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ファーンデイル・キャンプ場

Jan. 8, 2001 忘我のビーチ・キャンプ

ファーンデイル・キャンプ場:イメージ1

ここのところマルボロ・サウンド(以下マルボロ)のレポートが続いているが、実は今回ご紹介するのもマルボロ。『パドリングレポートNo.90059006』のケネプル・サウンド(以下ケネプル)ツーリング中に発見した、『ファーンデイル・キャンプ場』(以下ファーンデイル)だ。ここも『キャンプレポート No.9001』のパリンガ湖キャンプ場(以下パリンガ湖)同様、まさしく穴場の名に相応しい隠れ名キャンプ場だ。

ファーンデイル・キャンプ場:イメージ2

ニュージーランド(以下NZ)のキャンプ場についてはパリンガ湖のレポート内で触れたのでそちらをご参照頂きたいのだが、今回のファーンデイルもパリンガ湖と同じくDOC管轄キャンプ場だ。パリンガ湖との最大の違いは、車ではアクセス出来ないという点。つまりここに来るには、ロング・ベイ・トラックと呼ばれるショート・トレッキングコースを歩くか、カヤック、モーターボートなどで海から上陸するしかないのだ。マルボロは海洋公園。せっかくだから、やはりここは1つ海路でアクセスしたい。

ファーンデイル・キャンプ場:イメージ3

料金はパリンガ湖と同様、1泊1人わずかNZ$5。2001年2月現在のレートだと、\300にもみたない。支払方法もパリンガ湖と同じシステム。設備は、煮沸などの処理を必要とする水道、トイレ、そしてベンチ、以上。ファイヤープレイスは設置されておらず、焚き火は禁止。空気の乾燥する夏季は、持参の焚き火台の使用はおろか、ガソリンストーブの使用さえ規制されてしまうので、焚き火を楽しむわけにはいかない。シャワーや電源は言うに及ばず、売店や管理人棟さえないので、豪華なオートキャンプ場しか体験した事のない方は、この素っ気無さに戸惑いを覚えるかもしれない。

ファーンデイル・キャンプ場:イメージ4

しかし、この眺めはどうだろう!透明度の高いマルボロ特有の藍い水のグラデーションは、まさに「絵に描いたような」という喩えが相応しい。砂利のビーチは、波が打ち寄せるたびに、甲高い独特の音を響かせる。そんな美しいビーチに座り込んでしまうと、そのまま目も耳も奪われたまま呆然と時が過ぎ去ってしまう。マルボロの中でも特に静かな海域であるこのケネプルは、非常にビーチの出来難い条件が揃っている場所。故にこの大きな美しいビーチの存在は、まさに奇跡的とさえいえる。これだけの素晴らしい海が目の前に横たわっていれば、質素な装備でも十分に堪能出来ると言うものだ。ここに大袈裟な装備を持ち込んで、下手に「貧相な別荘ゴッコ」などをやらかすのは、かえって無粋というものだろう。

ファーンデイル・キャンプ場:イメージ5

場外キャンプに慣れている私にすれば、トイレと水場とテーブルは、キャンプの生活文化レベルを恐ろしくアップさせてくれる三種の神器のような設備だ。野営のたびに水場を探したり、雉を撃つための茂みを物色したりするのも、また野外生活の醍醐味ではある。しかし水場やトイレの設備が整っていれば、非常にラクチンでありがたいのも事実。そして、野田知佑氏も書かれている通り、長いキャンプ生活をしていて一番恋しくなるのは、やっぱり椅子とテーブルなのである。素晴らしい自然環境とこの3つが揃っていれば、もう他には何もいらない。逆にいえば、これら以外のモノは、私にとっては値段を跳ね上げるだけの過剰設備である。

