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飛島紀行(後編)

May. 1998 アイランド・シーカヤッキング

飛島紀行(後編):イメージ1

翌日、ウミネコの鳴き声で目を覚ました。早朝に出漁した漁船が帰って来たのだ。どうも今日は雲が低くかかっているようだ。そのおかげで太陽がぼうとその輪郭をはっきり見せていた。
正面にあるはずの鳥海山はまったく見えない。しかしまだ雲は高い。一日くらいはまあなんとか持ちそうな感じだ。朝食をすますと外に出た。そしてそのまま港へ向かう。集落は道を挟んで山側に母屋、海側を宿としているところが多い。その宿になっているところは、昔、漁具の格納庫になっていたようで、すぐに漁に出られるようなかんじであった。

海岸沿いの歩道を南へ歩いていくと、海水浴場に出た。こんな北の島でも海水浴場があるのだ。しかし、コロニーに入りきれないウミネコたちが、そこかしこに巣をつくっている。ウミネコの世界もどうやら住宅難のようである。
海岸線につけられたごく簡単な作りの遊歩道を西に歩いて行く。空はますます低くなり、海の色は昨日とうってかわって寒々しいダークな世界へとなっている。道をまちがえたのかな、と思った頃、賽の河原についた。

そこにはいくつもの石積みの塔がならび、色のない世界であった。まさに鬼門に位置するところである。大正14年に出された飛島に関する本(残念ながら入手不可)に、この賽の河原のことが記してある。

飛島紀行(後編):イメージ2

曰く、ある島民が畑で仕事をしていたら、後ろの方から鼻歌が聞こえてくる。ふと見ると、島では見慣れない人が賽の河原の方に向かって歩いていった。また、森の中で泣いている女性を見かけた島民が、声をかけようと近づくと、突然なにかふっきれたように歌いながら賽の河原の方へ向かい、消えていったという。このような目撃談が淡々と続いている。まさに真夏の怪談というところだが、また島に遊びに行った中学生が、出来心からこの石積みの塔を壊してしまう。その後、誰も手をつけなかったのに、次の日にはまた元の通りに戻っていたという(なんか背中が寒くなってきた)。そして、この石積みの塔は、島の誰が積んでいくわけでもないのに、年々その高さ、数ともに増えていっているという。
もしこれを読んだ方でここを訪れる機会があったなら、ここの石は絶対に持って帰って来てはいけない。それはある島出身の人から、強く言われたことである。

飛島紀行(後編):イメージ3

さて、一回宿に戻り、自転車を借りて今度は東に向かう。港では何人もの男達が魚をさばいていた。漁師かと聞いたら釣り人だという。魚はホッケ。開いて一夜干しにした後に持ち帰るそうだ。ウミネコたちはおこぼれに預かろうと遠巻きに様子をうかがっている。果たして男達が去ると、すさまじい勢いで残ったものに群がっていった。それにトビやカラスも入り乱れてすさまじい様相となった。彼らが飛び去った後、そこにはなにもなくなっていた。

自転車を走らせて島の東端、鼻戸崎の森に分け入った。暖流果てるこの島には、陸上の木々にも特徴がある。ここはタブノキやクロマツ、アカマツの森である。森の中で大きく、深く呼吸する。肺を少しでもすてきな空気で洗いたい。
森をぬけると甘ったるい香りでむせた。ハマナスだ。その先にある鼻戸崎の展望台から勝浦地区を見下ろせば、狭い海岸に張り付くように2列の住宅がならんでいる。

飛島紀行(後編):イメージ4

ああ、哀しいかな。昼前の船で酒田に戻らないと東京にたどり着くことはできない。
明日にはもう東京のオフィスで仕事をしていなければならないのだ。あわただしく荷物を取りまとめると、再び港へ向かった。船にはもうけっこう人が乗っている。5月の初めくらいはバードウォッチャーで賑わい、6月から7月はつり客。そして夏になると海水浴客で賑わうという。シーカヤッカーで賑わう…というのはいつの日にかあるだろうか。(この翌年、とがしスポーツは「飛島横断イベント」を行い、この話しを現実のものとした)
船のエンジン音が一際大きくなったかと思うと、ゆっくりと岸壁を離れた。
港を出てスピードをあげても、ウミネコたちはどこまでも追っかけてくる。そうか、そんなに名残惜しいのか。などと感傷にひたっていると、なんということはない。船員が船尾で餌をバラ撒いているのであった。

(この項 了… 取材日時:1998年5月)

-DATA-

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- 西沢あつし プロフィール -
フリーライター・フォトグラファー。主に日本各地のシーカヤッキングにまつわるいろいろなシーンを撮影・レポートして各誌に寄稿してきた。写真は梅田正明氏に師事。昭和41年生まれ、東京都在住。

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