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西表島西海岸シーカヤック

Mar.28-Apr.5, 1998 ニライカナイ

西表島西海岸シーカヤック:イメージ1

沖縄県西表島は他にない深い山を抱えた島だ。濃く茂るマングローブ林を縫って川を往き、珊瑚の海を漕ぐ。

西表島西海岸シーカヤック:イメージ2

石垣島まで飛び、離島桟橋からフェリーで西表島船浦へ。無料送迎バスで西部の集落祖納に着いた。

西表島西海岸シーカヤック:イメージ3

山の端から朝日が顔を出すと一気に暑くなった。日差しが肌を突き通し骨まで日焼けしそうだ。ようやく舟(フォールディングカヤック)が組み上がったときには全身汗でびっしょりと濡れていた。祖納の浜から鏡のように静かな海に漕ぎ出した。沖で白い波の描くラインがリーフの縁だ。小さな岬をかわすと前方に二つの島が現れた。外離島と内離島だ。最短距離をとって島の間を抜けて行く。海の色がマリンブルーからエメラルドグリーンに変わった。またリーフの中に入ったのだ。ここは珊瑚礁の中、水深も1m 程で沈しても安心だ。島と島の間に入った。外離島から内離島に向かって砂州が延びている。干潮になると二つの島は歩いて渡れるようだ。間を抜けると海の色が再びマリーンブルーになった。ゴリラ岩の下のサバ崎灯台付近を人が歩いているのが見える。大潮を利用して島一周をしようとしている大学の探検部だった。ゴリラ岩を廻った途端風がさらに強く吹き付けてきた。正面には東海大の海洋研究所が間近に見える。最後の人家だ。網取湾の奥に入る。南に山を背負っているはずなのに、その山を越えて強烈に風が吹き下ろしてくる。漕いでも漕いでも進んで行かない。併走する6人組は道のない海岸の岩場を歩いているはずなのに、彼らとカヌーの進みは一緒だ。4kmを一時間半もかかって、干潮でみるみる潮の退く砂地に着いた。

西表島西海岸シーカヤック:イメージ4

4時半起床。まだ真っ暗だ。しかし満潮(AM 08:00)のうちに難所のパイミ崎を、リーフの内を漕いで抜けたい。網取湾は静けさの中にあった。漕ぎだしてすぐラダーケーブルが切れてしまった。修理して漕ぎ出すと今度は反対側。今度こそ大丈夫だと思った瞬間、最初に修理した方がまた壊れた。ラダーなしではパイミ崎を越えるのは無謀だ。潮の満ちてきたリーフの中は安全だが水深が浅い分だけ波の干渉を受けやすく、寄せては退く波に大きく左右に振られ倍の距離を漕ぐことになる。ゆらゆら進む舟にさらに焦る。崎山湾を横断した浜にはテントが二張りあった。一つは地質調査の大学教授、もう一つは秘境の釣りとキャンプを楽しみに来たという川島ちゃんだった。その浜に上陸し、4mmの細引きをケーブル代わりにしてラダーを尚して再々再出航。ここから岬の反対側にある鹿川湾までは断崖が続く。大きな岩をかわすとすぐに波が高くなった。波がリーフの縁に当たり増幅されて押し寄せてくる。急に舟のすぐ脇の海面が盛り上がった。そして舟を持ち上げると、真横から岸に向かってものすごい勢いでさらって行った。バランスを取ろうと夢中でパドルを叩きつけた。それから先は良く覚えていない。やっぱりだめだったかと思いながらスローモーションで海に落ちた。荒波の中で最上艇し浜に戻ると、川島ちゃんが不思議な顔で迎えてくれた。

西表島西海岸シーカヤック:イメージ5

崎山湾最深部、そこは膝までの水の中にマングローブが生い茂っていた。まるで熱帯雨林のジャングルだ。その中を頭から白く長い羽を二本伸ばしたコサギが餌をついばんでいる。あまり警戒した様子がないので、マングローブを縫って静かに後を追ってみた。サギは近づくと歩き出すの繰り返しで、しばらくその追いかけっこを楽しんだ。小さな沢の流れ込んでいる浜に舟を着け歩いて遡上してみる。すぐに濃い木々に覆われ、その下の泥地が掘り起こされている。イノシシだ。本に拠ると昔はかなりイノシシ猟が盛んだったらしい。テン場に引き返しパイミ崎に偵察に行くと潮溜まりはテーブルサンゴ、エダサンゴ、でかいカニがごそごそと駆け回り、トビハゼが跳ね、熱帯魚が泳いでいる。海面はリーフよりさらに低くなっていた。そしてその先の海はパイミ崎からの南風と海流のせいか川のように流れていて、とても舟を出せる状態ではなかった。

西表島西海岸シーカヤック:イメージ6

今日も南風が強い。酒もたばこも切れ、食料も底をついてきた。舟浮に引き返すことにした。漕ぎだしはリーフの中、底を擦らないように進む。崎山湾を横断し岬を回ると東海大研究所が見えてきてほっとした。さらに網取り湾を横断しサバ崎灯台を右に回り込み、舟浮集落の裏の浜に着いた。浜は白く細かい砂が続いていた。定置網が一つ。アダンの木の下にテントを張り、林を抜け一軒しかない店に買い物に行く。家々の前でおばちゃん達が竹の子の皮をむいている。ネマガリタケに似たヤツだ。近くの山で取れるらしい。店の前でもおじぃーとおばぁーが皮ムキをしていた。塩水でシワシワになった札をおばぁーに渡した。深く切れ込んだ湾の口を外離、内離と二つの島でふさがれた海は風も止み、信じられないほど穏やかになった。ニライカナイ、海の彼方の桃源郷。外離島の向こうに夕日が沈んで行った。

西表島西海岸シーカヤック:イメージ7

ジャングルを縫ってクイラ川を遡っていく。濃い緑の木々がタコの足のように何本も水に足を伸ばしている。しばらく進むと突然断崖から水が流れ落ちていた。水落ちの滝だ。オレンジ色の躰に青く羽根の輝くカワセミが目の前を横切った。水に浮かぶマングローブの種を拾いながら、また風にあおられて岸沿いを舟浮に戻った。「風は昼過ぎまでにもっと強くなるから早く行け。転覆していたら拾ってやる。」渡し舟の船長に急かされ白浜へ向かう。防波堤を出た途端に風が吹いてきた。風のない内離島の陰で舟を廻し振り返ると、緑の木々に覆われた小さな岬の下に舟浮はあった。岸壁に沿って小さな家々が並び、学校の白い体育館がひときわ大きく見える。渡し舟がやってきた。パドルを上げて船長に挨拶したが目に入っただろうか。白浜までもうすぐだ。

-DATA-

場所:
沖縄県西表島
交通:
空路で石垣島へ、離島桟橋から船で渡る。船浦、大原と港はふたつ。島内の民宿などの宿泊者に限り港からの無料送迎バス有り。
駐車場:
何処でも可。
トイレ:
観光地以外なし。
名物:
お土産にはマングローブの種、川で拾える。マングローブは汽水域に自生する植物の総称。オヒルギ、メヒルギ、ヤエヤマヒルギなどがある。日本で一番西の「西表温泉」1200円。ダイビング、シュノーケリング、シーカヤックなどのツアー多数あり。

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