トレッキングレポート

サブナビゲーションをスキップ


フィールドレポート

現在のレポート数は811件です。

最新記事
最近のコメント
カテゴリー
バックナンバー

Since Apr.01,2000


« 三毳山(みかもやま)トレッキングレポート:トップページ鎌倉 桜吹雪の源氏山へ »

鎌倉 春爛漫の里山歩き

Apr.01, 2001 腰越-広町-鎌倉山-深沢

鎌倉 春爛漫の里山歩き:イメージ1

今年もサクラの季節になった。花を愛でながら、静かな広町の森から有名な鎌倉山へと抜けようと考え、家を出た。まずは江ノ電腰越駅から神戸川沿いに歩いて広町の森へ。神戸川は、鎌倉三大緑地の一つ、広町の森から流れ出る川だ。一昔前に比べると、大分水が澄んだように見える。エサの魚を求めて、コサギも舞い降りてきた。教会風の建物のあるモンタナ幼稚園のところで右手に曲がり、東に伸びる道へと入る。細々と営まれる畑のわきを抜けると、次第に緑の谷戸が迫ってくる。

鎌倉 春爛漫の里山歩き:イメージ2

野の花が咲く土水路に沿って先へ進むと、ふいに奥行きのある谷戸の風景が広がった。室ガ谷(むろがやと)と呼ばれる、広町の森への入り口の一つ。ずっと米がつくられていたところだが、三年ほど前から休耕田となっている。最初の分岐を左手へ曲がり、フキ畑の奥から山道を登る。足元の岩は山から湧く水で常に湿っている。“洗い坂”と呼ばれたこの道も、昔よりは大分乾燥してきた。突き当たりの分岐を右へ。地元の人々の手づくりの道標を便りに、山の縁沿いに、東方向、七里ガ浜方面へ向かう。

鎌倉 春爛漫の里山歩き:イメージ3

広町の森は、開発業者と保全を求める市民とのはざまで、20年以上揺れつづけてきたところだ。現在は、都市林公園としての保全の方向性が検討されている。今日歩く道は、地元の市民団体が草を刈るなどして整備しているところだ。また、道の一部は、市が提唱する“市民健康ロード”計画にも盛り込まれている。自然を傷つけるほどの過度な利用は避けたいが、自然とふれあい、森を大切に思う人が増えることは、保全に向けての一歩となるはずだ。寄り道をしてオオシマザクラの巨樹を見てから、森を抜けた。

鎌倉 春爛漫の里山歩き:イメージ4

有名な、鎌倉山のサクラ並木へ。広町の森でよくみられたサクラは、以前炭焼きに使われていたヤマザクラなどだが、この道沿いのサクラは、宅地造成の際に植えられたソメイヨシノが多い。近年は〝サクラばかり植えるのは多様な生きものを守る視点に欠ける〟という指摘もあるが、やはり生まれもった日本人の心は否めない。光あふれる満開のサクラに、思わずため息をつく。最初の左に折れる道を行くと、じきに自動車道へ飛び出した。人と車で混雑する大通りを避け、道を北方向に下っていく。

鎌倉 春爛漫の里山歩き:イメージ5

笛田公園へ出て、芝生の上で一休み。これまで歩いてきた山は、次のような言い伝えで、龍の体になぞらえられている。昔、深沢の湖にいた五つの頭の龍が、子どもを食べるなど悪事を繰り返していた。あるとき現れた美しい江ノ島の弁財天に龍は結婚を申し込む。弁財天が龍の悪行をとがめたところ、龍は改心を誓い2 人は夫婦になった。人々を助け続けた五頭龍が死ぬと、亡骸は変じて深沢から龍ノ口に至る山になったという。物語に重ねてみると、辺りの景色が深みを増してくる。

鎌倉 春爛漫の里山歩き:イメージ6

緩やかなカーブを曲がりながら降りていくと、左手に緑の水面が見えてくる。2つの池が並ぶ、夫婦池だ。昔は水神様の池とも呼ばれ、農業用水のため池として大切にされていた。付近の田畑が減った今は、訪れる人も少なく静まり返っている。下の池の奥に見える小さな畑に行こうと、ササの間の道を進んだ。チィーッ、と澄んだ声。振り向くと、コバルトブルーのカワセミが飛び去った。池を半周して、畑に到着する。日だまりの枯草の、ひなびた香り。菜の花、セリ、水面に写るサクラの木。里山の春だ。 

鎌倉 春爛漫の里山歩き:イメージ7

深沢駅に向かって坂を下りきると、平坦な道の両側に田んぼが広がる。その脇に、今ではめっきり減った藁葺き屋根の民家が2件ほど。昔は鎌倉の内陸地も一面田畑で、ほとんどの家が萱(かや)ぶき屋根だったそうだ。村の人々が皆で萱を刈り、力を出し合って一年に一軒ずつ屋根を葺いていったという。ぬくもりある人々の結びつきが、この里山の風景を守ってきた。当時とは個人の生活も社会システムも異なるが、今の私たちだからこそできる自然との向き合い方もきっとある。この21世紀が、「春の里山はいい」と感じる人々の純粋な思いを、形にしていける時代になればと思う。

※ 鎌倉広町緑地は、2002年10月に保全の方向性が決まり、10年の公園化を目指し、保全・整備の計画が進んでいます。地域や行政の方々のご努力のおかげで鎌倉の美しい宝物が将来に渡り守られていくこと、心より嬉しく、これからも応援しています。

-DATA-

場所:
神奈川県鎌倉市
交通:
江ノ島電鉄線腰越駅より徒歩
コース:
江ノ島電鉄線腰越駅(徒歩20分)→ モンタナ幼稚園(徒歩10分)→ 広町の森室ガ谷(徒歩30分)→鎌倉山住宅地(徒歩40分)→笛田公園(徒歩30分)→夫婦池(徒歩30分)→湘南モノレール深沢駅
駐車場:
なし
トイレ:
市腰越行政センター(モンタナ幼稚園付近)、笛田公園にあり
参考文献:
鎌倉市教育委員会『かまくら子ども風土記 中』2000
小澤彰『鎌倉 下巻』神奈川県郷土文学研究会、1981
その他:
広町の道は、足場が悪い上、分かりにくい。できれば地元の市民団体のイベントに参加を

コメント(0)

コメントはまだありません。

コメントを投稿

(いままで、ここでコメントしたことがないときは、コメントを表示する前にこのブログのオーナーの承認が必要になることがあります。承認されるまではコメントは表示されません。そのときはしばらく待ってください。)

コメント投稿フォーム

ページのトップに戻る