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October 08, 2004

過保護について。

■ 予報
[地上気象] - ときどき雨。東風35 km/h。最高気温16度、最低気温9度。
[海洋気象] - 午後まで南東15ノット(セパレーションポイントより北では25ノット)。北部の海況は荒いが、次第におさまる。にわか雨の中、視界は良好。
 05:08am 2.9m
 11:13am 1.7m
 18:17pm 2.9m

■ 夜中は降ってたけど、朝起きたときはうす曇。それで思い出した。
  ネルソンに住み始めたばかりだった六年前のちょうど今頃、毎日こうして夜中だけに優しい雨が降り、日中は晴れていて、「ニュージーランドってのはなんていう素晴らしい国だ。こりゃ園芸が盛んになるはずだ。農産物も美味いはずだ!」と感動した。
  後になってみて、あれがあの時だけたまたま偶然にそういう天候だったことを知ることになるのだが(笑)
  でも、ここのところ夜中に降り、昼間はなんとかもっているという日が続いていて、懐かしくなった。

  今日は予報通り、ときおりにわか雨がぱらついている。上空の雲の動きを見る限り、東はさほど強くなく、マラハウもあまり良いサーフが立っていないような気がする。マネージャに電話して聞いてみるか。

  しかし、メッチャクチャ疲れてるな。どうしたんだろ? しかも改めて潮を見たら、満潮が18時過ぎじゃん! 遅いってば。こりゃどっちにしてもサーフィンはムリか。やぁめた。

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■ 極々私的なメモ。
  9月29日のエントリーの「極々私的なメモもう一つ。」で愛娘のトイレットトレーニングの話を書いたが、昨日の7日は昼寝の最中も含めて一度も失敗がなく、ついにパーフェクトを達成。

  ちなみに我が家ではお漏らしのことを「失敗」と呼んでいるが、大家は「accident」と呼ぶ。お国柄の違いだねぇ。親やまわりの者にとってはまさにアクシデントだし、本人にとっても確かにaccidentといわれる方が、より優しい言い方かもしれない。

  あ、停電だ!

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■ 短期連載『ガイドのつぶやき』その2
  9月20日の「誰が殺すのか?」と題したエントリーで、僕自身の「ガイド」、「ライター」という二つの異なる立場の矛盾が、アウトドア業界に悪影響を及ぼす可能性のことを書いたのだが、今日はそれにちょっと関連したつぶやき。

■ 『インシデントレポートBBS』の[187]のスレッドで、僕が書き込んだコメント[220]に対して、[222]で、
  「なるほど、プロの人はここまで考えるのか。。」
という感想が述べられていた。

  こういう感想を聞くと、二つの異なる考えが頭に浮かぶ。
  一つは「ワァ~ハッハハハ、そーなんですよぉ。いやぁ照れるなぁ。え? 別に褒めてわけじゃないって? まぁたまた、そんな遠慮してないでもっと褒めて褒めて!」という誇らしい気持ち。
  もう一つは、「これって、いわば『過保護』だよなぁ。それってアウトドアの本質に反するよなぁ」という、自己矛盾に対する苦い気分、およびそれを見透かされたような後ろめたさ。

■ 前者は詳述するまでもないと思う。誰しも自分の専門分野に関しては、「素人には分からんこだわり」を持ち、それを誇りにしているはずだから、「さすがプロ!」と言われて気分を害する人はいないだろうし、そもそも仕事なんて、そうしたささやかな誇りでもなきゃやってられんっていう部分もあるし。

  [220]に書いた内容は、実は昨日のエントリーの内容と基本的には同じことだ。単にディテールが違うだけの話。
  危機管理に関しても、カスタマーサーヴィスに関しても、アマチュアには思いもつかないような細かい項目にいたるまですべてカヴァーしつくすのがプロの務めであるというのは、僕の「ガイド」という職業に対する基本的な哲学である。

  哲学だって、ガハハ、カッコいぃ~! いやぁ、照れるなぁ。もっと褒めて褒めて!

