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伊豆三島スーパースパカヤッキング(後編)

Aug. 1995 アイランド・シーカヤッキング

今日はいよいよ最後の島、新島に渡る。

伊豆三島スーパースパカヤッキング(後編):イメージ1

キャンプでは案の定うだる暑さで目を覚ました。鈴木夫妻は帰途に着く。今日は佐藤氏と、そして独断専行した一名に厳しく注意をして三名で渡ることになる。式根島はもとはと言えば新島とつながっていたのだ。それが1703年に大地震と津波により、平地が海に没した。よって式根島、新島の間の海は浅く、潮が流れている間は機走可能なヨットでさえ渡らないと聞いた。昨日大浦に来るまでに見たそれはまるで川のようであった。やはり潮どまりを狙う。漕行を二時間と予測、十時三十分に出発した。最初、野生のカニクイサルやヤギが住むという地内島という無人島に渡ろうともくろむが、湾から出たとたん、すさまじい西風がぶちあたってきた。不規則なウネリにもちあげられ、底にすべり落とされる。地内島に渡るのは早々にあきらめ、島の陰に回りこんで新島との最短コースを選ぶ。多少苦労はしたものの、大過なく新島に近づいた。鼻戸崎が強い西風にふかれて、岩肌が白くけぶっている。青い海に白い島。エーゲ海とでも表現すればいいだろうか。北上するとそこにはパルテノン神殿が?と、それは神殿を模した湯の浜海岸露天温泉であった。

いくつもの顔がこちらを見ているようだ。近づこうと思ったが、岸沿いはかなり荒れており、あきらめた方がよさそうだ。するといきなりパドルが重くなり、艇速が鈍る。潮の流れが複雑に絡んでいるようだ。やっとのことで堤防をまわりこむと、そこはエメラルドグリーンとマリンブルーと白い砂浜が。どうだ美しいだろう!と我々を待ち構えていた。美しい美しいと納得しつつ、十二時三十分にゴール。なぜだか水はとても冷たく感じ、海の中を覗いてみても魚は見当たらなかった。美しさのみが売りなのか。

本日は民宿に泊まることにする。艇を引き上げ、帰りの便にカヌーを積み込む予約をしようと汽船の窓口に佐藤氏が向かった。こういうところでは船が来る時刻以外、窓口は閉じられているようなので、まあゆっくりと待つことにした。

伊豆三島スーパースパカヤッキング(後編):イメージ2

ようやく開いた窓口のお姉さんに、カヤックのことを話した佐藤氏はこう言われた。「そんなものは載せられないし、載せたこともありません」おいおい、俺たちはどうやってきたんだよ。「しかし、来るときに載せてきたんですよ」「(何もいえないお姉さん)」ちゃんと調べてから話して欲しいね。そして、裏の空き地の隅にカヤックを一晩置いて欲しいと話すと「そんなもの置かれても責任もてませんから!」とかなりヒステリックに言われた。別に責任持ってくれなんていっていないし、置けないのであればその旨を話してくれば済むことだ。とりあえず置けることになったのだが、あとでどうやって調べたのか宿のほうにも「責任もてませんから」という電話が入ってきたそうである。なんだかがっくりきてしまった。(95年当時の話。今は少しは変わっているだろうか)

港のみやげ物屋で「オススメ民宿」をきく。教えてくれた宿に電話すると、もうシーズンも終わりなのだろう。あっさりと予約OKだ。

さて、そしてやはり最終目的の温泉に行く。その名もパルテノン湯の浜海岸露天温泉である。無料の上、日曜とあって観光客でいっぱい。観光バスまで横付けされている。あるオバさんが(水着着用の混浴なのだ)「そう、カヌーできたのー。でも見えるもんねー。楽よねー」と言ってくれる。はいはい。見えますね。

ここはあまりにも人工的で観光的で好きになれなかった。24時間営業とのことなので、よなかに一人で入ったらそれなりに面白いかもしれないけど。とりあえずこれで目的は達成した。明日にはもう帰路に着く。

伊豆三島スーパースパカヤッキング(後編):イメージ3

その夜、あまりに「責任もたん」とうるさかったので、散歩がてら港まで歩いて見ることにした。その帰り偶然、宿の主が車で通りかかったので乗せてもらった。齢60を超えていると言うがとてもそうは見えない。今は大工をしているが、50年は海に潜り、魚をついてきたと言う。ゴマシオ頭に少々太った体格だが、鍛え上げられていることは一目でわかる。「俺も夜中に海が荒れるとヨオ、よく船を見に行ったもんだ。お前も本当に海が好きなんだな」海が荒れたから、ではないのだが、僕は少し照れた。ある違う港で、漁師さんに「そんな小船でよく海に出る気になるな。俺は漁以外で海になんか出たくねえよ」と言っていたことを思い出す。そのことを話すと、「そいつはホンモノの漁師じゃねえよ」とはき捨てるように言った。「漁師はな、海が好きなんだ。いつでも、どんなときでもヨ。俺ももう少し若ければカヌーってやつにも乗って見てえな」と言う。年なんて関係ないと話した。「利島もそいつで行けるのか」いつかは漕いでわたってみたい。それは今(2001年)もそう思い続けている。

翌日、もう風が強くなり秋がそこまできている新島をあとにした。

- 西沢あつし プロフィール -
フリーライター・フォトグラファー。主に日本各地のシーカヤッキングにまつわるいろいろなシーンを撮影・レポートして各誌に寄稿してきた。写真は梅田正明氏に師事。昭和41年生まれ、東京都在住。

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