November 18, 2004
アウトドア料理本に物申す。
■ 【予報】
[地上気象] (モトゥエカ)
概ね晴れ。所により午後ににわか雨。シーブリーズ。最高気温20度、最低気温9度。
[海洋気象] (エイベル)
セパレーションポイントより北:西15ノット。
その他のエリア:南西10ノット、午後に北に変わる。
海況は穏やか。
[潮汐表] (ネルソン)
High 02:26am 3.7m Low 08:34am 1.0m
High 02:47pm 3.9m Low 09:03pm 1.1m

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■ ようやく天候が落ち着いてきた。夏や秋のように、雲ひとつない快晴とはいかないが、風も落ちて、海もこれなら快適に漕げるだろう。
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■ まだまだ続くトレーニング期間。
本日は今月4日に受講してきたマリンVHFラジオ講習の試験日。業務終了後、会社で夕方7時、8時の二回行われる。僕は7時の回を受けに行って、落ちたらすぐ8時の回に再挑戦するとするか(笑)
なぁ~んてことを書いてるところに、ちょうどマネージャから電話がかかってきて、「一回こっきり」と念を押された(^^; クソ、なんでバレたんだ。
きっと皆さんがこれを読んでらっしゃる頃に、頭抱えて筆記やったり、模擬で、
「Mayday, Mayday, Mayday, this is ATA mobile #1」
なんてやってることだろうと思うので、「落ちろ、落ちろ」「キャァ~、Ryuさまぁ~、がんばってぇ~!」と念を送っておいてください(ただし女性に限る)。
■ ちなみに先週土曜日には、トレッキングガイド歴25年の「エイベル・タズマンの伝説のガイド」と呼ばれる老(?)ガイドについて国立公園内を歩き、インタープリテーションのトレーニングを受ける予定だったのだが、僕はご存知の通り膝の故障で参加できなかった。
残念に思っていたのだが、翌日たまたま彼に町で出会ったので話を聞くと、土曜日はカヤックの方にブッキングが入りすぎてガイドが皆駆り出されてしまったので(僕が休んでいたせいもあるよなぁ)、結局そのトレーニグは催行できなかったのだとか。
ラッキー! これで僕も延期になったそのトレーニングを受けられる可能性が出てきたぞ。
と書いていたら、またマネージャから電話があって(超能力でもついたか?>トム)、次回のスケジュールが立ったとのことで、僕もその日はカヤックのルーティンから外れてトレーニングを受けられるとか。やったね。
そして、同じ日の晩には、別のカスタマーケアのトレーニング。カスタマーケアのトレーニングはもう3年くらい受けてなかったから、久しぶりだなぁ(^^)
こういう充実したトレーニングを受けられることを考えると、やっぱりこの会社で働き続けるか、なんて考えてしまう。他社に行くと、インタープリテーションやカスタマーケアどころか、レスキュー・トレーニングさえやらないもんなぁ。
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■ ビールの季節到来。
家人がビール造りを再開した。冬の間は温度が低くてうまく醗酵が進まないのでお休み。季節モノなのである。
というわけで、いよいよビールの季節到来なのだ!