■ さて、問題は後者。こっちが今日の本題。
  アウトドアという遊びの本質は、「危険性を楽しむ」、「不便さを楽しむ」というニュアンスを色濃く含んでいて、それに対する技術を身につけていくこともまた、楽しみの中で大きなウェイトを占めるという事実がある。その極北に「冒険」「探検」「エクスペディション」と呼ばれるものがあるのだが、なぁに、お手軽なご近所アウトドアだって同じような要素は持っているのである。

  この話、特に「危険性を楽しむ」の方を突っ込んでいくと、「無謀」と「計算されたリスク」の違いという厄介な部分に入っていくし、ガイドにとっての職業的タブーである「自己責任」という言葉が入り込んできたりするので、今日はこれ以上突っ込まない。

  でも、アウトドアが楽しいのは、都会での安穏とした生活にはない「スリル」、「リスク」、「不便さ」とひきかえにして「開放感」や「自由」を味わえるからという面があるのは確かだ。

  昨日のエントリーへのコメント欄で、Tomboyさんが
  「アウトドアマンの真髄は、自分で自分の面倒みれるかどうかの責任感ですよね。」
と書いて下さっていたが、まさにその通りだと思う。

■ つまり、ガイドがあらゆる危機管理とサーヴィスを網羅してしまうと、それが「過保護」となって、お客様から「本来のアウトドアの楽しみ方」、Tomboyさんの言葉を借りると「アウトドアズマンの真髄」を奪い取る可能性をはらんでしまうという矛盾が浮き彫りになってくる。

  言いかえると、道具の準備も料理もテント設営も天候などの状況判断も、何もかもすべてガイドがやってくれる「過保護なツアー」に参加したとき、それを果たして「アウトドア」と呼んでいいのかどうかという、根本的な問題が出てくるのである。

  実際に新米ガイドを見ていると、張り切って走り回って、手取り足取り面倒を見ようとする仕事ぶりが目につく。
  ウェアやギアの装着を手伝い、出艇も手取り足取り、海上ではすぐにトウイング、ビーチに着いたら抱きかかえるようにしてカヤックから降ろしてあげ、すぐに座らせてほら飲み物、ほら食い物と箸の上げ下ろしまで手伝いかねない勢い、雨が降ってきても「大丈夫、そのまま木の下で雨宿りしてて」って、一人でさっさとタープを張り、お客様の手は一切わずらわせないし、お客様がカメラを片手に立ち上がろうとしたら「写真撮りましょう!」とさっさとカメラを奪い取る(特に日本人ガイドにこの傾向が強い)。

  う~ん見事な仕事ぶりだ。ここまで徹底して殿様ツアーをやれるならば、むしろ気持ちがいいかもしれない。

■ 最近は、過保護に無頓着なガイドは一流にはなれない、と思っている。

  いや、白状すれば僕も新米の頃はこういう仕事をやっていたのだけど、最近はこういう「過保護」は、果たしてアウトドアなのだろうかという疑問が頭の片隅から離れないので、ここまでのことはやらない。

  もちろん、「何写真なんか撮ってんだ! 早くしろ!」などとほざく似非ガイドよりは、過保護の方が一億倍マシなのは事実だけどね。無礼な似非ガイドは存在自体が許されないので、さっさとポアしなくてはならない。

  また、「過保護の技術を持ったガイド」と「過保護をしようにも、そこまで気が回らないガイド」を比べると、そりゃ文句なく前者の方がガイドとして優れているに決まっている。
  ただ、せっかくの技術も、使い方を誤ると思わぬ結果をうんでしまうことがあるからねぇ。

■ もちろん、これは参加者たるお客様の資質によっても大いに事情は異なってくる。積極的にアウトドアを楽しむ気持ちを持ち、そのコツも心得ている人は、ガイドが雑事を肩代わりして楽になった分は、すべてアウトドアを楽しむ方に振り向けることが出来る。
  こういうお客様の場合、ガイドが手を出そうにも、自立していて手を出しづらい雰囲気を漂わせているので、逆に過保護にするのが難しかったりするし。

  逆に、積極性に欠ける人や、指示がないと動けない人の場合は、雑事から開放されて有り余ってしまう時間を、有効にアウトドアを楽しむために使い切れない。だから余計にガイドの方もいろいろと世話を焼いてしまうという悪循環にはまる。

  だから、ガイドのキメ細やかなサーヴィスが、いつも必ずしもアウトドアの楽しみをスポイルするわけではないのだ。

  ただし、ガイド自身が過保護の危険性に無自覚な場合は、スポイルの可能性が大きくなってしまうことは、厳然とした事実である。過保護を良いガイディングと信じている短絡的なガイドも、ゆるやかながら業界の首を絞めていると思うのだ。

  どこまで手を貸すべきか、どこからはお客様自身にやってもらうか、このさじ加減、バランスのとり方が、ガイディングの肝になってくるのではないだろうか?

