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浅湖湿原
Sep.29, 2001 秋の尾瀬沼から尾瀬ヶ原を歩く

浅湖湿原は尾瀬沼の北東部にある小さな湿原である。今回は秋に浅湖湿原(あざみしつげん)を通って尾瀬沼から尾瀬ヶ原へと歩くルートを紹介したい。尾瀬沼の沼尻から尾瀬ヶ原の見晴は多少アップダウンがあるので、初心者向けではなく、初級者向けのルートだが、下りの多い尾瀬沼から尾瀬ヶ原なら楽に歩けると思う。

早朝バスを降り、沼山峠休憩所から尾瀬沼へ向かう。ここは「尾瀬沼」のレポートと重複するところなので、そちらも参照していただきたい(トレッキングレポートNo.7001)。私の行った9月末には紅葉が始まっており、林の中のウルシ類やナナカマドが色付き始めていた。沼山峠休憩所から20分ほどの登りで尾瀬沼が見えるベンチが並んでいるところでは、尾瀬沼方向の手前の紅葉も色付き、秋の雰囲気だ。ここから大江湿原へ出るまで、左側の木の紅葉が霜に縁取られていた。大江湿原へ出ると、湿原全体に白く霜が降りている。陽が当たっている所は霜が解けだしている。大江湿原の木道をゆるやかに下って行き、尾瀬沼が近くなってくる。右手に見えてきた燧ヶ岳もまだ紅葉は始まっていないようだ。右へヤナギランの丘への道がある。ヤナギランは8月に花を咲かせ、9月末のこの時期には白い穂のような実になっている。三叉路が有って、まっすぐ先すぐ近くに尾瀬沼ビジターセンターと2軒の山小屋がある。右へ進むと今回紹介する尾瀬沼から尾瀬ヶ原へと、尾瀬を東から西へ縦断するルートになる。

三叉路から右へ行くと、川を渡り大江湿原のシンボルになっている三本松の横を通って樹林の中へ入っていく。右に燧ヶ岳の登山道を分け、間もなく視界が開け、浅湖湿原に出る。大江湿原と比べると小さな湿原だが、こちらの方がクサモミジがきれいに残っている。湿原の向こうに青く尾瀬沼が見える。湿原の周りの林では、湿原に近い木から順に紅葉し始めているようだ。湿原を通り過ぎ、樹林帯に入る。足元には夏に白い花を咲かせたゴゼンタチバナが赤い実を付けている。ツルにぶら下がるように付いている赤紫色の実は、ツルリンドウの実のようだ。朽ちた木にはかわいらしいキノコが生えていたり、秋を感じさせてくれる道だ。樹林の中の道が長く続き、時々尾瀬沼の湖面が見える。やがて広めの湿原が現れる。沼尻(ぬしり)湿原である。沼のそばに沼尻休憩所が見える。右へ湿原を通って燧ヶ岳へ南からの急登のナデッ窪と、左へ尾瀬沼の南岸を通って三平下へ行く道が分かれている。直進して尾瀬ヶ原へ向かう。すぐに沼尻のソバ屋がある。樹林帯を少し行き、川を渡ると、今回のルートでは最後の小さな湿原である白砂湿原だ。池塘のふちのキンコウカが花は終わったものの黄金色になっている。湿原を横切る木道を行き、岩がゴロゴロしたところの登りがあって、白砂峠を越えると、あとは尾瀬ヶ原へ向かって段小屋坂の下りである。木々はほとんど緑のままだが、ブナやダケカンバは黄葉が始まっている。小さな沢を2、3通ると、イヨドマリ沢という少し大きめの沢がある。ここでは水を飲んだり休憩している人が多い。沢の先ではマユミの葉が赤くなり、赤くはじけたような実がぶら下がっている。樹林帯のゆるやかな下りをこなしていくと、右から燧ヶ岳からの下りの道を合わせ、間もなく、尾瀬ヶ原の東端の見晴(みはらし)に到着だ。見晴は尾瀬で最も多く山小屋のある所だ。弥四郎小屋の前に湧き水があり、小屋ではこの水を使ったコーヒーを淹れてくれる。弥四郎小屋前からは、一面クサモミジの尾瀬ヶ原が広がり、はるか彼方に至仏山が見える。振り返ると燧ヶ岳がずっしりとした姿を見せている。見晴で一泊した後は、尾瀬ヶ原を回って、鳩待峠へ抜けても良いし、赤田代から三条の滝、裏燧林道を経て、御池へ抜けても良いだろう。

夏の浅湖湿原はコバイケイソウの花や、ワタスゲの果穂がある。沼尻湿原も同じ様な植生であり、6月にはタテヤマリンドウの小さな花も多い。段小屋坂には6月頃コミヤマカタバミなど小さなスミレ系の花が咲く。春から秋を通じて、尾瀬沼から尾瀬ヶ原の通り道としてだけではなく、それぞれの小さな湿原を楽しみたいと思う。
-DATA-
- 場所:
- 福島県南会津郡檜枝岐村
- タイム:
- 計5時間30分 沼山峠休憩所(20分)沼山峠(50分)尾瀬沼東岸(10分)浅湖湿原(50分)沼尻(20分)白砂湿原(1時間40分)見晴十字路(休憩、食事の時間は含んでいないのでご注意下さい)
- 交通:
- 鉄道・バス:
1.浅草から東武鉄道の特急や夜行列車で会津高原まで行き、接続する会津バスに乗り換え沼山峠へ入る。
2.池袋・新宿などから出る夜行バスの沼山峠行きで入る。 車: マイカーは沼山峠の手前の御池までしか入れないので、御池の駐車場に車を駐め、シャトルバスで沼山峠へ入る。
土日など混雑が予想される日は、更に手前の七入までしか車は入れないので、同じように駐車場に駐め、シャトルバスにて沼山峠へ。 - 駐車場:
- 御池、七入 両者とも有料
- トイレ:
- 沼山峠休憩所、尾瀬沼東岸の尾瀬沼ビジターセンターの裏、沼尻休憩所、見晴
- 自動販売機:
- 入山口の沼山峠休憩所のみ、山小屋に売店有り
- 水場:
- 各山小屋、沼尻休憩所、見晴
- 携帯電話:
- 盆地状なので尾瀬沼全域で圏外。2002年以降に尾瀬ヶ原でi-modeのみ非常時に通話可能になる予定。
二ヶ岳トレッキング
Sep.29, 2001 読書向きの低山

最寒気が流れ込んで涼しい日が続いている。久しぶりの天気、しかも明日の日曜はまた崩れるという。どこかへ行かなければ。急なことなのでまだ目的地が決まっていない。夜には仕事もあるので手軽に行けてなおかつ景色の良い山、山頂でビールを飲んで本を読む。過去の山行記録の中から十二ヶ岳を選んで出かけることにした。ザックには勿論ビールと辻まことの本を入れた。

関越道渋川伊香保インターで降りR353を中之条方面に向かう。この道を通称「日向道」といい、吾妻川を挟んだ対岸に併走する道を「日陰道」という。十二ヶ岳へは南面に二つ、北面に一つの登山道があるが南面の一つが主に使われていて、そのほかは通る人もまばらで、おかげで静かな山登りが楽しめる。今回は南面西側にあるルートを選んだ。山麓近くになると道路端にいくつか登山口の標識が現れる。しかし本コースは小野上温泉駅の数10m手前で、JR吾妻線の高架線路をくぐったすぐ先にある。登山道入り口を表す標識より「今成建材工業」の青い大きなな看板が目印だ。そこを右に入り坂を上る。踏切を渡った先の交差点を直進すれば後は道なりに進むだけだ。採石場を過ぎると突然荒れたダートの道になる。普通車にはたじろぐような道だがわずかな区間である。再び舗装になり大きく右にカーブしたところに登山口がある。しかし路肩に駐車スペースはないので車の場合はその先にあるダート道に入る。しばらく登り上がった突き当たりに4~5台駐車可能だ。またそこは先ほどの登山道から15分歩いたあたりで、ショートカットしたことにもなる。ここにも登山道を示す標識がある。

ヒノキの植林地につけられた道をしばらく歩くがすぐに尾根上の雑木林になる。この時期はクリが山のように落ちていて、これを目当てに登る人もいるようだ。ドングリ類もたくさんある。木の枝からはジネンジョの蔓が延びていて食物の豊富な山だ。それだけに動物もいるようで、カモシカが掘り起こした場所がところどころにある。すれ違った人がクマに会ったことがあると言ったが、それも頷ける。

