May 28, 2005
「118」と「ch16」。
■【予報】
[地上気象] (モトゥエカ)
晴れ、ときどきにわか雨。南西風次第におさまる。(高)17度、(低)6度。
[海洋気象] (エイベル)
【暴風警報】北西15ノット、セパレーションポイントより北では午前中に25ノットに上がり、夜には南部で25ノット、北部で35ノットに上がる。北部の海況は非常に荒くなる。
向こう三日間:北西20~30ノット、月曜南西10~20ノットに変わり、火曜北西5~15ノットに。海況は月曜日に落ち着く。
[潮汐表] (ネルソン)
High 12:29 AM 4.1 m Low 06:31 AM 0.8 m
High 01:00 PM 3.8 m Low 07:08 PM 0.9 m

© Copyright Meteorological Service of NZ Ltd
■朝から雨は上がってて晴れ。昼をすぎても、地上レヴェルはおろか、上空でも北西の強風の気配はない。おそらく今日はツアー運行しなかった(というかブッキングを受け付けなかった)のだろうが、結果的には運行できた天候だな。
僕自身はまだ身体に疲れが残ってて、節々が痛い。冬は血行が悪くなるせいか、回復も遅いぞ……。愛娘の怪我が、一週間で劇的に回復しているのとは好対照。よる年波には勝てんなぁ。
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■西表の事故から二ヶ月以上が経過した。あの件の後、僕も主にマリンVHFラジオやEPIRBなどの緊急信号発信装置の法的側面などを中心に調べ、出来れば解禁の運動に繋げようといろいろやってきてみたが、なかなか難しい。八方ふさがりの感が強い。
■マリンVHFラジオに関しては、それでもかなりの情報が寄せられた。ご協力くださった方には、心より感謝を申しあげます。
ただ、そうして寄せられる情報に目を通しているうちにどうも気になってきたのが、「118コール過信」の風潮。
確かに日本の海は携帯電話のカヴァー範囲が広いようだ(会社によって差はあるようだが)。よって遭難時にも118コールで事は足りるだろうし、海上保安庁もマリンVHFラジオの普及よりも、むしろ携帯電話での118コールを強く推奨しているように感じた。
そのこと自体には問題はない。しかし、日本のシーカヤッカー、あるいは海保関係者の中に、
「日本には118コールがあるのだから、シーカヤッカーがマリンVHFラジオを持つ必要はない!」
と断言する人が少なくないことには、いささか驚いたし、不安を感じた。
■この意見は、あまりに短絡的すぎる。携帯電話とマリンVHFラジオは、丸っきり仕組みの違うコミュニケーションツールである。
言うまでもないが、携帯電話は一対一のコミュニケーションしか出来ないし、相手の電話番号をコールし、なおかつ相手が電話と取ってくれないとメッセージを発信することさえ出来ない。
だがマリンVHFラジオはそうではない。ほとんどの方はマリンVHFラジオをご存じないだろうが、要するにタクシー無線と同じようなものである。つまり、喋るときは送信機のPTTボタンを押すだけ。ダイヤルする必要もなければ、相手が受話器を上げるのを待つ必要もない。そしてそのコールは、同じ周波数にあわせているラジオすべてから聞こえてくる。
簡単に言えば、緊急時にはボタンを押して「メイデイ・メイデイ・メイデイ! 助けてくれ!」と叫ぶだけで、誰かがそれを聞いてくれているというわけである。携帯電話で118をプレスして呼び出しを待つよりも格段に早い。しかも、聞いてくれている人間の数もまったく違うのだ。
118も、電波が届く範囲にいるならば、確かに海上保安庁に救助要請が出来るので問題ないという人もいるだろう。が、海保は救急車ではない。10分で飛んできてくれるわけではないのだ。一時間、二時間漂流しながら救援を待たねばならないなんてのは、当たり前の話である。
しかし、マリンVHFラジオのch16をオンにしている船舶は、すぐ側にいるかもしれないのである。つまり118なら救援到着に二時間かかるところが、マリンVHFラジオならば10分ですむかもしれない可能性があるのだ。
こんな単純で基本的なことさえキチンとした認識が浸透していない日本のシーカヤック界には、いまさらながら大きな不安を覚えている。
よって、僕はあくまでも「日本でもシーカヤッカーにマリンVHFラジオを解禁すべし」という意見である。
■ちなみに118コールを受けた海上保安庁が、付近の船舶に向けてch16で「メイデイ・リレー」(救助要請信号があったことを中継すること)してくれるのかどうかが、僕の目下の疑問点。今メールで海保に問い合わせているところなので、回答が得られれば、またすぐにこちらでも報告する。
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■安全装備はすべて解禁すべきだと思う方は
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といいつつ、自分自身ここんところずっと順位を確認しに行っていないので、今どうなってるのやら良く知らなかったりする(^^;
http://www.gofield.com/openair/mt/mt-tb.cgi/2129
Excerpt: ■【予報】 [地上気象] (モトゥエカ) 晴れのち曇り。南西の突風。(高)14度、(低)5度。 [海洋気象] (エイベル) 【暴風警報】南西10ノットただしセパレーションポイントより北では...
