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紫雲山200m
May.18, 2000 名園「栗林公園」を懐に抱く優雅な紫雲山

香川県の中心部、高松市街からほんのわずかの所に栗林公園という有名な庭園がある。香川の観光名所としても有名で私も何度となく訪れていた庭園だが、ふと視線を上げると立派な松林の大きな山がある。子供ごころに山から下りてくれば公園にただで入れるではないか!とせこい事を考えていた。高松市街の国道11 号線を香川県庁側の県道33号線に入る、県庁、県立中央病院などが右手に見え左には亀阜(かめおか)小学校がある。病院、学校の前の交差点にローソンがあるのでそこを山側(左)におれて真っ直ぐ進むと百舌坂という坂を登り、やがて栗林トンネルを抜ける。駐車場は無く交通量も多い道路のため路肩駐車は避けたほうが良さそう。トンネルを高松市街側から抜けるとすぐ左側に山側へと続く登山口がある。看板も立っているので分かりやすい、登山口に向かって右側の山が目指す紫雲山だ。

草の伸びは驚くほど速く、5月に入ってから登山道が草で覆われていることが珍しくなくなってきた。紫雲山の登山口も草が多いが20mも入ってしまうと、松林の中の心地よい山道になる。すぐに少し広い山道に合流する、山の方向から考えても右へ進みたくなるがそちらは山のすそをぐるっと巻いている道なので、左手に折れてくねくねとした道を登っていく。傾斜や起伏はそれほど無く、幅も1.5m程と広い。なにより林の中はとても涼しいので歩きやすさは抜群に良い。10分ほどでまた広い道との3叉路がある、左へ行けば峰山の古墳群トレイルがあるが今日は右の紫雲山を目指す。この分岐からは尾根道になりさらに歩きやすくなる、真っ直ぐに伸びる道を進んでいくと15分程度で室山と稲荷山の分岐に行き当たる。紫雲山は標高164mの稲荷山、200mの室山を含む総称で、じつは紫雲山とは尾根の分岐の部分が頂上とされているようだ。というわけで、標高は分からないが紫雲山の登頂を果たしてしまった。残るは2山、左手奥へ続く道が稲荷山、左手手前の細道が姫塚(100m)右側に続くのが室山への登山道だ。

まずは姫塚へ登ってみる、他の道とは違い蜘蛛の巣と毛虫のパラダイスで一歩進むごとに体には蜘蛛の巣、足元には毛虫の大群と後にも先にも進めなくなってしまう。姫塚までは5分足らずで着くが、これからの季節はあまりお勧めできない。さて気を取り直して稲荷山への尾根道を歩く。立派な松林の中の道のすぐ右下にはあの栗林公園が(見えないが)ある、と言うことは・・と考えながら進むと1本の立て札がある「40番栗林公園」やっぱり思っていたとおりこの尾根道も栗林公園の一部になのだ。入園料の要らない知られざる栗林公園を発見してしまった、さらに少し歩くと高松市街を見下ろす展望スポットがある。紫雲山から15 分位歩いただろうか「36番栗林公園」の札が見える、左手には名も無い石塚(古墳)がある、この古墳が稲荷山の頂上にあたる所だ。山道をさらに進むとテレビ塔があり、そこから尾根伝いに下り始める。

稲荷山からの眺めはそれほど良くなかったので、室山への分岐まで戻る。室山側は稲荷山と違いそれほど人が入っていない感じを受ける。室山から下る山道が荒れていると言うことも要因の1つだろう、分岐からはすこし傾斜のある山道を10分足らずで頂上に着く。標高200m、周りは松と笹の茂み、下への道が続いているが長ズボン、長袖、帽子は必須だ。驚いたことは、この室山にも栗林公園の札が立っている、実際は山の麓は住宅が密集していて栗林公園は無いのだが、栗林公園の敷地は案外奥深いことを始めて知った。ともあれ紫雲山のピークはほぼ極めた、あいにく栗林公園へと降りれるような道はなかったので無料で楽しめる栗林公園はかなり限定されている。しかし、庭園の一部としてこの紫雲山の松や景観が大切に守られていることが伝わってくる良い雰囲気の里山だった。
-DATA-
- 場所:
- 香川県高松市宮脇町
- タイム:
- 登山口―(30分)―紫雲山―(15分)―稲荷山[―(10分)―室山]
- 交通:
- JR栗林公園北口駅(徒歩25分)
- 駐車場:
- 無し
- トイレ:
- 無し
- 自動販売機:
- 登山口下の奥の池付近
- 公衆電話:
- 登山口下の奥の池付近
- 買い物:
- 県道33号の交差点にローソン有り
大麻山616m
May.17, 2000 一度は行きたい「こんぴらさん」の裏山に迫る!

「こんぴらさん」と言えば香川県での有数の観光名所、世が世なら「死ぬまでに一度 は」と言われたほどのありがたい金毘羅宮だ。船の神様として瀬戸内海の海を見下ろす山の中腹に建てられたお堂の数々と1368段の石段がこの大麻山(おおあさやま)の 花形だ。大麻山は標高616m、讃岐平野の西中央にでんと構える立派な台形の里山で、 大麻山と象頭山(山が象の頭のような輪郭であることから)の2つの峰がある。高松 市街から32号線を西に直進し、琴平町に入る。32号線は琴平町から急に南へ折れ徳島 方面へ向かうが、そのまま真っ直ぐに206号線に入って突き当たった道路(208号)が もう金毘羅宮の参道前だ。琴電、JRの両駅からは駅を出て真っ直ぐ山側へ歩き大宮橋 (金倉川)を渡り突き当りを左に折れると参道前へ着く。観光地だけあって駐車場と みやげもの屋の数は多い。みやげもの屋とホテル通りの208号線を右折し200m程行く と石の表参道口の標があり山側へと石段が見える、みやげもの屋も延々と続いてい る。平日だが人の数が半端では無い、観光名所のど真ん中からの登山は少しわくわく してしまう。