道は緩やかに登り「見透し台」に出る。ここから吾妻川や榛名山、赤城山や関東平野北部が見渡せる。ルートは直角に折れ一度わずかに下る。その鞍部には赤錆びたワイヤーや鉄柱の一部が落ち葉の下に隠れていた。林野作業に使用した名残だろう。ここから再び登り返す。コース中最も急登だ。次第に細い尾根状になりそれとともに滑りやすくなるので注意が必要だ。木に掴まりながら登るとその斜度も鈍くなりツツジのトンネルを抜けると山頂一つ手前のピークに着く。ここに左から合流する大原からの道があった。以前は標識もなく踏み跡程度の道だったので猟師道か何かと思っていたが登山道として整備されたようだ。(注:このルートに関して「群馬の山・2」上毛新聞社刊に以下のようにある。大原地区からの登り口、および十二ヶ岳からの下り口ともにヤブに覆われて判然としない。経験のあるもの以外は利用すべきではない。)更に歩を進めるとピーク直下でメインルート(南面東側)の女坂と出会う。さらに5分ほどで山頂に立つことができる。

山頂は木のない狭い台地状で尾瀬、谷川、白根、浅間、荒船と上信越国境の山々や遠く北アルプスや富士山も一望できる。また関東平野や赤城、上州武尊と360 度の展望が開けている。それだけに人気の低山でやはり今日も10人ほどの人がいた。山頂での読書は諦め先ほどの大原へ下る道に入った。やはり尾根上で西に延びていた。登路よりもなだらかでマウンテンバイクに良さそうだ。途中のホウの木の下でマットを敷きビールを開けた。
下山は一度登路に戻るも面倒なので谷をトラバースした。落ち葉の堆積した斜面は足下が定まらず歩きづらい。カモシカのつけたケモノ道が割合歩きやすいことに気づいた。しばらくして登路に出たが、ここも踏み固められ地肌の露出した路面より脇の落ち葉の上の方がクッションになって足への負担が少ない。大股で踵からずんずん降りていくとすぐに鞍部、見透し台で再び景色を眺めた後アカマツの根本にマツタケを探しながら走り降りた。マツタケはなかった。
-DATA-
- 場所:
- 群馬県北群馬郡小野上村
- 交通:
- JR吾妻線「小野上温泉駅」下車、徒歩およそ1時間。
- 駐車場:
- 登山口脇の林道を詰めたところに数台可。
- トイレ:
- なし。
- 温泉:
- 小野上温泉センター:0279-59-2611
あずま温泉桔梗館:0279-59-3533 - メインルート:
- (南面東側)JR吾妻線「小野上駅」下車。駅前より国道353を西に二つ目の信号右折し、標識に沿って1時間で登山口。
- 参考:
- 「群馬の山・2」「群馬の山歩き130」ともに上毛新聞社刊。
- お奨め:
- 展望は群馬屈指。新緑期の雪の被った上信越の山々が美しい。
宮城県七ヶ浜町の海岸美景
Sep.24, 2001 美しき海の見える町

宮城県七ヶ浜町は、仙台市のほぼ東方にある海沿いの小さな町だ。人口が約2万人、面積はわずか13キロ平方メートル。陸地からつきでたような半島状の地形になっており、北、東、南の三方が海に面している。とくに北側の海岸からは、京都の天の橋立、広島の宮島とならぶ日本三景として有名な松島湾をながめることができる。この町はシーサイドタウンなので、海から風が吹いているときは町のどこにいても海の潮の香りを感じることができる。今回は、この七ヶ浜町の海の景勝地を紹介したい。なおhttp://www.h3.dion.ne.jp/~dditop/tizu2.htmlにて七ヶ浜町の名所地図を見ることができる。

湊浜緑地海岸
この海岸は町の南西部の位置にある。とにかく海の波がおだやかで、とてもおちついた雰囲気のする海岸だ。波打ち際から南西の海の方をながめると、遠くに仙台港の灯台がぼんやりと見える。そして、旅客船や貨物船がその港に行き来しているところも見える。浜辺のまわりには緑地公園があり、草木の鮮やかな緑が美しい。

菖蒲田浜・小豆浜・表浜
湊浜緑地海岸から海岸線に沿って東へしばらく進むと、菖蒲田浜・小豆浜・表浜という三つの砂浜がつらなっている。ここは宮城県内でも屈指のマリンリゾート地であり、夏になると数十万人の海水浴客が訪れる。夏以外でもサーフィンやウィンドサーフィンなどのマリンスポーツを楽しむ人も多い。写真を見てほしい。空の淡いブルーと海の深いコバルトブルーが強い爽快感をかもしだしている。その光景の中、浜辺でゆるやかな潮風とやさしげな陽の光をうけながらおだやかな波のくだける音を聞いていると、とても心地がいい。
花渕小浜港・吉田花渕港
町の東部に位置し、菖蒲田浜・小豆浜・表浜から北東へ進んだところにある港だ。二つの港は隣接しているが、小浜港の方にはヨットハーバーがあり、数多くのヨットが係留されている。これらの港には白くて小さな灯台が二つほどあるが、雲一つなく晴れわたった紺碧の空と太陽の光をあびて白く輝く灯台との強烈な色彩のコントラストがまぶしいくらいに美しかった。

多聞山展望広場公園
ここは町の最北部に位置し、森林公園のようになっているところだが、この公園内にある毘沙門堂のわきからは日本三景の松島をながめることができる。ここは宮城県鳴瀬町の大高森、松島町の富山、扇山とならんで松島四大観の一つに数えられている。山の木々のあいだからは松島湾とそこに浮かぶ多くの島々がおりなす雄大な景色がひろがっており、それはまさにあの俳人・松尾芭蕉を感嘆させた絶景である。

さて、七ヶ浜町の海の景勝地を紹介してきたが、最後にこの町の移動手段について述べておきたい。この町は、小高い丘がつらなっており、起伏の激しい地形になっている。平地は海岸や港付近にしかない。そのため、この町を移動する手段として徒歩と自転車はおすすめできない。かなり体力を消耗するからだ。私の場合、自転車に乗ってこの町を移動したが、やはりかなり疲労した。鉄道が通っておらず、バスの運行本数も少ないことから、この町を移動する際には、自家用車、レンタカー、オートバイなどを利用した方がいいだろう。また、今回はこの町の海の景勝地を紹介したが、内陸部にも君ヶ丘公園、大木囲貝塚公園などといった草花や木々の美しいところがあるので、そちらに行ってみるのもいいだろう。
-DATA-
- 場所:
- 宮城県宮城郡七ヶ浜町の海岸付近
- 交通:
- (車を利用した場合)
仙台市中心部から七ヶ浜町内まで国道45号線か産業道路を通り約1時間。
(電車とバスを利用した場合)
①JR仙台駅から仙石線の多賀城、東塩釜、石巻行きのいずれかの電車に乗り、多賀城駅にて下車。所要時間約20分。
多賀城駅前で宮城交通バスの菖蒲田行きか汐見台団地行きに乗り、湊浜入口にて下車。所要時間約20分。そこから徒歩約10分で湊浜緑地海岸。
②JR仙台駅から仙石線の東塩釜、石巻行きのいずれかの電車に乗り、本塩釜駅にて下車。所要時間約30分。
本塩釜駅前で宮城交通バスの菖蒲田経由七ヶ浜循環か割山経由七ヶ浜循環に乗車。所要時間約30分で七ヶ浜町内に入り各所で停車。 - 駐車場:
- 湊浜緑地海岸、菖蒲田浜、多聞山展望広場公園に無料駐車場あり。
- トイレ:
- 湊浜緑地海岸、菖蒲田浜、多聞山展望広場公園内に公衆トイレあり。
芳ヶ平
Sep.24, 2001 リンドウ咲く草津白根山の麓の湿原

芳ヶ平は草津白根山の北側のふもとに広がる湿原地帯である。群馬県の北西部の長野県に近いところになり、標高は1830mである。スノーレポート「六合村~芳ヶ平スキー行」にもあるように、冬はクロスカントリーで知られる所だ。春から秋にかけては、300種ほどの高山植物が咲く。最も花が多く咲くのは秋のリンドウらしく、背の低いオヤマリンドウと、背が高めで、花が上下に連なって咲くエゾリンドウの2種があるという。湿原の草紅葉(クサモミジ)が見頃になり、リンドウはピークは過ぎかけているがまだ見られるということなので、出かけてみることとした。

