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父島シーカヤック一周

Jan.01, 1998 東京都・ガラパゴス

父島シーカヤック一周:イメージ1 父島シーカヤック一周:イメージ2

東京にありながら日本で一番遠い島。空港ができる前に価値ある一漕ぎを。しかし黒潮真っただなかの島。まして冬ともなれば・・・。自分の甘さを思い知らされた。

とにかく遠い。「おがさわら丸」は外洋の荒波に25時間、2等寝台の一人一人に与えられたスペースは幅わずか30cm。眠るしかないのだが、年末の船は混雑して落ち着ける場所はない。ひたすら忍耐、忍耐。

父島シーカヤック一周:イメージ3

1998年元旦。晴れてはいるが風が強く肌寒い。予報では沖合い波の高さは2~3m、風は南の後、北に変わるという。状況は厳しいがとりあえず行けるところまでと二見湾大村港を出発した。大きく切れ込んだ湾内でさえ風の影響で波が高い。しばらくして野羊山の陰に入ると太陽も遮られてよけいに滅入った。波に翻弄され相棒艇を見上げたり見下ろしたりしながら湾の出口までやって来た。いよいよ本当に外海に出る。波は大きいながら規則的になり、湾内よりもむしろ漕ぎやすくなった。山陰を抜けて陽が当たりだしたので気持ちもわずかに明るくなった。これから行くべき方向には南島との間に尖った岩礁がいくつも立ち並んでいる。左手は複雑に浸食された断崖が続き、次の湾の奥には唯一の上陸地小港海岸があるだけだ。その湾を横切り細長く海に突き出た饅頭岬に来た。その名の通り先端は丸い小山になっている。そこで波が立ち上がり海岸に打ち寄せ、サーファーに取っては絶好のポイントだ。岩礁が増え波も舟を激しく揺さぶるようになった。大きな岩と岩の間に呼吸を整えて飛び込もうとしたとき、後から止めようと声が掛かった。ウッソーと思いながらも饅頭岬の陰、ブタ海岸に逃げ込んだ。

父島シーカヤック一周:イメージ4

今日はもうこれまでかと思いながら饅頭岬のてっぺんに登ってみる。とげとげのタコノ木や板根の大木が茂っていた。改めて接した小笠原の自然はやはりガラパゴスのようだった。先ほど抜けられなかった岩礁帯がすぐそこに見えた。しばらく眺めていると行けそうな気がしてきた。ルートも確認できた。あわてて再出航する。岩礁帯はほとんど気合いだけで越えた。手の届くところに島で一番美しいというジョンビーチ、ジニービーチがあったがそれをゆっくり眺めるヒマはなかった。島の南端、南崎を越えると風景が一変した。赤褐色の岩肌の断崖がそびえ、緩やかに弧を描いて円縁湾(まるべりわん)を形作っていた。

父島シーカヤック一周:イメージ5

巽崎を越えて島の東海岸に出るとまた風景が変わる。断崖が幾分なだらかになり木が濃くなった。日陰になるので重苦しくもある。波は規則的でずいぶんやり易くなったが潮が進行を妨げる。巽島の間を抜けると兄島が青く見える。西海岸(何故か島の東側にある)、初寝浦、最悪の場合はここに上陸すればよいと思っていたが、激しく波が砕けとても上陸なんてできない。上陸できても街までは歩いて数時間はかかる。

父島シーカヤック一周:イメージ6

兄島瀬戸に入った途端波が全く無くなった。鏡のような海が向こうの西島まで続いているようだ。やっとホッとできた。このあたりは海中公園に指定されていて海が美しいとされている地区だ。それよりもここからなら逃げ込むことのできる上陸地があるので嬉しい。対岸の兄島は木々が無く禿げた断崖が西陽に照らされていた。瀬戸の出口は川の流れのようになった。しかし流れが我々の進行方向だったので問題なく抜けられた。三日月山を見上げながら最後の岬をかわすと、今朝見たものと同じ景色が飛び込んだ。もう終わりだ。しかしそんなに甘くはなかった。波長の長い今日一番の大波になった。右に左に大きく揺さぶられる。漕いでも漕いでも目の端に白く映るウェザースティションが去って行かない。二見湾の入り口の烏帽子岩の間を抜ければ近道だが、そこは激しく波が砕け通せんぼしている。大きく迂回して二見湾に入ったときは南国の遅い太陽も沈みかけていた。

-DATA-

場所:
東京都小笠原村父島
交通:
晴海埠頭より週一回「おがさわら丸」で25時間、往復45000円。
駐車場:
どこにでも駐車できそうだが、車をもって行けるか不明。レンタルバイク、自転車、タクシーはあるがレンタカーは無い。
トイレ:
観光ポイントに有る。キャンプは全島禁止。今年あたりにキャンプ場ができるという噂有り。
宿泊:
我々は一番格安なホテルシップ(一泊5000円)に泊まった。街は遅くまでうるさく落ち着かないので結果として正解だった。デッキで夜の海を眺めながらビールを飲んだり釣り糸を垂らしたり。都会を引きずる陸よりも情緒を楽しめる。お勧めは島寿司 サワラのづけ(醤油に漬けたもの)にワサビ代わりのカラシでたべる。

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