数日前に樽の中での一時醗酵が終わり、ボトリング完了。これから琥珀の水はボトルのなかで二、三週間の眠り(二次醗酵)につく。この夏第一弾の完成は、12月に入る頃だろうか。
ウッホホォ~イ、楽しみじゃぁ。ニュージーランドのビールは市販品もすんごく美味いんだけど(って書くと、またにっし~がコメント書いてくれるだろうな)、家人の手造りビールには到底敵わんのだよ。
呑みたいですか? よろしい、ご馳走しますから、いらして下さい。ただし、手造りビールは賞味期限が短いので、お早めに。お土産には、日本の美味い焼酎でも持ってきてくださいな。
ちなみに10月5日でお話した通り、日本酒も仕込んでくれたのだが、これは三週間くらい前に飲み頃になり、昨日話題にしたT君らと10月20日に呑んだときも、こいつが大人気だった。
自家製の酒って、なんとも良いものですぞ。日本では酒税法に引っかかるので「ぜひおやりなさい」とは言えないんだけど、いや、やっぱり良いものですぞ、うん。
■ ところでボトリングを終えた後、いつも樽の底に少しだけビールが残る。死んだ酵母がドロッと底に堆積してて、その上にちょっとだけ液体が残ってしまうのだが、こいつは粉っぽくて呑めたシロモノじゃない。今までは捨ててたんだけど、でもやっぱりもったいない。
ところが僕が最近眺めてた、昔々日本で買ったアウトドア料理の本の中にビールブレッドなるダッチオーヴン料理があったので、残りビール再利用のために、家人がそれを試した。
ところがねぇ、レシピ通りではちゃんと醗酵しないんだよね。酵母が生きてる手作りビールでこれだから、酵母を殺してしまっている市販品のビールで作ったらどんなことになるんだろ?
いや、そもそも酵母の入っていない市販ビールで作るのを前提にしてあるくせに、「醗酵」なんていう言葉を使ってあるところが大間違いじゃん。ビールやサイダーやベーキングパウダーで膨らませるのは、醗酵じゃなくて単なる発泡だろうに。
出来上がったビールブレッド、味は決して悪くなかったものの、全然膨らんでなくてポンデケージョのような歯ざわり。これはこれで美味しいのだけど、でもやっぱり本来のビールブレッドではないので、「こんな作り方じゃダメぢゃん!」と家人は憤慨。
う~ん、日本の市販ビールで作ったらどうなるんだろ? ちょっと怖いもの見たさで興味あり。
で、翌日、家人は彼女自身のアイディアでレシピを改良し、見事にビールブレッドを醗酵させてフワフワのパンを焼いた。さすが。
でも5時間かかったとか。本には市販ビールで1時間と書いてあったが、ホンマか? 日本の市販ビールって、そんなに発泡力強いのか?? まぁ、日本の場合は夏を想定してるのだろうから、気候差も大きいので、この辺はちょっと強気で突っ込むわけにはいかんけど。
■ その隣に書いてあるスコーンのレシピは、普段からスコーンを作り慣れてる家人、見ただけで、
「あ、このレシピもだめぇ。これは家庭用のレシピで、全然アウトドア向きじゃないよぉ」
と看破。
その他同書には、僕が見ても「こらアカンやろなぁ」と思われるようなレシピ満載。紹介に値しない本だ。
■ 思うにこの手の「アウトドア料理」の本って、料理研究家とかの「プロ」が書いてるんじゃなくて、おそらく料理自慢のアウトドアズマンが書いてるんだろうね。
実際紙面を改めて検分すると、アウトドアのヴェテランと称する人間が自慢のレシピを披露しているページの多いこと!
でもねぇ、彼らって料理に関してはアマチュアなわけだ。つまり、所詮ヴェテラン・アウトドアズマンとか称する連中の、鼻持ちならないウンチク料理に過ぎないわけじゃん?
んなモン、高い値段で売るんじゃねぇよ!
これって、読者とプロの料理人をなめきった所業だと思うのは、僕だけだろうか?