石畳の参道はすぐに先の長い階段となり、人ごみの中を本堂を目指して一段づつ登っ ていく。登山と言うよりはのんびりとした観光気分でツアーの中に入ったり出たりし ながら、ためになる解説を聴いて回る。参道表口から30分、石段にして785段、最後 に急な階段を上ると本宮に着く。石の階段の素晴らしさとは違った、荘厳な本堂 と、讃岐平野を見下ろす展望台など休憩には良い場所だ。ほとんどの観光客の人はこ の本堂までが見物コースらしく、ここから先の奥院(おくのいん)へはまだ半分弱の 階段が待っている。本堂の右手を奥に周った所から奥院への参道が続いている、人影 もなく少しくらい雰囲気とここまでのギャップがとても信じられない。のんびりとし た階段なので急ぐ必要もなくマイペースで進む、途中に常盤神社、白峰神社、菅原神 社などひっそりとした奥ゆかしい神社がある。本堂から20分ほど歩くと参道の石段の 終点に奥院がある。岸壁の下に建つ立派な神社だ。金毘羅宮には何度も来ている割に は奥院までは初参拝なのも事実で、1368段の石段達成もなかなか気持ちのいいもの だ。
一通りお参りを済ませたあと、登山道に入らなければならない、登山道は奥院の30段 ほど手前に右手に入る「トイレ」の看板の脇を下っている山道だ。辺りの木にも大麻 山登山道と丁寧に表示があるのでその細い土道に沿って進む。道は最初に少し下り、 その後は平坦な林の中の斜面の道になる5分ほどで2又に分かれている。右手の真っ直 ぐの道は葵ノ滝経由の平坦な道だが最後の登りは急になっている、両道とも龍王社と いう社で合流しそこから頂上への道がある。私は左手の斜面を登っていく道を選び進 んでいくことにする。道はのんびりと斜面をずっと登っているが林の中は歩きやすく 静かでひんやりと涼しい。こんな山深い所にある龍王社とはどんなものか?と思いな がらまだまだ登り道は続く。コースタイムは30~40分だが20分ほどで広い山道と合流 する、合流した山道は山の尾根らしく龍王社もそこに建っていた。登ってきた道のす ぐ右側に葵ノ滝経由の道が登ってきている。合流した広い道を左に行けば桜並木の林 道、右に進めば大麻山の頂上だ。

そのまま龍王社を過ぎ大麻山の山頂を目指すが、この龍王社の周りの雰囲気がとても 良い。丁度雨が降りそうで辺りの木立にモヤがかかっていて高原の白樺林(あいにく 白樺ではなく松だが)の中の一本道を散歩でもしているかのような幻想的な感じがす る。神の山の所以か、それともただの雨降りの前触れか?そんなことを考えている と、すぐに桜並木の林道に出てしまう。ここからは林道を右に折れ、道沿いに頂上ま で歩けばよい。車の通れる広い林道だが脇をずっと桜の木がついて来る、林道が真っ 直ぐなこともありここのロケーションもまた格別だ。桜の季節に訪れたいという気持 ちが頂上を見る前から、来年のことを考えさせてくれる。

龍王社から20分程度の尾根道歩きで、テレビ塔と電話の中継の塔が見えてくる。塔は 大小たくさんありその真横へと道は続く・・、塔のほぼ真横の林道の脇に突然「大麻 山616m」の標が、なんとテレビ塔に見とれている間に頂上まで来てしまった、しかも 林道の途中とは見落とし気味だ。尾根道は左右と頭上は気持ちよく開けているものの 眺めはそれほど良くない。頂上からも木々の間から下の景色を少し垣間見ることがで きる。後ろはと言うと、気になるテレビ塔と電話の中継点の塔の林を見上げてしま う。真下からみると改めてテレビ塔や中継の塔が自分の何気ない生活にとってありが たいものだと実感できる。三角点は少しあっけなかったが、金毘羅さんといいテレビ 塔といいなんともありがたい山であることは間違いないようだ、また山としての魅力 も大いに満喫することが出来た。

さて帰り道だが、大麻山には工兵道といわれる道が縦横無尽(言い過ぎかも)にある ので何処からでも、何処へでも下りる事が出来るが元の参道にへ戻るべく、龍王社か らは葵ノ滝経由の道を下る。龍王社から300m程の急な下りの後、工兵道との十字路が あるので右へのルート(葵ノ滝方面)をとり後は平坦な山道を葵ノ滝まで歩き、そこ から元の2又を経て奥院まで戻ることが出来る。山道は丁寧な案内板や道標がいたる ところにあるので気をつけて従っていけば迷うことは無い。登山道から奥院へ出る と、観光客の人に「どこから出てきたのか?」と驚かれるが、自分も観光客気分です まして石段を下りていけばすぐに違和感もなくなるだろう。頂上を踏んだからと言っ て石段を駆け下りては駄目、あくまでもありがたく一段づつ下るのが良い。
-DATA-
- 場所:
- 香川県仲多度郡琴平町
- タイム:
- 参道表口―(40分)―金毘羅宮本堂―(20分)―奥院―(30分)―龍王社―(20 分)―頂上
- 交通:
- 琴電琴平駅(徒歩15分)JR琴平駅(徒歩20分)
- 駐車場:
- 有料あり
- トイレ:
- 有り(奥院までは各所に休憩所兼トイレがある)
- 自動販売機:
- みやげもの屋付近一帯、本堂までの休憩所(本堂から奥は無し)
- 公衆電話:
- 奥院までは有り
- 買い物:
- 208号にローソン有り、琴電琴平駅近くにマルヨシセンター
屋島292m
May. 11, 2000 源平合戦と弘法大師と鑑真和上の五目屋島

