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ププ・スプリングズ

Mar.07, 2001 世界一透き通った泉

世界一透き通った泉:イメージ1

『透明度世界一の泉』が、実はニュージーランド(以下NZ)の、しかも我がネルソン地方にある。とはいえ『世界一』なんていうキャッチコピーほど当てにならないものはないってのも事実。データによるとこの泉の湧水量はNZ一番(毎秒7~21t)を誇り、世界中でも約90番目にランキングされているらしいのだが、透明度に関するデータは残念ながら見当たらない。世界一っていうのは世間で言われているに過ぎない話らしい。しかしながら、その透明度と美しさは特筆すべきものがあり、我が目で見れば「なるほど、こりゃ世界一だ!」と唸らざるを得ない説得力を持つ。にも関わらず、これまた例によってあまり宣伝されていないために旅行者には案外知られておらず、すぐ近くまで行きながら素通りされる方も少なくないようだ。「トレッキングレポート」と呼ぶには少々物足りないショートウォークではあるが、絶対に見逃せないポイントである事も確かなので、ご紹介することにした。なんせ私なんて毎月のように出掛けてしまう場所なのだ。

世界一透き通った泉:イメージ2

さて、その泉の名は『ワイコロププ・スプリングズ』。長いので地元でも通称の『ププ・スプリングズ(以下ププ)』で通っており、フルネームをキチンと言える人はあまりいない。ネルソン地方の北半分は『ゴールデン・ベイ』と言われるエリアで、その中心の町がタカカ。ネルソンから約2時間のドライブは、海あり牧場ありカルストの山からの見事な景観ありのバラエティに富んだ行程で、それだけでも十分に楽しい。タカカの小さな町を通過してものの10分程度で、ププの駐車場に突き当たる。トイレ以外には売店も入り口ゲートも何もないので、日本人としては拍子抜けしてしまうかもしれない。これが日本なら『ププの銘水』『清酒ププ』などの売店が軒を並べるところなのだが・・・。

世界一透き通った泉:イメージ3

駐車場から道を下り始めると、すぐに右手に翡翠の如き小さな清流が現れる。この川が間もなく世界一との触れ込みの泉と合流し、先ほど渡って来た川となる。いやがうえにも期待が高まる。坂を下り切ると、小さなノートが置いてあるデスクが現れる。実はこれ、ダイヴァー用登録ノート。この清冽な泉は、なんと条件付きながら誰でも自由にダイヴィングが出来るのだ(ただし普通の水泳は厳禁)。水温が低い(通年11.7℃)のでそれなりの装備が必要なため、私自身はまだ挑戦した事はないが、時折アクアラングを背負って泉の中を遊泳しているダイヴァーを見かける。つくづく羨ましい・・・。

世界一透き通った泉:イメージ4

この地点から道は左右に分岐する。周回路になっているので、どちらから行っても構わない。メインの泉に近いのは右のルート。左から行くともう1つの小さな泉『フィッシュ・クリーク・スプリングズ』を経由してNZの自然林の中の散歩をしばらく楽しんだ後に、メインの泉に向かう事になる。今回は左手から行く事にしてみよう。最初は明るいマヌーカ(NZティートゥリー)の林がしばらく続くが、程無く清流に再度ぶつかる。これがフィッシュ・クリーク・スプリングズ。泉というよりは川といった程度の可愛らしい規模のものだが、水はやはり恐ろしく清冽。清流の水面すれすれに渡された木の通路の上を歩いて渡ることになるので、靴を脱いで足を水につけてみる。脳天まで痺れるような冷たさを我慢して川底に立つと、くるぶしを洗う水がなんとも気持ち良い。世界一の泉を見る前からすでに幸せ一杯だ。これ以上のシロモノとは如何なるモノや?ここから先はNZ名物のレインフォレストの気分を味わわせてくれる、シダとブナの暗い林。しかも憎い事に、色んな種類の木やシダが次々に現れてくれるので、「こいつは植物園か?」ってな気分にさせられてしまう。そうやってゆっくりゆっくり林を楽しみつつ歩いてもせいぜい20分程度で、ついに『世界一の泉』に到着だ。