車で行き、上信越自動車道を松井田妙義ICで下りると、軽井沢方面への直進する道路が、先週来た台風の影響で通行止めなので、迂回して軽井沢方面へ向かうこととなった。軽井沢を経て嬬恋村に入り、万座鹿沢口駅前を通過し、国道292号から左へ折れて万座温泉経由で行こうとすると、ここも通行止めなので、そのまま国道292号を通って草津温泉を経由して草津白根山方面に向かうこととした。白根山駐車場に車を駐車すると、白根レストハウスから草津白根山の湯釜へ登る人の行列が出来ている。芳ヶ平へはこの列にいったん加わったあと、レストハウスから一段下がったところから右へ折れて進んで行く。白い岩でできた草津白根山を左に見ながら、山を捲くように道がついている。草津白根山付近からは有毒なガスが出ているため、左側は立入禁止で柵が続いている。道の右側には柵は無いものの、足元にリンドウが咲いており、他にも咲き終わってはいるが高山植物が有るので、道を外れないように、歩いていこう。このあたりで足元に咲いているリンドウは、背の低いオヤマリンドウが多い。なだらかな下りの道を行き、道が草津白根山を回り込んで、左へカーブしながら続く。左からの小さな流れを渡ると、左側にススキの白い穂が多くなり、その向こうの岩肌からは白い噴煙がわずかに上がっている。「有毒ガスが発生する場合があるので、この付近で立ち止まらないで下さい」との表示がある。立ち枯れている木や、根っこだけが残っている木があちこちに転がっているが、以前にガスにやられて枯れたものなのだろう。道の脇の背の低い植物が、実を付けている。青や黒の実があり、これらの実は、周辺に住む昆虫の食料となるので採らないで下さいとの掲示がある。それにも関わらず、登山道をはずれて実を袋いっぱいに採っている人が2人もいたのには驚いた。彼らは自分のしていることがどういうことなのか判っているのだろうか。注意してもこちらが悪者のように扱われてしまうので困ったものだ。

気を取り直して、坂を下っていくと笹が生い茂った中に、ナナカマドの木がポツンポツンとあって、葉が赤く紅葉を始めている。実も赤く色づいている。左下の方に芳ヶ平ヒュッテの建物が見えてくる。芳ヶ平ヒュッテは通年営業で、食事のメニューも揃っている。ヒュッテから少し進むと、湿原と小さな池塘がいくつかある芳ヶ平の核心部に着く。池塘にはカモがいるのだが、人に慣れているようだ。道がまっすぐと左に分かれているので、左に折れ、芳ヶ平を周回する道に入る。右はこんもりと盛り上がった丘で、左に湿原と池塘がある。湿原は赤っぽいクサモミジにおおわれている。池塘は割と深いようで、ヒツジグサなどは生えていないようだ。池塘の向かい側の樹木が赤く紅葉を始めていて、水面にも映っている。周回する道の中間部に広がる湿原では、カヤなどの背が高めの植物が多くカヤの中にポツリとリンドウが咲いている。丘の周りを回って、T字路に出る。左は渋峠への登りの道で、右へ少し行くと、先程カモが出迎えてくれた所に出る。ヒュッテの前を通って、白根山駐車場への帰りは緩やかな登りである。

平年のリンドウの見頃は9月下旬から10月中旬だが、2001年は夏の訪れが早かった分、秋の花も早く咲き出して、私が行ったときはリンドウ見頃の終わり頃だったようだ。芳ヶ平には6月下旬のワタスゲの果穂などたくさんの高山植物が花を咲かせるし、始まりかけていた紅葉ももう少し後に行くと良さそうだったのでまた訪れたいものだ。
写真は上から、芳ヶ平前景、オヤマリンドウ、芳ヶ平近くのナナカマドと笹、池塘、クサモミジの湿原。
-DATA-
- 場所:
- 群馬県吾妻郡六合村
- タイム:
- 計2時間15分:白根山駐車場(40分)芳ヶ平ヒュッテ(芳ヶ平一周15分)芳ヶ平ヒュッテ(1時間20分)白根山駐車場
- 鉄道・バス:
- JR吾妻線長野原草津口下車、JRバス白根火山口行き終点下車
- 車:
- 上信越道を松井田妙義ICでおり、国道18号を軽井沢へ向かう、軽井沢から国道146号で長野原へ、国道292号で草津温泉を経て草津白根山へ。もしくは万座温泉を経て草津白根山へ。
- 駐車場:
- 白根山駐車場
- 自動販売機:
- 白根山駐車場
- トイレ:
- 白根山駐車場
- 携帯電話:
- 圏外の個所がほとんど
- 公衆電話:
- 白根山駐車場
槍ヶ岳(3180m)
Sep.23-24, 2001 早起きして、一番槍
秋の晴天時に槍ヶ岳に登り、槍の穂先からの眺望と日の出が見たくなった。新穂高ロープウェイ乗り場の有料駐車場まで車を乗り入れ、まずは車道歩きから始まる。サワグルミやトチノキの林の中を、白出沢までおだやかに進む。白出沢からは、ごろごろした岩の道と、谷の横断を繰り返す。ゆるやかに高度を上げて槍平小屋に着く。小屋を過ぎ、谷を詰めていくと上りがきつくなってくる。最後の水場を過ぎると、休み休みの登り。高山病が現れたのだろうか力が出ない、水ばか
り飲む。そういう時はどっかり腰を落ち着けて好きなものを食べて休憩するしかない。谷を右に巻きつつ岩礫帯を進むと、上部に槍岳山荘が見える。本日の宿泊地が見えたのを励みに高度を上げていく。休憩がてら遠方を眺めると、黒部源流方面の水晶岳、鷲羽岳、三俣蓮華岳、黒部五郎岳などが確認できる。視界を横切るのは、谷間を飛ぶ冬毛のライチョウだ。

飛騨乗越に着くと、槍の穂先に大勢の登山者がへばりついているのがわかる。繊細なジオラマのようだ。標高3060mに建つ槍岳山荘は連休ということもあり、中に入りきらないくらいの人手でにぎわっている。人気山域一極集中現象にうんざりしながらも、とりあえず早めに宿泊の受付を済ます。登山客が多いので、まともな夕食は出ないだろうと、食事は持参してきた。素泊まりの方がかなり安上がりである。そして2段になった寝床に荷物を置くと、一眠りすることにした。あとで知ったのだが、高山病にかかったときは横にならないで軽い散歩などをした方が、早く高地順応するそうである。私はたまたま壁にもたれてうたた寝をしたため、その後高山病が悪化することはなかった。

起きたらかなり元気になった。日の暮れる前に槍の穂先を目指して上り始める。簡単に登れるかと思っていたら、人が多くて順番待ちとなる。待っている間は雲ノ平、笠ヶ岳、穂高方面を日向ぼっこしながら眺めている。すんなり行けば30分で山頂らしいが、この日は1時間20分かかった。山頂に立つと、北は立山・剱から白馬・後立山連峰と、その先に妙高まで見渡せる。東から南にかけては大天井岳、常念岳はもちろんのこと、浅間山から富士山まで見ることができた。これ以上ない360度の大展望である。近くに目を移すと、ピラミダルな槍の陰が西岳を突き刺すように伸びていく。山頂での感動の余韻に浸りつつ、続々やってくる登山者のために山頂を譲り下山する。そして西鎌尾根方面に少し下りた平地に三脚とカメラをセットし、落陽の写真をねらう。美しい景色に言葉は要らない。ただ眺め、感じるだけである。夕食後は満天の星を首が痛くなるまで見続ける。時折走る流星に、明日の晴天と山行の無事を祈る。

2 日目はご来光を拝むために、周りが寝静まっている夜明け前に、静かに山頂に発つ。ヘッドランプの明かりを頼りに岩をつかむ。日の出時刻よりもかなり早めに出たためか、その日一番に槍に立った。カメラの三脚をセットし、後から来た約30人の登山客とともにその瞬間に備える。5時30分、紺碧の空が白白して、周りの山々のシルエットが絹雲とともに浮かび上がる。東方の浅間山の肩が明るくなったかと思うと、輝く太陽がゆっくりと姿を見せる。あまりの神々しさに自然と手を合わす人がいる。ご来光をしっかり目に焼き付けてから槍岳山荘に戻る。

