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錦江湾・桜島(後編)

Dec. 1998 アイランド・シーカヤッキング

今回はしばらく間があいてしまってすみませんでした。「シーカヤッキングワールド」の方にも書いたんだけど、まあとにかくこれでもかというくらい書かせないための反対勢力が勢ぞろい、という平成13年度第4四半期というやつだったのです。というわけで、温泉の恋しい季節ももうすぐおしまいですが、桜島でのシーカヤッキング完結編でございます。

さて、本日のキャンプ地となる沖小島に上陸した。ここは浜となっているのは、正面に桜島を見据える島の東側のみで、キャンプができるのもこちら側のみ。石はやや大きめで少々でこぼこがきつい。マットは必需品だろう。あちこちにある流木を集めると、早速火をおこす。正面には桜島。太陽が地平線に近づくに従い、桜島は赤から紫、そして漆黒へと刻一刻とその色合いを変えていった。皆思い思いの場所にテントを張る。が、どうも数が足りない。「ああ、僕らはいいんですよ」と櫛山さん(櫛山さんは現在ナノックがツアーを実施する際のツアー・スタッフということです)と八田さん。「焚き火のそばで充分なんですよ」さすが火の国鹿児島。料理番である橋元さんが料理にとりかかった。本日のメインディッシュはチゲ鍋、そして酒は桜島。肴にカンパチの刺身と、残りは熾であぶりながら口に運んだ。
 ちょっとトイレと岸沿いに反対側へ回り込むと、対岸に鹿児島市の光が浮かび上がっている。都市のすぐそばにある鹿児島の自然。真冬であるのにあたたかい。僕らの取材の前週は野田さんと内田さんがOutdoor誌の取材できたそうだ(このとき「攻めダルマ」佐々木氏ははじめてのシーカヤッキングだったそう)

 西に行くほど日の出は遅い。翌朝、といっても8時くらいからやっと活動ができる明るさになる。簡単に食事を済ませ、9:30に島を後にした。島には山羊がいるというが、僕らは出会えなかった。しかし、夜中に草を踏む音が聞こえてきたので、なにかはいるのであろう。船の航行を妨げないように、北上して燃崎を目指す。そして燃崎から観音崎とコーストラインを進む。観音崎を過ぎると大きな白い建物がビルディングが目に付いた。温泉観光ホテルというやつだ。10:30、湯之元に着く。大浴場が海沿いにあり、カヤックで通ると温泉客の注目を浴びるそうだが、今日は改装中らしく、誰も入っていないようだ。ここはアコウの老木から涌く温泉で龍神様の宿る聖域のため、男女とも浴衣を来て入るそうなので期待はしないほうがいい(なんの?)。またこの辺りはイルカが見えることも多いそうだ。シーカヤックから直接温泉にあがれればいいのだが・・・。
 11:00頃、昭和溶岩とよばれる溶岩流の先端部に至る。採石場になっているが、海面から溶岩が10m近くも立ち上がり、威容な景観となっている。この辺りは降灰が多く、また土石流が発生することもありキャンプは出来ない。火山の島を漕いでいると実感する光景だ。しかしながら、小さな湾のいたるところに温泉が涌いており、こうした知られざる温泉探しにカヤックを出すのもいいだろう。有村崎を過ぎて、海に突き出た溶岩帯を過ぎると岸に沿って湾に入っていく。湾の入口には船舶用の標識があるのですぐわかる。湾の奥には漁船が何艘も泊めてあり、そろりと入っていくと「温泉が涌いてあるところがありますよ」といわれる。「ここら辺ですね」といわれた海面をよく見ると、流れがそこだけ違うので海底から湧出しているのがわかる。水中に目を凝らしてみるとはっきりと水の層がわかれているのがわかる。手を入れてみると温かい。まあ真冬に入るほどではないが。「ここなら年中ロールの練習が出来ます」と櫛山さん。が、それにだまされてひっくり返り、水の冷たさに驚いた人がいた(といっても充分に温かいが)そうで、温かいのは表面だけなのだ。
 「ではもう一つ行ってみましょう」大正溶岩を越え、もう一つ先の入り江だ。ちょうど桜島の付け根の位置にあたる。沢山の養殖棚をすりぬけて奥へと向かう。海底を見ると、ガンガゼが4~5匹固まって長い棘をゆっくりと動かしている。珊瑚も見える。やはり海水が温かいのだろう。ドン突きでカヤックを降りると、「この奥にも温泉が涌いているのですよ」といわれ、奥を覗くとバスクリンを入れたような不思議な色の池が、さらに奥へと広がっていた。「通称『ギャオスの池』と呼んでます」と櫛山さん。カヤックを持ち上げてその堰を乗り越え、池に浮かべる。大潮の満潮の時にのみ、カヤックに乗ったままここを越えることが出来るそうだ。再びカヤックに乗り込むと、ゆっくりと前進させた。水の色は次第に黄色が強くなってくる。松や照葉樹が両側より張り出している。不思議な風景だ。途中幅がぐっと狭まっているところがあり、水も岩肌も硫黄の黄色で染まっている。手をつけるとなるほど温かい。最後に黄土色で染まった池に出た。だが池の中心部はそれほど温かくないから、温泉が涌いているのはこの池の出入り口辺りであろう。空がぽかんと明いている。風は遮られ、温かい海の上に浮いているせいか、真冬のツーリングとは思えない穏やかさを感じた。
 時計は13時をまわっていた。方向転換をして元の堰まで戻った。

 そして後はゴールに向かって南下するだけだ。今回は時間が無くなってしまったので小浜であがったが、できればそのまま南下して江之島の対岸、海潟漁港の裏側に海岸があるので、ここに上陸するのがいいだろう。しかし、北西の風が吹いているときは、撤収をすばやくやらないと灰だらけになってしまうそうだ。生きている地球を実感するパドリング・エリアであった。

-DATA-

注意事項
漁船やプレジャーボートが非常に多い海域である。過去にはシーカヤックと漁船の衝突事故も発生しており、漕行には充分に注意されたい。またこの地域独特の注意点として降灰がある。山を中心に風下は常に降灰があるので、風向きを考慮に入れる必要がある。キャンプ地は降灰が予想されるところを避けた方がよい。

- 西沢あつし プロフィール -
フリーライター・フォトグラファー。主に日本各地のシーカヤッキングにまつわるいろいろなシーンを撮影・レポートして各誌に寄稿してきた。写真は梅田正明氏に師事。昭和41年生まれ、東京都在住。

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