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鎌倉 湖とかつての山道をたどる

Feb.16, 2001 散在ヶ池(鎌倉湖)~建長寺

鎌倉 湖とかつての山道をたどる:イメージ1

大船方面から鎌倉へ、かつては山づたいに歩くことができたという。地図を辿って、ふとこの道を歩いてみたくなった。大船駅からバスに乗り、神社前で降りる。山の斜面に立つ白山神社は、今泉の鎮守。参道で、見ざる・聞かざる・言わざるをかたどる庚申塔が迎えてくれる。市の有形民俗資料とのことだ。鳥居に渡らせた太いしめ縄は、ムカデをモチーフにしている。素朴なたたずまいの神社だが、本殿の毘沙門天立像は、頼朝が京都の鞍馬寺から移したものといわれる。

鎌倉 湖とかつての山道をたどる:イメージ2

滝を見に、車道を抜けて称名寺へ。ゴミ焼却場の煙突、ゴルフ場の看板、ものものしい称名寺の門が並び、本当に滝があるのかと不安になる。六地蔵の並ぶ入り口を抜け右下に下ると、手前に小さな女滝、奥に大きな男滝が現れた。光を反射して揺れる水面、小さな虹。滝しぶきから上る清浄な空気に、ため息が出る。苔に覆われ磨り減った、急な石段を登る。寺の縁起によると、弘法大師が巡遊の折、紫雲のたなびくこの峰を見つけ、現れた老翁老媼の言に従い不動明王の像を収めたという。堂の背後にある無数の石仏。時とともに孤立する自然の行く末を案じるようにも見える。

鎌倉 湖とかつての山道をたどる:イメージ3

散在ヶ池森林公園、通称鎌倉湖へ出る。この池は明治初年、当時一帯に広がっていた大船千石という大水田の農業用貯水池としてつくられたものだ。現在は神奈川県と鎌倉市により公園として整備され、周囲には遊歩道がめぐらされている。「せせらぎの小径」は切り立った崖の合間の湿地帯の道。湖から流れ出た清水のしたたる渓谷を眺め、木道を歩く。ツーピー、ツーピーと朗らかに春を告げるシジュウカラの声が、谷の向こうから響いてきた。

鎌倉 湖とかつての山道をたどる:イメージ4

丸太の階段を上ると、深いみどりの湖が現れる。周囲772m、面積約12.8ヘクタールとそれほど大きな湖ではないが、木々が水面に枝を垂れ、こんもりとした森の印象が強い。池は中心付近が急に深くなっており、水死事故も多かったそうだ。近くの部落では、大ウナギがすむこの池に沈んだ神次という少年の悲話を語り、子どもがこの池に近づかないようにしたという。しかし現在、湖はコンクリート護岸され、コイの姿が目立つ。ブラックバスなどが在来の小魚や水棲生物を食べてしまうと、この池の生態系を危惧する声も多い。

鎌倉 湖とかつての山道をたどる:イメージ5

尾根すじの「馬の背の道」を伝い、公園南端の出口から住宅地へ出る。このまま湖の散策路を一周し、大船駅へ戻っても良いのだが、昔は山続きになっていたという道を通って、鎌倉駅方面へ抜けてみたかった。公園北側出口から斜めに延びる道を南東に進み、突き当たりの山の際を通って六丁目公園へ出る。道標に従い、天園ハイキングコースに入った。向かって右、西の方角へ進む。

鎌倉 湖とかつての山道をたどる:イメージ6

勝上嶽から階段を降りる。ふいに、般若心経を読む声が響き渡った。ここはもう、建長寺の半僧坊だ。普段は天狗像の並ぶ正面の階段を降りるのだが、素通りして西の端まで進むと、再び細い道に入る。石だたみの感触や、風格あるタブの老樹と出会える山道だ。降りきったところで右に曲がれば川村瑞賢の墓。山の合間のぽっかりあいた空間に、わらぶきの屋根を被った石碑がある。江戸時代に新たな海路を開き、荒ぶる川を治めてきた瑞賢の魂は、今、山の懐で何を感じているだろう。

鎌倉 湖とかつての山道をたどる:イメージ7

瑞賢の墓から階段を降りきり、そのまま東に進むと回春院へ出る。イヌがふいの客に警戒の声を上げる。大覚池を臨めば、グワッ、グワッとアヒルが尾を振る。裏庭に回ると、今度は草をはむヤギに出くわした。小川のそばで「何しに来たんだ?」とでもいいたげにこちらを見つめるネコ。動物たちに囲まれる静かな庵は、かつての人々の暮らしを彷彿とさせる。観光客の歩く建長寺に戻り、桃源郷から抜け出てきたような気分になった。車の少ない亀ガ谷切通しを抜け、鎌倉駅へ。今日歩いた車道や宅地で分断された自然を、頭の中でつなぎ合わせてみる。未来に手渡したい鎌倉の青写真が、少しだけ見えた気がした。

-DATA-

場所:
神奈川県鎌倉市
交通:
大船駅よりバス白山神社前下車
コース:
白山神社(徒歩15分)→ 称名寺(徒歩15分)→ 散在ヶ池(徒歩30分)→六丁目公園(徒歩30分)→建長寺半僧坊(徒歩15分)→川村瑞賢の墓(徒歩10分)→回春院(徒歩30分)→鎌倉駅
駐車場:
無し
トイレ:
散在ヶ池森林公園、建長寺にあり
参考文献:
御所見直好『誰も知らない鎌倉路』集英社、1983
浄明寺太郎『鎌倉なんでもガイド』金園社
その他:
建長寺の境内を通る際は参拝料が必要

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