すがすがしい気分で朝食を済ませたら、南岳経由で新穂高まで下ることにする。槍岳山荘から飛騨乗越まで下り、南に延びる稜線を伝う。すぐに大喰岳の山頂である。槍と穂高の間の単なる通過点のように見えるが、日本で第10位の高峰である(3101m)。山頂からは槍岳山荘と穂先を背景にした記念写真が撮れる。大喰岳の先には中岳(3084m、日本で第12位)、南岳(3033m、日本で第18位)と連なる。南岳小屋からは大キレットを経て北穂高岳に至るルートと、新穂高に下る南岳新道に分かれる。前者のルートは北穂高小屋まで休憩地がないので、時間や体力に余裕のない場合は気をつけたい。今回は南岳新道を下る。白ペンキを目印にして、地震後に復旧した新道に向かい、はしごを上るとハイマツの尾根伝いを一気に下る。疲れたところで槍平山荘に到着する。あとは往路を戻ることになる。
-DATA-
- 場所:
- 新穂高登山口は、国道471号線を新穂高温泉方面へと進み、ロープウェイ乗り場の先の有料駐車場から始まる
- タイム:
- 【健脚ペース】
1日目:新穂高温泉(1時間45分)白出沢出合(55分)槍平小屋(2時間)槍平山荘(シーズンにより長短あり)槍ヶ岳山頂(シーズンにより長短あり)槍平山荘[泊]
2日目:槍平山荘(1時間40分)南岳小屋(2時間50分)槍平小屋(1時間10分)白出沢出合(1時間15分)新穂高温泉 - トイレ:
- 槍平小屋、槍岳山荘、南岳小屋にあり
- 水場:
- 槍平小屋には水場、谷筋には湧水がある
- 宿泊:
- 槍岳山荘/一泊二食8500円、素泊まり5500円/350mlビール500円、500mlビール750円、水1リットル200円
- 注意:
- 槍岳山荘から山頂は、ハシゴ場がある急登である。三点支持で確実に登っていきたい。
山頂からのご来光を拝むには、山荘で日の出の時刻を訊いて、人より早く出発するのがよい。ヘッドライトと防寒着は必携。
シーズンに宿泊すると、食事は何回戦に当たるかわからないほどの混雑ぶりである。手っ取り早く済ませるなら持参するのが懸命。素泊まり客用の炊事場があり、そちらの方が静かでのんびりできる。
鎌倉 極楽寺~大仏坂切通し
Sep.23, 2001 静かな路地から急峻な切通しへ

鎌倉の七つの切通しのひとつ、大仏坂切通しは、現在も大仏坂トンネルの上に残されており、かつての面影を留めている。切通し自体は600mほどの長さで、 30分もあれば歩くことができるが、今回は距離を伸ばして江ノ電の極楽寺駅から歩いてみる。極楽寺駅は、関東の駅100線にも選ばれた駅だ。こじんまりとした木製の駅舎を、そばを流れる沢の音が包っむ。駅を出たら左に折れ、トンネル上の橋を渡って北へ向かう。左手に見える極楽寺は、開山の忍性が施薬院や療養院を開いて事前事業に尽くした場所だ。

極楽寺の門前から元の道に戻り、住宅地を北に向かって進む。稲村ヶ崎小学校の校舎手前のY字路を、右手に折れて、細い路地をさらに進む。車1台が通り抜けるのが、やっとという幅の道だ。山あいで大規模な開発をまぬがれたのか、古い民家が多く、わらぶきの屋根も残されている。住宅地であるにもかかわらず、聞こえてくるのは虫の音ばかりで、人工的な音はほとんど聞こえてこない。道は舗装されてはいるものの、傾斜は次第に急になる。傾斜40度はあろうかという急坂を、息をきらせて登りきる。

長谷貯水池へ到着する。今回のコースでは、最も標高が高く、見晴らしが良い場所だ。貯水池の上には芝生が植えられているが、柵が設けられ、入ることはできないようになっている。しかし脇にはベンチやテーブルが設けられ、景色を眺めながら一休みすることができる。南にこれまで歩いてきた谷戸や民家が続き、北には、源氏山方面の緑地が樹海のように広がっている。

コンクリートの階段を下り、直進して長谷トンネルの上を横切る道を行く。トンネルの上を渡り終えると、右手にある大仏坂体育館の脇から上ってきた道と合流する。左手に登ると30秒ほどで丸太の階段はゆるやかに右に折れるが、ここで右折せずに注意して前方を見ると、土を踏み慣らししてできた道が森へ入っていくのが分かる。右手の道は源氏山に向かう大仏ハイキングコースにあたり、左の小道が、これから目指す切通しへ向かう道だ。少し上れば、「大仏坂切通し」と書かれた板が木に掛けられているので安心できる。

ここから先は、足元に細心の注意を払う必要がある。行く手を倒木が遮っていたり、道の片側が崩落していたりするので、山歩きに慣れない人にはきつい道だ。また、雨の後には通らない方が良いだろう。右手に住友常盤住宅地へ向かう分岐が現れるが、そのまま直進する。高さ7~8mの垂直の岩盤が道の両脇にそそり立ち、いよいよ切通しらしくなる。切通しは、鎌倉に幕府を開いた頼朝の命で山を切り開きつくられたもので、三方を山に囲まれた鎌倉と各地を結ぶ交通路としても、敵の乱入を防ぐ要衝としても用いられた。

2m ほどの狭い底幅の道が続き、足元には大きな岩も転がっている。岩壁の上から岩を落としたり、矢を放ったりして、敵の乱入を防いだ当時の様子がしのばれる。古道の面影がこれだけ残っているのは、大正時代に開通した大仏坂トンネルの影響を受けて、切通しが廃道となった影響もあるのだろう。坂を下りきると、少し開けた場所に、「国指定史跡」の標識が立っている。右手の岩壁を見上げると、複数のやぐらが掘られている。かつては、中に仏像が安置されていたこともあるようだ。

道はそのまま住宅地に抜ける。左前方に進めば、火の見下バス停のすぐ脇へ出る。帰りは大仏坂トンネルの中を歩いて戻り長谷駅へ出ても、大仏ハイキングコースを通って源氏山を経、鎌倉駅へ抜けても良いだろう。なお、ここで述べた大仏坂切通しへの入り口が分かりにくい場合は、今回と逆に、西から東へ向かうコースをとるといい。いったん県道32号線(藤沢鎌倉線)沿いにある火の見下バス停へ向かい、道路北側のバス停のすぐ右にある細い道を入って東へ進むと、切通しを抜けて大仏トンネルの東側に出ることができる。
-DATA-
- 場所:
- 神奈川県鎌倉市
- 交通:
- 江ノ電極楽寺駅より徒歩
- 駐車場:
- 無し
- トイレ:
- 極楽寺駅出発後、コース上には無し
- その他:
- 大仏坂切通しは、足場が悪く、道も分かりにくい。雨の後は避け、山歩きに慣れた人と同行を。
剣岳 2998m
Sep. 22-23, 2001 立山連峰を縦走してカニのタテバイ、ヨコバイで有名な剣岳へ。

古くから信仰の山として栄えた立山連峰。その歴史は古く701年頃に開山され現在に至っている。山容が穏やかな立山連峰は、雄山をはじめとする 3,000m級の山々が連なり、真砂岳、別山と続く縦走路は、とても歩きやすい。一般登山者が剣岳を目指すルートは、立山もしくは室堂から別山尾根を通り山頂に目指すのが一般的で、1年で一番雪が少ない9月下旬に鋭く尖った剣岳を目指した。

第1日目
長野県の扇沢駅から関西電力のトロリーバスを利用して黒部ダムに移動する。関西電力のトローリバスは静かで速いが、季節によって運行時間が変わるので事前の確認が必要になる。黒部ダムから会社が変わり立山黒部観光のケーブルカーを利用して次の黒部平に進む。混雑している場合、黒部ダムの改札口で整理券を渡されロープウェーの順番待ちとなるが、早い時間に行動していれば待ち時間も少ない。ロープウェーを降りると、最後の乗り物となるトロリーバスが待っている。扇沢駅より約2時間。標高2,450mの室堂ターミナルに到着です。室堂バスターミナルで、立山から湧き出る「玉殿」で喉と水筒を満たし、立山連峰を縦走してテント場の剣沢キャンプ場を目指す。

室堂から一ノ越山荘に続く登山道はコンクリートで固められた石畳の道で、立山の雄山の日帰りを目的とした人達といっしょに山頂を目指す。途中、一ノ越山荘から山頂までの間、ザレた登山道が続き、山頂の社務所まで気が抜けない。一等三角点のある社務所を通り過ぎ、標高3,003mの雄山山頂に立つには社務所入口で参拝料を納め、山頂でお神酒と鈴を頂き縦走路に戻る。雄山から真砂岳、別山へ続く縦走路は後立山連峰を眺めながら穏やかな稜線歩きとなり、別山山頂から鋭い剣岳が見える。別山から剣沢小屋に進むには、別山乗越と別山を巻いて下るルートがある。どちらを選択しても良いのだが、近道したいなら別山を巻いて下るルートを選択すれば良い。剣沢キャンプ場に到着してから明日の予定と受け付けを済ませ、キーホルダーを頂く。剣沢キャンプ場は水が豊富な場所ですが、雪渓を利用した水源はそのまま飲めない。

