パドリングレポート

サブナビゲーションをスキップ


フィールドレポート

現在のレポート数は811件です。

最新記事
最近のコメント
カテゴリー
バックナンバー

Since Apr.01,2000


« 日向灘某所パドリングレポート:トップページ宮古島カヤック一周 »

エイベル・タズマン国立公園南部

Jul. 18, 2000 シーカヤック・ガイド日記 *** とある冬の1日 ***

エイベル・タズマン国立公園南部:イメージ1

午前10時、マラハウ・ビーチの波打ち際に立つ。最初の仕事は観天望気。海面は、秋冬恒例の、島が逆さに映るほどのベタ凪。空を見上げる。南半球特有の抜けるような青空に申しわけ程度に貼りついた雲は、亀よりものんびりと南西へ流れている。天気図通り、急激な天候変化の兆しはない。水の透明度も高く、エイベル・タズマン名物の碧色の海が眩しい。絶好のコンディションだ。お客さん達もウズウズしている。手短にローンチング・インストラクションをすませ、さっそく波間に漂う。水に触れて子供たちが歓声をあげる。それを見るとこちらの頬もゆるむ。今日のお客さんはスイス人の一家4名。海のない国なので、楽しさもひとしおなのだろう。その様子を見ていて「今日はなんだかいつもと違うぞ。何かおきそうだ。」と、愉しい予感が脳裏をよぎった。そしてその予感はすぐに現実のものとなる。

エイベル・タズマン国立公園南部:イメージ2

ここマラハウは、エイベル・タズマン国立公園南端に隣接する小さな小さな村、国立公園への玄関口である。ここは日本での知名度はまだまだ低いが、実はニュージーランドNO.1の観光客数を誇る超人気国立公園。売り物は『碧の海と黄金の砂浜』。ザラメを一面ぶちまけたようなビーチを翡翠を溶かしたかのような海が洗うパラダイス・ビーチだ。そしてここはNo.1シーカヤック・フィールドでもある。私が勤務する国内最大のシーカヤック・ツアー会社もここを拠点としている。発見者であるフランス人探検家はこのエリアを称して、『NZでもっとも絵画的な風景』と絶賛したが、その言葉を借りれば私の仕事は、毎日お客さんとともにその美しい絵の点景となる事である。

エイベル・タズマン国立公園南部:イメージ3

さすがに人気No.1国立公園だけあり、真夏には恐ろしいほどの混雑ぶりとなる。しかし今の時期となるとさすがに静けさが戻る。カヤックも1日に数艇見かける程度だ。しかも、実をいえば思ったほど寒くもない。のんびり楽しむならば絶対にオフシーズンである。人が集まる時期が最高の時期とは限らない。

エイベル・タズマン国立公園南部:イメージ4

さて、話をこの日に戻そう。愉しい予感は、パドリング開始後間もなく現実のものとなった。マラハウ・ビーチを出発してものの10分も漕がないうちに、数種の海鳥が100羽以上海面付近を乱舞しているのを発見。「何かいる!」目を凝らすと、何かが水面上にジャンプした。オットセイか?いや、どうも違う。もしかして・・・。目を凝らすうちに、もう1度ジャンプ。今度は見えた!イルカだ!!お客さんに向かって"Dolphins !"と叫ぶ。彼らの目にはまだ捉えられないようだが、それでも全員ピッチがあがる。ほんの数分のうちに間近に見られるところに到着。イルカも逃げない。カヤックの回りを泳ぎ、そして飛ぶ。7、8頭いるようだ。子供たちにとっては特に衝撃的な体験だったのだろう。全員言葉を失い、息を飲んでイルカの優雅なジャンプを見守っていた。幸運な事にこの至福のランデブーは30分以上にわたって続き、モーニング・ティー休憩のために上陸したビーチからも、まだ彼らのジャンプは見えていた。

