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あの世とこの世の狭間に湧く温泉

May.20, 2002 恐山で極楽気分を味わう

東北道の終点青森ICで降りて国道4号線をひた走る。賑やかな街を離れ、陸奥湾を望む海岸線の風景は、徐々にさびしくなっていく。途中、野辺地で国道 279号線を左に折れ、いよいよ、本州は最北端の下北半島に車を向ける。後は、ほとんど直線の一本道。この日、天気は抜けるような青空が広がっており、遠く陸奥湾を越えて斧形の半島の先端がはっきりと見えていた。むつ市で県道むつ恐山線に入る。すると、ほどなく、道路脇から人家が全く消えた。山の奥に蛇行しながら続く道は、進むにつれ幽玄な森林に囲まれ始める。そんな道を約14キロ。突然、曲がり角に地蔵が現れる。その先に道路を跨いだ「恐山」の扁額の掲げられた巨大な山門が下を潜る車を睥睨するように立っていた。それが、あの世とこの世の狭間で湯煙を上げる温泉への入り口だった。

あの世とこの世の狭間に湧く温泉:イメージ1

青森市から車で約3時間。比叡山、高野山と共に日本三大霊場の一つに数えられる恐山は貞観4年(862年)、天台宗の慈覚大師円仁が霊夢によって開山したといわれている。釜臥山を筆頭に鶏頭、地蔵、剣など八峰に囲まれた広大な霊場は、いまだに東北最大の信仰を集め全国各地から観光客を引き寄せる。毎年7月20日から24日までの4日間にわたる恐山大祭は数万人の人出があり、周辺の街の宿がすべて埋まるほど。そして、この期間、近在のイタコが集まり、口寄せで死者と話をさせてくれることはあまりにも有名だ。本尊は延命地蔵菩薩。温泉は恐山菩提寺の境内にある。

あの世とこの世の狭間に湧く温泉:イメージ2

怪しいほどに青い水をたたえた宇曽利山湖の北岸一帯が恐山の霊場である。その入り口の手前に小さな川が流れていた。三途の川。赤い太鼓橋が掛かっており、左右には山のようにお供え物が詰まれた地蔵が番人のように立っている。つまり、その橋を渡るとそこはもうあの世の世界というわけだ。入山受付所で500円を払い総門をくぐる。参道の両脇には四十八基の永代常夜燈灯が並び、正面に仁王像が守る山門。その向こうに見えるのが本尊が祭られている地蔵堂だ。山門を過ぎてすぐ左手に黒っぽい木造の長細い小屋が二棟建っている。これが、恐山の温泉である。右が男性用の「冷抜の湯」、左は女性用の「古滝の湯」だ。そのまま、参道を外れ手拭いを肩に「冷抜の湯」の引き戸を開けた。中は、薄暗く板張りの簡単な脱衣所がありその左に長年使い込んだヒノキの湯船に湯が満々と湛えられていた。早速、服を脱いで入ることに。透明の湯がちょろちょろとパイプから流れ込み湯船から溢れ出ている。温度はかなり熱目で水道水で相当埋めてやっと入浴。窓を開ければ、そこは地蔵堂。お参りの善男善女が頭を垂れている姿が湯に浸かりながら遠望できた。

あの世とこの世の狭間に湧く温泉:イメージ3

この温泉は、昔、お参りする前に身を清める為に入っていたという。だが、入浴中にかなりの人数が参道を通っていったのだが、誰も入ってこない。今は、一部の温泉好き意外は、ほとんど入る観光客はいないようだ。そのまま、30分ほどゆっくり湯船を独占して温泉を堪能させてもらった。恐山には他に混浴の「花染の湯」がある。「薬師の湯」は観光客は入れないが、その気になれば、2つの温泉のハシゴもできるのだ。

あの世とこの世の狭間に湧く温泉:イメージ4

旅の垢も落とし、心身ともにさっぱりして、やっと恐山の地獄巡りに出発。あちこちで吹き上げるガスが漂わせる硫黄臭を嗅ぎながら殺伐たる荒れ地を歩く。賽の河原を筆頭に血の池、賭博、修羅王、女郎などの地獄を見物。石積みや無縁塔、御霊石、地蔵菩薩がそこかしこに祀られ、カラカラと虚ろに回る風車があの世の情景を現出させている。ゆっくり回って一時間ほどで総門を出る。横の売店で缶ビールを一本喉に流し込んでやっと元の世界に戻ってきた。恐山の開山時期は5 月1日から10月31日まで。それ以外の季節は全山が雪に埋もれ、誰も来ない温泉は静かな眠りにつく。

-DATA-

場所:
青森県むつ市大字田名部字宇曽利山
交通:
東北道青森ICから国道4号で野辺地。国道279号でむつ市まで。県道むつ恐山線を進む。むつ市から約14km。約3時間。むつバスターミナルから下北交通バス恐山行き。約30数分。
泉質:
硫黄泉
効能:
リウマチ・神経痛・皮膚病など
料金:
入山料として500円。入湯料は無料。
宿泊:
1泊2食で5,000円。
営業時間:
営業期間は5/1~10/31。朝6時から夕方6時まで。
駐車場:
300台
トイレ:
あり
問い合わせ:
恐山寺務所
TEL:0175-22-3825

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