From: Ryu's Logbook ニュージーランド在住シーカヤックガイドのlogbook(=航海日誌)
Date: 2005.06.02
Excerpt: ■【予報】 [地上気象] (モトゥエカ) 晴れ。南西風次第に落ち着く。(高)14度、(低)2度。 [海洋気象] (エイベル) 【暴風警報】南西35ノット、昼前に20ノットに落ちる。非常に荒い...
From: Ryu's Logbook ニュージーランド在住シーカヤックガイドのlogbook(=航海日誌)
Date: 2005.06.30
Excerpt: ■昨日、マリンVHFラジオを買ってきた。もちろん、日本で仕事するときのため。普段は会社のヤツ使ってるから、個人的に所有する必要はなかった。 普段仕事で使っているモデルな...
From: Ryu's Logbook 別冊
Date: 2005.08.04
海上保安庁のみなさんをお招きしてシーカヤックの1デイ・エクスカーションを催行するというのはどうでしょう?
「わざと」洋上で沈してもらって、その状態でケータイがいかほど役に立つものか体験していただくのがよろしいかと?
Posted by: waka moana : June 1, 2005 10:37 AMあ、なるほど!
今までは海保オフィサーを講師としてお招きするというイヴェントやアイディアはあったのですが、彼らをパドラーとして招いて沈してもらう、というアイディアは、なかったです。
なるほど、名案ですね!
ありがとうございます。
Posted by: Ryu : June 1, 2005 11:22 AM「118」もしくは無線問題の切り札となるか?
毎日新聞2005年6月2日
衛星携帯電話:
「イリジウム」サービス、5年ぶり復活
KDDIネットワーク&ソリューションズは1日、衛星携帯電話「イリジウム」のサービスを始めた。国内では5年ぶりの復活で、災害現場などでの利用が見込まれる。
イリジウムは衛星を使うことから地球全体をカバーでき、通常の携帯電話がつながらない海上や山中などでも通信できる。かつてDDI(現KDDI)子会社の日本イリジウム社がサービスを提供していたが、利用が増えず00年3月に停止していた。自然災害が相次いだ昨年、イリジウムサービスを望む声が出たことから、需要が見込めるとして復活させることにした。
端末価格は24万1500円、基本料金は月6000円。通信料金は、加入電話・携帯電話あてやデータ通信が1分165円、他のイリジウム端末あてが同105円。レンタルもできる。【位川一郎】
KDDIネットワーク&ソリューションズ
http://www.kddi-nsl.com/
Posted by: Miya : June 3, 2005 03:22 PM
イリジウム復活の話は聞いてましたが、ついに復活したんですね。
端末も利用料金も高いが、レンタルも出来るというのがありがたい。
あるいは、クラブ単位での購入という形もありか。
ちなみに一週間が経過しましたが、118コールを付近海域へメイデイ・リレーしてもらえるかどうかの問い合わせに関しては、海保から何の返事もありません。
お忙しいのでしょうが、民間企業なら「お問い合わせの件、もう少々待ってください」くらいのメール一本入っててもおかしくないタイミングっすね。
う~ん。
多分、海上保安庁のすべての管区に個別に同じ質問を出したほうが良いのかもしれません。なかには質問に答えてくれる真摯な担当者の居られる所もあるでしょうから。
ですね。
shitsumon@kaiho.mlit.go.jp
consult@jodc.go.jp
の二箇所に送ったのですが、全国に片っ端から質問すべきかもしれません。
時間出来たらやってみます。
JRCA理事でもある新谷暁生さんは、あまり無線機やGPSがお好きではないようです。
「海を漕ぐのに届け入らない.危険を理解してそれを避けながら漕ぐことがカヤックの最も重要な技術なのであり、誰かの許可を得て漕ごうが無線機を持っていようが、それが身を守ってくれるわけではない.自分の知恵を絞って漕ぐことにカヤックの意味があるのだ.僕は海のカヤックをスポーツと考えている.だから安易にGPSを使うことはしない.また緊急時に助けを求めるために無線機も、レギュレーションでそれが義務付けされている国を除き持たない.道具で安全は手に入らないということを理解した上で、これらの道具を使うか否かを自分で決めるべきなのだ.」
http://www.umiyamakawa.com/aleutheaven/2004/12/index.html
Posted by: waka moana : June 28, 2005 04:04 PM面白い情報ありがとうございます。
