのジェットコースターの下を歩くことになりますが、通過するときに下を通るとなかなか愉快です。国際橋が見えてきたら、それを渡りまた海に沿ってヨコハマグランド・イタンーコンチネンタルホテルの前を通って進むと、「臨港パーク」に着きます。途中、洋館の客船ターミナル「ぷかりさん橋」をのぞいてみるのもいいでしょう。ここからは山下公園や横浜駅などを結ぶシーバスが出ています。「臨港パーク」は、かなりの穴場です。海沿いは波が高いときなどは飛沫が舞います。港を行き来する船の姿も見られますし、湾の向こうにはベイブリッジも見えます。こんな景観の場所を歩くのは、とてもすがすがしいものです。

横浜シーサイドウォーク:イメージ3

「臨港パーク」には広い芝生の広場もあり、遠足でしょうか、わたしの訪ねた日には、たくさんの小学生が走り回っていました。パークの北側にある海の水をひきこんでいる潮入りの池でも元気な子供たちは寒い中、水遊びをしていました。ここは意外に魚が迷いこんでくる場所なのかもしれません。なぜなら海水を引き込む入り口では、たくさん大人が釣り糸を垂らしていましたから。海沿いには船の舵などが飾ってあり、船長気分で鐘を鳴らす子供もいました。次は、みなとみらい 21新港地区へ戻り、「赤レンガパーク」を目指します。国際橋を再び渡ったら右に曲がり、海沿いを歩いて「新港パーク」経由で、「赤レンガパーク」へ。

横浜シーサイドウォーク:イメージ4

「赤レンガパーク」は、横浜港の繁栄を支えてきた赤煉瓦倉庫のある公園です。明治時代、横浜港の中心的役割をはたしてきた新港ふ頭は、第二次大戦後その役割を終えました。今でもそのときの名残が残っていて、船の出港時に東京駅から臨時電車が到着した「横浜港駅」のプラットホームとレールの一部が残ってあります。ちょうど訪ねたときは、横浜の町全体で盛り上がっていた「横浜トリエンナーレ2001」という美術の国際展覧会が開催されていた時期だったので、そのレールの上にはオノ・ヨーコさんの汽車を使った作品が野外展示されていました。また、閉ざされていた赤煉瓦倉庫も長い眠りから覚めて、平成14年春のオープンにむけ改装されていました。レトロな風情のあるこのパークを歩くとエキゾチックな気分が味わえます。

横浜シーサイドウォーク:イメージ5

新港橋を渡り、横浜税関の前を通って、最後に「山下公園」を目指します。なお、歩く道すがら足元のマンホールは要チェックです。なぜかというと…それは是非歩いて発見してみてください。とても横浜らしい可愛い絵が描かれていますから。「山下公園」へ着くととっぷりと日は暮れてしまいましたが、夜景の綺麗な中を歩くのもカップルの存在が気にならなければ(笑)また楽しいものです。海には「太平洋の女王」と呼ばれていた豪華客船「氷川丸」がライトアップされて浮かんでいます。正面には106mの世界で一番高い灯台でギネスブックにも載っているマリンタワーがこれまた暗闇にともるキャンドルのように見えます。もっと時間があれば「港の見える丘公園」へ進むのも、マリンタワーへ行くのもいいでしよう。わたしは、お腹も空いてきたので近くにある中華街へ行き、路上で買った肉まんを食べながらJRの関内駅を目指して、帰りはそちらから電車に乗りました。横浜の楽しみ方はいろいろありますが、こんなシーサイドウォークも健康的でいいですよ。また、ビューポイントもたくさんあるので、カメラをもっていくのもオススメです。

-DATA-

場所:
神奈川県横浜市
交通:
行き:JR根岸線・東急東横線・市営地下鉄線「桜木町」駅
帰り:JR根岸線・市営地下鉄「館内」駅
車の場合は首都高速神奈川1号横羽線みなとみらいランプを利用。
駐車場などは「横浜国際観光協会(045-641-4759)」へ問い合わせを
コース:
汽車道→臨港パーク→赤レンガパーク→山下公園
所要時間:
2時間ほど
トイレ:
ビルやホテルなどの施設を利用

丹沢 大山登山

Nov.04, 2001 雨降り山の紅葉

丹沢 大山登山:イメージ1

今回紹介する大山は標高1,252メートル。丹沢の山々の中でも一番東側に位置しており、麓からは大きく平野が広がっています。そのため横浜市や東京都はもちろん、遠く千葉県からもその姿を確認することができるのです。

