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« 加計呂麻島、西へ(中編)パドリングレポート:トップページ~第9回 鳥羽-神島トライアル~ »

加計呂麻島、西へ(前編)

Jul. 1996 アイランド・シーカヤッキング

またもや少々古い話で恐縮なのだが、これは96年の7月、奄美シーカヤックマラソンへの参加のために現地を訪れた際、どうせだからもっと漕いでみようと加計呂麻島を西へ向かってツーリングをしたときのものである。おなじみカヌーライフ13号(1997春号)の「パドリングエリアガイド・加計呂麻島北西部」に、加筆したものである。
いまやシーカヤックマラソンも9回目となり、加計呂麻島を漕いだ人は結構な数になると思うし、もう「そんなものをやるために、わざわざ東京からきたのか」なんて言われることもまずないと思うが、この時は何度かそのようなことを言われたことを覚えている。 
奄美シーカヤックマラソンには今年五年ぶりに再訪を果たし、シーカヤッキングワールドの「ダイヤリー」にも一部を掲載したので、せっかくだから、始めてのときのカンドーを含めて、再度ここに書くことにさせていただいた。

もはや国内最初にして最大のシーカヤックイベントとなった「奄美シーカヤックマラソン」。第4回となったこのときには、ニュージーランドからカヌースポーツ社の社長であるグラント=ヒューズ氏を迎え、国際的な大会にしていこうという盛り上がりを見せていた。そして例年なら梅雨も明けて海も空気もべったりの状態なのだが、この年は梅雨明けまさに直後であり、風がまだ強く、しかもレース当日は中潮。かなり荒れた大会となった。しかし、そのおかげで僕と(現)かみさんは、男女混合部門において賞を勝ち取ることができた大会となったのだ。
 
 さて、今回のステージとなった加計呂麻島であるが、(財)日本離島センターが98年に発行したSHIMADASによれば、周囲147.5km、人口 1752人となっているが、来島者はなんと33300人となっている。このうちシーカヤッカーは何人になるのか、とても興味深いところである。
 そしてその加計呂麻島と奄美大島本島の間に横たわる瀬戸内海峡は、地図で見ると東シナ海と太平洋を結ぶ水路のようにも見える。大海が荒れたとき、ここの複雑な海岸線を持つ海峡は絶好の避難ポイントとなるが、またその地形を利用した旧帝国海軍の前線基地のなごりを、随所に目撃することになる。

 今や奄美大島はいろいろなところでクローズアップされ、飛行機も2便になり、時間も若干遅くなり乗りやすい時間帯となったが、この当時はほんとうに朝早くの便であった。危うく乗り遅れそうになったこともある。そして現在もMD81というJASの中でもかなり小型の部類に入る飛行機であることは相変わらずで、前席の人が椅子など倒されようものなら、ヒメイをあげてしまいそうなほど狭い機内は、僕にとってガマンしうるぎりぎりの所要時間である。そのようにして、ようやく奄美大島に降り立ったときには、その暑さとむわっとくる湿度に辟易しながらも、次第にその暑さが、けだるい島時間の感覚へと、その身を陥らせていくことに快感を覚えていくのだ。
 シーカヤックマラソン40kmの長丁場を漕ぐには、とにかくこの暑さと湿気に身体を慣らすことが第一である。

 羽田から奄美大島にかかった時間と同じくらいかけて、バスで瀬戸内町は古仁屋に入る。昼食を食堂で済ませた後、倉庫についていた愛艇「健都号」の梱包を解くと、漁港奥にあるスロープまでえっちらと運んでいった。ハッチに詰め込んだたくさんの荷物を引っ張り出すと、シーカヤッカー御用達、シアトルスポーツのソフトクーラーを肩にかけて買い出しに行く。加計呂麻島へのフェリーが出ている桟橋にあるco-opが目的地。
必要なものはほとんどここで揃うのである。おっと、島すももも忘れてはいけない。これは露天で買った。(後年、台風の塩害によりすももは大きなダメージを受けてしまう。今年、ようやく復活して豊作であったとの報告を受けた)

ようやく準備が出来たのは、もう日が傾きかけていた時分であった。滑りやすいスロープから慎重に乗り込んで、港へと漕ぎ出す。港の中とはいえきっちりと南の海。ちょっと濁ったエメラルドグリーンなのである。ハリセンボンがいっしょうけんめいに胸ビレをばたつかせながら前進していた。
港を出ると、古仁屋を後に西へと針路をとった。最終目的地は江仁屋離だが、今日はとてもそこまで行くことはできないだろう。行ける所まででキャンプの予定だ。
今回の旅は鈴木敏晃氏(現在は長野で木工「芸術家」として精進中)とかみさん。途中まで佐藤氏と漕いでいく。明日の夜からは、奄美シーカヤッククラブの鶴巻氏と平山氏(今回のOutdoorの取材でもたいへんお世話になりました)が迎えに来てくれる手はずとなっていた。
 パドルをそっと水面に入れてひくと、低くなった太陽の光を細かく反射する水面が、その動きに合わせてぐるぐると回った。心地よい風が顔にあたった。

前編 了

- 西沢あつし プロフィール -
フリーライター・フォトグラファー。主に日本各地のシーカヤッキングにまつわるいろいろなシーンを撮影・レポートして各誌に寄稿してきた。写真は梅田正明氏に師事。昭和41年生まれ、東京都在住。

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