いくら「アウトドア料理」といえども、料理本には違いない。ならば、アウトドアズマンなんぞに書かせないで、料理のプロに書かせるべきだろう。
一流のプロならば、アウトドア料理などしたことなくたって、「道具はこう、持っていける材料はこの程度、風が吹く可能性あり」などと野外特有の制約を提示すれば、それに応じてレシピをアレンジするはずだ。
■ 確かにアマにも、プロそこのけの腕をふるう料理上手はたくさんいる。
でも、プロとアマでは、所詮引き出しの数が桁違い。
同じスコーンっつったって、アマが持ってるレシピはせいぜい一つか二つだろうが、プロはその何倍もの作り方を引き出しに入れてて、その状況に応じて使い分けるはず。
例によって脱線するけど、僕らシーカヤックのプロだって同じ。
レスキューを「ヨーイドン!」で競争したら、僕より速い腕っこきのアマ・シーカヤッカーが日本にも何人かいらっしゃるかもしれない。いや、いても当然だと思う。
ところが引き出しの数なら負けない。
対シングルのレスキューでも、僕は5種類やそこらのヴァリエーションを即座にデモンストレーションできるし、本番でも状況に一番適切なものを的確にチョイスできる(言うまでもないだろうが、対タンデムとなると、もっとヴァリエーションが増える)。
また、レスキュー中に不測の事態が起きて状況が変わってきたとしても、すぐに別のレスキュー法に移行してレスキューを続行することも出来る。
アマにこんな芸当をやれといったって出来るはずはないし、やれと言う方がムチャというものだろう。
料理だって事情は同じはずだ。アウトドア料理ってのは、不測の事態が起きやすい。だからアマのレシピでは柔軟性が低すぎて、状況変化に対応できないということもよく起こるはず。
■ プロとアマの違いといえば、料理の場合は「レシピの再現性の高さ」も見逃せない。
往々にしてアマのレシピっていうのは、教わった通りに作っても同じ味が再現できないことがある。
ところがプロのレシピは、誰が作っても上手に出来るものが多い。特にジャパンだと小林カツ代さん、ニュージーランドだとアリソン・ホルスト女史なんかの再現性の高さは、プロ中のプロの仕事。
もちろん二流研究家のレシピには、再現性の低いものも少なくなく、料理の世界にも似非プロが少なくないことは伺えるのだが、まぁ今日のところはこっちには脱線しないでおこう。
で、今回のビールブレッドのレシピだが、ビールだけでちゃんと膨らまなかったら、イーストも加えろなどと書いてある。
あのなぁ、パン種だぞ。塩味が足りなかったら後から塩を加えろってのとはワケが違うだろが。そんな再現性が低くてリスキーな料理、アウトドアでやらせて良いと思ってんのか? 読者なめるのもたいがいにしろって。
■ だからアマのレシピばっかりで料理本を作るなんて、言語道断だと思うのだが、いかがだろう?
ウェブ上で無料公開していただけるのならば、アマのレシピだって大歓迎だ。でも、金払って買ったレシピ本がアマのレシピばっかりだと、怒髪天をツクツクホウシだぞ。
(なんか最近ギャグの切れが悪いなぁ。怪我のせいか?)
もちろん、シェルパ斉藤氏がやってらっしゃるような、軽くて携帯性の良い食材だけを使い、少ない水+少ない燃料+ワン・コッヘル+ワン・バーナーで短時間に仕上げるようなバックパッカーズ料理の場合は、普通の料理研究家やシェフでは勝手が違いすぎてお手上げ、なんてこともあるだろう。そういうのをアウトドアズマンが書くのならば、僕も納得できる。
(っつうか、僕にとっての「アウトドア料理」って言えば、こういうスタイルのことなんだけどね)
あるいは、例えば「開高健の野外料理」だとか「野田知佑のクックブック」などというような有名人の名を冠した「ブランド本」だったら、読者も料理のレシピ以外の部分にも価値を見出して買うわけだから、いくら料理がアマでも許されると思う。
「わかなのダッチオーブン料理天国365日レシピ」が書籍化されたら、冗談本の一種のつもりできっと僕も買うだろう。
でも、今回の本なんかは(というか、昨今の「アウトドア料理」と称する本のほとんどは)、基本的にはツーバーナーやらダッチオーヴンやらテーブルやらを持ち込むオートキャンプが前提のスタイルで、こうなると家庭料理とほとんど変わりはない。
ならば、料理の素人であるアウトドアズマンには単なる監修だけさせておき、レシピはプロの料理人に作らせるというのが筋だ。
(この本も、監修には高名なアウトドアズマンをせっかく起用しているのにねぇ、その後の詰めが甘いねぇ。)
■ あとね、レシピがプロによるものかアマの手になるものかを無視したとしても、そもそも成功率の低いレシピ、燃料を使いすぎるレシピ、時間がかかりすぎるレシピが多すぎ。
なんで数時間醗酵させたり、スモークしたり、漬け込んだりっていうような料理ばっかり載せるかねぇ?
