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May 23, 2004

久しぶりに、不思議体験談でも。

■ 予報
地上気象 - 曇りのち晴れ。南風。最高気温16度、最低気温5度。
海洋気象 - セパレーションポイントより北:南東30ノット、午後遅くに20ノットにおちる。その他のエリア:南15ノット。北部海域は次第におさまる。

■ 朝から快晴。南風も南東風も吹かず、暖かく気持ちの良い一日。ただし、一昨日の午後から昨日の午前にかけての雨のせいで、水はちょっと濁り気味。場所によっては5~6mの透明度があったものの、1~2mなんてところもあって、冬にしては不満が残った。いや、僕的にはこれくらいでも良いんだけど、お客様の中に、過剰な期待をしてた方が若干一名いらっしゃって、その方にはちょいと不満だった模様。きっと明日になれば、また透明度10mくらいになると思うんだけど、タイミングが悪かったのねぇ。こればっかりはどうしようもないし……。 astro 6

■ 5日7日の投稿で、不思議体験、怪奇体験の話をした。久しぶりにまたちょっと思い出話でもしようか。

  僕の行った大学は、武蔵野の面影が色濃く残るキャンパスが名物だ。一歩構内に踏み込むと、独歩の見ていた景色もかくや、と思われるような雑木林が広がる。広大な雑木林のところどころに、校舎や寮や職員住宅が、ポツンポツンと建っている、そんな場所だ。夏になると、道をカブトムシが歩いている、そんな場所だ。
  僕は、そんな建物のうちの一つである男子寮で生活していた。住処を一歩出ると、いきなり贅沢なアウトドア空間が広がっているという意味では、今の住環境に匹敵しているかもしれない。
  今思えば、四年間のあの住環境が、僕の人生を決定付けたのかもしれない。なんせ、勉強は死ぬほど嫌いだったので、大学に残るなんて絶対にムリだったのに、あのキャンパスを離れるのが嫌で嫌でたまらなかったのだ。現代の東京で、武蔵野の雑木林の中に住めるなんて、ほとんど冗談のような話だ。
  話がそれてきたが、今回の話の舞台は、そんな場所だ。昼間は気持ちの良い雑木林でも、夜になるとどんな物の怪が跳梁跋扈していたって、何の不思議もない、そんなところだった。実際、学内の不思議談、怪奇譚は、七不思議なんていう生易しいものではなく、在学中に聞いただけでも三桁は下らないんじゃないだろうか。もちろん、そのうちのいくつかは、僕自身の体験談なのだけど。