屋島はあの源平の合戦の地として有名な場所(那須与一が矢を射たとか射なかったとか)だが、山としても魅力的な顔を持つ。平べったくどこが山なのかも良く分からないが、中央の鞍部から南嶺、北嶺と分かれていて、南嶺には屋島284mと南嶺292mの三角点、北嶺には北嶺282mの三角点がそれぞれある。高松市街から国道11号線を志度方面(東)へ走ると、すぐにこの屋島が見えてくる。詰田川、新川、春日川を渡り屋島西町の交差点を北に入る。そのまま線路を渡り二つ池を越え真っ直ぐ登っていくと突然道が狭く急になった「へんろみち」と書かれた道が現れる。この道が登山道でお墓の横を通りながら急な坂を登り、南嶺へと続いている。車の場合は駐車場がないので、登山道に入り(車はすぐ行き止まり)道の脇の草むらに停めさせてもらう。琴電の場合は潟元駅(かたもと)で下車し、すぐ前のスーパーの脇の細道を右に曲がって初めの十字路を左に曲がれば登山口に着く。

すぐに登り始めるがアスファルトの急坂はなんとも辛い、10分ほどで車道が終わり加持水のお地蔵さんの前を通り登山道に入っていく。脇には加持水と書かれた碑がある、なんと弘法大師の書だというからありがたい。登山道は山道?ではなく今までと同じの白いアスファルトの広い道。急な坂は車道で終わり、ここからは凸凹もなく藪もないのでとても歩きやすい。途中に不喰梨や畳石などがあり飽きることがない。右手の斜面の変わった岩盤が露呈してくるとすぐに畳石があり、同時に左手の藪がぱっと開ける。高松市を眺めながらもう一息で山頂付近の屋島寺に行き当たる。加持水から屋島寺まで25分くらいのコースタイムだ、道が良くお寺もあるためお遍路さんと良く行き違う、四国らしい光景がこんな山にもある。

登山道がそのままお寺の参道になっている、最後の階段を上れば山門が見えてくる。しかし、南嶺には2つの三角点があるはずだ階段を上がったところで「ロープウェイ」と書かれた方向へ進めばすぐ左手が屋島ピーク、少し進めば南嶺ピークがある。屋島が平坦とはいえピークには登りたいという気持ちで一杯だった。が、残念ながら整ったピークへの道はなく、無理をして藪の中へ入るが三角点は結局見つからずに諦めてしまった。

屋島寺は第84番の札所で大きなお寺である。周辺には血の池や宝物館など見所も多い。屋島寺の山門を左に行けば観光地らしくみやげ物屋が通りを作っている。 5分ほど歩くと獅子の霊巌という見晴らしのいい場所に出る、瀬戸内海をはじめ高松市内はほぼ完全に見下ろせる程の絶景だ。さらに進むと屋島山上水族館などもある、イルカは見たいが時間がないのでさらに進む。南嶺は車でのアクセスも可能なため店や旅館などの建物も目に付く、さらに見所も多いので南嶺をゆっくりと一周するのも面白い。体力があれば北嶺のほうへ歩けば南嶺とは違った自然の多いトレイルが2.4kmほど続いている。

南嶺の周遊路の中心に大きな駐車場がある、売店などの道を真っ直ぐ歩けば右手に見えるがそこは越えてアスファルトの細い1本道を北嶺の看板に沿って進む。すぐに「北嶺」と書かれた標が右にある、そこから山道に入れば海越しに荘厳な五剣山や瀬戸内海が見える尾根に出る。尾根の山道はすぐに車道に出るが、少し車道を歩けばまた右手に石の階段が現れる。私はアスファルトが苦手なのでどうしても土の道へ入ってしまう。分かりにくいが尾根伝いに歩けば間違いはなく最終的には北嶺のピークではなく車道の休憩所に出てしまう。丁度北嶺の南端で屋島全体の中心部だ、ピークを巻いて車道が2つに分かれているがどちらも距離は同じ。途中の広い草の道を入れば、鑑真和上が建てたといわれる千間堂跡がある。南嶺から30分弱で屋島の最北端の遊鶴亭(展望台)にたどり着く。南嶺の獅子の霊巌、談古嶺も素晴らしいが、遊鶴亭からの眺めは最高の一言、瀬戸内海に突き出た屋島の北端からは讃岐平野、豊島、小豆島・・と瀬戸内海の島々を320 度見渡すことができる。言うこと無しの大パノラマ絶景展望台だ!

遊鶴亭からは真下に下る土道があり屋島洞窟へは300m、県道の長崎の鼻までは800mなのでここから下山して潟元駅まで歩くのも良いかもしれない。あんなに晴れていた空が急に暗く曇ってきたので下の道を引き返し下山することにした。走りに走って北嶺から登山口まで20分、まだまだ健康だ、神様ありがとう。
-DATA-
- 場所:
- 香川県高松市屋島東町
- タイム:
- 登山口ー(30分)―屋島寺[南嶺]―(30分)―遊鶴亭[北嶺] 交通:琴電潟元駅(徒歩20分)バス停グラウンド前(徒歩10分)
- 交通:
- 琴電潟元駅(徒歩20分)バス停グラウンド前(徒歩10分)
- 駐車場:
- 登り口はなし、頂上付近は駐車場あり(有料道路あり)
- トイレ:
- 有り(南嶺頂上付近、北嶺の休憩所)
- 自動販売機:
- 登山口付近、南嶺一帯(北嶺は無し)
- 公衆電話:
- 登山口付近、南嶺一帯
石清尾山232m
May. 10, 2000 高松中心部に太古の古墳群トレイルを愉しむ