ファーンデイル・キャンプ場:イメージ7 ファーンデイル・キャンプ場:イメージ6

実はここには、すぐ隣りにもう1つビーチがある。この2つのビーチは干潮時には繋がってしまうが満潮になると岩場で隔てられてしまう。潮の高い時間帯にカヤックでその隣りのビーチに出かけてみた。見事な弧を描く小さく美しいこのビーチには、1本の巨木が聳えている。その隣りにもテーブルが設置してあり、海から訪れる人は満潮時でもピクニックを楽しめる。さらにその巨木の根元には、朽ち果てた往年のトラクターが半分砂に埋もれていた。今では農業の跡など全く伺えないのだが、おそらく数十年前までは開拓者が自然と闘っていたのだろう。保護地区となった今、農地はすっかり森に呑まれ、この鉄の農耕馬ももうじき砂に還る。実は『パドリングレポート No.9006』でご紹介した沈没船はここから数kmの所にある。朽ち果て行く真っ赤に錆びた鉄の固まりを、同じ日に2つ立て続けに目撃し、何やら妙に物哀しい気分になった。

パリンガ湖のレポートと重複するが、最後にNZでキャンプする際の注意事項を再述しておこう。
1) NZにはウルシのような要注意植物もほとんどないし、熊などの危険な大型哺乳類はいうに及ばず、毒蛇もいない。しかし、やはり厄介なモノの1つや2つはあるのが世の常。まずここで1番気をつけなくてはならないのが、サンド・フライと呼ばれる凶悪なブヨ。カユミは蚊の比ではないし、下手すると1ヶ月はカユミが治まらない。ベッドに入ると強烈なカユミに襲われて血が出るまでかきむしる羽目になり、本当に眠れなくなる。NZアウトドア旅行の際はまず真っ先に虫除けを入手されることを強くお薦めする。日本の虫除けは効かない。ここマルボロも例外ではない。
2)キャンプをしていると飛べない鳥ウェカだの、ポッサム(フクロギツネ)だの、山岳地帯だと大型のオウムのケアだの、荷物目当てに悪さをしに来る鳥や小動物が後を断たない。テントの外に食べ物を出しておくのは厳禁だし、テントの中に置いていたものの、布地に触れていたために夜中に外からテント地を食い破られてしまったという話も聞いている。朝起きたらテントに大穴が開いてて慌てたとか・・・。ご注意を。今回のマルボロの旅でも、ウェカとポッサムにはかなり悩まされた。
3)表示があるはずだが、DOC管轄のキャンプの場合、生水飲用不可の所が少なくない。見た目に綺麗だからと油断すると寄生虫にやられるので、指示に従う事。このファーンデイルを始めとするケネプル内のキャンプ場も、もちろん例外ではない。もちろん清冽に見える小川の水も同様。

-DATA-

場所:
・マルボロ・サウンド海洋公園 - ニュージーランド南島北端部マルボロ地方のリアス式海岸線で構成される、非常に美しい海洋公園。拠点はピクトン、ハヴロックなど。
・ケネプル・サウンド - 湖の海域を構成する2本の巨大入り江のうち、西側に位置するペローラス・サウンドの付け根付近から東に枝分かれした中規模の入り江。
・ファーンデイル・キャンプ場 - ケネプル・サウンド北岸ほぼ中央部のファーンデイル・シーニック・リザーヴにあるキャンプ場
予約:
不要。管理人の常駐しないキャンプ場なので、完全に早い者勝ち。テーブルやファイヤープレイスは数が限られているが、サイト数自体が限られている訳ではないので、余程のことがない限りテントを張るスペースは見つけられるはず。
交通:
・陸路 - ネルソンより国道6号線をブレナム方面へ。ハヴロックの町を過ぎたら、景観の美しい事で有名な『クィーン・シャーロット・ドライヴ』へ左折。途中、リンクウォーターの集落で『ケネプル・ロード』へ左折。そこからはひたすら海岸線を道なりに。途中から未舗装路になる。私は海路だったので所要時間は不明だが、おそらくネルソンから3時間はかかるだろう。
・海路 - シーカヤックならば『パドリングレポートNo.9005、9006』で触れたポーテージから出るのが便利。
料金:
・大人NZ$5.00
・子供NZ$2.50
(ともに2001年1月の時点の1泊1人あたりの値段)
駐車場:
なし
トイレ:
あり
釣り:
マルボロは釣りの名所。鯛、ブルーコッドなど。海釣りにライセンスは不要。
詳細情報:
DOCオフィシャルサイト(英語のみ)
http://www.doc.govt.nz/

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