■ 冒頭で「ガイド」と「ライター」の立場の矛盾のことをチラリと蒸し返したが、「ガイド」という立場の中だけを見たって、このようにアウトドアの根幹に関わる大きな矛盾があるのだ。

  そういう意味で、僕自身はアウトドア業界を「殺す」ポテンシャルを、少なくとも二重に抱えてしまっていることになる。

  どのように処理していけばいいのか、今もって答えは出ていない。出たとこ勝負の狭窄的な視野ではなく、常に大きな視野で「業界を殺す」ことのないように気を配っていかないと、何か大きな間違いをしでかしそうな気がしてならない。

■ 関連過去ログ【ガイドのつぶやき】
  ◎その1「怖さについて。」(10月7日)

  -------------------------------

■ 『紅葉速報 2004』
  かたぁ~い話の後は、口直しにこちらをどうぞ。

  いいなぁ、ジャパンの紅葉。4月30日9月2日のエントリーに書いたように、こっちはキレイな紅葉ってのはあまり期待出来ないからねぇ。

  ま、今こちらは花盛りだから、別にうらやましがることなんかないんだけど。うらやましくなんかないさ。平気さ。平気だってば。

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■ 今日のエントリーで、「ワハハハ、もっと苦しめぇ、ガイド風情めぇ!」と思った方、人気ランキングをクリックしてみると、トドメを刺せるかもしれません。
  って、ホントにスコアが伸びちゃったら、ハンモック買わなきゃいけないハメになって、ホントに懐にトドメになる(^^;

投稿者 Ryu : October 8, 2004 12:26 PM
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Title: 大記録達成前夜
Excerpt: ■実は、明日、大記録が達成できるかもしれない。  ◎Ryu's Logbook「Weather & Kayaking Log on 14-08-05」  昨年10月から何日働いたのか数えてないんだけど、ノー・トウイングはすごいぞ! ...
From: Ryu's Logbook 別冊
Date: 2005.08.15
コメント

Ryuさんの、お話、
 アウトドアという遊びの本質は、「危険性を楽しむ」、「不便さを楽しむ」というニュアンスを色濃く含んでいて、それに対する技術を身につけていくこともまた、楽しみの中で大きなウェイトを占めるという事実がある。
-----------------------------
まさにそのとおりです。うーん、と唸ったきり
JSB、固まってしまっています。
自己責任のことも含めて
############
、、、
いつの間にか、blogRankingの8位にIkaros
皆さん、ありがとう(謝謝多)

Posted by: JSB : October 9, 2004 01:22 AM

自分のカヤッキングはエクスペディションといえる領域のものが多いのですが、それでも、それ自体のリスクや知識の無い人や、エクスペディションをやったことの無い人に、このアクティビティの(特に安全性の部分の)ことを説明するのは、難しいですね。しかし、私のような(お客さんを預からないという意味での)アマチュアパドラーでも、人にそのことを説明するからには、ある意味「プロ」の方が考えておられる意識レヴェルに近いところでこれを語る必要があるように思われます。

Posted by: Miya : October 9, 2004 01:39 AM

>JSBさん
JSBさんのブログは、もっと上位に食い込んで当然です。

で、実は僕もお邪魔するたびに押そうと思ってるんですけど、ボタン見つかりません(^^;
どこにあるんでしょう?

>Miyaさん
必ずしもアマチュアの方が、プロの意識に近づく必要もないとは思うんですよね。
なんせ、プロの考えていることは辛気臭くて、考えれば考えるほどアウトドアの楽しみから遠のいていくような思考回路ですから(^^;

というだけではちょいと無責任なので、一つ言葉をプレゼントしましょう。
英語では、Miyaさんが「説明するのは難しい」とおっしゃっていることを

「Calculated Risk=計算されたリスク」

と呼びます。
経験と技術の蓄積により、「計算能力」がアップすれば、「解けるリスク」も増えていくということが、この言葉では端的に表されていて、僕は大好きです。
つまり、初心者は「計算能力」が限りなくゼロに近いので、簡単なフィールドでも死ぬし、すばらしい「計算能力」を誇るヴェテランは、難問をスラスラと解く、っていうことです。

ただ、ヴェテランといえども、いつも100点を出せるわけではない。
下手な問題でケアレスミスすると、やっぱり命に関わる。

ね? 便利な言葉でしょ?

