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極楽寺~稲村ガ崎ハイキング

Oct. 14, 2000 鎌倉 ひなびた谷戸と海を臨む

極楽寺~稲村ガ崎ハイキング:イメージ1

海を臨み、秋枯れの谷戸の風景に出会いたい。雨上がりの青空の下、江ノ電に乗り稲村ガ崎を目指した。極楽寺駅で降りる。谷あいの清水の音に包まれた、古い造りの駅だ。朱色の橋を渡ると、左手に草葺の極楽寺の山門が見える。ここは北条重時(北条義時の3男)が7つの切通しを抑える意味で邸を構えていた跡。戒律を重んじる真言律宗布教の関東拠点で、開山の忍性が療養院をつくり慈善事業を行う拠点でもあったという。

極楽寺~稲村ガ崎ハイキング:イメージ2

北に進路をとり、下校途中の子どもたちの声を聞きながら稲村ガ崎小学校の前を経る。やがて現れた分かれ道で左の道をたどると、木造の月影地蔵堂へ。開け放たれた堂には、鮮やかな紅の衣をまとった等身大のお地蔵様が立っている。古くから人々の暮らしを見守り続けてきたどっしりとした姿に、頭が下がる。

極楽寺~稲村ガ崎ハイキング:イメージ3

月影地蔵の角に沿って左に曲がると、秋の日差しを浴びて小さな谷戸が姿を現す。谷戸は山と、そのすそ野に広がる谷間を一体とした空間で、昔から人々は山からそこで田んぼや畑を営んできた。森、林、野原、湿地、小川などがセットとなる複雑な環境は、多くの生き物の宝庫でもある。

極楽寺~稲村ガ崎ハイキング:イメージ4

谷戸は山がちな鎌倉の典型的な風景だが、今では田んぼや畑のあった谷あいに住宅が進出し、ひなびた景色も急速に減少している。ここの一角にも駐車場ができていたが、まだトビの舞う畑は健在だった。農作業の道具を入れる古びた納屋がたたずみ、鮮やかなカキが目にまぶしい。当たり前にあった風景だからこそ、誰の目にも懐かしく、そして名も無い風景であるが故に、ひっそりと消えていく。谷戸の風景、そして生き物たちの明日を奪うことは、私たち自身の心のふるさとを奪うことに他ならないのに。

極楽寺~稲村ガ崎ハイキング:イメージ5

道を登ると、スダジイのうっそうと茂る常緑の森に迎えられる。山道を登ると、人影はパタリと途絶えた。「そっちに行くと迷うよ!」振り向くと、虫取り網をもった子どもが走っていく。道標も無いこの付近の道は、人々が生活のなかで培ってきたものだ。3方に伸びる分岐を右手、北に進めばやがてススキの生える尾根道に達する。

極楽寺~稲村ガ崎ハイキング:イメージ6

タデの花やノギクが揺れ、色づき始めたトンボが飛び交う。山に包まれた鎌倉の町並みの奥には、相模湾が広がっている。さらに両側にササの生えるゆるやかな道を進むと、コスモスの揺れる丘へ出た。遠くに海が光り、赤トンボがパリッ、と羽音をたてて飛んでいく。土手に腰を下ろし、のんびり休憩。ハイキングガイドにも出ていず、とりたてて名所があるわけでもないコースだが、その分、そこに暮らす人々の生活のリズムに溶け込める楽しさがある。

極楽寺~稲村ガ崎ハイキング:イメージ7

次第に江ノ島方面の視界も開けてくる。つきあたりで左へ階段を降りると稲村の駅へ出られるが、そのまま直進し、桜並木の「山の辺通り」から南下して、七里ガ浜を通り江ノ電の鎌倉高校前駅へ抜けた。大きな夕陽が落ちていく。21世紀の秋も、ひなびた谷戸の風景に会いに行けることを願いつつリュックを置いた。

-DATA-

場所:
神奈川県鎌倉市 江ノ島電鉄線極楽寺駅より稲村ガ崎または七里ガ浜方面へ
交通:
江ノ島電鉄線極楽寺駅より徒歩
駐車場:
無し
トイレ:
極楽寺駅を過ぎるとコース中には無い

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