November 01, 2004
ファーストエイド、シナリオトレーニングの模様。
■ 予報
[地上気象]
晴れ。シーブリーズ。最高気温18度、最低気温8度。
[海洋気象]
南西10ノット、セパレーションポイントより北では昼前から午後にかけて20ノットにあがる。北部の海況はやや荒くなる。
[潮汐表]
00:33am 3.8m
06:35am 0.9m
12:59pm 3.9m
18:50pm 1m
■ 予報通りだが、シーブリーズは弱く、午後になっても海はべた凪。 FA Training
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■ 6月30日のエントリーで書いたことと重複するが、ニュージーランドの場合、ファーストエイドの認定は2年間有効。
SKOANZ(Sea Kayak Operators Association of New Zealand)の規定では、有効なファーストエイド資格を持っていないものは、SKOANZの認定資格も有効なものとはみなされない。だから、最低でも僕らは、二年に一度はきちんとファーストエイド資格を更新する。
ウチの会社の場合は、春のトレーニング期間にファーストエイド・コースを組み込んであって、社内で受講できるシステムになっているので非常に便利。もちろん、一般ファーストエイドではなく、アウトドア・ファーストエイドが開講される。
■ で、実は今日がそのファーストエイド・コース。

これが、当社の庭で簡易的にやってるシナリオトレーニングの入門版のようなもの。赤いシャツの横たわっているヤツが怪我人役で、陰になっててちょっと見にくいけど、よく見ると首にベッタリと赤い血糊をつけているのが分かるかと思う。確か、これは酒場でケンカになって、ナイフだか割れたガラスビンだかで切られたっていう想定だったと思う。
右のカメラを過剰に意識しているファーストエイダー役も、よく見ると首に血糊をつけていて、役割を交代したことが伺える。
それにしても、カメラ意識しすぎ、マジメにやれ>ロブ
僕が救助したのはナイフで刺されそうになって、手で払いのけたので、手をザックリと切られてしまった人。逆に、僕はチェーンソーで自分のスネを切ってしまったという役回り。どっちも楽勝。
ちなみに昨年は、下腹を撃たれて転げまわっている人を発見して駆け寄るというシナリオで、ポイントは貫通銃創かどうかを確認することだった。
もちろん僕は「撃たれた」というセリフをきいてすぐに背中をめくったので教官にほめられたが、下腹の傷が直径2cmくらいなのに、背中側はご丁寧にも直径20cmくらいベットリと血糊が塗りつけてあって、血糊とは分かっていてもちょいと背筋が寒くなった(^^;
「あぁ、モロに肝臓を撃たれてますな。しかもどうやら散弾だ。こりゃ助かりません。あきらめて、祈りなさい。懺悔することはありませんか?」
って怪我人に言ったら、教官のオバチャンにどつかれた(^^;;;
で、よく覚えてないんだけど、確か僕自身も同じ貫通銃創をつけられたんだったような気がする。

さて、こちらは本格的な野外トレーニングに出かけようという図。この後、遭難側と救助側の二班に別れ、遭難側が先行してビーチに行ってスタンバイ、救助側はリーダーの指揮の下、サーチ&レスキューをする。

4人の怪我人が、それぞれ数百mの距離をおいてバラバラに岩場で大怪我をしていた。怪我の仕方はそれぞれバラバラだったが、一番厄介だったのがこの遭難者。波打ち際で意識がほとんどない状態で横たわっていたのだが、潮がすごいスピードで満ちてきている上に、どうやら脊椎損傷でかなりの人数がいないと動かせないという状態。
最初は救助者グループを三等分して各遭難者に同じ人数を割り振っていたのだが、リーダーは砂浜を何往復も走り回って他の遭難者を救助しているところから人手をかき集めて、この遭難者を運び出すための人数を確保しようと試み、僕もリーダーの補助で、ビーチを何往復か全力疾走させられて、死にそうになった……。
他の遭難者は、一名が肋骨が折れて皮膚を突き破って飛び出しており(そういう特殊メイクをしていた)、もう一名が大腿骨骨折(他の骨と違い、大腿骨だけは骨折すると思いっきり命に関わる)と、それぞれ一刻を争う大怪我で、なかなか人手が確保できず、訓練とはいえ非常にシヴィアな状況で胃が痛くなった。
担架がないので、ブランケットを担架代わりにして遭難者を運んだのだが、足場が悪くてこっちがいつ転んで怪我するかわからず、ここでも背中に冷たい脂汗がにじんだ。