Posted by: Ryu : October 9, 2004 09:17 AM

「Calculated Risk」とは言い得て妙ですね。
「Calculated Risk」がリスクのパーセンテージと解釈してよいのなら、アクシデント、想定していないトラップ(川で言うところのピンニングや、水中に隠れた流木による危険は、日本語で言えば「計算外のリスク」となるのでしょうが、英語では「Calculated Risk」といってしまってもいいものなんでしょうかね。
そう解釈すれば、川のカヤッッキングの場合、知られている川には川のグレード(クラス)が付けられていて、一般にはそれがリスクの指標として解釈されていると思います。しかし、これって、変化していく自然状況(水量、雨ごとの地形の変化)の中では、まことに気休め程度のなんですよね。単純にリスクの部分では、①下る前に瀬ごとに下見する。②ルートを決める。(自分の技量で下れるルートで)③決めたルートを下る。④危険がある場合は、レスキューのバックアップ体制を整える。ざっと以上を押さえておけば、クラス5の瀬でもリスクはクラス3並みになったりしちゃうんですよね。
そこで、最近自分が判断の基準として気になっているのが、(Ryuさんの守備範囲とちょっと畑違いで申し訳ありません。)リバーカヤック界のカリスマCorranAddison氏が、「Addison's Scale」という、リバーカヤッキングにおける新しいリスク指標を提唱していますので、紹介させてください。
http://www.chrisj.winisp.net/articles/addison.htm
又は
http://www.kendo.freeserve.co.uk/river%20grade.htm
これの凄い所は、パドリングの難易度のみを表示していた、今までの川のグレード分けから発展して、トラブルに陥った時のレスキューのしやすさ、怪我をしたときに受けられる治療までのりードタイムを指標に織り込んでいるところです。
この考え方はどのアウトドアアクティブティにも通じるし、すべてのフィールドにおいて、一度は考えておくべきことなんでしょうね。

Posted by: Miya : October 9, 2004 11:20 AM

> Ryuさんの守備範囲とちょっと畑違いで申し訳ありません

いえいえ、とんでもないです。
こういう話の場合、フィールドの違いなんてのは、些細のディテールの差にすぎません。
考え方のエッセンスは、おっしゃるとおりすべてに通じます。

ご紹介いただいたAddison's Scaleってのは、恥ずかしながらまったく存じませんでした。
面白いものをご紹介いただき、本当にありがとうございます。
勉強になりました。

僕にとっては非常に納得のいく基準です。

たとえば、僕は「エイベル・タズマン国立公園はエントリー層にとっても最高のフィールド」と断言しています。
しかし、実をいえばここの海域は、決して年中静かで荒れないエリアというわけではなく、むしろ商業フィールドとしては、どちらかというと荒れる部類に入ります。
ってなことは、このブログを読んでくださってる方は、すでに過去の荒れた日のログを読んでご存知だと思いますけど(笑)
実際、「カヤック歴20年」を自称する人が、「こんな荒れた海は初めてだ」と言うのを受けて「そうっすか?こんなの毎日っすよ。まったくの初挑戦の人もこれくらいの海平気で漕ぎますよ」ってな会話をしたことも、一度や二度ではありません。

じゃぁ、なぜそれでも「エントリー層に最適」かというと、Addison's Scaleで言えば、ConsequenceとRescueのグレードが非常に低いからですね。
7社のウォータータクシー、17社のシーカヤックツアー会社が常時運行し、日本と違ってこれらがいがみ合うことなく互いに協力し合ってすべての利用者を全プロが目を光らせて安全管理しているので、事故があった場合も大事に至る可能性が極めて低い、語弊を承知でもっとハッキリ言えば、死亡事故が起こる可能性が世界一低いフィールドだからです。

いくら静かなフィールドでも、いったん事故が起こるとレスキューされる可能性が低いとなると、やっぱりそこは危険海域ですからね。

過去の、プロパーだけがそのアクティヴィティに挑戦していた時代だったら、Difficultyだけのレイティングでよかったかもしれませんが、こうして裾野が広がってくると、Addison氏の提唱するとおり、もっと大きな視野でパラメータを設定して、総合的な指標が必要になりますね。

> 水中に隠れた流木による危険は、日本語で言えば「計算外のリスク」となるのでしょうが、英語では「Calculated Risk」といってしまってもいいものなんでしょうかね。

基本的にはRiskをCalculateするときは、見えないリスクやアクシデントのことも計算に入れますから、一応予想の範囲内で、結果的に「Under Control」におさまったものは、「Calculated Risk」といって言いと思います。

