July 31, 2004
神の宿らぬ細部。
■ 予報
地上気象 - 晴れ、風おだやか。最高気温12度、最低気温0度。
海洋気象 - 南10ノット、午後北西10ノットに変わる。海況はおだやか。
■ ときおり雲が出たがおおむね予報どおり。僕が海に出ていない日に限ってこうだよなぁ。
■ もうご覧になった方も多いかと思うが、7月20日の投稿『捕鯨と差別』にこんなコメントが入った。
この『捕鯨と差別』はけっこうあちこちで取り上げていただいているようで、文字通り通りすがりの方もかなり読んでくださっているようだ。
■ あの頭の悪いコメントに対する僕の意見は、続けてコメント欄で書きつづったので、もうここでは特に書かない。
ここで改めて書いておきたいのは、あのコメントの最後の捨て台詞「日本の代表気取りも結構だけど」の部分だ。
■ 偶然にも、あの投稿にトラックバックを下さったkmiura氏が、今日の投稿で、「愛国心」「becoming a Japanese」と題した二文をつづっていらっしゃる。
この文が、あの捨て台詞への回答としてはもっとも適切なものだと思う。ぜひともご一読いただきたい。
■ あぁいう捨て台詞を吐く井の中の蛙くんたちには分からんだろうが、kmiura氏も書いていらっしゃるとおり、本人が好むと好まざるをにかかわらず、外国人と接していると、いやおうなく「日本人代表」にならざるをえない場合がある。いや、実はそういう場合の方が多いくらいだ。なぜなら、相手がこちらを「日本代表」と見なして話をしてくるからだ。
これは立場を変えて自分が外国人に対して何か意見を言ったり、質問する場合を考えるとよく分かるはずだ。
日本のテクノロジーをほめてもらっているときは、この代表任務は大変に気楽だ。
ところが、時には、大げさに言えば「身体を張って」日本を守らなきゃいけないこともある。
だから、「代表気取り」なのではない。まさに「代表」なのだ。
そして、あの投稿内で書いた通り、あなた自身もひとたび外国人と接する機会を持ったとたん、「日本代表」にさせられてしまうかもしれないのだ。だからあれを書いた。
あの悪質なコメントを書いた輩は、一生涯外国人と接することなく暮らしていくつもりなのだろうか? いやきっと、そもそもそういう僕の意図する論旨が、まるっきり理解できなかったのだろう。
■ ただ、あのコメント欄の「もうちょっと勉強しろ」というご意見は、確かにごもっとも。こんなに頻繁に祖国を代表させられるのが分かってたら、ガキの頃から日本のこととか国際社会のこととかをもっとしっかり勉強しておくんだったよ、ホント。後悔先に立たず。航海の時は先に立つことが多いんだけどな。
■ とはいえ、モノ書きに限らず、情報を発信する側の手法として、わざと細かい部分の正確さを無視している場合もあることは、受け手の側も知っておいた方がよろしいだろう。
たとえば、以前にも紹介した本だが大塚英志氏の『キャラクター小説の作り方』に、以下のような一節がある。
「ある週刊誌のコラムで鴻上尚史氏がこんなことを記しているのが目に止まりました。
<先週、スタジオジブリの鈴木プロデューサーの「最近、起承転結を壊して、異常に細部に凝っている映画が多すぎないか?」という言葉を紹介しました。
香山リカさんとそんな話をしていたら、香山さんが「そうそう。知り合いのマンガ家さんが同じようなことを言ってたよ。『じつは夢でした。』みたいなものすごい物語の展開には、読者からなんの抗議も来ないんだけど、主人公がしているピンバッジが先週は右だったのに、今週はうっかり左に描いたりすると、猛烈な抗議が殺到するんだって。そんなことより、ご都合主義的な物語に突っ込んだ方がいいと思うのに、物語の展開には反応がなくて、絵の細部には、異常に反応するんだって」と教えてくれました。>こういった経験はぼくにもしばしばあります。」
(同書PP.238~239より引用)
■ 僕自身も、論旨に直接響く部分に関してはきちんと調べて正確を期して書くように気をつけているが、そうでない部分はうろ覚えのまま書いたり、あるいは不正確を承知でわざと大雑把な書き方をしたりすることもある。
例えば、太平洋戦争を「中国・米国 vs 日本」と書いたが、論旨上これで十分だからわざわざ正確な記述をする気など、最初からはなっからなかった。ホントは「米vs日」と書こうかとも思ったくらいだ。
その他の例は省くけど、大新聞社でコラムを毎日執筆するのを業務としているわけじゃなし、細部の細部までとことん裏をとって書けるわけがない。しかも、ディベート用のサイトじゃなくて、ここはお気楽なアウトドアブログだっつぅの。
そういう、本人が間違っている(あるいは、間違っているかもしれない)のを承知の上で書いている細部を「鬼の首とったように」指摘して、楽しいか?
