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竜飛岬・竜泊ラインを歩く

Jan.02, 2000 厳冬の岬へ

竜飛岬・竜泊ラインを歩く:イメージ1

「津軽の雪は下から降る」そう唄われるほど冬の日本海は大陸から風が吹き付け、そしてそれがブリザードとなって襲ってくる。立っていることさえもままならない。そんな中を本州の北の端・竜飛崎まで歩いて行こう。こんな事を考えつく自分に我ながら感心した。地図を見ると道は二本、日本海を北上するルートと青森湾から西走するルートだ。後者は太宰も著書「津軽」の中で通った道だ。しかし通年開通している平坦な道で面白くない。前者の小泊~竜飛線は冬季閉鎖、さらに山越えもある。こっちの方が面白そうだ。距離は14kmだから往復しても一日あれば何とかなるだろう。

竜飛岬・竜泊ラインを歩く:イメージ2

2000年元旦は小雨の中で迎えた。昨夜の大晦日は津軽海峡に面した今別町の八幡宮に初詣に行き、そこで3時まで飲まされ這うようにして車に戻って寝た。この神社は坂上田村麻呂を奉っており、蝦夷征伐の際に当地に寄ったことになっているが、そんな事実はない。しかし小高い丘の大樹に囲まれた神殿を淡く照らす灯明は幻想的であった。今日は一度県道蟹田~今別線を南下して十三湖から日本海に面した小泊村に向かう。余談だがこの道路は私の通過数時間後土砂崩れで不通となった。日本海に出ると風が強くなってきた。港の漁船に飾られた大漁旗が踊っている。イイぞイイぞ、こう来なくっちゃ。それでこそ津軽だ。雄乃(たけの)温泉で身体を温め、街外れにある閉鎖中のキャンプ場に車を入れた。風が強いのか砂があちこちに吹き溜まっていた。風に揺れる車の中で朝を待った。

竜飛岬・竜泊ラインを歩く:イメージ3

6 時起床。残念ながら?穏やかな朝だ。すばやくコーヒーだけ飲んで車を出す。竜泊ライン(竜飛~小泊)のゲート手前の駐車スペースはもう釣り人の車で一杯だった。この下がクロダイの好ポイントらしい。道路は大きな谷の向こうにソフトクリームのような形で上へ上へと延びていた。路面の雪はおよそ5cm。今年は異常に少ないようだ。歩き出してしばらくしてスキーを持ち忘れたことに気付いた。いつもと違い札幌「秀岳荘」のスキー用長靴を履いていて足元の感じが違のと、さらに往復30kmになる今日の行程に慌てていたからだろう。まあイイや。降りてくる頃には雪はほとんど融けてしまってスキーは役に立たないだろう。すぐに汗をかいた。ぽかぽか陽気で風は全くない。眼下には「ひねもすのたり」の海が蒼く広がっている。

竜飛岬・竜泊ラインを歩く:イメージ4

さっき自分のいた場所を見下ろし、次に行くべき場所を見上げてぐんぐんと高度を稼いだ。高度計で確かめると、遠くで白く輝いている展望台が最高地点のようだ。吉田松陰が雪をものともせず三厩に越えたという算用師峠もそのあたりだろう。その展望台を見上げながらひたすら歩く。サルやウサギ、獣の足跡はたくさんあるが人間のものは後に続くだけだ。削られた山の尾根の切り開きまで来ると、木々が枝を規則正しく東へ延ばしていた。勿論西風にねじ曲げられてだ。それだけが唯一津軽の冬の厳しさを感じさせられるものだった。その先には津軽海峡対岸の北海道の山々が見えた。歩き出して2時間、やっと目指す展望台に着いた。一服つけながら景色を眺めようと体を回すと、なんとすぐそこ、見下ろした先に竜飛岬があった。展望台だけを見つめて歩いていたのでそれまで気付かなかった。長閑な天気に数基ある風車はだらしなく止まったままだった。

竜飛岬・竜泊ラインを歩く:イメージ5

なんだか急にやる気が失せてきた。着いてもそこが荒れ狂う波が打ち当たり、下からアッパーカットのような吹雪の竜飛でないことが判っているのだから。それでもさらに1時間ばかり歩き、風車がすぐ目の前まで来たのを潮に引き返した。するとすぐに軽トラがやって来た。車は通行止めのはずなのに、雪がないので上がってきたのだろう。実際この道を通らずに小泊から竜飛へ行くには大きく迂回して3時間はかかる。再び展望台まで登りそこでコーヒーを入れて大休止をした。権現崎あたりの海が陽にきらめいていた。

太宰は「津軽」の中で「津軽は心頭滅却の地だ」と言っているがこんな好天では心頭滅却になどなりはしない。そういえば太宰自身も蟹を喰ったり、知り合いを頼って配給の酒を集めて飲んだりとちっとも心頭滅却なんてしていなかった。それに比べたら今日の私の方がよっぽどましだろう。何が心頭滅却だ。まだ元気な太陽を映す海に罵声を浴びせながら、イヤになるほど長い坂道を下った。

-DATA-

場所:
青森県西津軽郡小泊村
交通:
JR「五所川原駅」より津軽鉄道「津軽中里駅」さらにバスに乗り換え小泊村へ。
その後はタクシーで竜泊ラインのゲートまで。とにかくマイカー以外のアプローチは大変。
駐車場:
ゲート脇に10台ほど可。駐車の際、凍結防止にサイドブレーキは引かずにおくこと。これ北国の常識。
トイレ:
小泊港にあり。道路脇にも何カ所か公衆トイレを見かけたがほとんど冬季閉鎖中だった。
温泉:
雄乃(たけの)温泉 400円(小泊) 竜泊温泉青岩荘 (小泊) 竜飛崎温泉ホテル(竜飛岬) 浜名温泉 400円(今別)
買い物:
小泊村集落のみ。ゲートまでおよそ10km。
キャンプ:
キャンプ場は冬季営業していない。
スキー用長靴:
クロスカントリー、テレマークスキー用3ピンバインディング・ソールの長靴。
札幌「秀岳荘」5500円くらい。
階段国道:
R339竜飛岬下から灯台までは330段の階段が続く国道。車の通行不可。
その他:
ルートは道路なので明瞭だが、冬季山岳装備をすること。スキーがあると便利。 竜飛に抜けて一般交通機関を利用して車を回収するには2日かかる。(逆ルートも同様)

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