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中国黄山トレッキング

Sep.20-23, 2000 水墨画の世界を行く

中国黄山トレッキング:イメージ1

幽玄の峰を目指して
中国で、水墨画の世界に浸りたい。霧に包まれた険しい峰の写真に惹かれ、飛行機で北京から黄山へと飛んだ。ユネスコ世界文化・自然遺産にも指定された、 72の峰からなる山塊だ。空港近くの屯渓という古い町に1泊し、朝から車で黄山に向かう。約65km、一時間半の道のりだ。山のふもとには黄山の誇る茶畑が広がる。収穫を終えた稲ワラが積まれ、水牛が草をはむ。黄山で一般に利用される登山口は、慈光閣から玉屏楼へと上る前山ルートと雲谷寺から始信峰へと上る後山ルートの2つで、双方にロープウェイが開通している。今回は、車で奥まで入れる後山ルートを徒歩で登ることにした。山中で2泊とって、奥地の渓谷にまで足を伸ばし、前山を下りる。

中国黄山トレッキング:イメージ2

どこまでも続く石段
9月の平日だが、中国十大風景名勝の一つだけあって、ロープウェイ乗り場も登山道も、観光客であふれている。踏圧による環境破壊を防ぐためか、登山道はすべて石段だ。足首の捻挫は防げそうだが、単調でクッションが効かず、意識してテンションを上げていかないと精神的にまいってしまう。 息をきらして上るうち、60キロはある建築資材を、人力で運ぶ人々を目にするようになった。黒い肌に、鍛え抜かれた筋肉。歯をくいしばる彼らの横顔を見ていると、今踏んでいる石段の一つ一つを、軽く踏むことはできなくなる。

中国黄山トレッキング:イメージ3

詩仙、李白の峰に立つ
ふと振り向くと、青い山々の連なりが見える。涼やかな風。針のように尖った岩がそびえ、黄山らしい風景が迫ってきた。登り始めて三時間、山頂のロープウェイの終点に到着。辺りはツアー客でごった返し、日本人の声も聞こえる。そのまま今日の宿、北海賓館へ荷物を置いて、散策へ出る。 夕刻、霧が出始めた。天を指してそびえる黒い峰を、純白の霧が包み込んでいく。はるか下へ続く断崖を見下ろすと、下腹にゾクゾクくる高度感がある。北海賓館の東、始信峰に歩みを進めた。詩仙・李白が黄山を訪ねた折、その絶景に初めて心よりうなずいたことから、その名がついたという。黄昏時の峰に人の姿は無い。薄桃色の空の下、生き物のように霧が動く。刻一刻と山肌が色を変え、山水画の中に溶け込んだような感覚を覚えた。

中国黄山トレッキング:イメージ4

来光を仰ぎ渓谷へ
5時45分に起床し、来光を拝む。茜色の空に、まだ光を帯びていないぼんやりと赤い太陽が昇った。黄山には珍しいという、雲一つ無い快晴だ。奥地の渓谷を目指して太平ロープウェイへ。9時の始発便ということもあり、国内最大・アジア最長をうたう3709メートルのロープウェイも貸切状態だ。松谷庵で降り、渓谷沿いに進む。目の前に、エメラルドグリーンの水をたたえる淵が現れた。翡翠池だ。その先の池のほとりで、冷たい水に足を浸す。朝日を浴びて輝く水面に、時を忘れた。

中国黄山トレッキング:イメージ5

天空に浮かぶ世界遺産
ロープウェーで山頂へ戻り、黄山最高峰の蓮花峰を目指した。数億年前の隆起・浸食を受けてできた垂直の花崗岩の層が、幾重にも連なる。蓮の花というより、天を貫く龍のような勢いだ。きつい傾斜、激しい呼吸に気道が痛くなる。 到着。1864メートル、360度の大パノラマを眺め、今日の宿、玉屏楼へ。過酷な下りだ。急な石段は丸味を帯び、手すりも風化して膝あたりまでしかない。すぐそこは垂直の崖となり、濃い霧がときに視界を覆う。疲労で足の筋肉が震え始め、足をしっかり下ろすことすら困難となる。天空遺跡を彷彿とさせる大自然の前に、ただ次の一歩を見つめ歩くしかなかった。宿に到着し、夜、空を見上げると満天の星。流れ星がこぼれおち、天の川が横たわる。浮かび上がる山々のシルエットを、岩の上に寝転がってぼうっと見ていた。

中国黄山トレッキング:イメージ6

人々に支えられ出会った黄山
長く続く階段を下山し、慈光閣へ。途中スケッチなどしながら、中国水墨画の旅を振り返る。幽玄の霧に立つ奇岩や日の出の美しさは、格別だった。しかしここで得た一番の財産は、人々の惜しみない優しさだったと感じる。この黄山に発つ前日、ガイドとの待ち合わせがうまくいかず、途方にくれたことがあった。苛立っていた我々を、街の人々は車やバス、三輪車に案内し、自分のお金まで払って目的地まで送ってくれた。一見無愛想に見えた中国の人々だが、ひとたび心を開くと、我々が忘れていたようなあたたかな笑顔になる。遥かなる大自然、そして人。奥深い中国の魅力から、当分離れられそうもない。

-DATA-

場所:
中国 安徽省 黄山
車:
北京(飛行機)→屯渓(車1時間半)→黄山麓
ルート:
21日
雲谷寺(徒歩3時間)→北海賓館(徒歩30分)⇔始信峰(ピストン)
22日
北海賓館(太平ロープウェイ)→翡翠池(太平ロープウェイ・徒歩2時間)→蓮花峰(徒歩1時間)→玉屏楼
23日
玉屏楼(徒歩2時間半)→慈閣楼(車1時間半)→屯渓
駐車場:
有り
トイレ:
ホテルやロープウェー乗り場に有り
宿:
北海賓館
TEL0559-5562704
玉屏楼
TEL0559-5562330
食べ物:
水は湯冷ましかミネラルウォーターを。行動食は入山前に購入すると安くて良い。
言葉:
中国語のほか、ホテルでは英語も通じる。

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