■ 上で引用した部分でお分かりの通り、作品(と、あえてここではそう呼ぶ)全体の主題、論旨、主張などは読み取る力がない輩に限って、細部の整合性、しかも主題とは無関係な細部の整合性をつつきたがるクセがある。
「謎本」や「空想科学読本」の類の影響で、特に最近はこういう輩が増えているようだ。
これがもたらすものは、やはり引用中に見られるとおり、作品の質の低下である。
現に今の僕も、本日用に用意しておいた別のコンテンツを棚上げし、あまり上質とはいえないコンテンツをこうして執筆せざるを得なくなっている(とはいえ、棚上げしたコンテンツが上質かと問われれば、それも疑問なんだけど……)。
それでも、こういうのが好きなもの同士が集まって、そういう場でワイワイやってる分には問題ない。
ところが、そういう輩がTPOをわきまえず、そういう場じゃないところにまでこうして「通りすがり」と称して通り魔的な暴言を吐いていくのは、なんともうっとうしい。2ちゃんねるでおとなしくしててくれればいいんだけどね。
■ 同書の中で、大塚氏はこう言っている。
「よく、神は細部に宿る、という言い方がありますが、それに倣えばこうも言えます。『細部』には主題が宿る『細部』とそうでない『細部』があります。」
まったくもってその通りだと思う。
■ あともう一つ、揚げ足くんに教えておいてあげよう。
手練のディベーターになると、細部に間違いを「罠」として埋め込んでおく場合がある。下手にそこに食いつくと一巻の終わり、というわけだ。
あるいは、罠としてではなく、相手に逃げ道を用意してやるためにそういう手法を使うこともあるし、逆に「今回は自分が負けておいて、次回への布石にする」というためにそういうミスをわざと蒔いておく場合もある。
毎日別の仕事の合間を縫って短時間で書き飛ばしているこのブログでそんなことが出来るほど僕は器用じゃないが、そういう人も確実にいるし、必要とあらば僕もそういう事が出来ないわけじゃない。
ま、揚げ足くんはディベートの技術を磨く向上心なんぞは持ち合わせていないんだろうから、関係ないのかもしれないけどね。
■ とはいえ、本人がまったく気づいていない恥ずかしいミスが混入していることもよくあるので、親切心で教えてくださる分には、今後もどんどん指摘してやってください>温かい愛読者の皆さん
上記は、ミスをしたときの言い訳を、ディベート的にやってみただけの話で、ご感想や情報提供と同様、僕の間違いご指摘もありがたく拝聴いたします。
冗談抜きで、わざとじゃない本気のミスも、たくさんあるはずです、このブログ内。なんせ、上でも書いたとおり、毎日短時間で書き飛ばしてますから。
■ と、本日はアウトドアネタとは縁もゆかりもない話だけで終わってしまった。明日はちゃんとアウトドアっぽいネタをやるので、ご勘弁を。
http://www.gofield.com/openair/mt/mt-tb.cgi/523
Excerpt: ■【予報】 [地上気象] (モトゥエカ) 晴れ、後高曇り。北風次第に強くなる。(高)15度、(低)2度。 [海洋気象] (エイベル) 変風10ノット、セパレーションポイントより北では西15ノ...
From: Ryu's Logbook ニュージーランド在住シーカヤックガイドのlogbook(=航海日誌)
Date: 2005.06.20
これだけの文章。内容についてはあえてコメントしないけど、単に執筆量を考えても、短時間で書き飛ばしているとはすばらしい。身体能力にトラブルが発生、もしくは加齢でガイドができなくなっても執筆で飯喰えそうだな。
恐れ入った。
あわわ、この投稿に関して、まさかお褒めに預かるとは思いもよりませんでした(^^;
恐縮です。
実際問題、体力的にも気力的にもガイドは近いうちに引退せざるをえないと思ってるんですけど、そうなるとやっぱり分泌、もとい、文筆の仕事量を増やすしかないだろうなとは思ってます。
ただ、執筆量が多いのは、それこそ未熟だからです。
短い文の方が大変なんですよ、やっぱり。
例えば、Gofield.comのゴーフィールドレポートなんかは、時間かかります。
調子が良い日でも、丸々一日は絶対にたっぷりかかってしまう。
その点このブログは字数制限ないんで、気楽に長々と書き飛ばしちゃってます。
最初の頃は、それでも気をつかって短くする努力してたんですけど、毎日それやってると逆に持たなくなるんで、もう短くする努力は放棄しました(笑)
これって、文筆力は鈍っちゃうから、ホントはあんまりよくないんでしょうけどね。

