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パリンガ湖キャンプ場

Feb. 3-4, 1999 誰も知らない珠玉の湖畔

パリンガ湖キャンプ場:イメージ1

アウトドア超大国のニュージーランド(以下NZ)には、無名ながらも息を飲むような美しい『穴場』が少なくない。今回ご紹介するパリンガ湖キャンプ場も偶然見つけた穴場だ。日本語での紹介は、これがおそらく世界初だと思う。『トレッキングレポート No.9001』でお届けしたミルフォード・トラックのトランピングを終え、帰途に1泊したのがここだった。NZの国土は日本から北海道を除いた位の面積だが、人口はわずか380万人程度。しかも3分の2は小さな方の北島に集中しているため、南島の人口密度は恐ろしく低い。特に西海岸には大きな街は1つだけ、あとは数百 kmおきに小さな集落が離れ小島のように点在しているだけとなる。この日は陽のあるうちに宿のある町に辿り付くのが無理だったので、あっさりとキャンプ場を利用する事に決めた。河原で場外キャンプでも構わなかったのだが、偶然地図でこのキャンプ場を見つけたので、折角だから覗いてみようということになったのだ。単なる移動中の宿代わりなので「寝られればそれでOK」とビジネスホテルにでも泊まるような気分で訪れたのだが、それだけにあまりにも恵まれたロケーションに唖然としてしまった。

パリンガ湖キャンプ場:イメージ2

ここでNZのキャンプ場についてちょっと触れておこう。NZのキャンプ場は、大きく分けると2つの種類がある。DOC(NZ自然保護局)という役所が管轄するいわば国営キャンプ場と、民営のモーターキャンプ場だ。前者は国立公園、森林公園、海洋公園など、DOCが管理運営している場所に設けられている。贅沢な施設は期待出来ないのだが、代わりに概ねロケーションが素晴らしく、料金も驚くほど安い。中には電源設備を持った超豪華版キャンプ場もあるらしいが、非常に数は少なく、むしろ水道、トイレだけといったものの方が多い。車でテントサイトまで車を乗り入れられる、いわゆるオートキャンプ場も多いが、その反面車の乗り入れ不可能なキャンプ場も少なくない。国立公園内のウォーキング・トラック途中にあるキャンプ場などがそのパターンだ。今回のパリンガ湖キャンプ場もこのDOC管轄キャンプ場で、車乗入れ可能なサイトだった。

パリンガ湖キャンプ場:イメージ3

一方、後者の民営のものはオートキャンプサイト、バンガロー、バックパッカーズ形式の安ホステルなどが一緒になっているパターンが多く、値段はDOCより高くなる代わりにシャワー、売店、キッチンなどの施設もグンと充実する場合が多いようだ。テントを張るのに高い金をとられるのが嫌いな私は、もともと日本でも場外キャンプ専門でキャンプ場利用経験はほとんどない。だからNZでもこの手のモーターキャンプ場は利用したことがないのだが、聞くところによると、料金の安さ、ホスピタリティー、自然の豊かさといった総合バランス面で比較すると、まだまだNZの方が日本に比べて一日の長があるらしい。

パリンガ湖キャンプ場:イメージ4

さて、パリンガ湖キャンプ場に話を戻そう。最初に値段を言ってしまえば99年2月の時点で1泊1人NZ$5(子供は$2.50)だった。『テント1張につき』とか『車1台につき』ではなく、あくまでも人数課金だ。当時のレートは$1=\60程度だったが、これを書いている2000年9月現在では$1= \45だ。ということは、仮に$6に値上がりしてても、\300弱。安い!ここは管理人が常駐していない無人キャンプ場なので、料金は備え付けの封筒に入れ、表に必要事項を記入して所定のポストに投函し、封筒の中に入っていた『料金支払済みタグ』を車かテントにぶら下げておくというシステム。夕方DOCのオフィサーが巡回して来て、ポストに投函された料金と、車やテントについているタグをチェックして回るというわけだ。