第2日目
剣沢キャンプ場で必要最低限の荷物をサブザックに移し、野営管理所の脇を通り剣山荘を目指す。山荘まで30分。山荘近くの水溜りに氷が張り、霜柱も大きく成長していた。山荘から一服剣まで、ゴロゴロした急登が続き、稜線から富山湾、能登半島が見える。一服剣から見る前剣は、思った以上にハードで、いくつかの鎖場を通過すると、前剣の鎖場に到着する。カニのタテバイと呼ばれる登り専用の鎖場は、9月最後の連休と重なり大渋滞が発生していた。日が当たる登山道に座っているだけでも寒いのに、岩場を登っている姿を見続けると妙な緊張が生まれる。余裕を持ってカニのタテバイを登りたいが、渋滞中の岩登りは気分が良いものではない。

カニのタテバイを通過すれば剣岳の山頂も近い。剣岳山頂からの下りはカニのヨコバイとハシゴが待っている。登りで岩場に馴れたせいか、思った以上に渋滞が発生せず、なんなくカニのヨコバイと前剣の鎖場を通過する。山頂から前剣の鎖場を通過すれば登りと同じルートになるので、剣沢小屋まで来た道を戻る。剣岳のピストンは大渋滞のおかげで予想以上に時間を費やし、帰りの行動が忙しい。急いでテントを撤収して別山乗越を目指した。

剣沢キャンプ場を通り別山乗越に続く登山道を登る。それほどきつい登りではないが、剣岳のピストンをした後だと体が悲鳴をあげている。別山乗越を超え、雷鳥平に入ると景色も変わり、硫黄の匂いがきつくなる。時間に余裕があれば、日本最高所の「みがくり温泉」に立ち寄り、汗を流したいところだが、アルペンルートの最終便に間に合わないので、温泉を素通りして室堂のバスターミナルに戻る。室堂からのトロリーバスは空席が目立つほど余裕だったが、大観峰からのロープウェーで1時間待ちする。おかげで、大観峰の展望台から黒部ダム、後立山連峰を眺めを満喫する時間があった。

夏山シーズンの立山黒部アルペンルートはロープウェーの待ち時間が激しく、予定通りに移動できない場合があります。また、混雑の状況によって始発便の時間変更もあります。詳しくは立山黒部アルペンルートのホームページをご覧下さい。
-DATA-
- 場所:
- 富山県中新川郡立山町
- タイム:
- 1日目 室堂ターミナル~一ノ越(80分)一ノ越~雄山(60分)雄山~真砂岳(90分)真砂岳~別山(45分)別山~剣沢小屋(40分)
2日目 剣沢小屋~剣山荘(30分)剣山荘~一服剣(30分)一服剣~剣岳(90分)剣岳~一服剣(80分)一服剣~剣山荘(20分)剣山荘~剣沢小屋(30分)剣沢小屋~別山乗越(60分)別山乗越~室堂ターミナル(140分) - 交通:
- 上信越自動車道 豊野ICより国道147号線、県道45号線を経由して扇沢駅まで60分。扇沢駅より室堂まで約2時間(混雑状況により3時間以上かかる事もあります)。
- 駐車場:
- 扇沢駅 無料駐車場450台
- トイレ:
- 各山小屋、駅
- 水場:
- 室堂(湧水)、各山小屋
- アルペンルート:
- 扇沢~室堂 往復8,500円(但し、荷物の大きさによって手回り品切符が必要)
- 携帯電話:
- 剣岳付近良好
- 参考:
- http://www.alpen-route.co.jp/
甲山森林公園
Sep.23, 2001 愛犬と共にトレッキング
陽:先日、「自分はいろいろな所へ行って遊んでくるのに、僕を連れて行くのはいつも同じ団地の中の公園なんだね」と愛犬COO(クー)に嫌味を言われた。働く者にとって、家族は大切である。ましてやフィールドライターたる者、『家族のためのアウトドアレジャー』の実行も義務である。というわけで、愛犬・愛妻と共に兵庫県西宮市にある「甲山森林公園」へ出かけた。甲山は、有名な六甲山の東に位置し、標高は309.4m。その山麓に広がる森林公園は、明治 100年、兵庫100年を記念して作られた県立記念公園で、全域(57.6ha)の約85%が樹林で覆われている。「兵庫県森林浴50選」や「日本の都市公園百選」などに選出される名所だ。

COO:甲子園球場のすぐ側にある家から車で揺られて約40分、途中から山道独特の急峻で曲がりくねった道になり、「気持ちが悪いから」と懇願して窓を開けてもらう。すると、緑と土の匂いを含んだ冷たい空気が車内に流れ込んできた。駐車場に車を止めて父さんがエンジンを切ると、草木が擦れ合う音や鳥の声、そしてツクツクボウシなどの虫の音が優しく耳に届く。この甲山で見られる落葉樹は、ウルシ、ナツツバキ、ヤシャブシ、ウワミズザクラ、ニセアカシヤ、ヤマザクラ、エゴノキ、ヌルデ、ヤマツツジ、ガクアジサイ、ネムノキなど、そして常緑樹はキンモクセイ、タチバナモドキ、ヤブツバキ、クスノキ、ツゲ、ヤマモモなどだ。いずれも花期のものがあったが、残念ながらそれを楽しむほど華やかな色合いのものはなかった。だが、秋の少し香ばしい空気を胸いっぱいに吸い込むと、森林浴ならではの心の解放感がある。

陽:この森林公園内は遊歩道が整備されていて、森林浴に最適だ。主な施設として、シンボルゾーン(長さ350m、巾30m~50m)、記念碑広場(愛の像、笠形噴水、クスノキ並木等、彫刻の道/各種大理石の彫刻14体、レストハウス/自動販売機4台)、野外ステージ、自由広場2カ所、芝生広場3カ所、修景池(0.2ha)、休憩広場 4カ所、健康運動広場 1カ所、県民の森、つつじ園、展望休憩舎、芝生広場、展望休憩広場などがある。また、愛好家も楽しめる本格的なトレッキングコース(約1.5km)がある。森林公園バス停前から起伏の激しい畦道を歩き、展望台まで行くのだが、小型犬にはちと厳しいので、整備された遊歩道を歩いて展望台を目指すことにする。

COO:ここは、どうやら甲山周辺に並び立つ住宅に住む犬と飼い主のお散歩コースのようだ。すれ違うグループの7割が愛犬と共にお散歩を楽しむファミリーだ。御主人達は大変だが、こんなに自然の匂いが満喫できる場所を毎日散歩するのもいいものだろう。そして子供たちが楽しめるのは、健康運動広場だ。「腹筋力」「腕力づくりコーナー」などアスレチックの用具が設置されていて、僕の母さんがチャレンジしていた。道中にはきれいなトイレや休憩できるベンチがいくつもあり、ベンチにはカップルが木洩れ日の中で愛を語り合っている。

陽:この公園の最大の見所は、展望台からの景色だ。兵庫県下はもちろんのこと、大阪やその先にある生駒山までが一望できる。秋の涼やかな風を受けながら、手前には阪神競馬場、そして南には西宮のヨットハーバーや太平洋、そして大阪の高層ビル、大阪ドームなど大阪北部と兵庫南東部を俯瞰する。愛犬COOも高い所に来て気持ちが良いのかゆったりとした顔つきになり、その景色を楽しんでいる。(犬は近眼なのでどこまで見えているのかは定かでは無いが…)