そういう料理をあえて野外でやりたがる人が多いのは分かる。ニーズがあればそういうレシピを売るというのも分からないではない。
でもねぇ、読者がキャンプに行って、数時間漬け込んで数時間スモークしたものの、それが再現性の低いレシピだったもんで、失敗したとしたらどうだろう? 失敗したら、食い物がなくなるんだぞ! アウトドアで食い物がないミジメさ、分かってるのか?>編集部
そもそも、アウトドア料理なんて勝手が違うので、失敗しやすいというのに。
そういうことまで考えて編集してるのだろうか? これを考慮すれば、自ずとこうしたリスクの大きな料理の数は減り、「誰がやっても短時間に美味しく失敗なく作れるレシピ」が中心になるはずだし、リスキーな大物料理を紹介する場合は、ことさら失敗を防ぐための「フェールセーフ」に気をつかわざるをないはずなのだが、紙面を見るとその辺のことはなぁ~んにも考えていないような本が少なくない。っつうか、ちゃんと気をつかっていると思われる本がほとんどない。
■ ってなわけで、僕は最近は「アウトドア料理」の類の本は一切買わない。
料理のレシピを仕入れるならば、やっぱりちゃんとした料理本、料理雑誌を見る方が良い。普通の料理本の中から、アウトドアに応用できるものを見つけ、あるいはアウトドア用に自分でアレンジする方が、よっぽど楽しいし、美味いものが出来るに決まってるって。
そのときも、高名なシェフのレシピは極力避ける。こういうのは、やっぱりプロ用の厨房でたっぷり時間をかけて作る「売り物用料理」の作り方が多いので、アウトドアには向かない。リスキー過ぎ。
それより、家庭料理を意識した料理研究家のレシピの方が、アウトドアに応用するにははるかに実用的でリスクも少ない。
だから、もし小林カツ代さんがアウトドア料理本を出したら、もちろんすぐに買っちゃううだろうなぁ(笑)
でも、そもそも彼女や魚柄仁之助師のレシピって、すぐにアウトドアに持ち出せるようなのが多いから、彼らがわざわざ「アウトドア料理」と銘打った本を出すとも思えないけど。
例えばアウトドア料理本の類でが、「3~4時間スモークする」とか平気で書いてあったりするが、これが魚柄師の手にかかると「5分スモークして、あとは保温調理で25分」になっちゃうんだから、これじゃどっちが「アウトドア料理」だか、ってなもんだ。
■ 【今日の教訓】
餅は餅屋。
■ 関連過去ログ【醗酵食関連】
◎醗酵の世界へ、出版の世界へ。 (10月5日)
◎超久しぶりに、カヤックで遊んだのだ。 (10月11日)
■ 関連過去ログ【魚柄仁之助関連】
◎包丁まな板いらずの手抜き料理。 (9月7日)
◎意外な実力者、ひまわりの種。 (9月10日)
◎大豆コンディショナーの威力。 (9月24日)
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■ 「開高健の野外料理」を読みたいと思った方は
を、「野田知佑のクックブック」が良いと思った方は
を、「わかなのダッチオーブン料理天国365日レシピ」(書籍版)を出して欲しいと思った方は、両方をクリックしておいて下さいな。
http://www.gofield.com/openair/mt/mt-tb.cgi/1050
Excerpt: 食生活研究家です あまったもんや捨てそうなものなどでおいしいもんをつくったり、
From: ぼくのせんせい
Date: 2005.01.12

