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鎌倉 苔むす切通しと静かな尾根道

Feb.10, 2001 名越切通し~浅間山

鎌倉 苔むす切通しと静かな尾根道:イメージ1

冬枯れのまちを見ていると、緑の山が恋しくなる。海岸にほど近い常緑の、名越切通しに向かった。長勝寺でバスを降りると、色とりどりの垂れ幕が見える。2月11日の大国祷会に備えるものとのこと。千葉県の法華経本山で百日間修行を積んだ僧たちが、冷水を浴びる荒行だ。春のきざしがあるとはいえ、まだ風は冷たい。男たちの世界平和への願いが、天に通じることを祈る。街道をトンネル側に進み、踏み切りを渡って線路沿いの住宅地の坂を上がる。梅の花の下で、犬ものんびりと日向ぼっこだ。山道の入り口で、悠々とタブの巨木が迎えてくれる。

鎌倉 苔むす切通しと静かな尾根道:イメージ2

古い石畳の道を行く。リョウメンシダが辺りを覆い、木漏れ日が差し込む。巡礼の道のようだ。ここは、日本武尊が東征の際横須賀走水から海を渡り、房総に向かった古東海道ともいわれる。谷戸の真上の山ふちに、名越切通しの解説版がある。その先のまんだら堂跡へ向かおうとすると、立ち入り禁止の立て札が。近年管轄が逗子市に移されたのを機に、発掘調査を経て公園化する旨の張り紙がある。かつて当地は葬送の場で、死者を弔う曼荼羅堂があったらしい。やぐらと五輪塔、あじさいの名所という当地の面影をしのぶ。

鎌倉 苔むす切通しと静かな尾根道:イメージ3

急峻な崖が、行く手を阻む。名越切通しは鎌倉七切通しの一つで、三浦半島に対する要害だ。人一人やっと通れるほどの道幅で、確かにこの上から矢を射られては、ひとたまりも無い。危険回避のため小高い迂回路を進めば、木々の間から海が見える。この景色に勢い込んで進むや、小坪の亀ヶ岡団地が目の前に。名越切通しは、横須賀線名越トンネルの真上に位置し、東・西・南を住宅地に囲まれている。三方を分断されるなか、これだけの幽邃さを保つ方が不思議なのかもしれない。もう少し自然を楽しみたくて、踵を返した。

鎌倉 苔むす切通しと静かな尾根道:イメージ4

迂回路の下方へ、道が伸びている。落ち葉を踏みしめ坂を下ってみると、小さな広間に出た。ブランコも滑り台も無い分、辺りの自然に存在感がある。たわわに実る夏みかんの木の下で、弁当を広げた。スズメたちの、ふくらみを帯びたつややかな声。春を迎える小鳥の歌は、一年で最も幸せそうに響く。しかしここから下は鎌倉葉山線で、ひっきりなしに車の音が聞こえてくる。

鎌倉 苔むす切通しと静かな尾根道:イメージ5

再び先の道を登り、名越切通しの最初の看板の後ろの坂へ入った。無縁仏の碑のある広場から林を抜けると、左右を見晴らせるのびやかな尾根に出る。右に逗子方面、左に鎌倉方面を臨み日だまりを歩く。人影の少ない木立に囲まれ、二基の石の祠がある。石廟という珍しい形式のもので市の文化財に指定されているが、誰のものかは専門家にも分からないという。その脇にある分かれ道を左、北東へと進む。

鎌倉 苔むす切通しと静かな尾根道:イメージ6

30 分ほど進むと、道に数本の杭が打たれており道が二手に別れる。右手の山は、昔、地元の山岳信仰の一つであった浅間山だ。急斜面を一気に登る。ヨットの浮かぶ海。鎌倉最東端の孤高の峰からは、鎌倉のまちなみも遠く山なみに埋もれて見える。頂上は久木高区配水池を兼ねており少々狭いが、360度のパノラマには口笛が出る。再び杭のある場所に戻り、左の平坦な道を行けば鎌倉市子ども自然ふれあいの森へ。ここにも展望台があり、木のベンチに座って一休みできる。

鎌倉 苔むす切通しと静かな尾根道:イメージ7

子ども自然ふれあいの森の北端に、小首をかしげたお地蔵さんが立っている。小さな祠は、お供えで一杯。少々心細かった山道もここで終わりだ。道標に沿い、左へ下って大町へ出た。道なりに北西へ進めば、鎌倉方面に向かう大通りへ出る。木漏れ日を浴び、やわらかな光を放つ古道が、まぶたに残る。時空を超えた世界へと人を誘う空気が、名越の聖域に時を重ねる力を与えているようだ。

-DATA-

場所:
神奈川県鎌倉市・逗子市
交通:
鎌倉駅より京急バスで長勝寺下車
コース:
長勝寺(徒歩10分)→踏み切り右折(徒歩15分)→名越切通し(徒歩15分)→石廟(徒歩20分)→浅間山(徒歩15分)→子ども自然ふれあいの森展望台(徒歩10分)→地蔵(徒歩15分)→大町住宅地
駐車場:
無し
トイレ:
鎌倉駅出発後コース上には無し
参考文献:
御所見直好『誰も知らない鎌倉路』集英社、1983
浄明寺太郎著『かまくらなんでもガイド』金園社
自然観察研究会編『てくてくマップ鎌倉』北海道新聞社、1988
その他:
浅間山への道は見つけにくく人通りも少ない。山歩き初心者は熟練者にルート確認の協力を依頼するとよい。

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