で、まったく予測できなかったものに関しては、英語でもやっぱり「Uncalculated Risk」という表現になると思いますね。
この「Uncalculated」の部分をどれだけ減らせるかが、安全管理のキーになるわけですが。

Posted by: Ryu : October 9, 2004 01:11 PM

またまたTomboyです。
過保護について、なんですが、ATAのツアーに参加したときに、ガイドさんがランチを作ってくださいました。参加者には2種類いて、1)ランチができたら呼んでね、というタイプと、2)プロの調理法をみたい、一緒に作りたいとうずうずして参加するタイプ(私は後者)です。前者は人は全てにおいてGuided Tourだから何もかもしてもらって当たり前で通してましたし、後者は率先してなんらかの作業に参加することを楽しんでいました。
アウトドアツアーに参加する醍醐味は、皆で協同して調理して(そしてガイドさんのプロ調理法を学ぶ)、その後人間の跡形を残さないように片付けるという精神を学ぶところにあるのにな、と思うんです。でも、お金を払って漕ぐこと以外の作業をするのか、とお怒りになる参加者もおられるかもしれませんね。

===
自己責任について、の追記です。
この夏にサンディエゴで半日の超初心者向けのシーカヤックツアーにカヤック初心者の友人と参加しました。休憩を入れて3時間の往復3キロ程度の簡単なコースです。総勢12人のツアーでガイドさん1人見習いさん1人でした。

初めてだけどシングルで漕ぎたいと友人が言ったので、シングルカヤックで漕ぎ始めたのですが、友人は5分後には疲れが見え遅れ始めました。ガイドさん2人ははるか前方にいます。戻ろうという私に、友人は大丈夫と引きかえそうとしませんでした。私がガイドさんを呼びにいって戻る間に友人は船酔いを起こしていました。友人は目的地まで到達できないことが明白なので、引き換えしたいという私に、ガイドさんは、知らせてくれてありがとう、の後に、他の人がいるからここで後1時間待機するか目的地にいくかどちらかにしてくれ、と言いました。シングルカヤックに乗ってる限り、自分で帰り着かないとどうしようもないので、一番いい方法は今吐くことだ、と。人前で吐きたくない友人はそのうち、友人はパドルを離して泣き出しました。ちょうどその時、初老の白人女性2人のタンデムカヤックが通りかかったので、前部座席に友人を乗せて帰ってくれ、と頼んでみました。海上で乗りかわって無事友人はビーチまで戻れました。ビーチまで帰り着いてお礼を言ったときに、タンデムカヤッカーの女性は「次はタンデムカヤックに乗りなさいね」と厳しい一言を残して帰りました。

友人の初アウトドア体験になるかと思ってシングル2艇にしたのですが、友人にとっても私にとっても痛い経験でした。
1)まず、友人が弱すぎる。漕ぎ抜く自身がなかったらやめる、引き換えしたいと伝える、泣いて生存するための努力を怠るのは問題外。「やってみたいけど無理だと思ったら手遅れになる前に自分でダメという」ということはアウトドアにおける自己責任だと思うんです。
2)カヤック初めての初心者と参加するなら、何がなんでもタンデムで漕ぐべきだったのに、見極めが甘かった私は、アマチュアアウトドアマンとしては失格です。
3)ガイドさん。ちゃんと参加者の様子を把握してください。
と思ってしまったのです。Ryuさんは、アウトドアになれてない日本人のよわっちさを何度も経験されてると思いますが、ガイドツアーであっても漕げない人、泣き出す人、を助けることは難しいですよね。

Posted by: tomboy : October 10, 2004 02:08 AM

詳細コメント、ありがとうございました。
Tomboyさんのおっしゃる二つのタイプは、僕にとっては両者とも「ガイドツアーの強みを生かして積極的に楽しめるタイプ」です。
僕が懸念する楽しめないタイプは、

3) 積極的に散歩、写真撮影、ビーチコーミング、昼寝、スノーケリングなどを楽しむわけでもなく、ガイドの調理に興味を示したり手伝おうとするでもなく、他の参加者とおしゃべりを楽しむでもなく、何をして時間をつぶして良いのか分からず呆然としてしまう人