この本、僕は読んでいないので、ここに引用された文の前後関係を知りません。
ですから、この一文がどういうシチュエーションのカヤッキングについて述べたものかよく分からないのですが、もしこれが「一般論」だとすれば、日本のヴェテランにありがちな「アクティヴ・セイフティ偏重、パッシヴ・セイフティ軽視」だと思います。
ただし、エクスペディション・カヤッキングに関しては、そういうコミュニケーションツールに頼らず冒険を成功させようというコンセプトの元に挑戦するというスタイルは、もちろん「あり」だと思いますので、他人がとやかく批判することではないと思いますが。
Posted by: Ryu : June 28, 2005 04:32 PM 実は夏休みに知床に行ってみることにしたのですが、藤崎さんのNPO SHINRAのガイドツアーにシーカヤッキングというのがあったので、おお、知床でシーカヤックに乗れるのか? とウェブをうろついていたら、かように厳しいご意見が「カヤックと知床国立公園」というタイトルであったので、ビビってしまったのです。ははは。怖いよ〜。
個人的には自分や家族の生命を危険にさらしたくないので、可能な限りの安全策は用意して欲しいですし、それで料金があがると言われても黙ってカネを出すつもりです。ですが、新谷さんの修行僧のようなカヤッキングが知床のデフォルトだとしたら、我が家に知床のカヤッキングは無理でしょうね(笑)。
「知床はカヤッカーにとっては修練の場だ。だから条件が悪ければ悪いほど、僕は幸運だと思っている。僕は60回以上のツアーをしてきた。ツアーが面白いかどうかは、その時のメンバーに左右される。感動できる人には、どんな時でもツアーは楽しい。他と比較したがる人には、知床はつまらないだろう。知床は、記録を求める人にはただの海だ。」
http://www.umiyamakawa.com/aleutheaven/cat47293/index.html
新谷さんの知床観では、カヤッカーは漁師でもツーリストでも無いらしく、知床にツーリズムが入ってくる事はあまり歓迎しないけれどもカヤッキングは続けたい。だから漁師たちの迷惑にならないルールを作ろうという立場のようですから、我が家のような根性無しのツーリストには敷居が高いんでしょう。そういう新谷さん自身が知床一周ガイドツアーをやっているのは、今ひとつ理解に苦しみますけれどもね・・・・・。
Posted by: waka moana : June 28, 2005 04:49 PMなるほど、なるほど。
その素晴らしいお人柄をしたうファンが非常に多い新谷さんは、独特のポリシーを持った方とお聞きしてます。
僕自身は氏とお会いしたことがないので、彼の「シーカヤック・ツアー・ガイディング」に対する明確なポリシーは、よく分からないというのが正直なところです。
ただ、プロを名乗るからには、
「ツアーが面白いかどうかは、その時のメンバーに左右される」
という言葉は、出来るなら口にして欲しくない、という気持ちはあります。
確かに、それは事実ではあるのですが、でもお金を払う側のお客様にすれば、良いツアーにあたるか、面白くないツアーにあたるかは、たまたま一緒になるメンツ次第、って言われてることと同じで、これは大変にお客様をバカにした台詞に思えてなりません。
僕自身も、本音では新谷さんのおっしゃることを事実と認めつつも、
「どんなお客様がいらっしゃって、最高のツアーをやる」
と公言します。
それが、お金をいただいているプロの責任だと感じているからです。
ま、新谷さんは、僕とは違った「プロの責任」論をお持ちなんでしょうが。
ともかく、新谷さんは、一度ゆっくりとお話してみたい方の一人です。
新谷さんの厳しいシーカヤッキング哲学を拝読して思ったのですが、なんと言いましょうか、少なくとも日本ではツーリズムとワークの間に、もう一つの世界があるのかもしれません。
トレッカーとマタギの間に「山岳部」がいるように、きっと我が家と漁師の間にも「漕艇部」がいるのでしょう。そして、山岳部や漕艇部が文化系ツーリストに向ける眼差しには微妙なものがあると思います。
「さだっちょん」さんのブログにもあるように新谷さんは知床のシーカヤッキングに歴史的な貢献をされている、文句無しに偉大な方であるということは十二分に理解する私ですが、我が家のように体育会文化との相性が非常に悪いツーリストを相手にする、しかし命を預けるに足るアウトフィッターがどこかに存在していて欲しいとも感じます。
ニュージーランドにも体育会系アウトドアマン文化と文化系専門観光業者の対立みたいなものがあるのでしょうか?