丹沢 大山登山:イメージ2

代表的な登山道としてはヤビツ峠からのコースと大山ケーブル駅からケーブルカーを利用して終点の下社駅まで行き、そこから徒歩で頂上を目指すコースがあります。しかし今回はそのいずれでもない日向薬師からのコースを紹介したいと思います。10数年前にMTBを担いで山頂を目指し、その時選んだのもこのコースでした。あの頃のことを思い出しながら久しぶりに歩いてみたいと思ったのです。

丹沢 大山登山:イメージ3

日向薬師までは伊勢原駅から神奈川中央交通のバスが出ています。乗車時間は約25分、料金は大人270円です。車を利用する場合は東名高速厚木インターから国道246を伊勢原方面に進み、東海大学病院を過ぎてから市役所入り口交差点を右折。東名のガードをくぐり2つ目の信号(西富岡)を左折。道なりに山の方へ向かうと林道のゲートがあります。沢の水を汲む人たちが集まっているのですぐにわかると思います。その少し手前に広い駐車場があり、そこには無料で駐車できます。

丹沢 大山登山:イメージ4

水場から5分ほど登ると登山口が右側に見え、すぐ側に簡易トイレが設置してあります。とてもきれいに掃除がしてあり、ペーパーもセットしてありました。私がこの登山口に到着したのが朝8時30分。ここからしばらく歩きやすい整備された道が続きます。しかし100メートルほど登ったところからゴツゴツとした岩が現れ、湿っているととても滑りやすいです。

丹沢 大山登山:イメージ5

のんびり登っても1時間ほどでお地蔵様が見えてきます。そこからさらに30分ほど登ると東屋のある広場に出ます。真正面には目指す大山が見え、広場の数カ所にはテーブルが設置してあり、景色もよく休憩するには最適な場所です。天気の良い日には遠く横浜ランドマークタワーや新宿副都心の高層ビル群をはっきりと確認することができます。ここはその景色の良さから「見晴台」と呼ばれています。

丹沢 大山登山:イメージ6

休憩が終わったら正面に見えている大山に向かって歩き出します。ここからは急坂が続きますが景色が良いので休みながら登ると良いでしょう。遠く小田原の海や湘南海岸も見渡せます。周りの景色をさえぎるものがないので鳥になったような気分です。しかし見晴台から1キロほどの道は険しく、両手で岩を掴んで登る場所もあります。若い頃に自転車を担いで登ったなんて信じられません。やがて不動尻ルートとの合流点に到着。山頂はもうすぐです。

丹沢 大山登山:イメージ7

狭い登山道から突然開けた場所に出ると、そこには大きなアンテナとトイレがあります。そこからさらに数メートル階段を登ったところが山頂です。大山は雨乞いの山として古くから信仰されていて、山頂には阿夫利神社があります。現在は屋根の工事中で古社のイメージはありません。紅葉は始まったばかりでこれからが見ごろだと思います。小さな売店にはお湯入りカップラーメンが300円、缶ビールは500円で売られています。

丹沢 大山登山:イメージ8

山頂からは伊豆方面や湘南海岸、そして東京方面まで見渡すことができます。しばらく眺めをたのしんだら、ぜひ階段を降りてトイレの裏側からアンテナ施設の方へ行ってみてください。そこからは富士山をはじめ、丹沢の山々がとてもよく見えます。せっかく大山に登ってもこの場所を見過ごしてしまう人は多いです。

丹沢 大山登山:イメージ9

山頂へはゆっくり登っても3時間はかからないのではないでしょうか。しかし山は天候や季節によっても状況が変わります。出かけるときは余裕を持った計画を立てるようにしてください。また、登山道には岩も多く、濡れていると滑りやすいです。特に下りの岩場は注意が必要です。今回も転倒しているハイカーを見ました。

丹沢 大山登山:イメージ10

帰りのルートとしては見晴台から右に折れ、ケーブルカーを利用して帰る方法もあります。また、同じルートを日向薬師方面に下る場合は登山口から1キロほど下に「クアハウス山小屋」という施設があります。ここには釣りやキャンプ施設だけでなく、温泉もあります。登山の後の疲れた体を癒すにはアロマオイマッサージがおすすめです。

