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「会津・闇川」は義父の川

May.05, 2001 会津若松の小渓流

24時間営業のストアーの角を左折し、きっちり区画された水田の中の舗装道を道なり沿って進むと、教えられた通りの場所に教えられたとおりの大きな二段堰堤が現れ、ここが「闇川(くらがわ)」ということが地図を確認しないでも分かった。前日の氷雨から一転、嘘のようにからっと晴れ上がったゴールデンウィーク後半の5月5日、僕は福島県会津若松市にいた。福島県は僕が住む関東圏とは段違いにヤマメやイワナの渓流魚の生息が豊富だ。有名無名河川問わず、たとえそれが市街地であろうとも一年を通して低水温に保たれてさえいれば、イワナはともかくもヤマメはいる。そう断言できてしまうほど、渓流魚の分布域は関東地方は比較にならないほど広範で豊かである。

闇川は阿賀川(大川)が南会津郡下郷町から会津若松の市域に入り、芦ノ牧温泉を通過、国道一二一号に近接してしばらくの並行後、右岸から注ぎ込む支流。地形に邪魔されて国道から本流との出合いが目視できないため、よほど注意を払っていないと川へと向かうルートを見過ごしてしまう。このゴールデンウイーク、妻の実家がある会津若松市内に埼玉から里帰りした。長時間の運転で疲労した肉体はアルコールのまわりが酷く早い。ビールの酔いで、やや饒舌になった僕は「釣り人が少なく、それでいて魚がそこそこ釣れる河川。もう一つの条件として会津若松市に近いこと」という難題を妻の父親に投げかけた。定年退職した義父は地元営林署に長年勤め、若い頃は実際に国営林で伐採などの作業を経験した。山中の谷川で巨大なイワナを何匹も目撃したり、捕獲したことだってある。その体長を説明するのに広げて見せた義父の左右の手の間隔は40センチを遙かに越えて、僕を大いに羨まがらせたりする。水線が書き込まれた地形図らしき地図を取り出し、出した答えが「闇川」だった。

白虎隊戦士の自害の地、飯盛山の麓近くにある妻の家から車で目当ての闇川までは30分とかからない。昼の弁当にと義母が握ってくれたまん丸のおにぎり三つを雨具と一緒にデイパックに詰め、義父が回答した流れに向かった。会津若松市内の渓流釣り対象の河川としては「背あぶり高原」の西を会津布引山(標高約1081メートル)などを水源にして若松市内めがけ北流する「湯川」が有名だ。たぶん、闇川の存在自体を知っているのはおそらくは地元の釣り人ていどだろう。釣れる魚の数は釣り人の数に反比例し、これに大ヤマメも加わる。ハンドルを握りながら、僕は想像した。そして、想像の中で釣り上げたヤマメは30センチを越えた。

「会津・闇川」は義父の川:イメージ1

二段堰堤の上は底石も確認できるほど透明度の高いプール状の大きな渕になっていて、流れ込みでは若い釣り人がフライフィッシングに興じている。流れを右に左に見ながら進む。道路の両側に迫る萌葱色の山々はこの時期、良質な山菜を育む。登山口には決まって山菜類採取禁止の手作りの看板が立てられ、警告を発している。河川沿いのわずかな平地で自家消費分の穀類や野菜をつくる慎ましい生活の人々にとって、ワラビなどの山菜は貴重な現金収入なのだ。山菜の王者とも称されるタラノメが人工栽培されている二十坪ほどの畑の向こうに、昨日からの降雨で水位を上げ、今引きかけている春の闇川がきらめいて見えた。闇川集会所と書かれた建物の反対側で流れに向かって細道がのび、穏やかに傾斜したその砂利道は流れの手前で右へ直角に折れ曲がり、再び下流に向かって直進している。屈曲点の先で河川に対して平行になるよう車を停めて身支度をした。国産の安価なカーボンロッドにブリキ細工のようなフランス製のスピニングリールをセットし、ラインの先にどこの川でも期待を裏切らない金色のスプーンを結び、弁当を移し替えたキャンバス地のショルダーバッグをたすき掛けした。

その場所は全長5メートルほどの小さいけれども、コンクリート製の立派な橋がかかり、橋上から流れを見渡すと僕一人だ。コンクリートで固められた法面には鉄でできたハシゴが取り付けられているので、用心しながら流れへ下りる。遡行用の長靴は集落沿いの河川なので股下までのもので十分だ。山里の釣りに華美な出で立ちは不似合いだし、もちろん体の半分も覆い尽くすような重装備のウエーダーなんか必要ない。いつの頃からか、収納が自慢のフィッシングベストがバッグに、フライがテンカラ、そして身軽なルアーフィッシングへと変化し、竿さえ持たなければ釣り人と判別できないスタイルへと変身していった。

「会津・闇川」は義父の川:イメージ2

降り続いた雨にも関わらず、闇川の水温は低くないように思われた。魚の活性が高ければ、ルアーに追いつき果敢にアタックしてくるはず。そう思いながら流れに立ち込んだまま、上流へ直線的にルアーをキャストし、流れよりも早い速度で巻き取った。また、大物が潜んでいそうなポイントが現れると、横に回り込んで対岸に向けて投げ、扇状に流しながら、手元に引いた。集落周りの流れは悪場もなく、遡行は軽快だ。リズミカルにキャスト、リーリングを繰り返した。右岸に神社を見ると、流れはその上流で分岐する。一方が「入小屋」、もう一方が「桑曽根」の地区へと向かう。僕は後者を選択し、そのまま遡行を続けた。河川は上流に向かって険しさを増し、形態も階段状に変化するのが一般的だ。しかし、中流帯の闇川はそれまでの渓流らしい流れから一転、両岸にアシが繁務した平坦な流れに変わった。流れは狭まり、両岸から分布を広げつつあるアシの隙間を音もなく流れている。富栄養化が進むと、水辺の植物の成長はすこぶる早い。案の定、数戸の民家が立ち並ぶその先の土手に面して、牛舎の排水口が流れに向かって突き出ていた。排水口をやり過ごすと、畳一枚分の広さで膝下ほどの水深がある落ち込みが出現し、水の落ち口付近にキャストしたルアーがちょうど真ん中あたりにさしかかったところで「ガツン」とあたりがあり、小さなヤマメが本日最初の獲物として足下に寄ってきた。車中の想像とはほど遠いサイズのヤマメだったけれど、高齢の義父のアドバイスに応えることができて僕は嬉しかった。

「会津・闇川」は義父の川:イメージ3

車までの道すがら、集落の中心付近の軒先で腰の曲がった老婆が椎茸の菌を「ほだ木」に打ち込んでいた。僕を釣り人と知ると、「いっぱい、釣って帰りなさいよ」と声をかけてくれた。ひとしきりの雑談後、カメラを向けると、少女のようにはにかんだ。

-DATA-

場所:
福島県会津若松市内
交通:
東北自動車道を郡山インターで降り、国道49号線で会津若松へ向かい、国道118号線で芦ノ牧温泉方面。あるいは、東北自動車道郡山ジャンクションから磐越自動車道会津若松インターで降り、芦ノ牧温泉方面。
駐車場:
流れ沿いのスペースに駐車できるが、地域住民の方の生活道路なので十分注意すること。一声かけるのもいいだろう。
宿泊:
東山温泉旅館協同組合(電話0242・27・7501)
芦ノ牧温泉旅館協同組合(電話0242・92・2336)
会津若松旅館ホテル組合(電話0242・28・9221)
観光:
会津若松観光協会
http://www.aizu-kanko.gr.jp/

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