世界一透き通った泉:イメージ5 世界一透き通った泉:イメージ6

これを見た瞬間の感想をどう表現しよう?「息を呑む」では少々物足りない。むしろ「呆れ返る」「戸惑いを覚える」と言った方が近いかもしれない。それほど我々の常識を超えた景観が、眼前に広がっている。透明度は少なくとも2、30m以上はありそうな事が一目でわかる。でも実はこの泉、深さは数mに過ぎない。じゃ、なぜ数十mも透明度があると分かるのか?実は水上に設けられたプラットフォームに大きな鏡が2枚潜望鏡のように仕掛けられており、水中の風景を水平に眺める事が出来るのだ。遥か彼方で水面から覗く葦の群生が、水中を覗く鏡でもクッキリと確認出来る。泉の底では方々で湧き水が砂を踊らせ、時折60cm を超えるトラウトが鏡の前を横切ったりする。NZ名物の2mを超えるお化けウナギが姿を見せる事もあるかもしれないし、アクアラングを背負ったダイヴァーが手を振ってくれる事もある。

世界一透き通った泉:イメージ7

自然豊かなNZの中でもこの泉だけは昔からやはり別格だったらしく、古くから現在に至るまで、NZ先住民マオリ族の聖地となっている。DOC(NZ自然保護局)の管轄となっている現在も、マオリの聖地を守るために厳しい規制が設けられており、その結果我々もこうして腰を抜かすほどの美しい水を堪能する事が出来ている。はやり自然保護のためには相当に厳しい姿勢で臨まなくてはならないことを、この泉は無言のうちに我々日本人に語り掛けてくれているようだ。釣りや水泳、キャンプは厳禁。許可されているダイヴィングの際にも、色々と細かいルールに従わなくてはならない。注意書きをよくお読みになった上で、ルールは厳守のこと。彼等の文化は尊重しよう。ま、難しい事はさておき、近くにお越しの際は是非ともお立ち寄りを。ゆっくり歩いても1時間程度の散歩道で、これだけのインパクトのあるガイアの息吹に出会えるなんて、滅多に体験出来ることではない。車椅子用の別トラックもあるので、下半身の不自由な方もこの奇跡の泉をその目で見ることが出来る。そして、もしあなたにダイヴィングの心得があるならば、迷わず道具を調達して是非とも挑戦を!

-DATA-

場所:
ププ・スプリングズ - ゴールデン・ベイ中心の町タカカから約7km、車で10分程度。
交通:
・車をお持ちの方 - ネルソンより国道6号線、60号線を経てゴールデン・ベイ地方の中心の町、タカカへ。タカカの小さな町を通過して5分ほど走ると、美しい川にかかった橋を渡る。この橋を渡り終えてすぐのところに、左に入る道がある。これがププへの道。案内標識が出ているのですぐ分かるだろう。この道に入って数分間走ると、左手に小さな橋が現れる。左折してこの橋を渡り、さらに数分行けば突き当たりがププの駐車場。ネルソンから車で約2~2.5時間。
・車をお持ちでない方 - タカカ周辺の宿泊施設の中にはププ・スプリングズへの送迎をしてくれるところも多い。さらにダイヴィングのためのウェットスーツやマスク、シュノーケルの貸し出しをしてくれる宿もあるようなので、予約時に確認すると良い。または、タカカの町の自転車屋が自転車のレンタルもやっている。7kmの道程なのでゆっくり走っても1時間とかからないだろう。
駐車場:
あり(無料)。
トイレ:
駐車場にある。
注意事項:
・本分中に記した通り、マオリの聖地なので、案内板に書かれた注意事項は厳重に守ること。
・水泳、釣り、キャンプなどは禁止。
・ダイヴィングの際はキチンと記帳し、特にルール厳守につとめること。

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