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逗子 サンコウチョウのすむ森と渓谷

Jun.09, 2001 森戸川-二子山

逗子 サンコウチョウのすむ森と渓谷:イメージ1

もうすぐ梅雨。森を抜け、海に注ぐ水の流れを感じてみたいと思い、葉山の森戸海岸につながる森戸川を、源流付近までさかのぼることにした。JR逗子駅からバスで約10分、長柄交差点バス停下車。住宅地を抜け、東へ向かう。道端には葉山町の重要文化財に指定されている庚申塔がある。御霊神社の前を通り、逗葉新道を越えてさらに東へ。河口付近の川に、ヨシが茂り、オイカワやウグイなどの魚の群れも見える。付近にはカワセミもいるそうだ。次第に、こんもりした常緑の山なみが迫ってきた。

逗子 サンコウチョウのすむ森と渓谷:イメージ2

山のふもとでは、今も畑や田んぼが耕作されている。小さな実が成り始めたナスやカボチャ、モンシロチョウの舞いを見ていると、こういうところで自給自足の生活も悪くないな、という気がしてくる。車止めの柵の脇にある歩行者用の入り口を抜けて、大山林道へ。道も川も、コンクリートで固められた場所はほとんど無くなる。平坦な道だが、蛇行を繰り返す川の流れを、間近に見ながら歩くことができる。水辺の森林の空気を吸いながら歩くと、体じゅうの細胞に酸素がしみ込んでいくようだ。

逗子 サンコウチョウのすむ森と渓谷:イメージ3

緑色に輝く小さな虫が、湿った土の上を軽やかに飛ぶ。「道教え」の異名をもつハンミョウだ。白い斑点をもつ虹色の背中に見とれていると、ギィーン、という機械音が聞こえてきた。行ってみると、林道に直交する巨大な高架橋が現れた。橋げた付近の山肌は切り崩され、表土がむき出している。道路が完成し交通量が増せば、騒音や排気ガスによる自然への影響は避けられないだろう。そのすぐ先のスギ木立の上では、青い小鳥、オオルリが高く澄んだ声でさえずっていた。

逗子 サンコウチョウのすむ森と渓谷:イメージ4

フィフィフィと、突然、深い声が森に響く。サンコウチョウだ。黒色で目の周りが青く、尾と頭の上の飾り羽が長く伸びる優雅な姿の鳥で、このあたりに営巣すると聞いたことはあったが、まさか出会えるとは思わなかった。「月日星」と早口でつぶやいた後、「ホイホイホイ」と歌う独特の鳴き声をもつ。双眼鏡を覗くと、土でつくられた握りこぶし大の巣が、つる植物に釣り下がるようにかかっているのが見えた。越冬地、東南アジアの森林伐採などの影響で減少が懸念されている鳥だが、ヒナは無事に巣立つだろうか。

逗子 サンコウチョウのすむ森と渓谷:イメージ5

広い林道の最奥部にある広間から、二子山を示す道標に沿い左手へ。ここから先は、濡れる覚悟が無ければ進めない。沢歩き用のシューズに履き替え、ひんやりした流れに足を浸す。くるぶしまで水につかる程度の渡渉を4回繰り返すと、5分ほどで、左へ登る道に出た。「もう川は終わりですか。」前を行く人に尋ねると、振り向いたのは白髪のアメリカ人。孫娘と2人で、毎週この森に来ているそうだ。何度も立ち止まっては息を整え、急な坂をゆっくりと登っていく。荒い息の向こうに、彼はどんな世界を見ているのだろう。

逗子 サンコウチョウのすむ森と渓谷:イメージ6

しばらく山道を行くと、広い林道にぶつかった。ここでも数人の欧米人とあいさつを交わす。池子の米軍住宅に住む人たちのようだ。同じ自然に抱かれて、笑い合うことのできる平和が続くことを願う。道標に沿って、KDDの中継施設を経て二子山の「上の山」へ。標高207.9mの頂上には展望台が立ち、東京湾の追浜付近や逗子の山並みを見渡すことができる。明るい草原の向こうに海と山とを見下ろしながら、弁当をつついた。この先、「下の山」に向かっても良いのだが、今回は道を戻り、東逗子の駅に出ることにする。

逗子 サンコウチョウのすむ森と渓谷:イメージ7

なだらかな山道を降りる。両脇に並ぶ大きなサクラの木は、昔、薪や炭をとるために植えられたようだ。1970年代までは、茅葺き屋根に使うススキの原もあったという。前日の雨の影響で足元はぬかるみ、滑りやすい。大きなシダの茂る道を下り、二子山から1時間ほどで、沼間小学校そばの車道に出た。北に向かえば10分ほどでJR東逗子駅に到着する。水を蓄える山から川の源流、河口付近に至るまで、三浦半島随一のまとまった自然が残る森戸川。変化に富んだ深い森を守る意味を、森の宝石、サンコウチョウが教えてくれた。

-DATA-

場所:
神奈川県逗子市
交通:
JR逗子駅よりバス→長柄交差点バス停下車
コース:
長柄交差点(徒歩30分)→川久保交差点(徒歩20分)→逗葉林道(徒歩60分)森戸川渡渉(徒歩60分)→二子山:上の山(徒歩80分)→JR東逗子駅
駐車場:
無し
トイレ:
JR逗子駅、東逗子駅にあるが、その間コース上には無し
参考文献:
岸由二『いるか丘陵の自然観察ガイド』山と渓谷社、1997
神奈川県『かながわの探鳥地50選』、1993

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