COO:森林浴はとても楽しい。木々が息づくそのリズムの中で心や頭の中を空っぽにして歩く。そして何よりも嗅覚の本能がリフレッシュされる。ただ、問題だったのは父さんが自分のペースで歩いてしまうことと、この公園の一番高い所で「そら絶景だぞ、見えるか!」と振りまわすことだ。はっきり言って、遠くの景色は興味が無い。僕は草木の匂いと鳥や虫の声、そして水の流れる音を楽しみたい。まあ、ベンチで休憩をしている時に、母さんがお水とビスケットを少しくれたのも嬉しかったけれどね。芸術的なモニュメントは僕にはよく分からないけれど、自然を最大限に残して作られた公園だというのはよく分かったよ。公園内にゴミや煙草の吸殻がほとんどなく、本当に気持ちが良かった。
-DATA-
- 場所:
- 兵庫県西宮市甲山町
- 交通:
- 阪神西宮駅から阪神バス山手循環線大師道下車、徒歩15分、または阪神バス県立甲山森林公園行利用、同公園前下車。
阪急甲陽園駅から阪神バス大師道下車、徒歩1km(約15分)、または同駅から徒歩1.7km(約25分)。
阪急仁川駅から徒歩約3km(約45分)。
阪急甲東園駅から徒歩約3.5km(約50分)。 - 駐車場:
- 2カ所 収容力/約50台(無料)
- トイレ:
- 公園内に7カ所
稲村ヶ岳
Sep.23, 2001 大峰山脈を見渡す展望抜群の秀峰へ
稲村ヶ岳は標高1725.9m、山上ヶ岳から西へ延びる大峰山脈の支稜上にあり、山頂からの展望は素晴らしく、大峰山脈を横から眺めることができる貴重な展望台となっている。山上ヶ岳が修験道の行場として未だ女人禁制を敷いているのに対し、こちらは女性の登山者に人気と言われている。とりわけ秋はブナやカエデの紅葉が素晴らしい。洞川温泉から法力峠を経て山上辻に至るルートが一般的で、登山口からの標高差は約900mにも達するが、距離が長いため勾配は緩やかで初心者にも安心して歩ける。今回は最もアプローチが短い母公堂から入るルートを紹介しよう。
洞川温泉に至るには国道309号線の天川川合から入るルートと国道169号線から洞川高原林道で五番関を越えるルートがあるが、母公堂までなら後者の方が時間的に早いだろう。五番関から下ってくると大峰大橋からの道と合流して約1km先の左手にあるお堂が母公堂である。大峯山の開祖者・役行者の母を祭っている。そのすぐ先に稲村ヶ岳の登山口がある。母公堂の前に駐車場はあるが、参拝者用の駐車場なので長時間駐車は慎むこと。来た道を200mほど戻れば少し道の広がったスペースがあり、そこに駐車する。
登山口から入ると植林の中のやや急な登りとなる。鬱蒼とした林の中は昼なお暗く、空気は湿っぽい。ほぼ真っ直ぐに登っていって、約10分で五代松鍾乳洞からの道と合流する。以前この道は土砂崩れのため通行止めとなっていたのだが、真新しい道標が立っているところを見るとどうやら復旧したようだ。合流点を過ぎるとやや勾配は緩くなり、山腹に沿って斜めに登っていく。ところどころハガクレツリフネの可愛らしい花が咲いている。無味乾燥な植林の中の唯一の慰めだ。法力峠まではほぼ一定の勾配で淡々とした登りが続き、薄暗い植林の中を歩いていると気が滅入ってくる。いい加減嫌になってきた頃、やや明るくなって周りの山々が少し見えるようになるとようやく法力峠に到着する。ここは観音峰との分岐点になっており、やはり以前はなかった真新しい道標が立っている。

法力峠を過ぎると自然林の割合が多くなり、気分的にも楽になってくる。ここまで既に約400mを登っているのに対し、山上辻までの標高差は約300mだから以前にも増して勾配は緩くなる。ほとんど苦になるほどの登りでもなく、自然とピッチが上がってしまうだろう。よく踏まれて道幅も広く、歩きやすい道だ。法力峠から15分ほど登ると右手に大日山の尖鋒がちらちらと見え隠れするようになる。そのあまりにも突出したピークにハッと驚くだろう。途中で水場もあるが、水量はそれほど多くない。山腹をトラバースする道はところどころコンクリートの橋も架けられており、よく整備されている感じがうかがえる。道が崩壊している部分が一ヶ所あり、少し迂回させられた。次第に近づいてくる大日山のピークを眺めながら、周りにササが多くなってくると間もなく山上辻に到着する。

山上辻は山上ヶ岳方面との分岐点であり、稲村小屋が建っている。その前はちょっとした広場になっており、たくさんの登山者が休憩している。そして以前はなかったきれいなトイレができている。何とソーラーシステムを利用した水洗式の立派なものである。特に女性にはありがたいだろう。ここまで来ればあと一息だ。少し休憩してすぐ登り始める。ここからは笹原の中を行く大変気持ちのいい道となる。10月の中旬にもなればブナやカエデが色づいて大変美しいのだが、まだ青々としていた。ここから先、すれ違う人も大変多くなる。山上辻から15分ほどで大日のキレットと呼ばれる場所に着く。振り返れば大日山の尖ったピークが大きくそびえ立っている。稜線の右側は大きく切れ落ちており、その向こうには奥高野の山々を望む絶景だ。キレットからは少し険しい登りとなり、鎖場が連続する場所がある。下ってくる人も多いのですれ違いに注意しながら登ろう。鎖場を過ぎてしばらくすると南側から巻き込むようにして稲村ヶ岳の山頂へ一気に登る。

山頂には三角点があるが、そこは展望がよくないので櫓が組まれて展望台が作られている。そこへ登ると360度遮るもののない大展望が広がる。すぐ前には台形の山頂が特徴的な山上ヶ岳、そして竜ヶ岳から大普賢岳へ連なる稜線が屏風のように広がるのが見渡せる。行者還岳でいったん高度を落とした山脈は西へと向きを変え、真南で弥山の巨大な山体へ向けて一気に盛り上がっていく様は壮観だ。さらにその後ろには仏生ヶ岳も顔を覗かせている。北へ目を移せば遠く曽爾の倶留尊山や伊勢の局ヶ岳まで確認できる。そして普段はめったに見えない奈良盆地までうっすらと見えるのに驚いた。眼下には神童子谷の渓谷が深い。天気は快晴で1時間ほど素晴らしい展望を満喫した。展望台の上は次から次へと登ってくる人々でいっぱいだった。

帰りは同じ道を引き返すことになるが、鎖場の下りだけは注意したい。なお時間と体力に余裕があれば山上辻からレンゲ辻を経て大峰大橋へ下るコースもおすすめである。下山後は洞川温泉で疲れを癒していくのがいいだろう。
-DATA-
- 場所:
- 奈良県吉野郡天川村
- 交通:
- (マイカーの場合) 下市町から国道309号線で天川川合へ入り、県道で洞川温泉へ。または国道169号線「道の駅・川上」の先を左折して洞川高原林道に入り、五番関を越えて洞川へ。 (鉄道・バスの場合) 近鉄吉野線下市口駅から奈良交通バス「洞川」行きまたは「大峰大橋」行きに乗り換え、「洞川」下車。
- 駐車場:
- 母公堂付近に数台分の駐車スペースあり。ただし交通の妨げにならないよう注意すること。洞川温泉センターには広い駐車場があるので便利である。洞川温泉から出発する場合は五代松鍾乳洞経由のルートとなり、約30分余分にかかる。
- トイレ:
- 母公堂前と山上辻にトイレあり。
- タイム:
- 母公堂=0:50=法力峠=1:00=山上辻=0:30=稲村ヶ岳=0:25=山上辻=0:55=法力峠=0:40=母公堂(上り2:20、下り2:00)
仙台市若林区ウォーキングロード
Sep.18, 2001 花、水、田園のある風景

仙台市は人口百万人をこえる大都市だ。今も人口は増え続けており、都市開発、住宅地開発も進んでいる。しかしながら、住宅地開発が進んでいる主な地域は仙台市の北部であり、その南部の若林区、太白区はさほど住宅地開発が進んでいない。だから、自然や田園地帯が想像以上に多く残っている。
これから紹介するウォーキングロードの始発点も仙台市南部の市街地の近くにある。その始発点は、仙台市内を横断するように流れる広瀬川の上に架かる千代大橋だが、ここへ向かうには仙台市営バスを利用するのがいいだろう。仙台駅前発閖上行きのバスに乗り、バス停「若林5丁目」で降りる。所要時間は約30分。そのバス停から国道4号線バイパスを福島方面へ向かって約5分ほど歩くと千代大橋にたどり着く。この橋を始発点とするウォーキングロードは、広瀬川の両側(北側・南側)に築かれた堤防の上にあるが、ここで紹介するのはその北側の道だ。北側の道の方が美しい自然の風景をみることができるからだ。道は舗装されているが、ウォーキングやサイクリングの専用道路ではないので、一般の車が通ることも少なくない。そして、この道は河川敷にそって海まで、およそ10kmほど続いているが、今回のウォーキングのゴール地点は、海の少し前の閖上大橋に決めた。

千代大橋からウォーキングロードに入ると、道の左側には住宅地、右側には河川敷がひろがっている。河川敷には広い緑地公園があるが、公園全体が芝生におおわれ、いろいろな木々や花々が植えられている。太陽の明るい光をうけて鮮やかな緑に染まる草木、そして赤紫、白、ピンク、だいだい色の可憐な花びらをつけたコスモスの花々が秋のさわやかな風に吹かれてゆれている光景は実に美しい。