香川県高松市の中心部に峰山公園という公園がある、名前の通り山の上にあるのだが地図を見ても峰山という山は見当たらない。その代わり石清尾山という山が目に入った。私の通った大学のすぐ裏の山なのに名前すら知らなかったのだ。しかもこの山には無数の古墳があり、それを1つずつ巡りながらの登山とあっては登らずにはいられない。高松市街の国道11号線を香川県庁側の33号線に入る、県庁、県立中央病院などが右手に見え左には亀阜小学校がある。そこから信号 1つ分の十字路の角に小僧寿しがあるのでそこを南に折れ次の信号を右にまがれば石清尾八幡宮(いわせおはちまんぐう)がある。登山口の案内が高松市民病院の近くになっているので、社務所で駐車の許可を取る、快く車を停めさせてもらいいざ出発だ。

石清尾八幡宮の正面鳥居の左側の細い道から神社の脇を抜け、小さな踏切を渡る。広い車道があり正面に石清尾山と大きな市民病院が見える。病院を越え、讃岐老人ホームの前を山側に歩くと、ヘアピンカーブの先に滝不動尊の参道入り口がある、ここから雑木林の中の遊歩道だ。途中で登山コースの看板を眺めるが、山全体が古墳を巡りながらのトレイルコースになっていた。沢伝いに登っていくと10分ほどでまた車道に出てしまう。薬師堂、大師堂参道という山道があるがそちらへは行かずに、少し車道を歩く。

しばらく行くと人家が見えてくるのではじめの家(左手)の石垣の手前が登山道になっている。石が多い登山道だが、手入れはされているようで歩きやすくなっている。少し急な山道を15分も登れば、最初の古墳「北大塚」に出る、市街のこんな近くに立派な石積みの古墳があるとは全く知らずその景観には驚いてしまった。こからは尾根のなだらかな道で大変気分がいい、松の雑木林の中の低笹の道をのんびりと歩く、後ろも前も鳥の声に包まれてる。さらに10分ほどで鏡塚、石船塚と古墳を経由してトレイルコースが続く、トレイルは古墳近くで2つに別れ古墳の周りを巻いている。基本的なトレイルコースは1本なので古墳を過ぎればまた同じ道に戻る。

大きな石船塚を越え進むと、すぐに尾根の車道に出てしまう。道路の脇にも姫塚が見えてくる。山全体が峰山公園になっているので、駐車場や、トイレまでちゃんと整備されている。車道にそってまっすぐ進むと5分ほどで猫塚の看板がある、また山道に戻ってしばし猫塚を堪能する。辺り一体の古墳群は看板こそあるものの、誰でも気軽に登ったり触ったりできる。先ほどの石船塚と猫塚からの眺めは良く、高松市外を違った雰囲気で見下ろすことができる。古墳の上で座って鳥の声を聞いていると、ふと大昔の古墳時代へと思いが移っていく。登山ではなくトレイルなのでのんびりと先人の偉大な功績を体全体で感じながら歩く。猫塚からさらに車道に出、5分ほどで三叉路があるので右ではなく真っ直ぐ車道を進む。

右手に峰山第3駐車場とトイレを見ながら舗装の道を10分位行くと、道の突き当たりに峰山公園が見えてくる。芝生の綺麗な公園でつつじが満開だ、アスレチックなどもあるのでのんびりと食事を取るには最適の場所だろう。そのまま真っ直ぐ公園内に入る、展望台(石清尾山頂上)という看板があるが、公園内の舗装された道なのでその看板を越え、真っ直ぐ進むと黄色い柵がある。柵から出るとすぐに右手に笹に覆われた土の小径がある、右手にすぐアスレッチクを見ながら 10分ほど歩くと目の前がぱっと開け大きな展望台に突き当たる。で、三角点は、と探すと申し訳なさそうに端っこのほうに立っているではないか、しかし「石清尾山232m」と山を示すような碑はどこにも見当たらない。なるほど、石清尾山と言う名前がメジャーにならないのは峰山という総称が有名すぎるせいもあるのだろう。

展望台は立派で3フロアもある。屋上からの眺めは最高という他なく、東の勝賀山から瀬戸内海を一望し女木島から他の島々もかすんで見える。西の屋島まで高松市街ほぼ200度が一気に目に飛び込んでくる。いわば高松の展望台でもある石清尾山頂上でゆっくりと景色を味わい下山の準備をする。今までの登山では登り下りが同じルートということも有り、登ってしまえば終わりだったのだが、石清尾山は初めにトレイルと記したように山1つを丸ごと味わうためのトレイルコースがつけられている。
展望台の右側の頂上から東に延びる笹の尾根道が下山ルートだ、登山道と同じように右手にまたアスレチックを眺めながらの下山となる。山道は広く1本で迷うことは無いが、5分ほど行ったところに黒い石群があるのでそこからは左に降りて真っ直ぐ進めばよい。高松の町を眺めながら20分も下れば、最初の讃岐老人ホームの脇に下りてくる。と、どう見ても老人ホームの敷地のど真ん中である。行きに見慣れた市民病院も目の前に見えるが、ここからはちょっとだけ老人ホームの中を歩かせてもらう。ホームの門を出たところで丁度、大学生のサークルの集団が「峰山、峰山」と良いながら登っている最中であった。下山を終えて晴れ晴れとした気持ちで彼らを見ていたが、彼らからしてみれば変な格好をして老人ホームから出てきた若い妙な奴に映っていたことであろう。「峰山ではなく岩清尾山だよ」とは言いにくい雰囲気だった。
-DATA-
- 場所:
- 香川県高松市西宝町
- タイム:
- 1時50分
- 交通:
- バス停市民病院(徒歩0分)JR栗林公園北口駅(徒歩25分)
- 駐車場:
- 登り口はなし、頂上付近は峰山第4駐車場まである
- トイレ:
- 有り(登り口:市営墓地内、峰山第4駐車場、峰山第3駐車場、峰山公園内)
- 自動販売機:
- 石清尾八幡宮付近、尾根車道三叉路付近
- 公衆電話:
- 峰山公園に有り
大高見峰504m
May. 09, 2000 野生生物とのスキンシップを求めて

