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静岡 アカウミガメの上る砂浜

Aug.27-28, 2001 ボランティアが守る御前崎海岸

静岡 アカウミガメの上る砂浜:イメージ1

アカウミガメの産卵や、生まれたばかりの仔ガメを見てみたい。自然豊かな砂浜が、どのように守られているのかも興味深い。5月下旬から8月にかけて、産卵のため、本州のなかで最も多くアカウミガメが上陸するという静岡県御前崎へ向かった。環境教育の一環として御前崎町教育委員会が行う産卵観察会、人工ふ化した稚ガメの放流会に参加する。JR静岡駅からバスで約1時間。夕刻、静岡県南端の御前崎に到着した。アカウミガメと御前崎海岸一帯の産卵地は、国の天然記念物にも指定されている。

静岡 アカウミガメの上る砂浜:イメージ2

午後9時、アカウミガメ産卵の観察会に参加しようとふ化場に向かったものの、集合場所には誰一人いない。ふいに「海岸にライトを向けないでください」と厳しい声が飛んだ。海岸をパトロールする監視員だ。アカウミガメは警戒心が強く、産卵場所を探す間に人影を見ると海に戻ってしまうという。頭を下げて話を聞くと、産卵の最盛期は7月20日頃までで、今年の産卵は既に9割方終わっているとのこと。ふ化場で、卵から出たばかりの仔ガメを砂からすくい上げ、水槽に移す様子を見せてもらった。

静岡 アカウミガメの上る砂浜:イメージ3

午前7時、放流会に参加するため灯台下の海岸へ。親子連れなど約40人が集まった。監視員の説明によると、本年は8月27日現在、288頭の上陸があり、うち約半数の142頭が産卵している。今年は、例年よりも産卵率は良いそうだ。前日ふ化した仔ガメが、1匹ずつ砂浜に放されていく。5cmほどの仔ガメが懸命に海に向かう姿に、「頑張れ」と子どもたちも声援を送った。15~20年で成体になるといわれるが、親になれるのは500頭に1頭ほどだ。鳥に食べられるもの、ビニールをクラゲと間違えて飲み込み、窒息するものもいる。

静岡 アカウミガメの上る砂浜:イメージ4

アカウミガメは、その回遊ルートなど、まだ解明されていないことも多い。こうしたなか、毎日のように現場を歩き、アカウミガメを見守り続けている監視員の言葉には、確かな重みがある。アカウミガメの産卵場所には砂浜だけでなく、岩礁など変化に富む環境が必要なのだそうだ。天敵に襲われないよう岩陰に姿を隠しながら、上陸することができる。御前崎灯台下には地震の際に隆起してできた波食台があり、干潮時には岩礁が数百m沖まで姿を現す。

静岡 アカウミガメの上る砂浜:イメージ5

砂浜に、車が走った跡のような2本の線が、海へと続くのが見える。近づいてみると、1mほどの間隔を開けて描かれた平行線は、小刻みな「ハ」の字の繰り返しでできていた。産卵のため上陸し、ひれ状の足で砂をかいて進んだアカウミガメの足跡だ。足跡をたどり、砂浜の緩やかな傾斜を上った。足跡の起点から終点までの距離は300mほど。U字を描いて方向転換する、一番海から遠い地点に、卵を産みつけたようだ。満潮時にも海水に浸からない広い砂浜は、アカウミガメの卵のふ化に適した環境となっている。

静岡 アカウミガメの上る砂浜:イメージ6

近年、アカウミガメの人工ふ化や放流に対し、見直しの必要が唱えられている。米国ケネス・ローマン博士の研究などを受けたものだ。アカウミガメはふ化してから砂浜を歩いて海に入るまでの約20時間に地磁気を感知し、外洋を泳ぐための「方位磁石」を体内に取り込む。だが、人工ふ化の際には水槽で待機させられるため磁石をもつことができず、水温の低い海域に迷い込む危険もあるそうだ。しかし、まだ自然保護への意識が未熟な日本では、卵をいったん保護しなければ盗掘などの懸念を拭えないのが現状だ。

静岡 アカウミガメの上る砂浜:イメージ7

アカウミガメは護岸工事で産卵場所を奪われるなどして減少し、91年には国の絶滅危惧Ⅱ類に指定されている。このアカウミガメが繁殖できる環境を守るため、町役場の人だけでなく、地元のボランティアの人々が、深夜、早朝にもパトロールを続けている。観光施設や大勢の観光客の影響で、観光資源であるはずの自然そのものを破壊してしまう例がみられるなか、ここでは厳格なまでに静かな浜辺が守られ、アカウミガメの保護が第一に考えられている印象を受けた。監視員の厳しい表情の奥の、優しい瞳が忘れられない。

-DATA-

場所:
静岡県榛原郡御前崎町
交通:
JR静岡駅(特急バス1時間15分)→御前崎バス停下車
駐車場:
御前崎灯台にあり
トイレ:
御前崎灯台にあり

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