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鎌倉 生きものの地名を訪ねて

Mar.20, 2001 報国寺~法性寺

鎌倉 生きものの地名を訪ねて:イメージ1

「お猿畠」「むじなが谷」という場所が、鎌倉にあるという。ほのぼのとした言葉の響きに惹かれ、どんなところか見てみたくなった。鎌倉駅から、まずは浄明寺のバス停を目指す。春の鎌倉は観光客が多い。人の流れについていくと、滑川にかかる華ノ橋を渡り、ほどなく報国寺に到着することができた。寺の門を右手に見ながら、奥にのびる脇道を進む。にぎやかに響いていた人々の声が、パタリと途絶えた。

鎌倉 生きものの地名を訪ねて:イメージ2

静かな宅間の谷戸の道を行く。傍の小川を、落花したヤブツバキが回りながら流れていく。じきに舗装路はつき、石段を上がり山道へ入った。中腹でちょっと一休み。春の息吹を感じながら、石の上で腰をおろす。黄緑色のつり鐘のようなキブシの花が、木々の梢から垂れ下がる。さわらび色のゼンマイが、あちこちで頭をもたげている。のんびり休んでいる間にも、5、6人が通り過ぎた。地元の人々の、生活の道になっているようだ。

鎌倉 生きものの地名を訪ねて:イメージ3

ゆるやかなカーブをしばらく上ると、宅造地ハイランドに出る。道なりに小山の右手の原をつっきって行く。池のある広場を経て、分岐点に出た。道標に従って道を左手、名越切通し方面に取れば、子ども自然ふれあいの森に出る。そのまま南へ直進。ちらほらと咲くタチツボスミレが、足元を薄紫色に彩る。馬の背のような尾根道をいくと、やがて周囲に岩盤が露出し始めた。

鎌倉 生きものの地名を訪ねて:イメージ4

ふいに左側に開けた空間が現れ、眼下に梅林や畑、逗子方面の山々が広がった。この一帯が、お猿畠と呼ばれるところだ。その奥に立つのは法性寺の中国風の塔。足元を見れば、切り立った断崖がそそり立っている。これは昔、敵の侵入を防ぐために岩を削ってつくられた遺構、「切り岸」と呼ばれるものだ。さらに前進し、二基の石廟のある広間を抜けると、道は2つに別れる。左へ下る道を行けば、先ほど上から見たお猿畠を経て法性寺に抜けることができる。

鎌倉 生きものの地名を訪ねて:イメージ5

梅の花咲く境内に入ると、岩壁の南面に穴が開いている。ここは、幕府や他宗徒を罵倒したとして攻撃を受けた日蓮を、白猿が導き救ったとされる場所だ。岩山の上には、猿神の恩に報いるための山王権現の祠がある。石段を降り、振り返って山門を仰いだ。「猿畠山」と書かれた額をかかげる格好で、白猿の像が彫り込まれている。鎌倉にニホンザルがいたという話は聞かないが、野生の生きものたちが身近にいたからこそ、彼らが人を助けるという逸話も生まれ得たのだと思う。

鎌倉 生きものの地名を訪ねて:イメージ6

ふと道端の石塀を見ると、地元の自然保護団体による看板がかかっている。この名越の森にも、開発が迫っているらしい。絶滅が心配されるオオタカも、この森にすんでいるそうだ。まだ日は高い。このまま逗子駅に向かってもいいのだが、道をいったん引き返し、「むじなが谷」を経て鎌倉側に抜けることにした。先ほどの石廟の先の分岐点へ戻り、今度は右の道を直進する。しばらく行くと、右手、東側に枯れ野原が広がる。これがむじなが谷だ。

鎌倉 生きものの地名を訪ねて:イメージ7

「むじな」とはアナグマの古い呼び名。今は見られないが昔は鎌倉にも多かったようで、化かされたことがある、と語るお年よりもいる。そんな生きものもひょっこり顔を出しそうな、草むらの踏み跡をたどる。左手の林間にのびる細い道は、次第に険しくなる。引き返そうとも思ったが、横着して無理やり突破してしまった。最後は木の根にしがみつき、垂直の崖を下る羽目に。山道で焦ると、方向感覚もおぼつかなくなる。これが「化かされた」ということか。無茶な行動をする者に、自然はバチを下すのだろう。桃の花咲く畑で一息ついて、静かな谷戸を後にした。

-DATA-

場所:
神奈川県鎌倉市
交通:
鎌倉駅より徒歩
コース:
鎌倉駅(徒歩30分またはバス)→報国寺(徒歩20分)→子ども自然ふれあいの森(徒歩15分)→石廟先の分岐
1.左折(東へ徒歩5分)→法性寺(徒歩約10分)法性寺バス停
2.右折(西へ徒歩10分)→むじなが谷(徒歩約20分)→名越バス停
駐車場:
無し
トイレ:
鎌倉駅より先コース上には無し
参考文献:
御所見直好『誰も知らない鎌倉路』集英社、1983
浄明寺太郎『鎌倉なんでもガイド』金園社
その他:
むじなが谷のふもと(第7段落で紹介)へは、名越切通しへ向かう途中に立ち寄れる。
むじなが谷の中の道を通り抜けるのは危険。

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