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テニソン・インレット

Dec.27-31, 2000 マルボロ・サウンド再訪

テニソン・インレット:イメージ1

南半球のニュージーランドでは当然ながら12・1月といえば真夏。無論シーカヤック・ガイドにとっては「超」のつく繁忙期。「週6日はあたりまえ。時には週7日海に出る」という激務となり、まとめて休暇を取るなんて夢のような話。ところが!ある事情によって今シーズンは長い休みがポンと取れてしまった!しかも一番忙しいはずのクリスマス休暇中に。この仕事をしている限り、真夏に他のエリアに漕ぎに行くなんてことは絶対に無理と諦めていたので、これぞ千載一遇のチャンスだ。さぁ、どこに行こう?『パドリングレポート No.9002、No.9003』でマルボロ・サウンド最大の島、ダーヴィル島のカヤッキングの様子をお届けしたが、この時の旅で我々夫婦はすっかりマルボロの魅力にとりつかれていた。よしマルボロだ!ただ、2度続けて同じ場所を漕ぐのも能がない。そこで今回はダーヴィル島より弱冠南にある『テニソン・インレット』を巡ることにした。ここはマルボロのシーカヤック・ツアー会社が拠点としてよく利用する場所。ならば美しさも保証付きだろうし、初心者向けの比較的易しいフィールドでもあるはずだ。

テニソン・インレット:イメージ2

というわけで、愛車の屋根にシングル艇を2艇荒縄でしばりつけ、妻と2人で一路マルボロへ。クリスマスを過ぎると、もうニュージーランドもすっかり真夏だ。オゾン・ホールの影響で恐ろしいほどの量の紫外線が降り注ぐため、空は絵の具の青をそのまま塗りつけたよう色合いとなり、水は自ら発光しているかのごとく輝く。まるで空気そのものが青く染まっているかのようだ。その日も目的地に到着する直前まではそんな美しい夏の一日だった。しかし、12月は荒れやすい春の天候の名残もまだ色濃い。この日も到着直前になって突如として暗雲がたちこめ、かなりの強風が吹き始めた。テニソン・インレットの一番奥、出発点となるダンカン・ベイに到着した時は、空も海も相当な荒れ模様。海面には無数の白波の兎が乱舞し始めていた。私一人ならば漕げないコンディションではないが、妻が一緒では無理だ。この日の出発は諦め、近くのキャンプサイトで停滞を決めた。夕方からは完全に嵐の様相を呈し、夜中に何度もテントを這い出してはテントやタープの張り綱を調整する羽目になった。翌日も嵐で停滞。残念ながらこのキャンプ場では携帯電話、AMラジオ、FMラジオ、VHFマリンラジオのいずれも役に立たず、天気予報を聞くことが出来なかった。翌日の天候回復を祈りつつ眠りにつく。張り綱はトコトン補強し尽くしたので、この夜はテントを這い出す必要はなかった。

テニソン・インレット:イメージ3

さらに一夜明けて3日目。7時前に起床。しかし雨も風も衰えていない。思わず溜息がもれるが、相手がお天気では愚痴を言っても始まらない。諦めて今回は一旦撤収し、また仕切り直すことを決める。ただ朝7時から撤収する必要もないので、せめて2度寝を楽しむことにし、再びシュラフに潜り込む。ところが10時ごろ目を覚ますと、雨も風もピタリと収まっており、雲も完全に切れて青空まで広がっているではないか! この劇的な天候の変化はやはり春の気候だ。ともあれ、これを逃すとまたいつ漕げるか分からない。手早く軽い朝食を頬張りつつ大慌てで撤収し、ダンカン・ベイに直行。桟橋には我々同様好天を待ち続けていたボートやカヤック、ヨットなどがひしめいていた。我々もようやくカヤックを車から下ろし、さっき車に積め込んだばかりの荷物をカヤックに移しなおす。出艇の前に再度観天望気で天候変化をチェック。当面天候は安定している様子なのを確認した上で、いよいよ漕ぎ出す。最後のパドリング(仕事)からわずか中4日しか空いていないのに、なぜか物凄く久しぶりのパドリングという気がした。パドルが重いのだ。丸々2日間テントに閉じ込められていたせいだろうか?