のことで、一人で参加する日本人に多いタイプなんですよ。


しかし、お友達はさんざんな目にあいましたね。
本当にご愁傷様でした。

えっとですね、お友達の件の分析、確かにTomboyさんの立場からすると1)も2)も妥当なのかもしれません。
ただ、プロの引率するガイドツアーですからね、僕から言わせれば
「似非ガイドのグループにあたってしまって、災難でしたね」
としか言えません。

僕がガイドの所業を非難するなら、

1) まったく未経験の日本人女性にシングルをあてがった

2) にもかかわらず、彼女を注意して見ていないどころか、ダブルガイド体制だったというのに、二人とも前方にいて、コミュニケーションを取れないほどスプリットを起こしている
(完全にインシデントが発生している状態。当社なら始末書モノ。SKOANZの試験なら、その場で即試験中止落第モノ。)

3) さらに、彼女が漕げなかったときのために、タンデム艇に乗り換えさせるというバックアップ手段が用意できていない。

4) 船酔い対策のノウハウも何も知らず、こともあろうか日本人女性に人前で吐けなどと抜かす

全部論外ですね。
残念ながらそのガイド氏は、危機管理面でもカスタマーサーヴィス面でも、プロのレヴェルには程遠い立派な似非です。

僕は昨シーズン、新人研修生のガイド昇進社内試験の試験官を何度も担当しましたが、今回のケースよりもよほどマシなガイディングをしているヤツもバンバン落としたうえで、ボコボコに叱り飛ばしました。
男の子のガイド見習いが、何人も僕の前で涙をこぼしたものです。

そのガイド氏が僕の試験を受けたら、おそらくあとで殴られることでしょう。


> ガイドツアーであっても漕げない人、泣き出す人、を助けることは難しいですよね。

難しくないです。
それが出来ないヤツを似非、またはガイドの卵と言い、それが出来るようになって初めて「駆け出しガイド」と呼んでもらえるようになるのです。
というより、泣き出すまで放置するような似非ガイディングは絶対にしません。

情けない話ですけどね、日本人がシーカヤックの本場だと思っている米国やカナダは、非常に似非ガイド率の高い場所です。
ここエイベルタズマン国立公園にも、しょっちゅうカナダ人ガイド、米国人ガイドが働きに来るんですよ。
ただ、ちゃんとガイディングの出来るヤツは、今まで一人しか見たことがないです。
ほとんど全部が似非でしたね。

Posted by: Ryu : October 10, 2004 08:27 AM

カスタマーケア、カスタマーサーヴィスというと、本文中に新米ガイドの行動としてあげたような「こまめに走り回って面倒を見る」という方ばかりピックアップされますが、ホントウに大切なのは、お友達のケースのように、辛い思いをしてらっしゃる方をいち早く見抜き、それを早期解決することです。

つまり、サーヴィスを過剰に差し出すのではなく、必要なところに必要なタイミングで救済の手を差し伸べてイヤな部分を適切に取り除く。
これがカスタマーケアの基本です。

前者の「押し付けサーヴィス」ばかりで、後者の「問題解決」のケアがおろそかになる輩が多いですが、それではホントのプロとはいえないです。

Posted by: Ryu : October 10, 2004 08:34 AM

ただ、困っていない人にこれをやりすぎると、本文で懸念したようなスポイルが生じる可能性があるなぁ、ってことでして。

Posted by: Ryu : October 10, 2004 08:36 AM

なるほどこれぞ似非ガイドの見本だったわけですね。岸に帰り着いてからも、ガイドさんはものすごく迷惑そうな+あきれ顔をしていましたっけ。アメリカらしいガイドぶりだなあとは思っていましたが、タイのガイドさんよりましだったわけで。

Posted by: tomboy : October 10, 2004 02:50 PM

アメリカらしいというか、万国共通の似非ガイドぶり、という感じですかねぇ。

キウィの場合は人懐っこくて極めて面倒見が良いという国民性なので、似非といえども、そういう「迷惑そうな顔」をするヤツは例外的に非常に少ないんですけどね。

しかし「ここで一時間待機」って、プロが口にすべきセリフじゃないですねぇ。
驚愕しました。
いやぁ、世の中広い、下には下がいるもんですね。
今まで聞いた似非の中でも、大関クラスですね。
勉強になりましたm(..)m

もっとヒドイ、タイのガイドさんの話は、もう恐ろしくて聞きたくないような、でも怖いもの聞きたさで、やっぱり聞きたいような(^^;;;;;

