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July 29, 2004

兄貴、逝く。

■ 予報
地上気象 - 天候は回復する。南西風。最高気温14度、最低気温2度。
海洋気象 - 南西15ノット、セパレーションポイントより北では西25ノット。夕方には南西10ノットに落ちる。北部海域も次第におさまる。北の波1m、次第におさまる。午前中の雨中、視界は良好。

■ 朝にはすでに晴れ渡っていて、気持ちの良い一日。裸足、Tシャツで出歩けるんだから、もはや冬じゃないよ、こうなると。山もゴース(ハリエニシダ)の黄色い花で染まっている。

■ 訃報。
  7月26日、作家 中島らも氏 逝去。
  心よりご冥福をお祈りいたします。

  らも氏は、大好きな作家の一人。そのときどきで「マイブーム作家」はいろいろと変わるのだけど、ここ10年以上ずっとベストスリーから落ちない「不動のマイフェイヴァリット作家」が彼だ。
  僕の文章につい法螺が出てしまう悪癖だって、思えば明らかに彼の影響だし(彼が耳元で「えぇねん、遠慮すんな、書いてまぇ」とささやくのだ)、ライフスタイルの面でもずいぶんと影響を受けていると思う。

  ちょっぴり悪いことだけど、でも実はとても大切なことを教えてくれた一番仲の良かった兄貴分がどっかに行ってしまったようで、なんともやりきれない。

  開高 健師、半村 良師、山本夏彦師ら、「心の三師匠」がなくなったときもずいぶんショックだったが、どうも今回の方が立ち直るのに時間がかかりそう。やっぱり年が近く、同時代を生きたという感覚のせいだろうか?

  ただ、いかにも彼らしい逝き方をしてくれたのが、ファンとしては少し救われる。

  昨晩は名作『お父さんのバックドロップ』で追悼した。

  本当に酔っ払ったまま逝ってしまった、ラリリのオッチャンに、もう一度乾杯。

■ 昨日は夜になってから「今晩は電話当番だから」と言われてしまったので、またもネット接続できず。そのおかげで、ゆっくりらも大兄を追悼できたのだけど。

  というわけで、例によって昨日のログも一日遅れで記録しておく。

■ 昨日の予報
地上気象 - 次第に雲が広がり、夕方から雨。北東の風。最高気温12度、最低気温7度。
海洋気象 - 南東10ノット、ただしセパレーション・ポイントより北では午前中に20ノット、午後には30ノットに。北部海域は次第に荒くなる。夕方からの雨中、視界は悪い。

■ 予報どおり朝からどんよりと曇り。海は最初南東5ノット、ツアーが終わる間際には北東からのうねりが最大約1m。
  雨は昼食のためにビーチに上陸し、タープを張り終えたころに降り出した。ウォータータクシーでベースに帰着するまでは小雨だったのは、不幸中の幸い。家に到着した今は、相当に強い雨になっている。
  あまり恵まれた天候ではなかったので、朝から気合を入れまくって久しぶりに120%の力を振り絞ってガイディングしたので、お客様はとりあえず笑って帰ってくださったので、まぁよしとするか。
  しかし、寒かった。まだ注文したドライトップも届いてないんだよねぇ。 mmt 4

■ ところで、昨日は愛用のネッキー・ルクシャ・スポーツ(ポリ)で仕事するつもりでパッキングしていたのだけど、出発間際になって某カヤックメーカーの営業マン(というより、きっと社長)が駆け込んできて、FRPシングル艇のプロトタイプを置いていった。
  昨日オンのガイドは僕だけだったので、自動的に栄えあるテストパドラー第一号になってしまった。久しぶりにルクシャに乗りたかったのに……。

  しかぁ~し、コクピットの中を覗くと……。
  おぉぉ!
  
  PRODUCTION PROTOTYPE
  COMMERCIAL GRADE
  # 1

と書いてある。商業用(=プロ用)プロトタイプというくらいの意味だが、シリアルナンバーがNo.1じゃないの!
  ワハハ、こういうのは気分がいいな。よっしゃ、今日はこれに乗るぞぉ! と、すっかりルクシャのことなんか忘れる現金な僕(笑)

■ 真っ白でカッコ良いんだけど、よくみるとこいつがなんとも変わった艇でね。日本ではまったく知られていないはずのメーカーなので、あえて名前は書かないけど、もともとレーシング艇ばかり作ってた会社なので、レーサー風の高いフロントデッキを持つグリーンランド艇。日本に入ってる艇でいえば、ネロのデッキ形状が一番雰囲気が近いのかな?
  こういうデッキ、ジャマなんだよなぁ。

  乗ってみると、やっぱりこのフロントデッキがなんともうっとうしい。聞くところによると、日本にはエスキモーロールのジャマになるとかいって、デッキ上にはウォーターボトルさえ載せない一派もあるそうなんだけど、もちろんプロの場合はそういうわけにもいかない。デッキ上はなんだかんだと緊急用具を載せることになる。
  ところがこの艇、元々のデッキが高いもんだから、ウォーターボトル載せると相当の高さになってしまう。つまり、レーシングスタイルの高いポジションのパドリングを強いられてしまう。慣れるまでは、しばらく手がウォーターボトルに当たる。

  あと、デッキが平らな艇に比べると、そもそもこのストレージのためのスペース自体が狭くて、数々の緊急用具が納まりきらない。しかも、なんとリアデッキにはバンジーコードが一本もないし、コクピット内もシートの後ろにスペースが少ない。これには参った。

  そのくせ、コクピット内、フロットデッキ下には膝の間に棚がつけてあるんよね。いちいちスプレースカート開けなきゃいけない棚なんて、プロが使うかよ!