香川県の満濃町、綾歌町、綾上町、陵南町と4つの町をまたぐ大きな里山が大高見峰(地元ではたかんぼさんと呼ばれているとか)である。とてもがっしりとした佇まいの貫禄のある山だ。国道32号線を琴平方面へ向かう途中に綾歌町の馬指東の小さな交差点を左折する。まもなく綺麗な278号線に突き当たるので、そこを右折し10m程で左側に登山案内の看板が出ている。向かいには勝福寺があるので分かりやすい、看板の脇の細道を山のほうへ向かって入っていく。車1 台分の道だが緑の中を走るのは気持ちがいいものだ。途中に4叉路があるが山のほうの細道を進む、6、7分でやや広い未舗装の空き地に出る。道はまだ続いているが、その脇の林道が登山道の入り口になっている。駐車スペースは広く、大高見峰緑地環境保全地域という看板が出ているので分かりやすい。

車を停めようとすると、どこからか犬が2匹やってきて私を見ている・・。うーん、と考えて車を少し移動させると凄まじい勢いで吠えながら追いかけてくる。山に登るまえに犬に噛まれると思いながらも、登山口のすぐそばに車を停めゆっくりと出て行く。私の顔が怖かったのか、彼らがただ臆病だったのか、どこかへ隠れてしまった。隙を突いて登山道に取り付く。少々急な林道は軽トラックが入れるほどの広さで沢沿いをまっすぐに続いている。途中に山側に分かれる林道があるが沢沿いの林道が登山道へのルートだ。犬から逃げたのと、急な林道にハアハア息切れしながら10分くらいでやっと林道の終点に着く。ここからが本当の登山道で、さらに急な沢の細い山道を尾根を目指して登ることになる。足元は濡れている所もあり下山時にも注意が必要だ、20分ほどのジグザグの急道を登りきると尾根の鞍部に出る。尾根からは左右に2本道が有り、右は小高見峰で左が大高見峰なので、左に曲がり鉄塔の下をくぐれば10分ほどで頂上の三角点にたどり着ける。これまでと違い尾根の道はなだらかになっているので後はのんびり歩くことができる。

大高見峰の頂上は登山道の途中のような場所なので感動が少ないが、そこからさらに3分程歩くと少し低い場所に高見峰神社がある。神社は立派な建物で屋根つきの社は休憩にも便利だ。さらに視界が開けているためロケーションも良く瀬戸内海を見渡すこともできる。神社に座ってのんびりと疲れを癒す。大高見峰は登る前から野鳥が目に付く、鳴き声はもちろんだが、いたるところで小さなもの大きなものに出くわした。神社から元の道に戻る途中に突然、「キーキー」と叫びながら大きな塊が私のほうへ向かってくる。腰を抜かしそうになり声も出せないが、じっくり見てみるとメスのキジバトか何かが羽根をバタバタさせて私の周りをしばらく走り回る。何事かと思い歩こうとするが、またついてきてはキーキーバタバタやっている。何処かに隠れれば良いのにと思いながらも、どうも愛らしいのでじっと見ていた。

さて彼女も何処かへ隠れてしまったので、小高見峰へも登ろうと尾根の分岐から逆へ登っていく。走りながら登るのだが、細い枯れ枝を踏んで転んでしまう。なんともやる気を削いでくれるものだと、自分の踏んだ小枝を見ると・・無い。そんなに人が転ぶようなものは何も無い、ただどう見ても噛まれたら危なそうな青色の蛇がとぐろを巻いてこちらをじっと見ている。私が踏んだのは枝ではなく蛇で、しかも1mも離れない所でお互いキョトンとなっていた。急に逃げるのもどうかと思いゆっくりと離れるが、彼は相変わらずこちらを見ている・・。そのまま頂上まで5分程度の登りがあっただけだった。小高見峰は暗く、さびしいピークだった。下山は勿論、同じ道なのでさっきの蛇に気を遣いながら小走りに降りる。なんとも2時間ほどの登山でこんなにも動物と近距離のふれ合いができるとは思わなかった。私が望んだわけでは無いが、フィールドで野生の生物に会えるのはなかなか楽しいものだった。
-DATA-
- 場所:
- 香川県綾歌郡綾歌町栗熊
- タイム:
- 40~60分
- 交通:
- 琴電栗熊駅から(徒歩40分)
- 駐車場:
- 有り
- トイレ:
- 無し
- 自動販売機:
- 勝福寺前
堤山201m
May. 08, 2000 富士山型里山またまた発見

香川県には昔話に出てくるような可愛らしいこんもりした山がたくさんある。そんな中でも**富士と呼ばれる綺麗な富士山型の山もいくつかある。有名なものは坂出市の讃岐富士だが、ほかにも探せば富士山型と見えてしまう山を見つけることができる。たまたま車を運転中に気になっていた綾歌郡陵南町の堤山(つつま山)が富士山に似ていることから今回の登山となった。国道32号線を高松市街から琴平方面へ向かう途中に綾南町の羽床(はゆか)というところから377 号線を右折する。もう目の前に山が見えている。小さな高架を渡るとすぐに吉田医院の看板があるので、看板とは逆に最初の十字路を右折する。細道はすぐにT 字路になっているのでそこを左折すれば童銅酒店という小さな酒屋さんが見えてくる。この酒屋さんの真横の道が堤山の登山口になっている。