Posted by: Ryu : October 10, 2004 09:58 PM

>キウィの場合は人懐っこくて極めて面倒見が良いという国民性

多分この一言に集約されているのではないでしょうか。
アメリカ人にはビジネスライクな親切さはあるけれど(それもかなり親切で日本人は勘違いしやすいのですが)、「気を回す」的心遣いはなかなかないですね。
むしろそういう人がいたとしても、逆に大変神経質な人間だったりしてかえって疲れてしまったり。

それからアメリカが訴訟社会だというのは周知の事実ですが、アウトドアツアーの場合も然りでして、参加者には絶対release of liabilityというものにサインさせていると思います。
所謂「このツアーに参加するに当たっての損失・損害(怪我、死亡事故、等)については、貴社に責任を求めません」的文書にサインしない限りツアーには連れて行ってもらえないわけです。
それ以外にも、きっと読めるか読めないかわからないような小さい字で書かれているものにサインなりイニシャルなりをしなければいけないと思うのですが、その小文字部分に事細かに記載されていること「のみ」がガイドの責任で、それ以外のことは「カスタマーの自己責任」となるわけです。
ですから、北米でliability系書類にやたらとサインをしなければいけないケースは、アウトドアアクティビティーのみならず、病院で手術する際(治療目的の手術での予想外のダメージについて)、子供のスポーツ教室(怪我や事故の際に教室では責任を負わない)やら、使用者の方が自分でスキルアップを図るなり保険を購入するなりして覚悟の上で参加するという形になります。

(ついでに前述レスにこじつけてしまうと、参加者の側にcalculated riskが課せられていて、予測可能な範囲のリスクを知っていて何もしないで相手に責任を求めるのはお門違いで、責める前には保険なり何なりで自分を安全を守る自己努力をする、ということです。勿論最悪のケースでも、liabilityフォームにサインしてしまっていては責任問題としては相手を追及できませんが、「精神的なダメージ」としては法廷でいくらでも相手の非を問う事が出来ます(笑))

だから、「似非ガイド」というよりは、北米ではもうRyuさんレベルのガイドとは完全にメンタリティーから具体的なJob descriptionに至るまで同名にして異なるものなのでしょうね。

Posted by: MM : October 11, 2004 07:02 AM

しかしながら、今回のTomboyさんのお友達の方のケースでは、

>ビーチまで帰り着いてお礼を言ったときに、タンデムカヤッカーの女性は「次はタンデムカヤックに乗りなさいね」と厳しい一言を残して帰りました

とのことですので、カヤッカーの常識として実力不足の人間がタンデム艇に乗り込むというのはアメリカにも徹底しているであろう事が予想できますので、やっぱり似非ガイドだったのでしょう。
本当にご愁傷様でした(としかいえないですよね、このお話・・・)

Posted by: MM : October 11, 2004 07:09 AM

実はこれからアップする「ガイドのつぶやき」の続編(最終回)で、僕の主宰している『プロガイド・ワークショップ』の話がかなり派手に出てくるのですが、MMさんご指摘の免責同意書も実はPGWでも扱っている内容です。

日本の場合は、法律が違うので、免責同意書をとっても法的には無効、よって顧客の心象を悪くするだけの効果しかないために、やめておきましょうというのがその内容です。

NZもACCという事故保障システムがあるために(つまりNZと米国は、国民性の違いだけではなく、社会システムの違いも要因として挙げられます)、ウチの会社もずっとやってなかったのですが、合併で会社組織そのものが変わった先シーズンからやるようになりました(うっとうしい)。
ただ、それでガイドたちが「免責同意書に書いてある責任範囲外は、僕らの仕事の範囲外」などと胡坐をかくかという、そんなことはないですね。

米国の場合は、訴訟社会、契約社会というシステムが、明らかに人間のメンタリティをスポイルし始めてますね。
サーヴィス精神までが契約内容に縛られ、プロ意識、職人意識が育たないっていうのは、悲劇を通り越して「モダンタイムズ」の中でチャプリンの描いて見せた喜劇の世界そのものですね。

あと、これも続編の中でこれから書くことですが、免責同意を求める大前提として、やはりインフォームド・コンセントが重要になるはずですが、日本のアドヴェンチャー・ツーリズム業界ではまだその意識すらないし(医学用語だと思われている……)、米国ではそれこそおっしゃるとおり、保険の契約書の裏面にビッシリ書いてある小さな文字、あぁいうので「ちゃんとインフォームした」と言い張るんでしょうねぇ。