まぁ、ファーストエイド訓練中なら、転んで怪我してもちゃんと処置してもらえるだろうけど。
■ こういう訓練の場にたまたま出くわしてしまうとギョッとすることを6月30日のエントリーに書いたが、こうやって写真を見ると納得していただけるかもしれない。
なんせ、怪我人役も照れずに超本気の演技をするし、レスキュー側も激本気で救助しようとするので、ちょっと見ただけでは訓練か本当の事故なのかちょっと見分けがつかなかったりする。最初の写真は、会社の庭でのお気軽訓練なので、カメラを向けたとたんにおチャラケてくれたけど、こうしたちゃんとした訓練に入ると、誰もまったくふざけなくなってしまう。
どんなにシリアスな議題で会議をしていても、絶対にときどき冗談でかき回すヤツが出てくるお国柄を考えると、いかにこの訓練を皆が真剣にやっているかが伺える。
昨年と今年は使わなかったが、過去にはカヤックを使ったシナリオもあって、これはさらにしんどかったりする。
ちなみにここでご紹介した写真は、実は昨年度のもの。今年はあまり写真を撮る時間がなかったんだけど、内容はほぼ昨年と同じなので流用した。
■ しかし、ファーストエイド講習ってヤツは受けるたびに落ち込んでしまう。毎年受けているのに、一年で忘れること忘れること。昨年間違えた箇所を、今年も間違えたりして、なんて僕はアホなんだと、毎回自分がイヤになる。もうちょっと普段から勉強しておかないとなぁ……。
■ ところでマラハウという場所は、シーカヤック・ガイドとウォータータクシー・ドラーヴァーがうじゃうじゃしている村なので、こういう訓練をつんだ連中だらけである。
二年ほど前に、マラハウ峠の途中で、飲酒運転のバイクが崖から転落する事故が起こったが、たまたまその様子を目撃したのが仕事帰りのウォータータクシードライヴァーで、すぐに崖から人間だけを引き上げてファーストエイドに入った。引き上げの途中、彼の同僚が通りかかったので、二名で引き上げた、さらにその後もう一人の同僚が通りかかったので、彼が救急車を呼びに走ったという(事故現場はケータイの電波が入らない場所)。
僕が通りかかったのが、ちょうど引き上げが終わってファーストエイドが始まろうという時点だった。ファーストエイドは彼ら二人で手が足りていたので、僕は狭い峠道の交通整理をやって現場の安全確保に回った。なんせ、我々の車が片車線をふさいでしまっている上に、見通しの悪いワインディングロードなので、スピードを出して突っ込んでくる車がいると、現場で多重交通事故が発生しかねない状況だった。
事故を起こしたライダーは肋骨を骨折し、脳震盪を起こしていた程度で、幸いにも命には別状がなかった。
ただし、飲酒運転、居眠り運転に典型的なパターンで、スリップ痕なしに崖下に転落していたので、その瞬間を目撃されていなかったら発見が何日後になったか分からない。彼は本当にラッキーだった。
もう一つのラッキーは、事故を起こしたのがマラハウの近くで、しかも我々の退社時刻だったこと。他の場所、あるいは違うタイミングだったら、ここまで迅速に処置が行われたかどうか、はなはだ怪しい。例えば同じ場所でも、真昼間だったら海外からの観光客がレンタカーで通りかかるだけの場所だから、事故の瞬間を目撃してもらえたとしても、救助は数十分遅れただろう。
これを考えると、僕は日本では絶対に事故を起こしたくないなぁ……。事故を起こすなら、やっぱりマラハウ周辺に限る(笑)
■ 関連過去ログ【ファーストエイド】
◎新しい創傷治療 (3月9日)
◎掃除の件、こんどはこちらで (4月4日)
◎ファーストエイド雑感。 (6月30日)
◎でも、怪我の元……。 (8月15日)
◎ファーストエイド、一例。 (8月17日)
◎まだまだ続く、足の怪我の話。 (8月19日)
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いつぞやFA先進国とご指名を受けてしまったアメリカですが、確かに検索をかけてみるとwilderness FA/medicineというのはかなりの規模で行われているようですね。
NOLS(National Outdoor Leadership School)という、アウトドア音痴の私でもテレビで見て知っていたという程のアウトドアトレーニング専門のプログラムを組んでいる団体があるのですが、この中にもWMI(Wilderness Medicine Institute)という形でアウトドアファーストエイド及びその後の救急医療体制専門のコースが色々あるようです。
