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鎌倉 シャガの花咲く里の道

Apr.14, 2001 祇園山ハイキングコース

鎌倉 シャガの花咲く里の道:イメージ1

毎年5月になると、祇園山ハイキングコースへシャガの花を見に行くことにしている。しかし今年は大分気温が高いようで、4月半ばにして見頃を迎えたとの便りがあった。花が散らぬうちにと、鎌倉駅へ急ぐ。まずは鎌倉駅の東口から大巧寺へ。別名「おんめさま」とも呼ばれるこの寺は、四季を通して花が絶えず、またその境内を抜けると小町大路へ出られる。南下し、妙本寺へ。駅からほど近い場所にあるにもかかわらず、常に静かなたたずまいで迎えてくれる寺だ。まぶしい新緑のこの谷戸は、阿仏尼がホトトギスの声を聞きに来た場所とも伝わる。足を踏み入れると早速、白いシャガの花が出迎えてくれた。

鎌倉 シャガの花咲く里の道:イメージ2

山門を入ると、右手に苔むした一族の墓や頼家の子、一幡の袖塚が立ちこの比企谷は頼朝の乳母比企(ひき)氏の住んでいたところ。比企能員は2代将軍頼家の命により北条時政を討とうとしたが、はかりごとが事前に漏れ建仁3年(1203)年、能員は名越の邸で刺殺され、一族もこの谷戸で焼き討ちにされた。、比企氏滅亡の悲史を今に伝えている。境内のカイドウの花は、もう少し前に見頃を迎えていたようだ。祇園山ハイキングコースへはこの妙本寺の裏山からも入れるが、全行程を歩くために一度門を出て南下する。鎌倉最古の厄除け神社とされる八雲神社が、その入り口だ。境内のクスノキの巨木から、森の精気が香り立つ。奥の御岳神社にも頭を下げて、右手の細い道から石段を登りはじめる。

鎌倉 シャガの花咲く里の道:イメージ3

急な坂を登るにつれ、ぐんぐんと展望が開けてくる。登りきった地点のT字路を右に行けば、ほどなく丘陵の南端に位置する祇園山へ。海や鎌倉のまちなみが見渡せ、ベンチなども置いてある。一休みして踵を返し、北へと向かう。ここから樹林へ入る。比較的平坦で、歩きやすい道だ。30分ほど進むと、左手に先ほど立ち寄った妙本寺へ向かう分岐が現れた。今回はこの道はやり過ごすが、当分岐付近の斜面では、見事なシャガの群生がみられる。しっとりとした緑の葉の上に、一面、雪を散らしたような白い花が咲き乱れる。

鎌倉 シャガの花咲く里の道:イメージ4

ときおり、木々の間に民家がのぞく。この道は、鎌倉駅から一番近い手軽なハイキングコースだが、うっそうと茂る常緑の森が市街地の喧噪を忘れさせてくれる。少し小高い丘が屏風山(びょうぶやま)だが、樹木が茂り展望は無い。山道は左手に折れ、次第に下る。「腹切りやぐら」と示す古い立て札。「聖域への参拝以外の目的での立入は禁止」と告げる立て札の奥に、黒々とやぐらが口を開けている。中には、数十本の卒塔婆が立てかけられているようだ。北条一族が滅亡した折の墳墓と伝えられる場所で、手を合わせる。

鎌倉 シャガの花咲く里の道:イメージ5

森を抜け、明るい日差しの下、舗装路を降りていく。右手の柵の向こうに、野の花の揺れる静かな草原が広がった。東勝寺跡だ。東勝寺は北条泰時が開いた寺で、代々北条一族の菩提寺であった。元弘三年、新田義貞の軍に追い詰められ、北条高時ら一族がこの寺にこもって自害し果てた。いわば、鎌倉幕府終焉の地だ。その凄惨な光景を思い起こさせる建物の面影も、今は無い。その分かえって、新緑の若葉や花々の白さが目にまぶしく飛び込んでくる。

鎌倉 シャガの花咲く里の道:イメージ6

東勝寺橋の上で、滑川を眺めながら一息ついた。輝く水面。岩肌を滑る流れの上に、ケヤキの大木が影を落とす。この付近には山から海へと移動するアユやモクズガニがすみ、それを狙ってコサギなどの野鳥も舞い降りるという。橋の付近の石碑には、出仕の際に川底に銭を落とした青砥藤綱の逸話が記されている。「銭が無くなることは世の中にとって損失となる」と、落とした値より高価なたいまつで川底を照らし、人足に拾わせたとある。ここから当たり前のように見える自然の風景も、失ってはならない財産のひとつなのだと思う。

鎌倉 シャガの花咲く里の道:イメージ7

南下し、駅へと戻る。行きにも通ったこの小町大路は、若宮大路と平行して南北に走る、閑静な住宅街の道で、鎌倉駅より東側の様々なハイキングコースに向かうときによく利用する。途中で、日蓮上人が法華経の布教活動をしたといわれる日蓮辻説法跡に立ち寄った。この住宅地沿いの道で、かつて日蓮が数珠を振り上げていたと思うと、歴史上の人物が身近に感じられる。今回歩いた山を、左手に眺めながらの帰り道。なだらかな尾根が示すように、祇園山ハイキングコースは、それほど足に自身が無い人にもおすすめできる、静かな山道だ。出発地点の大巧寺境内を再び抜けて、現代の街の喧噪に身を浸した。

-DATA-

場所:
神奈川県鎌倉市
交通:
江ノ島電鉄線鎌倉駅より徒歩
コース:
江ノ電鎌倉駅(徒歩10分)→大巧寺(徒歩15分)→妙本寺(徒歩10分)→八雲神社(徒歩50分)→腹切りやぐら(徒歩15分)→日蓮上人辻説法跡(徒歩15分)→鎌倉駅
駐車場:
無し
トイレ:
鎌倉駅、妙本寺にあり
参考文献:
御所見直好著『誰も知らない鎌倉路』集英社、1983
岸由二編『いるか丘陵の自然観察ガイド』山と渓谷社、1997
浄明寺太郎著『かまくらなんでもガイド』金園社
田中敏治著『てくてくマップ鎌倉』北海道地図株式会社、1988

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