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鎌倉 雪の古都を歩く

Jan.12, 2001 鶴岡八幡宮~社寺巡礼

鎌倉 雪の古都を歩く:イメージ1

朝。眼を覚ますと、窓の外がぼんやりと明るい。雪だ。白銀の鎌倉に、会いに行こう。扉を開けると、凛とした空気が体を包んだ。電車に飛び乗る。駅に着くやいなや、電車からはき出された人々は一斉に北へと移動を始めた。鶴岡八幡宮の冬ぼたんを狙うカメラマンだ。藁の雪避けを被る深紅の花を愛でたいところだが、雑踏にもまれ、静かな雪景色が恋しくなる。日が高くなる前にと、東の社寺へ足を伸ばした。

鎌倉 雪の古都を歩く:イメージ2

細い小路を抜ける。雪解けのしずくが、家々の軒先からしたたり落ちて七色に光る。石段を登ると、この鎌倉に幕府を開いた源頼朝の墓がある。今なお、深い森に覆われる質素な墓だ。かつては、膝丈ほどの苔むした塚だったが、近年頼朝をしのぶ人々の手で新しくつくり直された。色とりどりの花やお神酒も捧げられている。天下統一を果たした、英雄の末路を思う。ふいに、ドサリと音がして木々が揺れた。暗がりに沈んでいた塚が一瞬、木漏れ日を浴びて輝いた。

鎌倉 雪の古都を歩く:イメージ3

甘酸っぱい梅の香が、ほのかに漂う。鳥居のように参道を守る柏槙の老樹の間をくぐると、紅梅をかたどる社殿に迎えられた。荏柄天神は、幕府の鬼門である北東の方角を守り、菅原道真を祀る学問の神。子どもたちと、それにもまして真剣な両親が一心に手を合わせ、絵馬には「合格」「必勝」の文字が躍る。紅の梅と青い空、緑の山に白銀の雪。朝日に照らされ、初春の色彩が鮮やかに浮かび上がる。

鎌倉 雪の古都を歩く:イメージ4

クスノキの根元に、あどけない表情の雪だるまと雪うさぎがある。思わず見回すと、雪かきを終えた袴姿の青年の、いたずらっぽい笑顔がはじけた。鎌倉宮は、倒幕、天皇親政の復活を目指し活躍した護良親王が足利尊氏に捕えられ、直義の命で処刑された終焉の地。親王が幽閉された土牢も、今は雪の奥に閉ざされている。滑川に沿い、鎌倉の奥座敷、二階堂へ。細い路地をぬって、2人の女の子が学校へ駆けていく。足跡一つないグランドに、真っ先に乗り込み雪合戦だ。 

鎌倉 雪の古都を歩く:イメージ5

背を丸め、手をこすりながら、黒い作務衣姿の人々が行き交う。報国寺で行われる日曜座禅会へ向かうようだ。竹の寺とも呼ばれる臨済宗の禅刹には、すがすがしい空気が満ちる。足利尊氏の祖父、家時の開基とされている。茅葺きの鐘楼の前に、無数に並ぶ五輪塔。新田義貞の鎌倉攻めで犠牲になった、両軍の戦死者を弔うためのものという。純白の新雪をまとう一つ一つの塔に、つかの間の命が宿ったようだ。

鎌倉 雪の古都を歩く:イメージ6

もう大分日が高くなった。北の谷あいで、雪の名残を惜しもうと思う。瑞泉寺へ。路面は今も凍てつき、足元が危ない。木々は花のように雪を散りばめ、谷一帯が白くけぶっている。深く、人を寄せ付けない荘厳な空気。夢想礎石は、この天台山の麓に瑞泉寺を開き、庭園を造った。礎石は著書『夢中問答』で、奇岩や珍木を置くよりも、山水の中に、自己を究明し、道を求める心が自然に発現するように庭を造るべきだと語る。この地に赴いては、詩を詠んだという鎌倉五山の禅僧たち。雪景色の奥に、彼らの求めた世界は見えるだろうか。

鎌倉 雪の古都を歩く:イメージ7

鎌倉駅へ戻る道中、回り道をして佐助神社へ。杉の茂る山奥に、幾重もの鳥居が吸い込まれていく。白い狐たちの像が、人の心を異界へといざなう。「急ぎ兵を挙げて天下統一すべし」と告げ、姿を消した鎌倉の神。その夢に従い幕府を開いた頼朝は、畠山重忠に命じて、この社を建てさせたという。林から差す光は、人々の願いの行く末を照らすかのようだ。細いトンネルをくぐり、鎌倉駅へ。透き通った青空から暖かな日差しが注ぐ。濡れた地面だけが、駆け足で行き過ぎた雪のよすがを留めていた。

-DATA-

場所:
神奈川県鎌倉市
交通:
JR鎌倉駅より徒歩
コース:
鎌倉駅(徒歩20分)→鶴岡八幡宮(徒歩15分)→頼朝の墓(徒歩10分)→荏柄天神(徒歩15分)→鎌倉宮(徒歩15分)→杉本寺(徒歩15分)→報国寺(徒歩30分)→瑞泉寺(徒歩40分)→佐助稲荷(徒歩15分)→鎌倉駅
駐車場:
無し
トイレ:
鎌倉駅、鶴岡八幡宮、鎌倉宮に有り
参考文献:
御所見直好 『誰も知らない鎌倉路』集英社、1983
浄明寺太郎 『鎌倉なんでもガイド』金園社

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