畑の電信柱にも堤山登山口(30分)と書いてある)、早速細いアスファルトの道を山のほうへ向かって登り始める。5分も歩けばすぐに薄暗いお墓に出る。そのお墓の脇の竹林沿いに今度はちゃんとした登山道が現れる。頂上にはなんと堤神社があるらしく登山道には立派な鳥居が立てられている。道は幅 50cmほどの歩きやすい小道で竹林を抜け雑木林までまっすぐに上っている。少し道幅が広くなり傾斜も緩やかになってくると参拝道のためだろうか、登山道が階段状に整備されてさらに歩きやすくなっている。

里山といえば夏の季節は草が生い茂って登ることも困難かと思いがちだが、堤山は登山道の周辺も綺麗に手入れされているので、この季節でも全く不便さは無い。歩き始めのころから、この山には蝶がたくさんいると感じていた、蝶の名前も分からないが一歩踏み出すたびにどこからともなく蝶が飛んで来る。綺麗な羽を眺めながら階段のような登山道をくねくねと20分ほど登った所が頂上だった。

頂上は開けておりテニスコート2面分ほどの広さがある。桜の木が多くあるのでお花見の季節はきっと綺麗だろう。その他には手入れされた社があり堤山と書いてある。しかも社は屋根つきなのでここで休むこともできる。うろうろとあたりを見回すと頂上の端っこのほうに白い仮設のトイレがあるではないか、トイレまでたどり着くまでに草が茂っていて難しいが恐る恐るドアを開ける。外見はいかにも汚いトイレだが、中は落ち葉が便器の中に積もっている以外は案外きれいだった。トイレが無いからといって山に登れないことはなさそうだ。ただしトイレットペーパーは切れていた様だったので必携。
-DATA-
- 場所:
- 香川県綾歌郡綾南町羽床下
- タイム:
- 30分
- 交通:
- 琴電羽床駅から(徒歩15分)
- 駐車場:
- 特には無い
- トイレ:
- 頂上に有り
- 自動販売機:
- 登山口の酒屋に有り
大山691m
May. 5, 2000 徳島にも大山という山があるんですよ
一汗かいて、帰路に温泉に入る!というのは、里山トレッキングの至極の楽しみではないだろうか?徳島の吉野川の第十堰でキャンプをしている知人達を強襲の上、誘い出して、阿讃山脈の東の霊峰、大山に登って、帰路では土成町の御所温泉で露天風呂を楽しむこととした。
吉野川北岸を走る県道12号を上板町のその名も大山という地名を目指す。JAの大山が見え始めたら、交差点には「青少年野外活動センター」の案内が出ているはずだ。目指す登山口の「大山寺」はこの野外活動センターの隣なので、以後この案内を交差点交差点で頼りにすることになる。集落の路地を進むとやがて目の前が開けてカキ、モモの果樹園に出る。阿讃山脈方向、つまり北へ進み高速をくぐるとやがて山道に入る。この辺りから登り始めれば登山気分も満喫なのだが、「のんびり」を基準に山を選んだので、ためらいながらも大山寺まで車で登ることにした。

大山寺は八十八箇所には入っていないが、弘法大師ゆかりの古刹で、何人もお遍路さんを追い越す。途中遍路道らしき登り口があるので、もよりの空き地へ車を止めて登ってもよい。ただし、対向車のすれ違い用のエリアの可能性もあるので注意が必要。僕らは山門下を通過して、お寺の境内下の駐車場に車を止めた。
お寺は古刹らしく雰囲気が良い。本堂へ行く道に黒犬が昼寝している。お寺の飼い犬で落ち着いた風格だ。境内には、正月に開催される「力餅」運びの像や、お寺の由来を書いた案内、堂々としたイチョウの大木など登山前の気持ちの整えには楽しい。境内奥のコンクリの車道(一般車は通らない)が登山道。さぁ、出発です。

しばらくは傾斜のきつい単調な道。スギ、ヒノキの暗い山道が続く。今日は1人でないため、マイペースが多少崩れ気味。それでも道沿いの面白い形の葉っぱや、食べられそうな草を物色しながら登る。5月といいながら、初夏の陽気で暑い。背中までびっしょりできつい傾斜を登る。登山道はやがて、別の道と合流し、山頂にある社に向けた階段に変わる。車道のままマイクロウェーブのアンテナに向かう道もあるが、僕らはくたびれた石段を登ることにした。と、周辺の木に「尋ね人」の貼り紙がある。おじいちゃんが行方不明なようだ。ほぼ山頂という所。無事に見つかったのだろうか。心配である。

急傾斜の崩れそうな階段を苦しみながら登ると、目の前に迫ったお堂はちょっと異様な雰囲気。なんと、普通お参りすべき部分に大木があって、人を寄せ付けない感じだ。気味が悪い。あまりに見慣れたお堂の作りと違う為に、怖くて写真を撮れなかった。お堂の左奥にさらに登山道らしき道が伸びている。多少の薮こぎで進むと、マイクロウェーブのアンテナに出た。塀に沿って東に進むと三角点のある山頂である。そこから、ほんのちょっと北に出ると、「おぉー!」瀬戸内海の展望が素晴らしい。引田の町が一望で、瀬戸を行く貨物船まで手に取るように見える。
昼食を三角点付近の開けた草の上で食べることにした。ビールがすこぶる美味い。僕は今日は、コンビニで買った「ざるそば」を持ってきている。持参した水でちょいと冷やし、ワサビ多めで食べる。うん、暑い時はざるそばに限る。ゆっくり休憩することとして、ビールをもう1本飲んだ。ちょっと横になる。青い草の匂い。最高の心地だ。