パリンガ湖キャンプ場:イメージ5

施設は、水道、トイレ、簡単なファイアープレイスとテーブルが数個。それだけ。電源はもちろん、シャワーも、薪や食料を販売する売店もない。火を起こしたければ自分でその辺から薪を調達しなきゃいけないし、風呂も我慢するしかない。その代わりに宝石のような小さな美しい湖のそばで南十字星を見上げながらの焚き火が堪能出来る。翌朝夜明けと同時にテントから這い出せば、目の前は湖面は綿菓子のような濃い朝靄に覆われている。早朝の湖面に立ち込んでフライロッドを振るのもいいかもしれない。運がよければ60cmオーバーのトラウトと対面出来るだろう。顔を洗おうと手で掬うと、思わずそのまま飲み下したいという衝動に駆られるほどの清冽な冷たい水。ゴミ1つ落ちていない湖畔。ゆうゆうと泳ぐ巨大なトラウト。そして世界遺産に指定されているレイン・フォレスト。これだけそろって\300ポッキリ。しかも、こんな素晴らしいキャンプ場が、メイン・ハイウェイである国道6号線からわずか数分のところにひっそりと隠れているのである。やはり侮れない国だ。これ以上何を望もう?風呂?シャワー?実は真夏でも空気の乾燥しているこのエリアでは、風呂なしでも不快感はほとんどない。気になるなら、水着に着替えて湖に飛び込もう。

パリンガ湖キャンプ場:イメージ7

最後にNZでキャンプする際の注意事項を。

1) NZには毒蛇はいないし、ウルシのような要注意植物もほとんどないし、熊などの危険な大型哺乳類もいない。ホントに気楽な国なのだが、やはり厄介なモノの 1つや2つはあるのが世の常。まずここで1番気をつけなくてはならないのが、サンド・フライと呼ばれる凶悪なブヨだ。特に南島西海岸はコイツの名所。カユミは蚊の比ではないし、下手すると1ヶ月はカユミが治まらない。ベッドに入ると強烈なカユミに襲われるので、血が出るまでかきむしる羽目になり、本当に眠れなくなるのだ。NZ旅行の際はまずまっさきに虫除けを入手されることを強くお薦めする。日本の虫除けは効かない。
2)もう1つ。キャンプをしていると飛べない鳥ウェカだの、ポッサム(フクロギツネ)だの、山岳地帯だと大型のオウムのケアだの、荷物目当てに悪さをしに来る鳥や小動物が後を断たない。テントの外に食べ物を出しておくのは厳禁だし、テントの中に置いていたものの、布地に触れていたために夜中に外からテント地を食い破られてしまったという話も聞いている。朝起きたらテントに大穴が開いてて慌てたとか・・・。ご注意を。
3) 表示があるはずだが、キャンプ場といえども生水飲用不可の所が少なくない。見た目に綺麗だからと油断すると寄生虫にやられるので、指示に従う事。


-DATA-

場所:
Adjacent State Highway 6, 40km North of Haast
・ NZ南島西海岸沿いに走るハイウェイ国道6号線は、ハースト(Haast)という村から内陸部に入っていく。そのハーストの北40km程度の地点にパリンガ湖は位置しており、キャンプ場もその湖のそばにある。国道沿いに看板あり。時速100km/hのハイウェイなので、見落とさないように要注意。
予約:
不要。管理人の常駐しないキャンプ場なので、完全に早い者勝ち。テーブルやファイヤープレイスは数が限られているが、サイト数自体が限られている訳ではないので、余程のことがない限りテントを張るスペースは見つけられるはず。
交通:
・公共交通機関は望めないので、車、バイク、自転車、ヒッチハイクなど、自力移動手段の確保が必要。
料金:
・大人 NZ$5.00
・子供 NZ$2.50
(ともに2001年1月の時点の1泊1人あたりの値段)
駐車場:
あり(無料)
トイレ:
あり

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