October 07, 2004
怖さについて。
■ 予報
[地上気象] - 曇りのち晴れ。北東風次第に強くなる。最高気温16度、最低気温9度。
[海洋気象] - 北15ノット、午後早くに東に変わり、夕方にはセパレーションポイントより北では25ノットにあがる。北部の海況は次第にに荒くなる。
03:54am 3m
09:51am 1.6m
16:32pm 2.9m
23:19pm 1.7m
■ 数日前からの予報では、今日あたりから激しく天候が崩れるはずだったが、なんとかギリギリ今日はOK。午前中は北からのうねりがかなり残っていて、マッドマイルはけっこうチョッピーだったが、警戒した東も結局吹かず、午後は鏡のようなべた凪。
ずっと曇ってて、ときおり小ぬか雨もぱらついたけど、ときどき日も出て、そう悪くなかった。
しかし最悪だったのがウォータータクシー。今日から長年のパートナー、アクアタクシーではなく、新たなビジネスパートナー、ウィルソンズのタクシーに切り替わったのだが、なんせウィルソンズにはタクシーが今のところ一艇しかなく今日はカヤックを一緒に運ぶスペースがなかった。
だから、僕らのグループはアンカレッジでパドリングインストラクションをした後は、モーニングティーをしながら50分近く待ちぼうけ。ふざけるなって。
予報が良くない日にこんなことされると、ツアーのスケジューリングがものすごくタイトになって、気が気じゃない。
いきなり先の思いやられる新体制……。 blast 6
■ 明日は本格的に天候が崩れそうなので、ブッキングが今のところゼロ。しかも僕は明日は二番ガイドなので、きっと仕事はなし。東が吹きそうなので、午後にサーフィンでもしに行こうかなぁ。小潮なんだけど。
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■ 短期連載『ガイドのつぶやき』その1
今月2日のツアーのお客様の中に、スキューバダイヴィングを趣味にしているドイツ人のお客様がいらっしゃって、彼はツアーの間ずっと海中の話ばかりしていた。
ツアー後、ベースに戻るウォータータクシーの上で僕にも話を振られたので、正直に言った。
「実は、ニュージーランドに来る前に作った『ニュージーランドでやりたいことリスト』のトップが、スキューバだったんです。
でも、何の因果かこの仕事するようになって海の恐ろしさが身にしみて、ダイヴィングする気がなくなったんです。海面で空気の吸える位置でも数々の恐ろしい目にあったし、それ以上に恐ろしい話をたくさん聞くようになったから、空気のない水面下は僕の危機管理能力の限界よりはるか先の世界だと知ったから」
と。
■ 米国人のお客様は僕のいう事を「さすがプロ」と受け止めてくれたようだが、逆にドイツ人ダイヴァーは、「ちゃんとした機器を使うんだからだいじょうぶだ、何が危ないんだ?」と不満顔。そして、「海が怖いっていう話、カヤックが終わってから言ってくれて嬉しい。カヤックの前に言われてたら、帰ってたかも」と笑い飛ばすアイルランド人。
それぞれにお国柄がハッキリでて面白いなぁと思った。
米国人はやっぱり危機管理に敏感だし、英国文化圏の人は何を聞いてもユーモラスに茶化して笑い飛ばそうとする。
そして、どうやらドイツ人はメカ、マシーンに対する信頼感が強すぎる分、危機感が薄いようだ(日本人は、明らかにドイツ人寄りだな)。
■ 彼は言った、
「カヤックで下手に水面に浮いてるから危ないし怖いんだよ。スキューバは波の影響を受けない水中にいるし、呼吸も出来るから大丈夫だ」
と。
そりゃ、タンクに酸素がちゃんと入ってて、しかもすべての機器が正常に作動してて、なおかつ本人がパニックになっていない間は大丈夫だろうよ。
でもね、逆から言えば、これだけの条件がキチンと揃わないと大丈夫ではないということなんだよ。一つダメになっただけで、「ハイ、土左衛門様お一人ご案内ぃ~!」になりかねない。その点、カヤッキングよりもはるかにシヴィアだ。