テニソン・インレット:イメージ4

数時間前までの強風のためだろう、残念ながらマルボロ名物の透明度の高い藍い海は濁っていた。ダーヴィル島より遥かに脆い赤土が主体の地質なので、おそらくこのあたりの海底は弱冠泥っぽく、濁りやすいのだろう。しかし透明度を差し引いても、やはりリアス式の複雑な海岸線は美しい。テニソン・インレットを囲む山々は殆どが保護地区となっているため、無粋な植林や牧場が見当たらず、ブナとシダの混在するNZ特有の自然林が目を楽しませてくれる。今は折りしもNZ ティートゥリーのマヌーカやカヌーカが花盛り。豆粒のような小さな白い花を満開にしている木は、粉砂糖をまぶし付けたかのように可憐だ。山全体が白くボゥっと煙ったようだ。緑を愛で、時折釣り糸を垂れ、のんびりと久々のマルボロを全身で楽しむ。しかしやがて北西の空にどうにも気にかかる雲が現れた。風も弱冠強くなり始めているようだ。釣りを中止してキャンプサイトへと急ぐ。テントとタープの設営が終わる頃、案の定また風が吹き荒れ始めた。やれやれ、これで翌日も停滞だ・・・。この日のパドリング、わずか10km弱。

テニソン・インレット:イメージ5

翌4日目。晴天ながら、やはり強風が吹き荒れ続けている。ふと見ると、隣りにテントを張っていたドイツ人カップルが漕ぎ出そうとしている。彼等はレンタルのタンデム艇を駆っているのだが、どう見ても海は初めてのリヴァーカヤッカーだし、このコンディションを漕ぎ切る腕を持っているようにも見えない。必死に止めるが、こちらの話を聞かない。仕方なく「オレは専業プロのシーカヤックガイドだ。命の保証は出来ないぞ。忠告したぞ。グッド・ラック。」と言うと、やっと諦めてくれた。ヤレヤレ・・・。この日は晴天なのでテントに篭っている必要もない。キャンプサイト側の清冽な小川で、小エビや小魚を追っかけ回して童心に帰った。本格的な道具を使って遊ぶのも楽しいが、子供の水遊びレベルの遊び方もまた物凄く楽しいものだと再認識。夕方から風が落ち着き始める。おそらく明日は好天だろう。

テニソン・インレット:イメージ6

翌5日目、20世紀最後の日。ようやくベタ凪快晴の朝を迎えた。しかし連日の強風の中のキャンプ生活で、我々はかなり消耗していた。もう1泊してここで新世紀を迎えるか、それとも帰るか。迷った末、帰ることにした。2km先の小島や、往路で覗けなかった小さな入り江などに寄り道しながら、出発地ダンカン・ベイを目指す。相変わらず透明度は低いが、森と空の対比は例えようもなく美しい。しかしこの日も時折突風が吹きつけるため、案外体力の消耗が早い。結局、悪天候と疲労のせいで距離的にも気分的にも不完全燃焼のままにダンカン・ベイに到着。美しい場所だけにちょっと残念だ。是非とも天候の安定している時を狙って再挑戦しなくては。

-DATA-

場所:
・マルボロ・サウンド海洋公園 - ニュージーランド南島北端部マルボロ地方のリアス式海岸線で構成される、非常に美しい海洋公園。拠点はピクトン、ハヴロックなど。
・テニソン・インレット - 公園内に無数に存在する入り江の1つ。公園西部にいちする。
交通:
・ネルソンより国道6号線をブレナム方面へ。
・ライ・ヴァレーの集落でロンガ・ロードへ左折。次の交差点を右折。あとは道なりにひたすら直進、行き止まりがテニソン・インレット。テニソン・インレット内にいくつか集落があるが、今回我々は本文中に記した通り、ダンカン・ベイを利用した。最期まで舗装路。アクセス道路の景観も素晴らしい。
・ネルソンより車で1時間半。
・公共交通手段の場合は、ハヴロックの町でアレンジしてくれる。
駐車場:
ダンカン・ベイの桟橋付近に駐車可能(無料)
トイレ:
ダンカン・ベイの桟橋のすぐ近くにキャンプ上があり、そこのトイレが利用できる。テニソン・インレット内にもDOC(NZ自然保護局)管理の小さなキャンプ場がいくつかあり、そこのトイレも利用できる。
地図:
DOC発行『Parkmap Marlborough Sounds』がお薦め。海図(マリン・チャート)は夜間航行する予定がない限り、あまり役に立たない。
ツアー:
ハヴロックの町を拠点とするシーカヤックツアー会社は、テニソン・インレットからのガイドツアーを運行している。

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