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鎌倉 小動岬~稲村ガ崎

Aug.14, 2001 海辺の植物を訪ねて

鎌倉 小動岬~稲村ガ崎:イメージ1

夏の日差しの下、海岸の植物を求めて、腰越の小動岬から稲村ガ崎に至る七里ガ浜を歩くことにした。江ノ電腰越駅から南へ向かい、小動岬へ。風も無いのに枝葉が動き、琴のような妙音を発する小動松があったと『相模国風土記』にも描かれている場所だが、数年前、岬の上の松は枯れてしまった。小動神社は、腰越地区の氏神で漁の神でもある。漁師が海中から拾ったという、亀をかたどる竜王を祀る。境内でイヌビワの実が黒く熟していた。口に入れると、ねっとりと甘い。以前は実をヤマイチヂクと称して食べたという。

鎌倉 小動岬~稲村ガ崎:イメージ2

小動岬から渚に下り、東へ向かう。岬の下はちょっとした磯になっており、浜辺の漁師小屋では、生シラスやたたみいわしを直売している。先に訪れた小動神社は、江の島の八坂神社と夫婦神で、毎年7月14に、海上を渡御してきた江の島の御輿をこの浜辺で迎え、出会い祭を行う。漁師町らしい荒々しさあふれる祭りだ。ここからは植物を見るために砂浜を上り、国道下のコンクリートの壁沿いに歩く。オレンジ色のハマカンゾウの花が迎える。八重咲きのノカンゾウにも似るが、すっきりと一重に咲く方が、ハマカンゾウだ。

鎌倉 小動岬~稲村ガ崎:イメージ3

江ノ電の鎌倉高校前と七里ガ浜駅の間、峰ヶ原と呼ばれる場所の砂丘には、丈の低い植物が広がる。ムギ形の実を結ぶ細長い葉の植物は、コウボウムギだ。5~6月に、桃色のラッパ形の花をつけるハマヒルガオの丸い葉も見られる。遮るもののない海岸は、強烈な日差しや風に見舞われることが常だ。厳しい環境のなか植物は、肉厚な葉で水分を保持する、光沢のある葉で日差しや塩分を防ぐ、地下茎をはりめぐらせて水分を確保し、砂の移動に耐える、といった様々な工夫をこらして、たくましく生きている。

鎌倉 小動岬~稲村ガ崎:イメージ4

七里ガ浜の駐車場下の浜辺に行くと、植物を見つけることは難しくなる。原因をコンクリートの建造物と断定することはできないが、砂や海浜植物の減少に懸念を示す専門家は多い。ふと見ると、波に洗われ、繊維がむき出しになったヤシの実が打ち上げられていた。ココヤシの実は水に浮くようにできており、漂着した場所で発芽し、分布を広げる。強い南風が吹いた後は一週間ほど、黒潮に乗ってきた南方の植物の種子などが海岸に打ち上げられることが多いそうだ。川の方から流れてきた、オニグルミの実も見つけられる。

鎌倉 小動岬~稲村ガ崎:イメージ5

七里ガ浜は、鎌倉では最も長い砂浜だ。特に稲村付近の砂は砂鉄を多く含み、黒っぽく見える。稲村ガ崎の名の由来は、岬の形が稲の束を積み重ねた「稲村」に似るためという。元弘3年(1333)、新田義貞の鎌倉攻めのときの古戦場だ。七里ガ浜は富士山をはじめ江の島や伊豆連山まで一望できる景勝の地だが、海は深く、稲村ガ崎の海水浴場を除き、遊泳は禁止されている。大勢の人でにぎわう海水浴場を過ぎると、岩礁が現れ、見られる植物も変化してくる。ハマユウの白く細長い花弁が、風を受けて揺れている。

鎌倉 小動岬~稲村ガ崎:イメージ6

稲村ガ崎や小動岬など海に面する断崖は、強い日差しや潮風に加え、根をはる土壌の悪さが加わり、植物にとっては砂浜以上の厳しい生育環境となる。そのため、葉の上に毛を密生させたイソギクや、肉厚で葉に光沢をもつツワブキなど、限られた種類の植物がわずかに見られる程度となる。階段を上り、公園で水を補給。海とは逆の方向に曲がった木が多い。潮風を受ける側が、飛んできた砂や塩分の影響で生育しにくくなり、樹形が変化したものだ。

鎌倉 小動岬~稲村ガ崎:イメージ7

展望台に登り振り返れば、今日歩いた七里ガ浜が弧を描く。東には、材木座海岸、三浦半島や房総半島までも見渡せる。日本では海流の影響もあり、全国各地の海辺で同じ種類の植物が見られるそうだ。その種類は50~60にも及ぶといい、海の環境に適応し分布を広げる植物の力強さがにじむ。一方鎌倉では、20年ほど前に比べて海岸の植物は激減しているという。葉の白味が強いイナムラヨモギなど、稲村ガ崎で初めて確認された貴重な植物もある。厳しい環境に耐え、けなげに生き抜こうとする海辺の植物を見守っていきたい。

-DATA-

場所:
神奈川県鎌倉市
交通:
江ノ電腰越駅より徒歩
駐車場:
七里ガ浜(国道134号線沿い)にあり
トイレ:
江ノ電腰越駅、江ノ電稲村ガ崎駅にあり
参考文献:
鎌倉市教育研究所『鎌倉の自然』鎌倉市教育委員会、1997
山菜の会『食べられる海辺の野草』徳間書店、1991
白井永二編『鎌倉事典』東京堂出版、1976

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