鹿の子温泉&からとの湯
Aug.8, 2004 有馬街道の立ち寄り湯

神戸から三田方面に抜ける道を有馬街道という。いまでは高速道路と並行して走るようになったが、少し昔、この街道は一本道だった。それだけに神戸の震災の折にはダンプカーがこの道を埋め尽くしたほどだ。有馬といえば太閤さん。それは大規模で派手な湯治で有馬の名を天下にとどろかせた。その近くに有馬温泉とは泉脈が違う鹿の子温泉というひっそりとした隠れ湯がある。バブル全盛の頃、神戸市の援助を上手く活用したオーナーは、火の消えた隠れ湯を今風の大衆天然温泉に模様替えした。さらに鹿の子温泉の豊富な湯量を利用して、近くの唐戸の地に鹿の子温泉を運び、「からとの湯」もオープンさせるようになった。そして、ともに有馬街道を走るアウトドア派にとって、立ち寄りの湯として重宝がられるようになった。

鹿の子温泉の発見は古く郷土の民話にも残っている。それは、その昔、秋の頃、母鹿と小鹿がほほえましく木の実を食べていた。そのとき、突然、一頭の大熊が現れ、小鹿の足に噛み付いた。母鹿は小鹿をかばうあまり胸を噛まれ深手を負ったのだったが、時よしに運び、猟師の鉄砲の音に驚いた大熊は逃げ出した。瞬間の静寂の中、放心状態の小鹿を母鹿はやさしく包み込むように咥え、谷を降り清水の湧き出るところまで運んだ。母鹿は小鹿に清水で傷を癒すようにさとした後、息絶えてしまった。その様子を知った村人たちは母鹿の墓を建て、小鹿の傷を清水で治した。その後、この地を鹿の子谷と呼ぶようになり、現在の鹿の子温泉として知られるようになった。これが、この地に残る民間伝承である。

神戸市が開発したウォーターフロント・スペースにハーバーランドというレジャー施設がある。そこは飲食店とファッション・ショップ、それにスーパーマーケットや百貨店、映画館、ラジオのサテライトスタジオなどで構成される。そのハーバーランド西出口道をそのまま北上すると有馬街道に入る。特別な停滞でもない限り、ものの10分も走れば田舎の山道になる。最近、沿線沿いに飲食店が並んできたとはいえ、まだまだのどかな緑に囲まれた山道が有馬まで続いている。1 本道なため朝夕の停滞時には車はとんと動かない。スムーズに走る時間帯でハーバーランドから有馬の入り口まで1時間。その有馬口の手前にあるのが「からとの湯」。そして有馬と三田の間にあるのが「鹿の子温泉」である。

ともに無料駐車場があり、立ち寄り湯としての条件は備えている。露天風呂があり、屋根があったり、傘が置かれているので、雨天でも温泉に浸かれる具合だが、当然、内湯もあるので心配には及ばない。入浴料も安価に抑えられているため、常に、近隣の人々でにぎわっている。

この有馬街道は、実は、古くから天皇、貴族たちの有馬温泉湯治の街道として知られていた。大坂伊丹から有馬に入る、または宝塚の安倉、小浜、米谷から有馬に入る道を有馬街道といった。街道沿いには、何かひとつは願いを叶えてくれるという「やきもち地蔵」、長い歴史を持つ箕輪神社、街道の唐戸付近に毘沙門天を祭った多門寺がある。多門寺は、平清盛が福原遷都の際、鬼門封除を目的に建立したとされている。長い階段の途中には羅漢像が建てられていたり、毘沙門天の奥には縁結び神社も祭られ、門前には4台ほどだが無料駐車場も用意されている。
-DATA-
鹿の子温泉
- 住所:
- 神戸市北区長尾町宅原1611番地
- 電話:
- 078-982-2745
- 営業時間:
- 朝8:00~深夜3:00
- 泉質:
- 単純放射能温泉
- 効能:
- 神経痛、リウマチ、冷え性、婦人病、通風
- 定休日:
- 年中無休
- 料金:
- 大人(中学生以上)・・・600円
子供(小学生)・・・300円
幼児(小学生未満)・・・100円
(保護者同伴の幼児1名まで無料)
貸しタオルセット ・・・ 150円 - 駐車場:
- 無料駐車場有40台
からとの湯
- 住所:
- 神戸市北区有野町からと1296-1
- 電話:
- 078-982-2639
- 営業時間:
- 朝10:00~深夜1:30
- 泉質:
- 単純放射能温泉
- 効能:
- 神経痛、リウマチ、冷え性、婦人病、通風
- 定休日:
- 年中無休
- 料金:
- 大人(中学生以上)・・・800円
子供(小学生)・・・400円
幼児(小学生未満)・・・100円
(保護者同伴の幼児1名まで無料)
貸しタオルセット・・・150円 - 駐車場:
- 無料駐車場110台
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