公園から少し歩くと、広瀬川水道橋が見えてくる。このあたりになると、道のまわりの風景がかわりはじめる。道の右側には野菜畑が見られるようになる。その左側では住宅地が少なくなり、水田が見られるようになるのだ。黄金色に彩られた稲穂は、しっかりと実をつけてたれ下がり、収穫されるのをじっと待っているかのように見える。

水道橋から少し進むと、仙台市内を縦断する仙台南部道路があるが、そこをこえると、道の右側に大きなお花畑がひろがっている。白くて清楚な野花がひろびろした大地に咲き乱れ、そのお花畑の中にたった一本の木がポツリと立っている。その光景はまるで北海道の帯広や富良野の雄大な田園風景を思い起こさせるようだ。なお、このあたりで広瀬川は別の川と合流する。広瀬川という名はここまでで、この先は名取川という名称になる。

このお花畑から先は、車や人の通行が極端に少ないので、のんびりとウォーキングロードのまわりの景色を見て楽しむことができる。そして、徐々に海に近づいているので、海からの風がほのかに潮の香りをはこんできていることに気づく。その風の中で深呼吸をすると、とてもすがすがしい気分になる。

仙台南部道路から2~3kmほど進むと、その道路と同じように仙台市内を縦断している仙台東部道路にたどり着く。千代大橋の下の広瀬川は、川幅が小さく、水量も少なく、さほど大きな川ではなかったが、すでに二つの川が合流している東部道路付近の名取川は、水量が多く、川幅もかなりひろくなっている。そして、太陽の逆光の中でその川をながめると、水面がその光を反射してきらきらと輝いてまぶしかった。

仙台東部道路付近の河川敷には多くのススキが群生していた。その穂が太陽の光をあびて黄金色に輝き、少し冷たくなった風にゆらゆらとゆられている。そして、空は澄んで青かったが、雲が空高いところに浮かんでいるのだった。そんな風景をながめていると、本格的な秋の到来を感じるのだった。

東部道路をこえると、ゴール地点である閖上大橋が見えてくる。そこをめざして歩いていると、道の両わきの土手に名も知れぬ小さな野の花々がひそやかに咲き誇っていることに気づく。春には数多くの花々が土手の上で咲き乱れるのだが、いまはもう秋、咲いている花はごく少数だった。やがて、ゴール地点の閖上大橋に到着。その橋の上からはコバルトブルーの色に染まった美しい太平洋の海が見えるのだった。

さて、今回は、秋という季節にこのウォーキングロードを歩いたわけだが、実はこの場所が最も美しくなるのは春だ。とくに菜の花が咲きはじめてからおよそ1ヶ月くらいのあいだが最も美しい。菜の花など、数多くの野花がウォーキングロード約10kmのまわりの土手や畑で華やかに咲き乱れ、まるで“フラワーロード”とよぶのにふさわしい状態になるからだ。今後、ここを訪れてみたいと思った方には、春に行かれることをおすすめします。
-DATA-
- 場所:
- 宮城県仙台市若林区の広瀬川・名取川付近。
- 交通:
- 行き-仙台駅前から仙台市営バスの閖上行きに乗り、
「若林5丁目」で下車。そこから南に徒歩約5分で千代大橋へ。
帰り-閖上大橋から南へ徒歩約5分でバス停「閖上一丁目」。
そこから仙台市営バスの仙台駅前行きに乗り約50分。 - 駐車場:
- なし
- トイレ:
- 千代大橋近くの河川敷公園内に簡易公衆トイレあり。
仙台市若林区ウォーキングロード・パート2
Sep.18, 2001 ウォーターサイド・ウォーキング

前回のウォーキングロードは、名取川に架かる閖上大橋を終着点に設定していたが、実はここでこの道が終わるわけではない。この道には、さらにつづきがあるのだ。そこで今回は、前回につづく道のりを歩いてみることにした。閖上大橋の上を北にむかって歩き、その橋をわたったらすぐに右折する。そこには名取川の北側に築かれた堤防があり、その上にはウォーキングロードが通っている。その道を名取川にそって東へおよそ数百メートルほど直進すると、南北にのびる貞山運河にぶつかる。この運河は宮城県南部の阿武隈川河口から県の東部の旧北上川河口まで総延長約50kmほどつづいており、日本で最も長い運河だ。この運河の手前で左折すると、北へむかって道がつづいている。これまでのウォーキングロードには一般車の通行もあったが、ここからは自転車と歩行者の専用路となる。この道は貞山運河によりそうようにこの先の七北田川まで約10kmつづいているが、今回のゴール地点は、その川の少し前にある新浜海岸に設定した。

写真をみてほしい。これは道の東側、名取川河口の北側の景色だが、いちばん手前に貞山運河、そのむこうに井戸浦とよばれる堰止湖がある。そのむこうには防風林があり、さらにそこをこえると太平洋がひろがっている。

井戸浦は入り江状の堰止湖だが、水深がとても浅いので、水位が下がると干潟になってしまう。ほぼ淡水であり、貞山運河ともつながっているが、海が近いのでわずかに海水がまじっているかもしれない。野生の水鳥が多く生息しているところでもある。

道の西側には湿地がある。ここにはススキが広い範囲にわたって群生している。広大な湿地で無数のススキの穂が陽光をあびながら淡い黄金色に染まっている光景には圧倒的な美しさがある。そして、秋のすがすがしいそよ風にゆられている無数のススキの上をトンボたちがその風にのってすいすいと心地よさそうに舞い飛んでいた。


ウォーキングロードと貞山運河は、この井戸浦と湿地のあいだを切りさくように通っている。海に近いため、この道を歩いていると波の音がきこえてくる。そして、海からの風がさわやかな潮の香りをはこんできている。太陽の明るい光、青い空、波の音、潮の香りが夏の雰囲気を感じさせたが、少し冷たくなった風だけが秋の到来を告げていた。

井戸浦と湿地を通りすぎて北にむかってしばらく歩いていると、道の左側に立ち枯れた松の森があらわれる。針形の葉が枯れ落ちたり、枝や幹が枯れて折れている木もある。写真でみるかぎりでは、松のまわりに野生の緑色植物が生えているため、何となく生命力を感じさせているが、冬になり、まわりの緑色植物が枯れてしまうと、この松の森はひどくもの哀しい雰囲気になり、まるで自然界の終局と死を彷彿させる情景がひろがるのだ。

この立ち枯れた松の森からこの先の荒浜までは、わりと単調な風景がつづく。道の右側に貞山運河があり、そのむこうには防風林をかねた雑木林がある。道の左側にもうっそうとした雑木林があり、このような景色がずっとつづくのだ。

この単調な雑木林の風景を通りぬけると、荒浜とよばれる集落がある。この集落はウォーキングロードと貞山運河の東西両側にひろがり、おもに漁業をいとなむ人たちの人家が集まっているが、ここには仙台市内で唯一の海水浴場である深沼海岸がある。荒浜地区には貞山運河に架かる小さな橋が三つあるが、これらの橋をわたって東へ進んだところにその海岸がある。夏には大勢の海水浴客でにぎわうが、秋になった今、浜辺にはほとんど人の姿がなく、閑散としていて寂しげだった。

荒浜をこえると、再び単調な雑木林の風景がつづくが、今度のはさきほどよりもさらにうっそうとおおいしげった林で、道の両脇には松の木が植えられている。太陽の光が風にゆられる松の木のあいだから地面にこぼれ落ちていたが、そこには光と影がおりなす幻想的で妖しい美しさがあった。
その林を進んでいくと、やがて前方左側に野球場が見えてくるが、その少し手前に貞山運河に架かる小橋があるので、それをわたって東へ進む。そこに今回のゴール地点に設定した新浜海岸がある。この海岸は遊泳禁止であり、ここへの交通の利便性も悪いので、ここを訪れる人もかなり少ない。人影の少ない浜辺の波打ち際をゆっくりと歩き、太陽のやわらかな光をあびながら澄みわたった青空や紺碧の海をながめたり、さわやかな潮風に吹かれていると、とても心地がいい。淡い灰色の砂浜には、白っぽいしま模様の貝殻が打ち上げられ、それが陽の光を反射してうっすらと輝いて美しかった。

