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鎌倉 新緑の衣張山へ

Apr.28, 2001 衣張山~釈迦堂切通し

鎌倉 新緑の衣張山へ:イメージ1

新緑の衣張山へ、シャガの花を見に行った。鎌倉駅から大巧寺を抜け、小町大路を北上。頼朝の墓、荏柄天神前を通って第二小学校脇から、草ぶきの山門の杉本寺へと着いた。杉本寺は天平六(734)年に創建され、鎌倉最古の寺といわれる。中世における坂東三十三カ所の第一番の霊場。開山の行基がつくった本尊、十一面観世音菩薩は、寺が火災にあったときに、ひとりで杉の下に逃れ難をさけたといわれる。この寺の背後の丘陵一帯は杉本城のあったところだ。

鎌倉 新緑の衣張山へ:イメージ2

杉本寺の少し先で道を渡り、滑川にかかる犬懸橋から川沿いへ南に入る。東西に走る「平成巡礼路」の四つ辻に、「衣張山」を示す小さな道標が現れた。道にしたがって進むと、スギに囲まれた山道に入る。道の脇でシダやワラビが頭をもたげ、森に小鳥のさえずりが響く。ひとしきり登ると、左手に分岐が現れる。ここはもう衣張山頂上のすぐ下だ。いくつも石づくりの塔があり、北側の山並みがはるかに見渡せる。右手に、大きなやぐらがぽっかりと開いている。中に入ると、ひんやりした空気が体を包んだ。

鎌倉 新緑の衣張山へ:イメージ3

道をそのまま進むと、先ほどの分岐とぶつかり頂上へ。カントウタンポポが咲く、のどかな景色にほっと一息。鎌倉のなかでも東側の、名越や材木座の風景が広がる。衣張山は標高120.6mで、鎌倉では高い山の一つに数えられる。衣張山の名は、頼朝が、夏の暑い日にこの山に白い絹を張らせ、雪の降りかかる冬の景色に見せかけて涼んだという故事に由来すると伝わる。頼朝の権勢の強さから想像された逸話ともいわれるが、海山を見下ろし涼やかな風を頬に受けると、頼朝でなくても世の中の舵を取れそうな気分になる。

鎌倉 新緑の衣張山へ:イメージ4

山頂から南東に伸びる道を行くと浅間山へ。付近から出土したという五輪塔があり、その回りに経文を書き付けた「経文石」が置いてある。菜の花の実が膨らみはじめ、ショカッサイの薄紫色の花が一面に咲く。先ほどの衣張山に比べればこじんまりとした山頂だが、花の咲き乱れる眺めの良い丘は昼寝の場所にはもってこいだ。のどかな景色を堪能した後、「ハイランド方面」と書かれた道標に沿って東南方面に下りた。子ども自然ふれあいの森を経、右手の大町へ抜ける石段へ。道の左手の斜面では、白いシャガの花が満開だ。

鎌倉 新緑の衣張山へ:イメージ5

道を西に向かって歩いていくと、緑豊かな逆川の流れが見えてくる。地元の人が十年以上かけて保全してきた場所で、ホタルやモクズガニもすむという。平成元年、環境庁が逆川ふるさといきものの里・小動物保全区域に指定しているところだ。一般の人が水際に降りることはできないが、輝く水面に飛び交うカワトンボも見られ、水辺の自然を楽しむことができる。分岐の手前の右手の山すそに、黄金やぐらがある。かつて水中の岩肌に生えるコケのために、やぐらのなかの水が黄金色に見えたことからつけられた名という。

鎌倉 新緑の衣張山へ:イメージ6

T字路を右手に曲がり、住宅地の坂を登っていく。やがて道幅が細くなり、岩をくり抜いてつくられた巨大な洞門が目の前に現れた。釈迦堂口切通しだ。思わずくぐり抜けたくなるが、洞門は崩落の危険があるため通行が禁止されている。釈迦堂の名は、鎌倉初期、三代執北条泰時が父義時を供養すべく、この地に釈迦堂を建てたことに由来する。洞門の上の尾根には「唐糸やぐら」「日月やぐら」などのやぐら群がある。このやぐら群は現在立ち入り禁止となっているが、途中まででも行ってみようと歩みを進めた。

鎌倉 新緑の衣張山へ:イメージ7

洞門から名越側へ200mほど坂を下ったところでT字路を左へ登ると、最奥部に「名越山荘」がある。ここから先が、立入禁止区域だ。文献資料を基に、想像を膨らませる。石像のある門前から左手の通路を進んだ奥に、「唐糸やぐら」がある。これは木曽義仲の家臣、手塚光盛の娘の唐糸が、暗殺の意図を頼朝に見破られ、捕えられた土牢と伝わる。また隣接して、内部の壁面にある納骨の穴のかたちが日と月に見える「日月やぐら」がある。衣張山が、そのすがすがしさの奥に深い魅力を感じさせるのは、こうした立ち入ることのできない領域が醸す空気によるものなのかもしれない。

-DATA-

場所:
神奈川県鎌倉市
交通:
JR鎌倉駅より徒歩
コース:
JR鎌倉駅(徒歩30分)→杉本寺(徒歩5分)→犬懸橋(徒歩10分)→衣張山登山口(徒歩40分)→衣張山頂上(徒歩5分)→浅間山(徒歩20分)→子ども自然ふれあいの森(徒歩15分)→黄金やぐら(徒歩15分)→釈迦堂切通し→(徒歩50分)→鎌倉駅
駐車場:
無し
トイレ:
鎌倉駅、子ども自然ふれあいの森にあり
参考文献:
鎌倉市教育研究所編『かまくら子ども風土記 上』鎌倉市教育委員会、2000
御所見直好著『誰も知らない鎌倉路』集英社、1983
浄明寺太郎著『かまくらなんでもガイド』金園社
白井永二編『鎌倉事典』東京堂出版、1991

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