Posted by: waka moana : June 28, 2005 05:25 PMトレッカーとマタギの間に「山岳部」というのは、非常に分かりやすいですね。
慧眼、いつもながら感心して拝読しました。
確かにシーカヤックにも、その嫌いはあるようですし、特に日本では「体育会系」と「文科系」の間には、深い溝があるように思います。
僕が日本のシーカヤック業界を見たときに最初に感じたのも、同じようなことです。
ですから、NZのような「文科系にもまったくの門外漢にも優しいガイドツアー」を導入する必然性を強く感じました。
いま、増えてきてますよ。
ただ、だからといって新谷さんのようなスタイルも残っていただかなくては、また困り者です。
NZには、新谷さんのようなストイックなスタイルのアウトフィッターは、おそらくありません。
そういう意味で、日本の方がもっと幅広いツーリズムが定着できる可能性を秘めてますね。
> ニュージーランドにも体育会系アウトドアマン文化と文化系専門観光業者の対立みたいなものがあるのでしょうか?
ひょっとしたら、アマチュアアウトドアズマンの中に、軟弱な文科系をバカにする風潮はなきにしもあらず、なのかもしれませんが、日本ほどではないと思います。
「他人は他人、自分は自分」という考え方が徹底していますし、アマはプロの仕事の意義やその実力を理解していますから。
ですから、表立っての対立の話は、聞いたことがありません。
なるほど。たしかにそういった意味では日本の方がツーリズムの幅は広いですよね。
あくまでも勝手な推測ですが、新谷さんは、言ってみれば「頑固だけど腕は超一流の、伝説の先輩」みたいな存在なのかもしれませんね。部活動というのは年齢階梯が基本にあって、そこに活動の実績が加味されて個々の人間の威信が形成されますから、軽音楽部ならば、同じくらいの腕なら先輩の方が偉く、同じ学年なら上手い奴のほうが偉い。私が所属していたのはそういう所でした。だから一番偉いのは、プロとして長年のキャリアを積んだOBということになります。
山岳部や探検部系のアウトドアマンのみなさんの書き物を拝見しておりますと、彼らのコミュニティ内での威信のあり方は、上に書いたようなシステムにとても近いと思うのです。個々の人間は消費者というよりも、むしろコミュニティの一員であり、コミュニティ内の威信はキャリアの長さ、技芸の巧拙、エクスペディションの実績によって決定され、コミュニティの成員はそのような威信階梯を受け入れなければならない。
だから、若造や部外者が先輩を批判する事はコミュニティ全体への挑戦と受け止められる。私は新谷さんの文章にいくつかの論理的矛盾(認識論・存在論上の錯誤)を発見しまし、論旨がフラフラと定まらないままに書き進められた下手な文章だなとも思いましたが、それを表だって指摘する声はネット上にはなく、「さすがは俺たちの偉大な先輩だ」というような声ばかりでした。私は「あの先輩、本当はたまに変なミスするよな」「あの先輩、みんなは上手いって言うけど、下手だよな」と思っていても危なくて口に出せなかった軽音楽部を思い出しました。
新谷さんの知床ガイドツアーが「機材レンタル無し」で「修練の場」とされているのも、「伝説のOBに稽古をつけていただける合宿」として解釈すれば、非常にわかりやすいわけです。また、新谷さんが素晴らしい人柄で多くの方に慕われているという事実も、「怖いけれども面倒見が良くて腕の方は超一流の先輩」と、それを慕う後輩たちと見ることが出来るでしょう。
あくまでも推測ですけどね。
しかし、こういった人間関係のあり方は、ツーリズム産業とはあまり相性がよろしくないと思います。ツーリズム産業はカネを媒介として「その場限り」「対等」の取引を行うわけですから。客は「先輩」なんか求めていないし、上下関係も求めていない。新谷さんが、存在論上は自らもツーリズム産業の一員でありながら、ツーリズム産業の人々に冷ややかな眼差しを向けるのも、人間関係のありようが全く異なる文化に属しているからかもしれません。
(以上、事実と違っていたら申し訳ないです)。
Posted by: waka moana : June 29, 2005 12:21 PMここにレスを書こうと思ったのですが、面白い展開ゆえに長くなりそうなので、明日のエントリで本格的に書くことにしました。
もう少々お待ちをm(..)m