さて、前回と今回の二度にわたり仙台市若林区のウォーキングロードを紹介したが、体力にあまり自信のない人は、歩くよりも自転車を使ってこの道を進んだ方がいいだろう。しかし、この道のまわりの美しい風景をじっくりと楽しみたいと思う人には、やはり歩いてみることをおすすめしたい。
-DATA-
- 場所:
- 宮城県仙台市若林区の貞山運河・海岸付近。
- 交通:
- 行き-仙台駅前から仙台市営バス「閖上行き」に乗り、「閖上一丁目」にて下車。
所要時間約50分。そこから北へ徒歩約5分で閖上大橋。
帰り-新浜海岸から西へ徒歩約20分でバス停「新浜」。
そこから仙台市営バス「仙台駅前行き」に乗り、終点で下車。所要時間約45分。 - 駐車場:
- 深沼海岸と新浜海岸付近にあり。
- トイレ:
- 深沼海岸に公衆トイレあり。
田沢湖
Sep.16, 2001 エメラルドグリーンに謎めく神秘の湖

秋田県東部にある田沢湖は、周囲約20km、水深423.4mの日本一深い湖です。春夏秋冬どの季節に行っても、それぞれの趣で迎えてくれると思いますが、今回私は夏と秋との中間地点、九月半ばに訪れることと相成りました。
東北自動車道を盛岡I.Cで降り、国道46号線を秋田方向に向かってください。仙岩トンネルなど、いくつかのトンネルをくぐりながら一時間ほど車を走らせると、田沢湖に到着です。ほとんど一本道です。途中二度ほど右左折がありますが、大きな道路標識が出ているので、まず迷う心配は無いでしょう。JR利用なら東北・秋田新幹線。東京から最速2時間57分で「たざわこ駅」に到着です。湖までは、バス、タクシーの利用が便利かと思います。
湖の東岸、春山地区は、ホテル、旅館、レストハウスなどが集まる観光の拠点です。広い駐車場がたくさんあるので、まずはここに車を止めて一休み。湖の眺望を楽しみました。近くの売店に行って名物の「みそたんぽ」(焼いた「きりたんぽ」に甘味噌を塗ったもの)を賞味。食堂や、みやげ物店も多数ありますので、覗いて回るのも楽しいでしょう。貸しボートがあるので、神秘の湖をまじかに見てみたい人は、ぜひどうぞ。以前私も乗ってみたことがあるのですが、謎めくエメラルドグリーンの湖水を覗き込んでいるうちに、思わず吸い込まれそうになった経験があります。そりゃあちょっととお思いの方、湖上を巡る遊覧船も出ているので、そちらをご利用ください。文字通り大船に乗った気持ちで、ゆったりと楽しむことができるでしょう。
さて、移りゆく湖の景観を楽しみながらウォーキング。もちろんジョギングでもよし、サイクリングでもよし(当然、車、バイクでもOKです)周囲には様々な観光スポット、レジャー施設が点在します。キャンプ場、ヨットハーバー、ハーブガーデン、郷土資料館、県民の森、スイス村……。春山地区の丁度対岸には、たつこ姫伝説で名高い「たつこ像」が、金色の姿を湖面に映し出しています。景観のすばらしい場所なので、今回も大勢の人々が、像をバックに記念撮影を行っていました。自然も観光施設もたっぷりの場所なので、体力の有る無し、趣味の相違、金銭力の有無 ^^;) などを超えて、いろんな人が楽しめるトレッキングスポットだと思います。実は今回、私がここを訪れたのも、毎年9月に行われている「田沢湖マラソン」に参加するためなのでありました。あいにくの雨模様で、せっかくの景色が堪能出来なかったのは、チト心残りでありましたが……。

なお、湖のほんの鼻先には、水沢温泉郷、田沢湖高原温泉郷、乳頭温泉郷など、魅力的な温泉が多数存在します。旅の計画に組み入れるのも一興では……。
-DATA-
- 場所:
- 秋田県田沢湖町
- 交通:
- 東北自動車道/盛岡I.Cより国道46号線を秋田方向へ。国道341号線を経由して田沢湖。
東北・秋田新幹線/たざわこ駅下車。 - 駐車場:
- 多数有り
- トイレ:
- 有り
常滑やきもの散歩道
Sep.16, 2001 焼きものの里を歩く

愛知・岐阜には、全国的に有名な焼きものの産地がいくつかあります。瀬戸もので有名な瀬戸市をはじめ、土岐や多治見、そして今日ご紹介する常滑も、朱泥の急須などをはじめとする「常滑焼き」で有名です。常滑焼きの歴史は平安時代の後期にさかのぼり、現代まで絶えることなく焼きもの作りが続けられていて、日本六古窯に数えられています。常滑では、「やきもの散歩道」が整備されているので、焼きものを作る土地の雰囲気を肌で感じながらウォーキングを楽しむことができます。

常滑へは、名古屋駅から名鉄電車を利用しますが、特急で30分、急行電車では約40分のところにあります。車の場合は、知多半島道路の半田常滑IC から約40分かかります。常滑駅から歩いて5分のところに、「陶磁器会館」(駐車場50台あり)があり、ここが「やきもの散歩道」の出発点となります。コースには、AコースとBコースがあり、Aコースは1.5km(所要時間40分)、Bコースは4km(所用時間約2時間30分) です。今回は、Aコースを歩きました。たったの1.5kmですが、アップダウンが激しいので、けっこうな運動量になると感じました。

やきもの散歩道は、民家のあいだの曲がりくねった狭い道を歩いていきます。まずは、歩いて10分ほどで廻船問屋瀧田家に到着しました。常滑の町は、焼きものの町というだけでなく、江戸時代から明治時代の前期にかけては廻船の町でもありましたので、自家船を持ち、伊勢湾から江戸方面に船をさしむけるのを仕事としている家がいくつかありました。そういう廻船主の一人がこの瀧田家であり、当時の暮らしぶりを復元してお屋敷が建てられています。何部屋ものお座敷があり、蔵、離れの建物もあって、廻船主としての繁栄のようすが忍ばれます。

常滑の土はしっかりとした土なので、土管や焼酎瓶など、大きなものを作るのにも適していると言われています。その中で、失敗作、つまり製品とならなかったものは、土手の土止めにされたり、地面に埋め込まれて独特の模様が形作られていますが、廻船問屋瀧田屋の出口付近でも、焼酎瓶が土手の土止めにされていました。すぐそばには、土管で塀が作られた「土管坂」と呼ばれている道もあります。

散歩道の中盤からラストにかけては、レンガ作りの煙突が空にそびえているのを眺めることができます。今でこそ、焼きもの作りには、石油やガス、電気の窯が使用されていますが、昭和40年ごろまでは、石炭や薪を使って焼きものを焼いていました。それゆえ、レンガ作りの煙突からは、真っ黒な煙が毎日立ちのぼり、昔の常滑の空は黒かったと言われています。現在は使われていないレンガの煙突が、焼きものの町並みに風情を与えています。

コースの終盤には、器を売るお店がたくさんありました。一つ一つを品定めをしながら、気に入ったものがあれば購入するという買い物の楽しみもあります。コーヒーやアイスクリームを食べながら一息できるお店もあります。坂道の多いコースを辿ってきて、ホッとできるスポットになるでしょう。
やきもの散歩道は一年じゅう歩くことができますが、一年に一回の「常滑焼きまつり」(例年8月第4土・日)には、市価の3割~4割引きで焼きものが売られる即売会が催されますので、器に興味のある方なら、お祭りの日に足を運べば、きっと楽しさは倍増することとなると思います。山歩きでもなく、街歩きでもない。ちょっぴり田舎の焼きものの里を、ゆったりと歩いてみてはいかがでしょう。
-DATA-
- 場所:
- 愛知県常滑市
- 交通:
- 名古屋駅より、名鉄常滑線の終点「常滑」駅下車。名古屋駅から特急で30分。急行電車で40分。
- 駐車場:
- やきもの散歩道のスタート地点である「陶磁器会館」の駐車場(50台)
- トイレ:
- 「陶磁器会館」内、廻船問屋瀧田家内、登窯広場に有り。
- 散歩道コース:
- Aコース/陶磁器会館→廻船問屋瀧田家→土管坂→登窯広場→角山陶苑→陶磁器会館
Bコース/陶磁器会館→一木橋→民族資料館→陶芸研究所→窯のある広場・資料館、世界のタイル博物館→常滑西小学校→陶磁器会館
白馬岳、杓子岳、鑓ヶ岳
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夏山シーズンと紅葉シーズンの谷間で登山者が少なくなったこの時期、静かな山を好む私にとっては絶好の機会である。白馬三山の縦走を計画し、車で標高 1230mの猿倉に向かう。電車の場合は白馬駅からバスが出ている。荷揚げのヘリコプターが往復する猿倉駐車