  一年生の頃の僕は、高校の同級生だった彼女とまだ遠距離恋愛をしていて、長距離電話でNTTにずいぶん貢献していた。ところが僕の寮にはまだ赤電話しかなかったので、テレカを使って電話をしようと思ったら、寮から出てキャンパス内の電話ボックスまで行かなければならなかった。
  確か六月だったと思う。その晩も、いつもどおりサンダルをつっかけ、テレカを数枚ポケットにねじ込んで寮を後にした。寮から50mほど行くと、D館と呼ばれる、文科系クラブハウスや売店、サロン、講堂などの入った建物がある。その脇にある電話ボックスに入った。
  「……。」
  話し中だ。大阪の大学に通う彼女もまた、女子寮で生活していたのだが、その寮には電話は一台しかないので、話し中のことも珍しくなかった。
  いつもなら、いったん寮に戻ってから出直すのだが、霧がうっすらと漂う新月の夜、初夏の雑木林から染み出す濃厚な気配に誘われ、別の電話ボックスまで雑木林のキャンパスを散策しようか、という気になった。
  電話ボックスを出てそのままD館の側を先に進み、角を本館側に回り込んだとたん、全身のすべての毛が一瞬にしてそそけ立った。
  何の前触れもなく、突然囲まれていた。
  目には何も映らない。
  だが、ハッキリと感じる。
  少なくとも50人の「何者か」が、10mほど先でグルリと僕を遠巻きにして、こちらをジッと見ている。
  これは面白い。滅多にない経験だ。好奇心で背筋が震えた。
  僕はそのまま次の電話ボックスに向かって歩き出した。100mほど先の本部棟前だ。
  彼らは、思ったとおり着いてきた。あいかわらず、目には見えない。でも、ハッキリと音は聞こえる。足音、というのではない。例えていえば、僕を中心に半径10mほどの円周上を、乾ききった枯葉がグルグルと回り、アスファルトに擦れてカサカサと音を立てているような、そんな感じだった。誰一人として、それ以上近づこうとする者はいないようだ。おとなしく、行儀よく、10m離れてついてくる。付きまとわれているというより、むしろ僕を守るための人垣が出来ている、そんな感じだった。
  僕は、その音を引き連れて、次の電話ボックスにたどり着いた。蛍光灯の点る電話ボックスの中に入っても、10m先の50人以上の気配は、濃厚に伝わってくる。こんな体験は、初めてだ。
  電話を占領しているお嬢さんは、まだ話し中らしい。
  面白くなったので、さらに先の電話ボックスに向かった。今度は300mほど先、付属高校と接するあたりだ。そこでも話し中。そして、次の電話ボックスでも、やっぱり話し中。次も、そして次も。
  結局見えない枯葉のドーナツを引き連れたまま、広いキャンパスを一周した。もちろん、音だけではなく、数十人分の視線も、ずっと感じたままだった。そして、寮のすぐ前に戻ったとたん、現れたときと同様に、前触れなく全員が掻き消えた。総毛だったまま全身も、その瞬間に何事もなかったかのように普段どおりになった。現れ方も去り方も、見事なほどあっさりとしていた。結局最初から最後まで、恐怖感は微塵も感じなかった。
  寮に戻り、友人をつかまえてこのことをひとしきりしゃべった。そして三十分後、もう一度電話をしに出かけた。今度は、誰一人現れなかった。その代わり、電話はあっさりとつながった。彼女に、もちろんこの話をした。彼女は、二人で見た馬の幽霊のことを思い出したらしく、思いっきりおびえた。そういえば、彼女の寮の電話は、暗い廊下の端っこにあったんだった。こりゃ悪いことをした。

  馬の幽霊の話は、また機会があったら書く。

投稿者 Ryu : May 23, 2004 09:51 PM
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コメント

D館周り。あそこは昼間でも何か居そうで「イイ感じ」ではないですか~。
サロンて呼んでたんでしたっけ、あのラウンジ。あそこも不思議と窓際のほうが落ち着かなくて。

例えばバス停から歩くのも結構ソレ風の趣満載で、冬よりも初夏、浅緑の葉が鬱蒼としている頃の方が、「背筋ヒンヤリ」度が高かった記憶があります。
(・・・って、どーして私はこんなに知っているのか、とかいう突っ込みは無しですよー)

でも、あそこはやはり余りに「いわく付き」のキャンパスだから、怨み系というよりは、それこそRyuさんのお話の様に「ポット出」系のが数多くいる、っていうのは全然おかしくないです。

Posted by: MM : May 24, 2004 04:57 AM

D館は、外だけじゃなくて中にもいまくりです。
特にオーディ(講堂)ね。
サロンとは呼んでないですよ、ご存知の通り、ラウンジです。
一般的には「サロン」の方が通じやすいかと思って、そう書きましたけど。

バス停のあたりでも、寮の後輩の強烈な体験談があるし、そもそも僕の住んでた寮(というか、各寮にそれぞれ)面白い話があります。

ポッと出系も多かったけど、定着してたのも多かったなぁ。
本館1F西階段下トイレなんて、自縛系でしかもかなり性質の悪いヤツだし。

あのキャンパスの話だけでも、ネタは事欠きません(笑)

というわけで、今あの大学を目指していて心臓の弱い方は、

Posted by: Ryu : May 25, 2004 09:50 AM
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