NOLSのサイト:
http://www.nols.edu/
(eduドメインなので、れっきとした教育機関ですね。コースによっては大学の単位にもなるようです。)
それこそ宝くじでも大当たりしたらRyuさんにNOLSのプログラムに参加させてあげるという太っ腹プレゼントも可能なのに、と言う位、メニューを見ていて目移りする位充実はしている模様ですが、中身の方はどうなんでしょうねぇ。
Posted by: MM : November 1, 2004 05:43 PMこんばんわ。お久しぶりです。
>僕は日本では絶対に事故を起こしたくない
同感です(笑)
何年か前、朝の出勤途上で事故(車対車、と後に判明)に出くわしたのですが、私が通りかかった時には当事者らしい運転手の方が、一所懸命にぐったりと道に倒れた女性を”うんしょ、うんしょ”と引きずって(!)いる最中でした。しかもどっちの車線の車も迷惑そうに横目でにらんで通り過ぎていくんですよね。
とりあえず車を脇に寄せて救助に向かったのですが、その私に対して何台もの車がブーイングのクラクションを鳴らしていきましたよ(怒)
確かに狭い道でしたが、私の車は脇にベッタリ寄せて、しかも救助に向かっているのが見えるにもかかわらず、です。
まあ、当初思ったような車対人ではなく、車対車の事故で、ショックを起こされていただけだったのが幸いでしたが・・・。
あれ以来、日本で事故を起こしたら本当にアブナイ、と慎重な運転になりましたヨ(笑)
>MMさん
うわ、ここ、スゴイですね。
シーカヤックのページ見てたら、「Semester in New Zealand」なんてのもあってビックリ!
> それこそ宝くじでも大当たりしたらRyuさんにNOLSのプログラムに参加させてあげるという太っ腹プレゼントも可能なのに
ありがとございます。
お気持ちだけで嬉しいですよ。
実はねぇ、僕自身にも国立のアウトドアスクールから講師の口の話が来てたりするんで、ガイドの最前線から身を引いても、結局はこの業界には何らかの形で残ることになりそうなんですよね。
なら、いつかは米国で研修という事も視野に入れておかなきゃいけませんね。
特に、ファーストエイドは米国のシステムに興味津々ですよ。
>きょこさん
うわぁ、ヒドイ話ですねぇ。
遭難のニュースをTVで眺めながら「迷惑だ!」なんて批評家の真似事する輩が多い国だとは知ってましたけど、目の前で実際に事故が起こり、怪我人救出の様子を目の当たりにしてもそういう反応をする連中が多いっていうのは、もうどうかしちゃってますね。
そういう国に、未来はあるのかなぁ???
ところで、そのぐったりしていた女性、そうやって引きずっても構わないような状態だったんですか???
こっちの場合、特に交通事故の場合は頭部や脊椎損傷の可能性が濃厚なので、火災や爆発の危険がなさそうな場合は、なるべく姿勢を変えないようにと指導されるのですけど。
こんばんわ。
>引きずっても構わないような状態だった
>んですか???
そう、そこなんですよ。幸い、深刻な状態ではなかったのですが、問題は、引きずる前にその確認をその運転手の方がしていなかった、ということなんです。運転席から引きずっている様子が見えた瞬間に、「ヤバイ!」と思いましたね。それですっ飛んでいった、というのもあります。
意識の確認や受傷の有無・程度といった基本的な確認をしないまま、(彼としては非常に善意的な行為だったと思うのですが)リスクの高い対応をしてしまってたんですね・・・。
しかも、彼、一番前で追突を受けた車の運転手で、自分も打撲あり・・・。一体全体、ここの町のマナーはどうなってるんだ!と叫びたかったですよ。
あ、でも、その彼、小学校だか、中学校だかの先生ということを後から聞き、「頼む、FAのイロハは身につけてくれ!!!」と強く願ったのでした・・・(汗)
Posted by: きょこさん : November 3, 2004 12:57 AM> 引きずる前にその確認をその運転手の方がしていなかった
やっぱり。
僕もそこを懸念したんです。
深刻な状態じゃなかったってのは幸いですね。
それにしても、一人でひきずるだなんて、映画の観過ぎですね。
怪我人を運ぶには、最低でも四人は必要だろうに……。
> その彼、小学校だか、中学校だかの先生という
ヤレヤレ……。
学校の先生なんて、FA技術をもっとも必要とする職業の一つでしょうに。
日本では教師に対して、定期的なFA講習受講を義務付けてないんでしょうね。
恐ろしい話だ。
怪談より怖いぞ……。