丹沢 大山登山:イメージ11

日向地区周辺はみかん狩りが有名で、農家の玄関先で購入することもできます。左の写真のみかんは1袋100円で売られていました。店番をしていたのは5歳くらいの女の子です。食べてみると甘い。「ありがとうございました」と言う彼女の声とみかんの味が下山後の疲れを飛ばしてくれました。

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場所:
神奈川県伊勢原市日向
交通:
小田急線伊勢原駅北口から「日向薬師行き」に乗り(大人270円、子供140円)、終点で下車、徒歩約45分。
駐車場:
登山口付近に大きな無料駐車場があります。
トイレ:
登山口と山頂にあり、どちらもきれいです。
参考:
「クアハウス山小屋」http://www5b.biglobe.ne.jp/~yamagoya/

小豆島洞雲山

Nov.03, 2001 お遍路さんに会える小豆島の山

小豆島洞雲山:イメージ1

面積152平方メートル、瀬戸内海に浮かぶ小島。陽光を映す海、壮大な山々、のどかなオリーブ林・・・。小豆島は、壷井栄著「二十四の瞳」や、紅葉の寒霞渓など知られるところだが、その周囲の地形が四国のそれと酷似していることから別名、「島四国」との愛称でも親しまれている。300年前くらいから、四国八十八ヶ所巡りを丁度10分の1程の規模に縮小した「小豆島八十八ヶ所巡り」とよばれる霊場巡りがある。現在では、島内の30の寺と約60の行場や庵が、その札所に指定されており、霊験あらたかであることから、一年を通して、お遍路さんの鈴の音が島内に響き渡っている。一番札所に指定されている洞雲山は、標高391mの洞雲山山頂にある。その付近からの見晴らしが、小豆島随一だと以前から耳にしていたので、お遍路さんになった気分で登ってみたいと思った。

小豆島洞雲山:イメージ2

9時30分、神戸中突堤より関西汽船のフェリー「さんふらわー」号に乗船。神戸タワーの朱色の鉄塔やハーバーランドの観覧車がみるみる小さくなっていく。出航より1時間後、前方に、全長3911メートルを誇る明石海峡大橋が間近に迫り、私達の見上げる頭上をゆっくりと通過していった。

小豆島洞雲山:イメージ3 小豆島洞雲山:イメージ4

小豆島南端に位置する坂手港にフェリーが着岸したのは、それから2時間後であった。船を降りて登山のスタート地点に立つ。目指すべき洞雲山は、港より東側正面。岩盤を剥き出しにして、小高く聳えていた。リュックサックを背負いなおし、歩きはじめる。民家の中を5分ほど進むと、地元の方がみかんを販売していた。ネットに4つ入って100円。その甘いみかんを頬張りながら山側にルートをとると、なだらかな坂道に入った。海側を見下ろすと、坂手港に接岸するフェリーはすっかり小さくなって、まるでオモチャのよう。瀬戸内海へ下りる傾斜には、はっさく畑、オレンジ畑、オリーブの林が美しく広がっていた。そこからアスファルトの道を40分ほど登ると、乳牛が放牧される牧草地があり、しばらく行くと、一心寺の朱色が、見下ろす海の青に映えていた。坂道は、相変わらずゆるやかな勾配を描いて、先に続いている。15分ほど登って、展望台(標高380m)に到着した。正面には、無数の小島が点在する瀬戸内海の大展望。やがて、平坦な道となり、周囲には、樹木が目立ちはじめる。樹間から海を見ながら木立の陰を歩くと、10分ほどで洞雲山の山門に辿り着いた(標高391m)。

小豆島洞雲山:イメージ5

境内に入ると、樹齢1000年といわれる老杉があり、その先に、大師堂、礼拝堂が並んでいた。右手には、岩壁を刳り貫いた洞窟。中には、本尊の毘沙門天が祀られている。その岩窟では、夏至の前後50日の午後3時頃、太陽光線を受けて、観音像が浮かび上がるという。現地の記述は以下の通り。「岩壁に太陽の光で観音様(マリア)の御姿が出現します。始六月一日~終七月二十日の五十日間、毎晴天日、午後三時五分、発見八年目世界一カ所」。何とも不思議な話である。訪れたのは11月上旬。次に来るときは、時期と時間を調整して、この現象を見てみたいと思った。