ヤレヤレ、です。


本来の国民性としての親切さ、サーヴィス精神の旺盛さですが、平均レヴェルで言えば、僕は米国人よりも日本人の方が上だと思います。
日本人が本気でサーヴィス技術を鍛えれば、もともとの人懐っこさはスゴイものの、修行があまり好きじゃないキウィのレヴェルを軽く超えることも可能なんですけどね。

やっぱり、すごいのは一流温泉旅館の仲居のおばちゃんたちですよ。
日本のホテルマンは、「慇懃にしてりゃそれで良いんだ」みたいな、慇懃無礼の典型みたいな人が少なくないし、フライトアテンダントもお高くとまって客を見下す雰囲気を漂わせる人がこれまた少なくないので、仲居さんたちほどはスゴイと思える人は多くないですね。

というわけで、アウトドア・ガイドの皆さん、時間が出来たら、キャンプなんぞに行ってないで、一流の旅館に行って仲居さんの所作を盗んできましょう(笑)

かくしてアウトドア離れはますます進み、温泉ブームが再燃するのであった(爆)

Posted by: Ryu : October 11, 2004 09:17 AM

> やっぱり似非ガイドだったのでしょう

ですね。
いくら社会背景が違うとはいえ、顧客から対価を受け取って安全とサーヴィスを提供する「契約」を交わしているのは間違いのない話で、漕げない顧客の面倒を見る、顧客に不快感を与えない常識レヴェルのサーヴィスを提供するってのは、どんな国でも当たり前のガイドの業務です。

明らかによわっちいと分かる顧客が後方にいるのに、気を配ることもしない。
挙句の果てに「一時間待機」などと、自分の目の届かないところに置き去りにしようとする。
完全に職務を放棄した危険行為ですね。

つまり米国の場合、逆にこれらはTomboyさんのお友達の側から「精神的損害」のみならず、「契約違反」として訴訟に持ち込めるくらいの似非行為だと思いますよ。

まぁ、州によって違うでしょうから、ここで断言することは難しいですけどね。

日本やNZの場合は、こういうケースでも法廷に持ち込むことは難しいでしょうけどね。


Posted by: Ryu : October 11, 2004 09:25 AM

一流旅館の仲居さんのそれは「ホスピタリティ」ってやつですね。丁寧できめ細かなサービスのさらに上を実現するとこうなるという完成形のようにも思われますね。

Posted by: Miya : October 11, 2004 09:47 AM

そう、ホスピタリティっすね。
キウィガイドもビックリですよ。

> 丁寧できめ細かなサービスのさらに上を実現するとこうなるという完成形のようにも思われますね。

ですね。
アウトドアガイドの場合は、それらに加えて、徹底した危機管理能力と、いざというときのための強力なリーダーシップ(グループマネージメント能力)が要求されるので、さらにハードルが高いのですが……(泣)

Posted by: Ryu : October 11, 2004 09:58 AM

私もアメリカで数年暮らしましたので、liabilityフォームにサインした以上、自分で漕ぎぬくという責任を持ってツアーに参加しないといけないと思ったのですが、契約違反+精神的損害で訴訟にもっていけるくらいのとんでもない似非だったということですね。

皆さんのコメントを「泣いてしまった友人」に伝えて、もう一度アウトドアの楽しさにふれるようになってもらいます。ありがとうございました。

ところで、似非大王になりそうな、タイのガイドぶりですが、

集合場所について漕ぐ前にランチ時間2時間、スプレー付きのシングル艇を借りられるのか何度も確認してOKだったにもかかわらず全員タンデムのSit on Top(ついでに私は体重100キロ以上の見知らぬ女性+全く漕がないを後部に乗せられ、死ぬ思いをしました)、ガイドさんはツアーの途中であった友人と長話をして参加者を放ったらかし、あげくの果てに先に目的地に帰ってしまいました。後方にいた人は目的地がわからずに長い間探しまわったようです。ガイド精神以前に人間性の問題ですね。

Posted by: Tomboy : October 11, 2004 02:04 PM

う~ん、まさに似非大魔王、永世名誉横綱ですな>タイのそのガイド氏

もう、どこをどう突っ込んでいいのか分かりませんです、僕には(涙)

これ聞くと、日本のガイドさんは全部許せてしまうような気もしてきますね(笑)


お友達には、よろしくお伝えください。
天候が安定しているときに、ちゃんとしたガイドに当たれば、ホントに誰でも楽しく遊べますからね。


Posted by: Ryu : October 11, 2004 02:32 PM
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