  というわけで、儀装(デッキ形状を儀装と言っていいかどうかは悩むところだけど)はダメ。全然プロの使用にはたえない。
  デッキラインの取り回しとか、グラブループの取り付け方とか、ラダー、ペダル類なんかの基本的な儀装はしっかりしてて、そういう意味での安全性はちゃんと確保できている艇だけに、ちょっと残念。

■ で、乗り味。
  まぁ正直言って乗り味なんて、そんなに極端な性格じゃない限り、プロは何でも乗っちゃうんで、どうでもいいといえばどうでもいいんだけど、やっぱりこれもまたけっこう変わった艇だった。
  たぶん、全長は5mを超える比較的長めの艇。しかもレーシング艇メーカーの作品。となると、さぞかしグラグラしてて、なおかつ真っ直ぐすっ飛んでいくレーサーっぽい艇だろうと予想しながら乗り込んだら、なんとまぁこれがまるっきり反対。
  安定性は、旧クォリティカヤックス(現Qカヤックス)の名艇パフィンとか、ネッキーのカイユークとか、あぁいう感じで、初期安定性も二次安定性もほどほどですごくバランスがいい。比較的体重のある人ならば、初心者でも安心して乗れると思う。

  もっと驚いたのが、旋回性。けっこう長い艇なのに、最も旋回性の高いシーカヤックの一つであるルクシャ・スポーツよりもはるかに曲がる! 正直言って、こんなにクルクルと回るシーカヤックは、生まれて初めて乗った。
  なんせ、適当なスピードで適当にバウラダーを入れたら、あっという間に180度回っちゃった!! もうスラ艇の世界。驚ぇちまったよ。
  昨日は試す時間がなかったが、きっとちゃんと全力で漕いで、慎重にきちんとバウラダーを入れれば、200度以上軽く回っちゃうと思う。パドルコーストの吉角さんだったら、きっと軽く270度くらい回しちゃうんではないだろうか? んなの、シーカヤックじゃねぇよ(笑)

  で、これだけよく回るということは、言い方をかえれば、全然まっすぐ進まないということ(^^; つまり、レーシング艇メーカーの作った軽い軽いFRP艇なのに、全然速くないだ、これが。
  もちろんラダーを下ろせばちゃんと真っ直ぐ進み、当然に速い(いちおうテストのために、珍しくラダーも一瞬だけ使ってみた)。
  一日漕いで、最後にはやっと慣れて問題なく真っ直ぐ進むようになったけど、なんでここまでロッカーを強くしたのか、よく分からん。きっと、普段はロッカーのないレーサーばかり作ってて、いざロッカーのある艇を作ろうとしたときに、程度が良く分からなくて思いっきりやっちゃったのかもしれない(笑)

  この艇漕いでて連想したのが、ウィルダネスのケープホーン145。これは逆にものすごく短い艇なのに、見た目に反して猪突猛進ロケット艇で、とてつもなくに曲がらない艇だった。
  世の中には、面白いジャジャ馬艇があるものである。

■ すごく良かったのが、コクピット。座り心地とかポジションとか膝のおさまりとかは、今まで漕いだカヤックの中でも有数の快適さ。FRPのシートがきしんでウルサイのだけはいただけなかったけど、それ以外はずいぶん良かった。
  ただ、僕はチビなんだよね。日本人の中でもチビなんだから、こっちではとんでもなくチビ。そういうヤツに快適なポジションが出るカヤックって、デカイ連中にだいじょうぶなのかな? 艇のボリューム的には、決してチビ向きに作ったわけじゃないと思うんだけど。

■ ってなわけで、ベースに帰って上記のように報告し、「どうせ買うならこれじゃなくて、ネッキー・エラホにしとけ」っていっておいた。そしたらその意見がすんなりと採用されうちの会社としてはこのカヤックはあっさり没(笑) メーカー側に僕のインプレを伝えたのかどうかは知らんけどね。

  個人用として、サーフィンとかロックガーデンプレイ用に買うんだったら、すごく面白いと思う。仕上げもずいぶん丁寧で、「所有の喜び」は満喫できそうな良い艇だったし。FRP艇があまり好きじゃない僕も、パーソナルユース用にちょっと心ひかれる面白い艇だったな。

  でも、ちょっと仕事向きじゃぁないね。やっぱりレーシング艇メーカーがいきなり「コマーシャル・ユース」の艇を作るのは、無理があるよなぁ。
  がんばれぇ。

投稿者 Ryu : July 29, 2004 04:07 PM
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Title: 早すぎる死を悼む人々
Excerpt: ■昨日は突然アクセスがのび、普段の倍以上の方が拙ブログに来訪されていた。何事かと久しぶりにアクセス解析をのぞいてみると、検索エンジンにこのエントリが引っかかっていたらし...
From: Ryu's Logbook 別冊
Date: 2005.07.29
コメント

うふっ
やっぱネッキーですよね、むふふふふ

といっても技術はないが・・・(汗)

Posted by: さだっちょん : July 29, 2004 09:16 PM

うん、やっぱネッキーだね(笑)

あのメーカー、儀装はどうも良くないんだけど、ただ今回試乗した艇と違って、プロ的にはガマン出来る儀装だったりする。
逆に、アマチュアの人の所有欲をそそる仕上げ、ではないのが、売れない理由なんだろうねぇ。
ハルの設計とかはすごく上手で、良い艇作るんだけどねぇ。

Posted by: Ryu : July 29, 2004 10:06 PM
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