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久米島シーカヤック

島唄 Apr.29-May.04, 2000

久米島シーカヤック:イメージ1

久米島の東海岸を囲むように10km沖まで長く突き出たリーフがある。その中に点在する島々をカヤックで巡る。

この季節には羽田~久米島便はなく、那覇で乗り換えて39人乗りのエアーコミュターで久米島空港へ着いた。小さな飛行機は慶良間諸島上空を低空で飛ぶ。タクシーで太田集落へ行きボンベや食料を買いだしして、鳥島漁港から出港した。

久米島シーカヤック:イメージ2

4月29日。鳥島漁港を出るとすぐ正面にガラサー山、ガラサーとはカラスのこと。でも子供達はチンチン山と呼んでいる。その通りチンチンのような岩が青空に伸びている。隣り合わせに那覇からのフェリーが着く兼城港、その長い防波堤の外を廻る。風が強くなった。しばらく行くと波も大きくなりあわててアーラ浜に逃げ込んだ。そこはアーラ山の南面にあたり、三方を高い山に囲まれた隔絶された世界のようだ。一応便所とベンチはあるが水は雨水を貯めたもので使えない。買い物は比嘉集落まで徒歩1時間。夜、焚き火で採ったサザエやモズクを料理していると、浜を挟む二つの川から一斉にホタルが湧きテントを包んだ。翌日は嵐。テントが風でひしゃげる。仕方なくハブに怯えながら林の中に引きずっていった。

久米島シーカヤック:イメージ3

5月1日。舟を出すがまだうねりが残っている。ここから先は島尻崎までは久米島唯一の断崖が続く難所だ。追い風に押されるようにリーフの外に出るとお約束のように波が高くなった。早速判断に迷う。結局戻るのも面倒になって断崖を見上げながら進んだ。ささくれだった黒い崖が垂直に立ち上がっている。そしてその上部は濃い緑がどっしりとアーラ山に続いている。ダツがこっちに向かって飛んできて、3mほど手前に落ちてヒヤッとした。上を向いた鳥の顔をした岩、「鳥の口」まで来ると向かい風に変わった。そろそろ断崖も終わりのはずだ。さっきまで正面に見えていたトゥンバラ岩がずいぶん右に移動した。岩礁の途中が切れて向こう側が見えた。島尻崎、島の最南端だ。島尻崎と岩礁の間を波に乗って抜けるとそこはリーフの中の穏やかな海だった。海岸線を北へ辿って銭田漁港に入る。一休みの後、久米島と橋で繋がれた奥武(オー)島の「畳石」に向かう。溶岩が冷やされたときに規則的な亀甲模様になった石畳の海岸だ。エメラルドの海に黒褐色の石畳がコントラストが映える。東にあるオーハ島は7世帯しかおらず、その代わりハブはたっぷりいるという。ふたつの島に挟まれたイチュンザ岩にキャンプ。誰もいない小さな島は自分だけの独立国だ。

久米島シーカヤック:イメージ4 久米島シーカヤック:イメージ5

5月2日。東に長く延びたイノーの中は安心して舟を出せる。しかし干潮時には舟道を外れると喫水の浅いカヌーでも底を擦る。水深の充分なところを選び1時間かかって誰もいないハテノ浜の先端に上陸した。どこまでも伸びた白い珊瑚の浜がとうとう海に尽きる果て。その白がグラデーションで緑に融けていく。遠巻きに囲むようにリーフの縁が波立ち、延長線上に渡名喜島がぼんやりと見える。奥武島に戻りキャンプ場に行くと雨が降り出した。誘われるままに管理人のおじーの家に泊まる。

久米島シーカヤック:イメージ6

5月4日。奥武島を廻ると久米島との狭い海にでる。ここは潮が退くと川と見間違えるように細くなる。二島を結ぶ橋の下まで来るとダイレクトに風にさらされる。高速船の港、真泊港の長い防波堤の外にでると波も高くなった。航行用にリーフを掘り下げてあるからだろう。引き潮の時間でどんどん海が浅くなっていく。舟を傷つけるので仕方なく沖に舟を向けた。リーフの縁を越え外に出ると真謝港が進路から大きく外れた。阿嘉沖、ここさえかわせば断崖はない。後はいつでも上陸できる海岸線がぐるっと島の反対まで続いているだけだ。大きく揺さぶられる舟の中で断崖の先端だけを見つめて漕いだ。ちらっと断崖から落ちる滝を見た。鼻先をかわすと断崖は後退して広く平らな浜が寝そべっていた。今日は大潮で普段近づけない磯に釣り人が棹を垂らしている。ミーフガーの洞窟。ガラサー山のチンチンに対してここは女性器に見立てられ、二つで子宝のお守りになっている。島の観光ポイントなので人も車も集まっている。しかしここも波が荒く、むき出しの珊瑚礁の海岸で砕け上陸できなかった。前方に見える空港を目指した。いつの間にかもう島の半分を漕いでいた。風は背中に受けるようになった。管制塔を見ながら漕ぐのは不思議な感じだった。ウミガメが首を伸ばして通りすぎていった。次のヤツは舟の手前で潜った。しばらくしてまた来た。ここはウミガメ銀座だ。そろそろ滑走路も終わったのにリーフの中へ入る舟道がない。後で解ったが干潮時には干上がってしまうのだ。まして今日は大潮だから、あるわけがないのだ。さらに1時間以上、リーフの外を大きく廻って内海に入った。5時間以上も漕ぎ続け、やっと出発地の鳥島港に着いた。

-DATA-

場所:
沖縄県島尻郡久米島
交通:
夏期に限り羽田~久米島直行便がある。他の季節は那覇で乗り換えるか一日3便ほどのフェリーで渡る。島内はバスは便も路線も少ないので当てにできない。
駐車場:
観光ポイントには有る。無料。
トイレ:
同じく観光ポイントは有る。無料。
※映画「釣りばか・・」で有名なハテノ浜まで観光船有り。しかし手前のナカノ島までしか行かない船もあるので注意。
昨夏、「ウミガメ博物館」「ホタル館」がオープン。
畳石キャンプ場500円、管理人の家一泊1500円。
地酒「久米泉」は何処にでも有るが「久米島」はこの島以外では手に入れずらい。
参考:「久米島ちゃんぷる情報」http://www2r.biglobe.ne.jp/~yoko-s/
「沖縄の日本軍・久米島虐殺の記録」 新泉社沖縄と戦争は切っても切れない。私たちが絶対に忘れてはいけない話が多く残る。久米島の人々はアメリカにではなく日本軍に殺されていた。

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