長いことこんな商売やってると分かるけど、機械や道具って、いとも簡単に、しかも予想もつかない形でぶっ壊れるもんなんだけどねぇ。
あと、水中にだって人間の力ではいかんともしがたい「悪天候」はいくらでもあるぞ。
■ 「なんでプロが海を怖がるんだ?」と不思議そうな顔をしているドイツ人の顔を眺めていると、「この人、海で事故にあわなきゃいいのだけど……」と祈らずにはいられなかった。自分のいるフィールドややってるアクティヴィティの危険性を理解していない人が遭難すると、生還率は低いから……。
■ と同時に、彼の反応からダイヴィング業界のライセンスビジネスの腐敗の一端をも感じた。要するに、彼は今までインストラクターやガイドから、ちゃんと危険性を教わったことがないんだよね。
日本のカヤック・ジャーナリズム(というかアウトドア・ジャーナリズム全体かな)も、これに近いものがあるような気がする。
僕自身は、お客様から「カヤックって危なくないんですか?」と問われたときは、必ず「危ないです」と答えることにしている。
この問いを発するお客様は、ガイドが「大丈夫ですよ」と安心させてくれるのを期待しているので、危ないと明言すると大変驚いた顔をする。まさかガイドがそんなことを言うとは思ってもみなかったんだろう。
「ねぇダ~リィン、アタシのこと嫌いになったのぉ~ん。ねぇ、ねぇったらぁ~ん。」
「うん、ご明察。大嫌い。顔も見たくない。シッシッ!」
「……(ガ~~ン)」
ってのと同じなんだろね(笑)
もちろん、その後で「ただし、僕がついていれば大丈夫です。その代わり、こっちの言う事はちゃんと聞いてくださいよ」と付け加えて安心してもらうが、カヤックの危険性自体を隠蔽することはしない。
それくらいで良いと思うのだ。危なくないんだったら、インストラクターやガイドの存在意義自体が怪しくなるし、事実初心者が一人で漕げば、死亡事故になる確率はおそらく他のアウトドアアクティヴィティとは比較にならないほど高いのだから。
よって、むしろ「危険性を隠さない」というのが、我々ガイドやインストラクターの責務だと考えている。
ところが、ジャーナリズムの方を見てみると、どうもその辺がぬるい。一人一人のガイドやインストラクターよりも、マスメディアの方が影響力が大きいというのに。
■ かくして、河原でのキャンプを注意されて逆ギレするようなアホがのさばることになるのだ。ヤレヤレ。
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■ 今日のエントリーを読んで、「おぉ、そうだそうだ、まったくだ。それはそれとしてハンモック買いなさい」と思った方、
を一押しして、がんばって週間INを1500にして下さい(笑)
http://www.gofield.com/openair/mt/mt-tb.cgi/836
反省しました。
自分は永いことリバーカヤックのエクストリームダウンリバーやクリークボーティングをやってきましたが、危険性に関して人に訊ねられた場合には、「怪我もほとんどしないし、スキーやスノボーより安全かもよ」と言ってました。いままでこのことに関して、文章で明確に書いたものにおめにかからなかった(もしくは、そのときの意識の問題で気になっていなかった)ので、頭の中で整理できていなかったんです。
自分が言っていた「安全」とは、言外にある大前提が、装備、スキル、一緒に漕ぐグループの質、が備わっていることなんです。自分では充分にわかっていて、そのように行動してきたつもりなのですが、人に説明するときには「なんしか安全」「比較的、危険ではない」的な物言いに終始してしまっていたようです。
大いに考えさせられる今日のブログでした。
・・・ハンモックテント、買わないの??
