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二日市温泉

Jun.01, 2002 忘れられた街の忘れられた温泉

二日市温泉:イメージ1

温泉とは大体、セットで山がついて来る。それは、お湯になる為に地熱等を利用する為で、大体高い山か火山の側に温泉が湧き出ることが多い。だが、高い山も火山もない場所にも温泉が湧き出ることがある。都市化進む福岡市の南部にある二日市温泉もそんな温泉の一つである。

この温泉の周りには高い山も火山も無い。その理由は、この温泉一帯の地下に敷き詰められた早良花崗岩という鉱石のためである。この岩には微量のウランを含んでおり、ウランがラジウムやラドンに変わる時に生じる熱が地下水を温めているのである。だから、この二日市温泉というのは「放射能泉」という珍しい温泉でもあり、その効能は切り傷・やけど・皮膚病・動脈硬化症・神経痛・リウマチ・糖尿病・痛風・冷え性・不妊症など、万病に効くと言われている。実際、切り傷に良く効く温泉は戦乱の時代に特に重宝され、また博多から筑後・豊後・肥前などに向かう街道の要衝にあったことも手伝い二日市温泉の歴史は古く歴史に登場するのは奈良時代まで遡り、「万葉集」には大宰帥(大宰府長官)大伴旅人が亡き妻を偲んで歌った歌に次田温泉(現・二日市温泉)が登場する。

現在の温泉ブームから信じられないことだが、福岡県の温泉は100年前までこの二日市温泉しかなかった。それは、今みたいに地中深く掘る技術が無かったこともあるが、何よりも「二日市温泉」というブランドが当時の人々の間に確立していたことも大きい。当然二日市温泉は栄え、盛時には川を挟んで30近い宿が軒を連ねていたという。だが、鉄道網の整備と共に始まった近代に進むにつれて旅行者が宿場として利用する事も無くなり、観光地としての魅力は失せて福岡の都市化と共にゆっくりと時代に忘れ去られるようになった。

現在の二日市温泉は、かつて川湯と歌われた鷺田川もアスファルトで塞がれ、しなびた湯治場風の建物の周りを九州自動車道と都市化された住宅地に囲まれていて風情らしいものはありそうもないが、温泉客目当てに開放されている「博多湯」に入ってみたら、そこには今の日本が忘れていたものがあった。まず、脱衣場が無いに等しい。脱衣場はあるにはあるのだが、男湯は入り口からは丸見え。女湯はトイレの位置関係から男が側まで行くことを許しているので中から扉が開けられたら丸見えになる。さらに入浴料金が信じられないぐらいに安い。100円。女性の場合洗髪料としてもう100円請求するがこれは任意なので払わなくても良い。客も観光客などほとんど来ず、近くの老人や仕事帰りの会社員等がふらりとやってくるのが普通になっている。浴場にはシャワー等あるわけが無く、皆、備え付けの洗面器で小さな浴槽から湯を取っている。この小さな浴槽が3つ。これが博多湯の男湯であり、入浴客はこの浴槽に交互につかりながらゆっくりと仕事の疲れを癒している。面白いもので、この浴槽に入るのも暗黙の了解みたいなものがある。まず一つの浴槽に2、3人居たらその浴槽には入らない。髪や体を洗っている人の側の浴槽には1人だけ。これも狭い浴槽で疲れを癒すための知恵なのだろう。

別料金を払うと2階の休憩室で休めるが古びた障子に畳。一瞬ここが何処だか分からなくなる。木製の階段と床がぎしぎし音を立てて人の存在を伝える。目を閉じて音に耳を傾けると栄えていた二日市温泉がなんとなく伝わってきた。

高い山も火山も無く、都市化の波に押されているかつての当時の湯治場はまだ、その空気までは失っていなかった。時代が変わっても、湧き出るお湯も湯治に来る客も変わらないのだから。

-DATA-

場所:
福岡県筑紫野市二日市
交通:
JR鹿児島本線二日市駅より徒歩8~10分
営業時間:
博多湯
年中無休:午前9時~午後9時
休憩室:午前9時~午後5時
駐車場:
周辺にあり
トイレ:
あり
泉質:
放射能泉
効能:
切り傷・やけど・皮膚病・動脈硬化症・神経痛・リウマチ・糖尿病・痛風・冷え性・不妊症など
料金:
100円(女性は任意で洗髪代100円徴収)
電話:
<博多湯 092-922-2119/dd>

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