小豆島洞雲山:イメージ6

帰りは、来た道を下るばかりである。陽光に輝く瀬戸内海と点在する島々が、再び広がりはじめ、オレンジ色のフェリーの船影が小さく見えた。

小豆島洞雲山:イメージ7

今回の登山は、坂手港から洞雲山山頂にかけての往復約6キロ。やや急な坂道が続くが、道は、全アスファルトであるし、標識があちこちに立っているから、困る個所は特にない。2時間あれば港に戻ることができるだろう。ただ、日帰りの予定で、すぐに復路の船に乗船する場合、登山開始から2時間半後の出港となるので、注意が必要だ。のどかな小豆島の景観を楽しみつつも、時計だけは小まめに見ておきたい。

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場所:
香川県小豆郡土庄町
交通:
大阪南港フェリーターミナルまたは、神戸中突堤から関西汽船で小豆島坂手港、片道3~4時間半
トイレ:
坂手港、一心寺、観音寺、洞雲山

深川でぶらり吟行気分

Nov.02, 2001 太陽の下で楽しもう

深川でぶらり吟行気分:イメージ1

「吟行」とは、俳句を作るために郊外、名所に出かけることです。松尾芭蕉は、そんなアウトドア文学である吟行の第一人者。彼が東京の深川六間堀から「奥の細道」の漂泊の旅に出たのは元禄二年(1689)三月のこと。今からざっと三百年ほど前の話です。その間、彼が生活をし、旅立っていった深川エリアは、かなりの変貌をしたことと思います。そんな芭蕉の足跡を偲びながら、深川をぶらぶらと歩き、ちょっとした吟行気分を味わってみたいと思いたちました。といっても、俳句など作ったことのない浅学非才の身。なので、あくまで気分です、気分。まずは、都営地下鉄新宿線の森下駅で下車し、清澄通りをまっすぐに進み、「海辺橋」を目指しました。海辺橋は、芭蕉が「奥の細道」にいく際、ここで船に乗り、ここを流れる仙台堀川から隅田川に出たと言われる場所です。旅発つ前に宿泊したという採茶庵跡も残っていて芭蕉の銅像が建物の縁側に腰を降ろしていました。出発当時、芭蕉の年齢は46歳、ここから七ヶ月に及ぶ諸国行脚は始まったのです。この仙台堀川は、水辺の散歩道になっていて、芭蕉の詠んだ歌の看板が川に沿って等間隔に十八句あります。俳句のお勉強、ということで一枚、一枚、丁寧に読んで歩いていきました。ここは桜並木になっていて、きっと花咲くころは綺麗だろうな、なんて思ったりもしながら。

深川でぶらり吟行気分:イメージ2

たくさんの鴨がぷかぷか浮いていた仙台堀川の水辺の散歩道を歩いた後は、右折して「万年橋」へ行きました。今は鉄の橋になっていますが、万年橋は浮世絵にも描かれた有名な橋です。歌川(安藤)広重は、「名所江戸百景」で、また葛飾北斎も「富嶽三十六景」で描いています。橋にあるポケットパークにはその絵のレリーフがあります。今はここから富士山は見えませんが、きっと芭蕉の生きていた時代ならば、富士山のよく見えるビューポイントだったのでしょうね。レリーフと比較しながら、過ぎていった時間の重みを感じました。川を吹き抜ける風も気持ちいいです。

深川でぶらり吟行気分:イメージ3

万年橋の下を流れる小名木川は、徳川幕府が塩運送のために作らせた運河で、墨田川に出るようになっています。今でも小名川には、行きかう船の姿もときより見ることができます。そんなに大きな川ではないけれど、船が飛沫をたてて通ると、水面がきらきらと光り、海の匂いがするので驚きました。そこで一句。「天高し万年橋に磯の風」。うー、オソマツ。橋のたもとにある説明ボードを読むと、ここから見える清州橋は、ドイツのケルン市にあるライン川のつり橋をモデルにしたといいます。万年橋のこのポジションから眺めるのが、一番美しく「ケルンの眺め」と呼ばれています。万年橋の下を降りると、墨田川テラスと呼ばれる整備された綺麗な遊歩道があり、墨田川に沿ってウォーキングする人とたくさんすれ違いました。私も少し早足で歩いてみました。川べりを歩くというのは、こんなに気持ちがいいものなのかと改めて思いました。ベンチで休憩していると、尾の長い冬羽のグレーかかったハクセキレイが側に来てチュチュン、チュチュンと尻尾を上下にゆらし寄ってきてくれます。水辺の鳥とこんなに間近で出会えるのも川べりウォーキングの魅力ですね。きっと、芭蕉も旅の途中で出会った動植物を励みにし、歩きながら季節の移り変わりを感じていたことでしょう。

