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静岡 柿田川湧水群

Aug.27, 2001 富士山から湧く青い水

静岡 柿田川湧水群:イメージ1

うだるような暑さのなか、ヒスイ色の湧水に涼を求めることにした。静岡県清水町の、柿田川湧水群を目指す。約40km北方の富士山に降った雨や雪が、数ヶ月~数十年かけて三島溶岩流の間を通り抜け、噴出している場所だ。JR三島駅からバスに乗り、柿田川公園で下車後、徒歩1分。湧水群一帯を整備した「柿田川公園」の碑が見えた。コンクリートの建物が並ぶ町なかの国道1号線沿いに、「日本名水100選」「21世紀に残したい日本の自然」にも選ばれた湧水群があるとは、少々信じ難い気がする。

静岡 柿田川湧水群:イメージ2

公園の広間を抜けて階段を下り、第1展望台へ。明るい緑に囲まれた、奥行きのある川面が見えてきた。「湧き間」と称される湧水の噴出口から、水底の砂が吹き上がり、波紋が広がる。上中流部に数十ヶ所ある湧水口から出た水は、全長約1200mの柿田川を満たして狩野川と合流し、駿河湾に注ぐこととなる。清水町をはじめ、静岡県東部3市2町の約35万人の飲料水だ。柿田川湧水群は100万t/日以上の水を噴出し、富士山系の地下水による湧水群のなかでも最大規模を誇る。

静岡 柿田川湧水群:イメージ3

遊歩道を抜けて第2展望台から身を乗り出す。水の青の深さに、目を奪われた。筒状のコンクリートの覆いで周囲を保護された噴出口からは、絶え間なく水があふれ出している。噴出口のそばには、約15cmの魚が10匹ほど泳いでいた。水温は年間を通じ約15度と一定で、湧水が生む特有の環境が、アブラハヤや、アユカケ、アマゴといった魚たちを育む。陸上、水辺、水中と、連続した植物相があり、変化に富んだ水辺の自然が守られている。なかでもミシマバイカモという水草は、柿田川のみに生育する希少な植物だ。

静岡 柿田川湧水群:イメージ4

コバルトブルーの背にオレンジ色の腹の小鳥、カワセミがいた。首をふり、魚を狙っては水に飛び込む。「6月にはゲンジボタルが見られるし、11月頃、アユが群れでやって来るときには、ヤマセミがエサを狙ってダイビングするよ」「でも、今年は水が少なくてねえ。雨も少なかったし」と、竹ぼうきで掃除をしていた男性の表情がくもった。(財)柿田川みどりのトラストの今年の8月末の調査によると、湧水量は106万t/日。1963年当時の131万t/日に比べ、 30万t/日近く減少している。昨年に比べても4万t/日減少した。

静岡 柿田川湧水群:イメージ5

近年、地下水上流部にあたる御殿場市、裾野市の開発が進んでいる。雨水が地下水に浸透する量が減り、工場などで地下水をくみ上げる量が増えたことなどから、湧水の量が減ったと見られている。流域の原生林が開発のため伐採されるなか、市民が立ち上がり自然保護を目的とした土地買収、借り上げを行う「柿田川みどりのトラスト」を始めた。現在、一帯は公園として整備されて人々の憩いの場となり、水遊びをする子どもたちの歓声が響いている。

静岡 柿田川湧水群:イメージ6

柿田川の名が全国的に知られるにつれ、数を増す観光客の心無い行動で、流域の自然は破壊されてきているという。紺碧の水に癒してもらう分、私たちも、ゴミを捨てない、木道から外れないといったマナーを守るほか、トラストに寄付をするなど、できる範囲で恩返しをしていきたいものだ。柿田川でもっとも川幅が広い中流部へ。湿地各所にある大小10ヶ所の湧水口からの湧き水が、幾筋もの小川となって本流に合流する。付近ではゲンジボタルも見られるそうだ。木製の八木橋を通り、湿地帯を散策して遊歩道は終点に至る。

静岡 柿田川湧水群:イメージ7

最後にケヤキやシイの社寺林を抜け、水の神をまつる貴船神社に立ち寄った。清流にちなみ、京都市貴船川上流の貴船神社から御霊分けされたものという。柿田川の未来を願って参拝し、公園を後にした。帰りがけ、化粧水と呼ばれる富士の湧水にウナギを数日間放置する、江戸時代から続く方法を経て調理されたうな重を賞味した。脂が抜け引き締まったウナギの身と、炭火焼きの香ばしさに夏バテも吹き飛ぶ。「湧水が無いと、みんなが困るんです」店員さんの言葉が、柿田川が支える多くの命の声を代弁するように響いた。

-DATA-

場所:
静岡県駿東郡清水町
交通:
JR東海道線三島駅より沼商・藤井原行きバス約15分→柿田川公園下車、徒歩1分
駐車場:
あり
トイレ:
あり
参考資料:
(社)日本ナショナルトラスト協会『ナショナル・トラスト・ガイドブック』、1997
『静岡新聞』8月27日号朝刊
るるぶ社『るるぶ情報版 静岡るるぶ'01』2000、JTB

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