エイベル・タズマン国立公園南部:イメージ5

イルカの群れが去った頃、我々も再出発。モーニング・ティーを本土のビーチでとったので、昼食は島でとることにしよう。まず2つ並ぶ島のうち小さな方のフィッシャーマン島へ。これら2つの島では、秋から冬にかけてオットセイを見ることが出来る。国立公園中央部のオットセイ・コロニーの島にいけば1年中見る事が出来るのだが、このエリアで見られるのはこの時期だけ。やはり必ずしも夏が良いとは限らない。この日も真っ黒な円らな瞳の赤ちゃんオットセイが我々を迎えてくれた。なんとも平和的な動物である。そのすぐそばでは美しい冬羽をまとった海鵜数十羽が大騒ぎだ。オットセイをたっぷり愛でたら、昼食休憩をとるためにもう1つの島、アデール島へとアイランド・ホッピングだ。

エイベル・タズマン国立公園南部:イメージ6

シーカヤックからの野生哺乳類との対面は想像以上のホントに素晴らしい体験だ。相手も陸上にいる人間と違ってカヤックはほとんど警戒しないし、こちらの目線も低いので、『動物同士の出会い』といった趣きの経験を味わえる。たとえば半年ほど前にも私自身非常に面白い体験をした。私はオットセイのコロニー付近でパドル・サーフィンを楽しんでいた。すると「チッチッチッ、甘いな、兄ちゃん。波乗りってのはこうやるんだ」といわんばかりにオットセイがカヤックと並走してサーフィンし始めたのである。敵のサーフィンはさすがに見事なもので、こちらは舌を巻いて脱帽せざるをえなかった。この日イルカとオットセイ両方に出会ってしまったスイス人一家は、昼食のためにアデール島のビーチに上陸した後も、興奮冷めやらぬ様子。私の用意した昼食に舌鼓をうちながらもひたすらイルカとオットセイの話に終始していたようだった。彼らのドイツ語での会話にはさすがについていけないので、私は食後の日光浴を楽しむことにした。この地方はニュージーランドでも最高の日照時間を誇っており、冬といえども晴れれば暖かい。この日も私は上半身裸になり、金色の砂浜でまどろむ。ガイドにとっての至福の時だ・・・。

エイベル・タズマン国立公園南部:イメージ7

昼食後のパドリングは、うねりや揺れが眠気を誘う。眠気に身を任せるように、のんびりとしたパドリングで帰途についた。1日を惜しむように、皆ゆっくりゆっくりと水と戯れる。身も心もすっかりとろけきった頃、マラハウのビーチに到着。やはりこの冬最高の1日となった。スイス人一家はもちろん大満足でマラハウを後にした。「今度は夏に来るから、またガイドして欲しい」と言い残して。もちろん、待ってるよ。次回は帆を揚げてセーリングを体験させてあげるからね!

-DATA-

場所:
・エイベル・タズマン国立公園 - ニュージーランド南島北端付近、タズマン湾に西側にある国内最小国立公園
・マラハウ - エイベル・タズマン国立公園南端に隣接する村
交通:
● ネルソン - マラハウ間
・自家用車で70分・ バスで1時間半(当社を含め、アクティビティ会社はたいてい無料送迎バスを運行している)
● 国立公園内
・ウォータータクシーと呼ばれる定期ボート便が主要ビーチを結んで毎日運行している
駐車場:
あり(無料)
トイレ:
国立公園内のビーチにはたいていトイレ付きのキャンプ場が整備されている
アクティビティー:
・トレッキング - エイベル・タズマン・コースト・トラックという、国内有数の海岸線トラックが整備されている 山小屋、キャンプ場なども豊富
・シーカヤック - 10社以上のツアー会社が毎日ツアーを運行している
エイベル・タズマン・カヤックス:
私の勤務する国内最古かつ最大のシーカヤック・ツアー会社
フリーダイヤル : 0800-527-802
website : http://www.onjix.com/ata/

コメント(0)

コメントはまだありません。

コメントを投稿

(いままで、ここでコメントしたことがないときは、コメントを表示する前にこのブログのオーナーの承認が必要になることがあります。承認されるまではコメントは表示されません。そのときはしばらく待ってください。)

コメント投稿フォーム

ページのトップに戻る