帰路は県境の阿讃山脈尾根を、東進して大山越の峠まで行き車道を下ることにする。大展望を期待したが、既に夏草や若葉が生い茂り、薮こぎだ。冬なら展望が良いだろう。それでも所々、吉野川をいただく徳島平野の眺めが楽しめる。植林がされた多少開けた場所での展望を最後に杉林に入り、やがてもう一箇所のマイクロウェーブ送信所に着く。ここからはだるい車道の下り道であるが、これが結構長い。ただ、初夏の汗に爽快な気分で僕たちは大山寺までの道のりを楽しんだ。
-DATA-
- 場所:
- 徳島県板野郡上板町
- タイム:
- 大山寺-(30分)-大山山頂-(30分)-大山越-(40分)-大山寺
- 交通:
- 徳島バス神宅バス停(遍路道入り口まで徒歩40分)
- 駐車場:
- 大山寺境内下
- トイレ:
- 大山寺、野外活動センターのテント場など
伊豆 天城縦走
May.04, 2000 万三郎岳-万二郎岳-八丁池

『伊豆の踊り子』を読んだ影響もあって、今年のゴールデンウィークは天城連山を縦走することにした。まずはバスで天城高原ゴルフ場へ。バスを降りると、マメザクラやアセビの花が迎えてくれる。万二郎岳への道は、最近歩きやすく整備されたようで、真新しい木や石の階段がしばらく続く。アズマヒキガエルの交尾や、沢沿いに1本だけ咲く、紅色のツツジの花。海抜1000m近い当地では気温も低く、下界で1カ月ほど前に見た春の景色が再び舞い戻ってきた感がある。途中、水の流れる沢や大きな岩などもあって、なかなか楽しく歩ける道だ。

足元のスミレの花に元気づけられながら急登をクリアし、万二郎岳へ。山頂は樹木に囲まれ、展望は無い。ゴールデンウィークということもあり人も多いため、少し場所を外して休憩した。万二郎とは、伝説に登場する天狗の名前。その昔、伊豆には万太郎、万二郎、万三郎という3人の天狗がいて、それぞれのすんでいた場所が達磨山、万二郎岳、万三郎岳といわれるようになったと伝えられている。修善寺に近い達磨山は今回歩くコースには入っていないが、万二郎岳、万三郎岳は尾根づたいに連続して並んでおり、2人の天狗が力を合わせて大蛇退治をした逸話も残っている。

霧が出てきた。この付近の降水量は年間3000ミリを越え、日本のなかでも多雨地域に数えられる。ブナをはじめヒメシャラ、アセビ、シャクナゲなどが群生する温帯林だ。赤茶けた枝がくねるアセビのトンネルを抜けて、万三郎岳へ。1407メートル、伊豆の最高峰だ。しばらく道を下ると、急に人の姿が少なくなった。今日歩く天城縦走路は、全長約17km。少々心して行く必要がある。ときおり陽が射すと周囲が鮮やかな色彩を帯びる。ブナの新芽で、山肌がやわらかな萌黄色に染まって見えた。

片瀬峠、戸塚山と、いくつかの小ピークを経て、小岳へ到着。ブナの原生林に囲まれた、静かな山頂だ。まとまった面積の自然をもち温暖な気侯の天城は富士箱根伊豆国立公園の一部で野鳥も多くすんでいる。ポポ、ポポ、というツツドリの深みを帯びた声や、澄んだ声でつぶやくように鳴くクロツグミの歌。ヒンカラカラ…、と、軽快なコマドリのさえずりも聞こえてくる。春から夏にかけての森は、オスがメスを探したり、なわばり宣言をしたりする小鳥のさえずりでいっぱいだ。

天城火山の中央火口丘といわれる白田山を経て、八丁池へ。八丁池は、周囲が870m、約8丁あることからその名がつけられた。火山の火口跡で、水深は1~15メートル。見た目にも遠浅な印象がある。天城の瞳とも呼ばれ、澄んだ水をたたえるおだやかな水面が、マメザクラやアセビの花で白や桃色に染まった尾根を映し込んでいる。5、6月には、天然記念物モリアオガエルが、周辺の木の上に卵を産みつけるそうだ。さすがに白い泡に包まれた卵塊は、見つけることができなかった。

展望台へ。アセビが一面に咲き乱れる。360度が見晴らせ、今日、これまで歩いたなかでは一番展望が良い場所だ。ここから見渡せる天城連山は海中から噴火して伊豆半島をかたちづくった火山のひとつ。「天城山」は日本百名山のひとつに数えられているが、この名をもつ山は無く、万三郎岳・万二郎岳などの天城連山を総称してこう呼ばれる。天城山は伊豆半島を南北に分ける長い尾根のため、天城連山の南と北では気侯や風土もいくぶん違っているという。一息ついた後、再び樹林のなかの道を下る。だらだらと下る変化の乏しい坂に、少々歩き飽きてくる。