初めてレスします、Tomboyです。正体を明かせば、9月後半のATAカヤックツアーに参加したTomokoです。
Ryuさんに全く同感です。水系に限らずアウトドアスポーツは怖いです。サーフィン、ウィンドサーフィン、カヤック、と水系を経験すればするほど、水が怖くなります。年のせいもあるかもしれませんが。私はスキューバライセンスに何回もTRYしましたが、道具に頼るのが怖い+人間が本来いるべき場所ではない(+魚が怖い、食べられないなもんで)、断念しました。道具の性能を過信しすぎるのは怖いです。道具はチェックしても破損するときはするもんです。
私にリバーカヤックを教えてくれた方は、流水の怖さと安全対策についていやというほど教えてくれました。ちょっと暗くなりますが、ウィンドサーフィンの水難事故で母を失っていますので、泳げても慣れた海域でも、自然を甘くみちゃいけなという姿勢は叩き込まれました。基本はセルフレスキューできる自信がなかったら出て行かない、初めての場所や少しレベルアップしたかったらガイドさんもしくはインストラクターさんと共にチャレンジする、を心がけてます。
アウトドアマンの真髄は、自分で自分の面倒みれるかどうかの責任感ですよね。
Posted by: Tomboy : October 8, 2004 02:50 AMMiyaさん、Tomboyさん、コメントありがとうございました。
Tomboyさん、ツアーご参加ありがとうございました。
結局お会いできなくて失礼してしまいましたが……。
カヌーに限らず、危険を伴うアウトドアスポーツプロパーは、自分のやっているアクティヴティを説明するとき、Miyaさんと同じように「なんしか安全」「比較的、危険ではない」という表現をするのが一般的のようです。
これは、アウトドアスポーツを危険視している「世間の目」に対する後ろめたさや、鬱屈した心理が背景にあって、つい「言い訳めいた説明」をしてしまうためではないかと推測しています。
よって、アマチュアのプロパーの方の口から、そういうセリフが出てきてしまうことは、仕方ないと思うんです。
ただ、プロやメディアや販売店などの「業界側」の人間までが、そういう無自覚な言い訳を前提に「安全」を初心者、未体験者に吹き込んでしまうのは、まったく次元の違う大問題だと思うんですよね。
僕の場合、ラッキーでした。
学生時代、ビーパル誌の下請けをやっていた小さなプロダクションで、何度かグラビア撮影の現場でバイトをしたことがあるんです。
野田氏にあこがれていた僕は、ディレクター氏やカメラマン氏の前で「カヌーを買おうかと思ってて」って言ったんですが、そうすると一言、
「死ぬよ」
凍り付いている僕を尻目に、両氏は
「アイツも死んだなぁ」
「そういや●●んとこの若いのも去年○○川で死んだとか言ってたぞ」
などと、どんどんカヌー水難事故の話をしはじめたのです。
ビーパルにそんなことは一言もかかれていなかったので、衝撃でした。
その一言で、僕はカヌーを始めるのをあきらめ、その結果今も生き延びています。
あのとき、野田氏にあこがれてファルトを買っていたら、僕の性格のことだから絶対にスクールなどには行かず、フィールドのこともちゃんと調べずに、行き当たりばったりでソロツーリングを繰り返したことでしょう。
プロになった今ならよく分かるのですが、確かにあの時点でカヌーを買っていたら、僕の人生は15年前に終わっていた可能性が大きいですね。
今になって、彼らの
「死ぬよ」
の一言は、僕にとって本当にありがたい忠告だったことが分かります。
ですからのこの一言を、自分自身の宝物だと考えていますし、他の人に同じことを伝えていく義務もあるな、と思っています。
> アウトドアマンの真髄は、自分で自分の面倒みれるかどうかの責任感ですよね。
あ、これって、実は本日(8日)のエントリーのテーマだったりします(^^;
> ・・・ハンモックテント、買わないの??
あ、痛たたた(^^;
だんだん週間INのスコアも伸びてきたし、買うことになるのかもしれませんねぇ(笑)
自分自身の意識の低さをここで正直に告白してしまったのはある種の覚悟が必要なことでした。「お客さまの命を預かる身」というわけではないので、この点について考える機会がもてなかったというのが実情でしょうか。しかし、Ryuさんのご意見を、毎日のブログや「危機管理考」でお伺いするにつれ、「ここで一丁この問題について意識を改める必要がありそうだ」と考えるに至ったのです。
考える機会を与えていただいたことに感謝いたしますと共に、これからも、これらの問題についての話題を期待いたしております。
Miyaさん、ありがとうございます。
この手の意見を書くと、スルーされてコメントがつかないことが多く、自分自身で「この手のネタは僕しか書ける人間がいない」という自覚はあるものの、書き続けるべきか、それとももう書くべきじゃないのか、毎回悩んでました。
元気付けられました。