深川でぶらり吟行気分:イメージ4

次は、本日のメインである「芭蕉記念館」へ行きました。館の前には、芭蕉の木がお約束のように植えてありました。芭蕉の俳号(ぺンネーム)の由来にもなった芭蕉の木をまじまじと見るのは初めてです。そもそも「芭蕉」という名前は、庭に植えられた芭蕉の木を観察しているうちに気に入り、そこから名乗るようになったといいます。ちょうど秋、二メートルほどに伸びた芭蕉の葉は風に葉音を立て、葉脈に沿って裂けやすくなります。それを「破れ芭蕉」といって季語にもなっているそうですが、視点を変えて歩くと樹一本でも興味津々です。そこで一句。「芭蕉葉やはじめて知る街みな新鮮」。五七五とただ言葉を並べればいいというものではありませんが、まずは練習ということで・・・。館内は芭蕉の資料でいっぱいでした。

深川でぶらり吟行気分:イメージ5

館の庭には、季節の花が植えられていて、さながら立体植物図鑑のようで勉強になります。また、高台から館の後ろに流れる墨田川が見えます。ちょうどこの館の後ろのあたりに、あのゴッホも模写した広重の浮世絵「おおはしあたけの夕立」の「大はし」がかかっていたといいます。今はないのですが、当時の江戸の人々が通っていた姿を想像するのも楽しいものです。また、芭蕉の足跡を綴った銅版の俳画が塀にそって立てかけてありました。なんでも素材を銅版にしたこだわりは、時の経過にともなう酸化作用をねらい、侘び寂びの世界を意図しているからだといいます。ウィットに富んだ遊び心ですね。塀の下の遊歩道に降りると石で出来た芭蕉の歌碑も点在していました。まさにここは芭蕉づくしです。なお、館の庭には歌碑や投句用のポストもあります。腕に自信のある方は、是非自作の俳句を投函してみてください。私はもちろん、お恥ずかしいので遠慮しておきます。

深川でぶらり吟行気分:イメージ6

次は、芭蕉庵跡へ向かいます。ここは芭蕉が住んでいたところで、今は小さな芭蕉稲荷神社となっています。なんでも大正六年の大津波で芭蕉遺愛といわれた石の蛙が発見され祀られています。社内の錆びたポストの中には、記念スタンプ台と来訪記念ノートがありました。三百年たっても、愛され尊敬され、私みたいにオマージュ気分で散策する人がいるなんて、やはり松尾芭蕉は偉大だな、と改めて感じました。時間によって体の向きが変わるという芭蕉の銅像がある「芭蕉庵史跡展望庭園」は、閉館時間が早くて入れませんでした。けれど隅田川の遊歩道に降りて見上げてみると、ライトアップされた芭蕉の座像が見えました。薄暗くなったときに見るとちょっと不気味です。一日、墨田川沿いを歩いて思ったことは、アウトドアで感じたことをすらすらと歌にできたら素敵だろうな、という思いでした。また、歌を作るぞ、と思って観ていくと新たな「自然への気づき」が生まれてきます。下手でもいいから、吟行気分で体全身を研ぎ澄まして深川を歩いてみるのは楽しいですよ。

-DATA-

場所:
東京都江東区
コース:
都営地下鉄新宿線「森下」駅下車 → 清澄通り直進 → 「海辺橋」・採茶庵跡 → 「万年橋」 → 「芭蕉記念館」 → 「芭蕉稲荷神社」「芭蕉庵史跡展望庭園」
駐車場:
適当な場所はみつかりません。電車を利用しましょう。
トイレ:
芭蕉記念館
芭蕉記念館:
開館時間9時30分から17時まで。月曜休館。月曜が祝日の場合は開館。入館料100円。
リーフレットをもらったら、来館記念スタンプを押しましょう。芭蕉の俳句と日付入り。
江東区常磐1-6-2 電話03-3631-1448
芭蕉庵史跡展望庭園
開館時間9時15分から16時30分まで。無料
割烹「みや古」:
営業時間11時30分から14時・16時30分から20時。月曜休み。蕉記念館すぐそば。
あさりの入った深川丼が有名です。江東区常磐2-7-1 電話03-3633-0385

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