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錦江湾・桜島(前編)

Dec. 1998 アイランド・シーカヤッキング

さて、今回のアイランドシーカヤッキングは、現在は一部九州にくっついてはしまったが、名前もそのまま島として残る活火山島、桜島である。

シーカヤッキングは面白いといっても今はやはり冬。できればこの季節もあったかくパドリングなんぞしたいと思うのである。そうするとやはり温泉は不可欠。さらに内湾のおだやかな海がいいなあ、と思えば、このエリアにたどりつくのは必然なのである。

(初出:カヌーライフ23号パドリングエリアガイド・桜島)

錦江湾・桜島(前編):イメージ1

九州は南端にぱっくりと口を開けている錦江湾。その湾をふさぐように、今も活発に活動している桜島が鎮座している。この沿岸は外海からのうねりも入ることが無く、海底から温泉が湧出しているところもあり、暖かく静かな海をツーリングすることができるのだ。 
この火山の最古の噴火記録は和銅1年(708年)だが、地質的には1万3千年前から活動を続けているという。元はその名の通り島であったというが、大正3 年の大噴火で溶岩が東桜島水道を埋めて大隅半島と陸続きになってしまった。そうして今も活発に活動を続ける火山なのである。キャンプする場所を決めるのには、その日の風向きが何よりも一番重要な情報となるのが、このエリアの特徴といえるだろう。

錦江湾・桜島(前編):イメージ2

午後に鹿児島入りした私は、国分敷根にあるキャンプ場で今回のエスコート役であるナノックスのスタッフと合流、海から立ち上る靄の中に浮かぶ桜島を見ながら、国道220号線を下った。そして桜島の付け根で国道を離れ、桜島に入り北上する。溶岩の中にひかれたアップダウンのきつい道を抜けて、浦之前の漁港に車を入れる。港の奥がスロープになっており楽に出艇出来るが、滑りやすいので注意して艇を下ろした。

港ではどうみても笑っている猫が僕らを見送った。木々の向こうには噴煙を吐き出している火山。日本にもこういう風景があるんだ。

10時30分、港を後にする。すぐ正面に見える小さな島、新島(しんじま・別名燃島)を目指す。桜島より北東2kmに位置するこの島は、1779年の大噴火で海底より隆起して出来たという島だ。ゆっくりパドリングしても約15分程度で取り付いた。夏の間は海水浴やキャンプをする人で賑わうという。

錦江湾・桜島(前編):イメージ3

新島をかすめると北上を続けて、11時に中ノ島(軽石島)に近づいた。別名が示すとおり溶岩が固まって出来た島であり、なにか富士五湖で漕いでいるような錯覚にとらわれる。今回エスコートしてくれたNanoksの櫛山さんと八田さん(当時)は早速竿をふりはじめた。この二人は、ちょっとポイントがあると、陸だろうが船の上だろうがとにかくロッドを振っていた。釣果は今回は記さないでおこう。まあ、真冬だし・・・ね。
ここでちょっと休憩をとる。岩に囲まれた真ん中には砂浜があり、潮の干満によってつけられた模様が、溶岩と相まって山水のような様相を見せてくれた。

中之島を出ると桜島がその威容を視界一杯に広げる。進路を桜島の北端である割石崎に向ける。海はあくまでも静かで、潮の流れも感じない。30分ほどで崎に達し、後は海岸線に沿って西にひたすら漕いでいく。

12時をまわった頃西道に到着した。ここは夏期には海水浴場となるが、コープもあり買い出しも可能だ。北岸のベースとしても最適である。昼食は皆思い思いのものを取る。日は暖かく、風がないので、Tシャツ一枚で昼寝をした。ゆっくりしたいところであったが今日のキャンプ予定地までは、桜島をまだ半周近くまわらなければならないため、13時に出発する。

錦江湾・桜島(前編):イメージ4

これから桜島港までは海岸沿いにずっと道路が伸び、少々退屈なパドリングが続く。
小さな港が所々にあり、倉庫には大きく数字が書いてある。まるで基地のようだが、「桜島が噴火したときに、あの数字で避難港を伝えるんです」と橋元さん。今日は年末ということもあり、船舶の往来が少ないそうだが、普段はその往来に充分注意して欲しいとのことだ。島の西に来ると、すぐそばに見える対岸には鹿児島市が見える。錦江湾はその中央を、桜島でぎゅっと絞られたような形になっている。そのため、この付近より潮流が感じられるらしいが、この日は特にそれを感じられなかった。そして岸近くには養殖棚も並び、これを縫うように漕いで行かなくてはならない。養殖帯を越えるといよいよ桜島港。西海から一時間半ほど。ここはフェリー航路を横切らねばならない。こちらは年末ダイヤで逆にひっきりなしに往来している。当然だが横断には充分すぎるほど注意する必要がある。港の出口で一度全艇が集り、充分に間合いを計る。そして一気に横断をした。

錦江湾・桜島(前編):イメージ5

港を越えると、大正の大噴火で流れ出た溶岩の一帯に入った。ダイビングスポットにもなっているという。

大正溶岩を越えたところでようやく、本日のキャンプ地である沖小(おこが)島が目に入った。目的地にはまっすぐ進みたいところだが、航行する船が多いため若干岸寄りに進路を取る。魚影が濃く静かな海ということは、いい漁場ということでもある。くれぐれも動力船には注意してもらいたい。いくら西の国とはいえ、やはり冬は太陽も急いで沈んでいく。なんとなく薄暗くなりかけている空を仰ぎ、パドルに力を入れた。と、そのとき先頭を行く橋元さんがいきなりパドルで海面をぶったたいた。ブレイスを入れるような状況じゃないのに?「カンパチカンパチ!!」弱って海面を漂っていたようだ。帽子をつっこんで頭にかぶせ、カヤックに引き上げた。やりました!50cmはある見事な獲物。まさに酒のさかなです。となると、本日一日竿を振っていた方の面目は?

日はもう、対岸の鹿児島市のすぐ上まで来ていた。桜島はその山肌の赤味をまし、海もそれを映している。16時半、沖小島に上陸。ここはこのエリアをシーカヤックでキャンプツーリングするときには、ほとんどここでキャンプをするという。この取材の前に、Outdoor誌(今はもうないが)で野田知佑氏と内田正洋氏の対談もこの島を使ったそうだ。
振り返れば桜島。太陽の色を反射していた。
 
前編了

- 西沢あつし プロフィール -
フリーライター・フォトグラファー。主に日本各地のシーカヤッキングにまつわるいろいろなシーンを撮影・レポートして各誌に寄稿してきた。写真は梅田正明氏に師事。昭和41年生まれ、東京都在住。

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