ふいに、雲が切れた。向かいの山が、桃色、萌黄色、深緑、黄色…と、絵の具を乗せたように染まっていく。せせらぎの音とともに、わさび田が現れる。見とれるうちバスの時刻が迫り、走って下山。ようやく旧天城トンネルに出た。踊り子たちも通ったという古いトンネルを横目で見ながらバスに飛び乗る羽目となり、『伊豆の踊子』の世界に浸ろうという淡い期待は、脆くも崩れ去った。温泉で、汗を流しながら、ふと思う。ドタバタ劇も含めた旅先での風景のなかで、人は新しい世界や自分自身をも見つけていく。この意味では、今日の旅も、天城越えをした青年の追体験のひとつといえるのかもしれない。
-DATA-
- 場所:
- 静岡県田方郡中伊豆町ほか
- 交通:
- JR伊東駅よりバス→天城高原ゴルフ場バス停下車
- コース:
- 天城高原ゴルフ場(徒歩50分)→万二郎岳(徒歩70分)→万三郎岳(徒歩15分)片瀬峠(徒歩40分)→戸塚峠(徒歩25分)→白田峠(徒歩40分)→八丁池(徒歩120分)→天城峠
- 駐車場:
- 無し
- トイレ:
- 天城高原ゴルフ場、八丁池、旧天城トンネルにあり
- 参考文献:
- 川端康成『伊豆の踊子』新潮社、1950
真辺征一郎『エアリアマップ 山と高原地図30 伊豆』
渡辺正臣『伊豆』実業之日本社、1977
五剣山366m
May. 4, 2000 八栗寺への遍路道を登る
GW真っ盛り。天気も爽快な晴天。が、昼下がりなので遠出は出来ない。そこで、 ゆっくりのんびり手軽に歩ける山を目指す。今日は香川県木田郡牟礼町の五剣 山を登る。五剣山といっても、峰の一つは宝永の大地震により中腹から崩壊し、 現在の「四剣」の姿になってしまった。

車でR11から庵治町に抜ける道を入って、「うどんの山田屋」と「85番札所八 栗寺」の看板を目印に右折。八栗ケーブルの駐車場を目指す。山田屋の奥が登 山口でもあるケーブルの駐車場だ。ケーブルの駅には売店があり、おやつや水、 お茶などが買える。僕は「しみじみ」という緑茶を買って、準備OK。駅の横 の鳥居をくぐり、まずは八栗寺までの遍路道を登り始める。
幅2m半程度のコンクリートの車道を登り始めると、道の左側でよもぎ餅を売っ ている。「フーテンの寅さんも食べました」と書いている。寅さんと山下清は どこにでも出現しているなぁ。27%の急勾配を登っていく。藤の花の季節で、 新緑の中の藤色が美しい。ウグイスが鳴いていて、カエルが騒いでいてなんと も風流だ。ふと道の下を覗くとかわいい野池があり、大きいカメが浮いている。 ブルーギルらしい魚影が2匹、葦の間を漂っていて、のどか、のどか。

しばらく進むと、道の左側に地蔵さんが並んでいて、「弘法大師加治水」とあ る。ひしゃくがあったので、飲んでみようと思ったが、どうもここしばらく動 いていない水みたいだったので残念だったがやめにした。この辺りより道沿い に地元の「庵治石」を使ったと思われる「石でできたもん」が増えてくる。中 には、「これは女性の神秘的な部分を意味しているのか?」と考え込んでしま うようなものもある。道標の指の彫刻も振り袖だったりとしゃれている。岩の 上のお地蔵さんやら何かと山門まで楽しめる行程だ。うっすら汗をかいて、息 が切れ始めた頃に、カエデの木の下になんと「御影石」のベンチがある。石の ダイヤモンド「庵治細目」の端材を利用したもののようだが、リッチな気分だ。 まぁ、知らなければただの石なんですが・・・。

コースは車道の幅を保ったコースと、人向けのコースに分かれるが、八栗寺を 山門から入る場合は車道コースを進む。南の展望が開けてきて、立石山方面の 野池群が見える。遠くは上佐山の向こうに阿讃山脈も。門前の茶店が見えてく ると境内までもうすぐだ。茶店に犬が眠そうに佇んでいた。八栗寺は、正月と もなると香川でも有数の初詣の人気スポットだ。普段も85番札所として、多く のお遍路さんで賑わっている。僕も歓喜天やら本堂やらにわか信仰でお参りす る。
本堂横から階段が奥に向かって伸びていて、ずんずん進むとそこが「中将坊」 というお堂。既に神社やらお寺やら分からない神仏習合である。お堂の右奥に は鉄下駄をたくさん奉納している所があり興味深い。眺めもまずまずである。 その昔はここから五剣の峰にアタックできたようなのだが、現在では転落防止 のため立ち入り禁止になっている。

そこで、お堂の左奥のモノレールのレールの下をくぐって、巻き道へ向かう。 この巻き道は五剣山の裏側に周れる道だ。今日は遅いので、長めのいい所まで 行ってみよう。ここからは踏み跡ははっきりした登山道。倒木をくぐったり超 えたりしながら、適度なアップダウンを楽しむ。「屋島の方向に歩いているの だな」と思っていると、右手前方に屋島をはじめ、讃岐平野が一望できるよう になった。冬の葉っぱの少ない季節ならさらに展望がいいだろう。

やがて分岐に出て、ちょっとした休憩できそうなスペースがある。頃合いよく 腰掛けるのにちょうど良い岩があった。息を落ち着けてお茶を飲む。あかん、 ビールにしたらよかったなぁ。ここからは、五剣山の峰が横から雄大に見える。 そういえば、八栗では柘榴石(ガーネット)が取れるという話を小学生の頃聞 いた。気にせず急ぎ足で登ってしまったが、今度は、毎年正月に八栗寺への初 詣を欠かさない、年老いた両親を誘ってもう少しゆっくりとしたペースで、新 発見をしながら登ってみよう。
-DATA-
- 場所:
- 香川県木田郡牟礼町
- タイム:
- 八栗登山口駅-(20分)-八栗寺-(5分)-中将坊-(10分)-分岐点
- 交通:
- コトデン八栗駅から(徒歩20分 車5分)
- 駐車場:
- ケーブルカーの八栗登山口駅前
- トイレ:
- 山麓、八栗寺多数